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「Catch up COPA AMERICA 2021」~Match day 4~ 2021.6.23-24

前節分はこちら。

目次

①【グループB】ブラジル×コロンビア

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■再び遺恨を残した一戦に

 全勝のままグループリーグをひた走るブラジル。今節の相手はグループステージで最大のライバルになりそうなコロンビア。そのコロンビアはベネズエラ、ペルーに勝てずにやや苦しみ気味。4位通過のレギュラーションに救われて問題なくグループステージは突破すると思うが、なんとか復調の兆しを掴みたいところである。

 共に4-4-2のミラーゲーム気味になったこの一戦。コロンビアが苦しんだのは目の前の相手のプレッシングである。立ち上がりからコロンビアはマッチアップ相手の厳しいチェックに晒され、中盤でのボールロストで危ない場面を繰り返すことになった。

 コロンビアとしてはどこで剥がすか、あるいは剥がすためのスペースをどう作るかが重要な要素となっている。少しでもブラジルを引き出して、コンパクトな陣形を敷くことを防ぎたいところ。だが、低い位置でのつなぎはロストのリスクになる。

 そういった難しいバランス感覚が実ったのは先制点の場面。もちろん、ルイス・ディアスのアクロバティックなゴールが一番の主役であることに疑いの余地はない。しかし、ブラジルのプレッシャーの外側でコロンビアが大きな展開ができたことで、余裕をもってクロスを上げる時間を作れたのも事実。押し引きが上手く実ったコロンビアだった。

 先制点以降はこういった駆け引きは取らず、ロングボールに徹する安全第一の作戦を敷くコロンビア。ブラジルは左サイドの2トップ脇にフレッジを流しながらボールを前進させる。ブラジルの攻撃の目的は結局ネイマールに前を向かせることになるのだが、そのための左サイドでの循環である。

 ブラジルはネイマールがカットインする状況までは作ることができていたが、それ以降はコロンビアの守備はかなり整備されていた印象。同サイドや中央を締め、逆サイドに流すという比較的被害の少ない選択肢に誘導していたように見えた。割とネイマール以外の選手たちは裏を狙う傾向があったので、近めで受ける選択肢をネイマールが作りにくかったのもあるだろう。いつもに比べればややドリブル開始時に上手く絡めとられた印象を受けた。HTにフィルミーノを入れたのも中央にボールの預けどころを作るためともいえるだろう。後半半ばのチャンスシーンはフィルミーノがいたからこその物といえるだろう。

 それでも粘っていたコロンビアにとっては同点シーンは不運だった。偶発的に審判に当たったボールのせいで楽に左サイドに展開されてしまったことで、簡単にクロスを上げさせることにつながっていた。これまではうまく封じていた攻撃パターンなだけに悔やまれる部分。とはいえ、ボール保持チームが変わっていないのだから、審判の運用は正しいは正しいのだけど。ゴールが認められるまでコロンビアはおよそ6分間の抗議をしたが実らなかった。

 その抗議で長引いた後半追加タイムがブラジルの逆転弾を呼ぶのだから難儀なものである。ラストプレーでは圧倒的フリーだったカゼミーロがCKでニアに入り込み決勝弾を決める。コロンビアにとってはこの上ない悔しい敗戦。大一番をモノにできなかった上にブラジルとの遺恨を残す結果となった。

試合結果
ブラジル 2-1 コロンビア
エスタディオ・ニウトン・サントス
【得点者】
BRA:77′ フィルミーノ, 90+10′ カゼミーロ
COL:14′ ディアス
主審:ネストル・ピターナ

②【グループB】エクアドル×ペルー

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■懸念が表出し決めきれなかったエクアドル

 互いにまだ突破が危うい状況での負けられない一戦。特に、最終節でブラジルとの試合を控えているエクアドルにとっては何とかして突破を決めておきたいはずである。

 立ち上がりから押し込む機会が多かったのはエクアドル。右サイドを軸とした突破を狙い、ペルーを敵陣に追いやる。ペルーの守備の原則はマンマーク。特に中盤はこの志向が強かった。

 エクアドルが生んだ先制点はこのペルーの原則を見事に外した形。プレシアードが降りることがきっかけで、浮いたカイセドがマーカーから離れるようにしてボールを受けると、その動きに呼応して大外からエストゥピニャンがオーバーラップ。マンマークの隙をついた大外突撃から、最後は絞り気味だったフランコが入り込む。最後はOGだったが見事な崩しだった。

 ペルーは前節はCHを軸とした保持から支配するきれいな試合運びを見せたが、この日はCHに時間を与えることができず。全体を押し上げながらポゼッションする機会は稀。ラパドゥーラがカウンターの担い手となるが、機会はどうしても限られていた。セットプレーで前半終了間際にエクアドルが追加点を奪った際はかなり厳しい状況になったかと思えた。

 しかし、後半はペルーが反撃。クエバの中央でのタメからラパドゥーラが1点を返すと、試合は一気にオープンに。その中で見られたのはエクアドルの守備陣の怪しい対応である。その懸念はオープンな状況で顕在化する。インカピエとアルボレダのCBコンビをラパドゥーラが置き去りにして独走。最後は2対1の状況からカリージョにアシストを決めて同点になる。

 その後はエクアドルが高さを軸にペルーに圧力をかけていく形が続く。だが、時折見せるバックスの広いスペース管理の危うさからエクアドルの失点の匂いもしなかったわけではない。

 激しいゴール前の肉弾戦から欲しかった追加点が手に入らなかったエクアドル。突破を賭けたブラジル戦という厳しい最終節を迎えることになってしまった。

試合結果
エクアドル 2-2 ペルー
エスタディオ・オリンピコ・ペドロ・ルドビコ
【得点者】
ECU:23′ タピア(OG), 45+3′ プレシアード
PER:48′ ラパドゥーラ, 53′ カリージョ
主審:ヘスス・ヒル・マンサーノ

③【グループA】ボリビア×ウルグアイ

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■ワンサイドだが、先延ばしになった決定打

 90分間を通じて試合を支配したのはウルグアイだった。この試合のウルグアイは非常に攻守に高いレベルにあったように思う。4-3-1-2ブロックで構えて、奪ったところから素早く縦にカウンターを発動する。

 縦に速く流れなかった場合はボール保持でゆったりと攻める。ボール保持においては同サイドに2トップとトップ下を集結させて崩しを狙う。ライン間でのつなぎと裏抜けの使い分けが非常にうまい。ボリビアの4-4-2ブロックに対して、ウルグアイの4-3-1-2は段差をつけやすい形。そのおかげでライン間でフリーになりやすく前を向きやすいという状況が生まれやすい。

 そこからの仕上げは裏に抜ける。裏に抜けた後のホルダーのサポートも十分。ホルダーと並行に並ぶように走り、サイドで裏を抜けた選手たちのラストパスを受けてフィニッシュに入りこむ。先制点の場面は結果的にオウンゴールにはなったものの、この日のウルグアイの目指す形が非常にわかりやすく再現されている。

 ボリビアの保持も悪くはなかった。つなぎの意識が高く、簡単にボールを失わない矜持は感じた。サイドの攻撃においては人数をかけて奥行きを作り、裏抜けからラインを下げるシーンも作ることができていた。ただ、全体的にウルグアイの圧力に屈する場面が多い。そもそも保持の機会を作るのに苦しんだ。そして、裏に抜けた選手のサポートの厚さは不十分。抜けた選手が孤軍奮闘ということも珍しくはなかった。

 後半はウルグアイの一方的な攻勢にボリビアが晒されることに。ホルダーにプレスがかからずに裏抜けし放題の状況が続く。あとは決定的な追加点を決めるだけなのだが、これがなかなか決まらない。GKのランペの活躍も光ったが、ここはウルグアイのフィニッシュの精度の悪さの方が目についた。2点目が入った78分のカバーニの得点は『やっとか!』というのが正直なところだろう。決着をつけるのに時間はかかったが、総じてウルグアイの完勝。ボリビアは1試合を残してグループステージ敗退が決まってしまった。

試合結果
ボリビア 0-2 ウルグアイ
パンタナル・アリーナ
【得点者】
URU:39′ キンテロス(OG) 78′ カバーニ
主審:アレクシス・エレーラ

④【グループA】チリ×パラグアイ

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■競った展開を変えたのはセットプレー

 立ち上がりからなかなか展開が安定しない時間が続いた試合だった。ボールがピッチを縦方向に行ったり来たり、どちらのチームが主導権を握った展開といえない状況で試合は進む。

 その状況を誘発したのは互いのDFラインの選手たちの積極的な前に出ての守備である。前から出ていって、縦の楔を潰し続ける積極的な守備に攻め手が苦しむという構図であった。

 どちらかと言えば保持が安定していたのはチリの方だろう。パラグアイの4-4-2のセットに対して、チリの4-3-3の並びはアンカーがあまりやすい。プレス隊が2枚のパラグアイに対して、3枚で後ろを組むチリは安全地帯を作りながらのビルドアップが可能な状態に。

 ただ、チリはもう一歩奥に進むことができない。どうしてもやり直しに逃げてしまいがちなポゼッションで、裏を取れたとしても全体の重心を上げられずに厚みをもたらすことができる攻撃にはならず。パラグアイの後方の選手に捕まっている状況からなかなか逃れられない。

 一方のパラグアイは2-2型のボックスビルドアップ。結構、最近は見ない形のような気もする。斜めの形を作るのが難しく、ショートパスでのビルドアップはチリに比べると控えめ。それよりはダイレクトな展開で右の大外から押し下げる形を狙うことが多かった。それでも相手を振り切れずに好機には至らない。

 展開自体が傾かない膠着した試合を動かすのはセットプレーと相場が決まっている。先制したのはパラグアイ。CKからファーサイドにズドンで先制に成功。そのあとのCKでも同様にファーサイドにズドンをパラグアイは狙っていたので、チリのセットプレーの狙い目としていたかもしれない。チリ、最終ラインに高さはないからね。

 後半のチリは5-2-3気味に布陣変更。最終ラインから中盤までアランギスの行動範囲を広げながら、ポゼッションに変化をもたらせようとする。しかし、どちらかと言えばボールを渡して、カウンターで主導権を握ったのはパラグアイ。スピード勝負ができるだけでなく、ポストで前線の起点ともなったアルミロンは幅広い活躍。追加点のPKも沈めてみせた。

 競った展開をセットプレーで制し、主導権を握ったパラグアイ。ハードな展開から主導権を完全に引き寄せ、決勝トーナメント進出を決める勝利を飾った。

試合結果
チリ 0-2 パラグアイ
マネガリンチャ・スタジアム
【得点者】
PAR:33′ サムディオ, 58′ アルミロン(PK)
主審:ウィルマー・ロルダン

続きはこちら。

  おしまい!

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