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「Catch up COPA AMERICA 2021」~Match day 1~ 2021.6.14-15

南米のことはよくわからん。けどW杯の予習のためのチャレンジ。お手柔らかに。

目次

①【グループB】ブラジル×ベネズエラ

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■快勝のブラジルで気になったのは…

 もともと開催予定だったアルゼンチンが感染拡大を防げずに開催を辞退。直前まで開催地が決まらずてんやわんやという、コパアメリカ史上、最もコパアメリカ的な開幕を迎えることになった。急遽代替開催地となったブラジルにこの大会の開催国としてどれだけの思い入れがあるかは不明。だけども、とりあえず開催国であるブラジルがベネズエラとの開幕戦に挑むことになった。

 試合は立ち上がりからくっきりしていた。ブラジルがベネズエラのブロック崩しに挑み続けるモノトーンな前半となった。ブラジルの基本フォーメーションは4-2-3-1。攻撃の際はフレッジとカゼミーロが中盤でコンビを組み、2列目が左からネイマール、パケタ、リシャルリソンという並びになっている。守備の時はネイマールがトップのジェズスと共に前残り。左サイドの守備にはフレッジが持ち前の範囲の広さでカバー。その分、中央はパケタが低い位置を取り、中央の強度低下を防いでいる。

 ブラジルの攻撃時の主体となったのは左サイド。ネイマールが同サイドにいてもお構いなしで高い位置を取るロディが、ベネズエラの5-4-1のバックラインに張る。ベネズエラはCHがCFのプレスを支援する二の矢となっていたため、SHは内で絞り気味。大外は手薄な状態でブラジルに立ち向かう必要があった。

 この左サイドからの攻撃は自由自在。外からクロスで打ち抜いても良し、抉ってラインを下げてベネズエラのDF-MFのライン間のスペースを作るも良し、そして左右に振るも良しである。大外からのクロスをマルキーニョスが叩きこんであっさり先制すると、ブラジルはその後も力の差を見せ続けた。

 特にネイマールはクラブシーンでの好調を継続。大外での攻略だけでなくライン間や逆サイドへの横断も含めて存在感は絶大。ベネズエラはブラジルの左サイドを端に発する歪みに対応することができなかった。後半はややポゼッションで跳ね返しを狙うも、カウンターで返り討ちに合う分収支はマイナスか。

 好調だったブラジルだったが唯一懸念だったのはリシャルリソン。動き出しの周りとの合わなさ、アタッキングサードでの精度、そしてなによりプレーをミスした後の悲壮感はエバートンで苦しんだ今季の姿にダブる部分があった。来季こそ一皮むけて、グッドプレイヤーからワールドクラスにスケールアップを目指したいはず。コパアメリカがきっかけになればいいのだが。

試合結果
ブラジル 3-0 ベネズエラ
マネガリンチャ・スタジアム
【得点者】
BRA:23′ マルキーニョス, 64′(PK) ネイマール, 89′ ガブリエル・バルボサ
主審:エステバン・オストジッチ

②【グループB】コロンビア×エクアドル

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■美しいゴールとしたたかなギアの入れ替え

 共に4-4-2で組み合った両チームだが、そのスタンスはそれぞれで微妙に異なったように見えた。まず、コロンビアは非保持においては4-4-2のコンパクトさを重視。内側を締めて、相手に間のスペースを使わせないことが優先されていた。

 逆に攻撃では中央を積極的に使うやり方。後方から中央への縦パスを起点として、ここからサイドに振るというのが思うなやり方。左サイドの10番のカルドナはインサイドに絞ることが多く、その分大外をSBのモレノが担当。内外で担当を棲み分けている印象だ。

 それに対してはエクアドルは比較的人を捕まえる意識を強くしての守備が主体。ややマンマーク成分が強めである。特にボール周辺は。ボール周り以外ではマンマーク色はやや落ちるので、相手のライン間に入ってくる動きに弱かった。コロンビアはこれをうまく活用し縦への楔を通していた。

 エクアドルの保持はサイドの攻撃が主体。SH-SBの連携でコロンビアのサイドを切り崩し、エリア内にボールを入れることが目標となる。

 しかし、そもそものエクアドルの布陣は4-4-2。サイドに人が多い陣形ではないし、そのために陣形を崩してサイドに人をかけることもしない。ただ、中央にボールを入れる手段を持っていない。したがって、攻めルートはサイドに偏っているのに、人の分布だけは中央とサイドで均衡しているという難しい状況に陥ってしまった。3人目なしでサイドを崩すのは難しい。

 支配的とは言えないまでも、どちらかといえば試合を優勢に進めていたのはコロンビア。先制点も彼らにもたらされる。にしてもすごいFKからの得点だ。是非見てみてほしい。多くのオフサイドポジションの選手たちをおとりに抜け出した2人で攻撃を完結。見事なプレーブックに基づくセットプレーだった。バスケみたい。どこまで練っていたのかはわからないが、完成度の高いゴールだったのは確かだ。

 先制点を取ったことで試合はやや展開を変える。受けるコロンビア、攻めに出るエクアドルの構図はよりはっきりと見られるようになった。しばらくは問題なく過ごしていたコロンビアだったが、エクアドルが75分くらいからエリア内への放り込みのタイミングを早めるとあわやのシーンが出てくるようになった。

 速かったのはコロンビアのリアクションだ。『エリア内に上げさせてはダメ』という方に頭を切り替え、ホルダーの自由を奪う方向にシフトチェンジ。数分での方針の切り替えの素早さは国際舞台での経験値を感じる部分だ。大人な振る舞いで前後半にエクアドルをいなしたコロンビアがまずは開幕戦白星スタートを決めた。

試合結果
コロンビア 1-0 エクアドル
パンタナル・アリーナ
【得点者】
COL:42′ カルドナ
主審:ネストル・ピターナ

③【グループA】パラグアイ×ボリビア

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10人では不可能

 この試合は90分間を通して攻める側と受ける側がはっきりしていた、立ち上がり、左サイドバックのアルサメンディアのオーバーラップから強襲をかけたパラグアイが明らかにこの試合の主導権を握っていた。

 パラグアイはボリビアの5-3-2のWBの手前のスペースからの進撃が多く見られた。ここから大外へのサイドチェンジを行い、ボリビアを左右に振りながらゴールに迫っていく。プレミアファンとしてはキャラに反して守備に奔走する機会が多かったアルミロンも代表では自由にプレーしているのが印象的だった。

 ボリビアは低い位置からのビルドアップを積極的に行うものの、高い位置からプレスに来るパラグアイに対して前進できる機会は限定的。逆にプレスに行く際は2トップが前に出ていく素振りこそ見せるものの、あっさりとサイドに振られて簡単にラインを下げてしまう現象が目立つ。

 限られた攻撃機会からハンドによるPKでボリビアが先制した後も大きな試合の展開は変わらず。パラグアイがビハインドで前半を終えたのが不思議なくらいだった。

 さらにボリビアに追い打ちをかけたのが前半終了間際のクエジャルの退場。10人へのスケールダウンに加えて、ボールが集まりやすかったクエジャルがいなくなることでボリビアは前線の預けどころもなくなってしまった。

 後半はより一層のパラグアイの攻めが目立つ試合に。10人で4-4-1を組むボリビアに対してパラグアイはより前線に人をかけていく。パラグアイのSHがハーフスペース付近に浮遊し、相手のSBを固定することで大外にスペースを創出。こからどかどかクロスを放り込むやり方でボリビアを追い込む。

 深さを作ってのクロスとゴールに向かうアーリークロスのコンボにボリビアが決壊したのは60分過ぎのこと。人は足りているけど跳ね返せない状況では凌ぎきれないのも無理はないだろう。立て続けにクロスの流れからガマラのミドルとロメロの押し込みで逆転すると、3点目は勇気を持って攻めに出たボリビアをカウンターでひっくり返した。

 11人でも厳しかった前半の戦い方を見ればボリビアが10人で無理なのは自明。むしろ、60分までGKのコルダノはよくしのいだといっていいだろう。

試合結果
パラグアイ 3-1 ボリビア
エスタディオ・オリンピコ・ペドロ・ルドビコ
【得点者】
PAR:62′ ガマラ, 65′ 80′ ロメロ
BOL:10′(PK) サーベドラ
主審:ディエゴ・ハロ

④【グループA】アルゼンチン×チリ

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■メッシも周りも悪くはなかったが…

 2日目で登場となったのはアルゼンチン。対するは国際大会での存在感の高さが印象的なチリである。立ち上がりにボールを支配したのはチリ。GK、CB2人、アンカーのプルガルの4人でひし形を形成し、ショートパスを主体にボールを組み立てる。

 しかしながらチリは前進に苦労していた。困った時はIHが降りる仕組みになっているのだが、ここの裁量の部分がどうだったか。どちらかというと、中盤が降りてきすぎてしまい後ろ重心になってしまうことで、前に人が欠けられない問題が発生していたように思う。

 それに比べるとアルゼンチンは前進の確固たる形はなかった。だが、前半から決定機をより得ていたのはアルゼンチンの方。チリに足りなかった馬力のあるドリブルを時折織り交ぜることによって、チリの中盤を1枚剥がして敵陣に乗り込むことが出来ていた。

 加えて良かったのが前線のオフザボールの質。ラウタロ・マルティネスやゴンザレスのように、味方のために汗をかける存在がいるのが大きい。17分のシーンは秀逸でゴンサレスのボールの引き出し方の質の高さを味わうことが出来る場面である。大きい展開を使うのがうまく、動きが少し重いチリのバックスに対して、アルゼンチンは最終ラインを一気に攻略するような動きを狙うことが多かった。

 もちろん、メッシに引き寄せられるようにパスをする場面も見られはするが、メッシを経由しないと何もできない集団ではないかも?と感じさせるアルゼンチン。それでも結果を出すのがメッシなのだけど。FKで先制点をもたらしたこの日は絶好調。後半はさらに組織の中でも輝くようになっていた。個人的には今まで見た代表のメッシの中ではだいぶやりやすそうだったと思う。

 ただし、後半はチリも復調。前線のオフザボールの動きや大きい展開を織り交ぜることによって、前半にはあまり見られなかったアルゼンチンゴールに迫る場面が見られるように。PKを奪取したシーンにおいても、前半にはなかった大きくて速い展開が活きた。前半から主審にフラストレーションを溜めていた様子のチリだったが、この場面ではOFRからの判定修正でPKを得ることが出来た。それ以降も割とビダルを中心に文句は絶えなかったけど。

 同点にされたアルゼンチンは猛攻を見せる。メッシが次々にチャンスメイクをかましていくのに加えて、ディ・マリアの投入でボール運びやエリアへの侵入の部分も強化。終盤にゴールに向かう回数はアルゼンチンの方が多かった。しかし、ゴールが枠を捉えない。

 結果としては不満だろうが、内容としては個人的には悪くなさを感じたアルゼンチン。チリはなんとか勝ち点1を持ち帰った格好だ。

試合結果
アルゼンチン 1-1 チリ
エスタディオ・ニウトン・サントス
【得点者】
ARG:33′ メッシ 
CHI:57′(PK) バルガス
主審:ウィルマー・ロルダン

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