ルートン・タウン【18位】×ブレントフォード【15位】
鼻息荒いルートンをゴールショーで返り討ち
ルートンからすれば残留までのリミットは刻一刻と迫っている状況。スカッドにそこそこメンバーが戻ってきている現状を見れば、このブレントフォードとの一戦は意地でも勝っておきたいところである。
ルートンはボールを後ろから持ちたがるスタートだったが、ブレントフォードのプレスを前に苦戦。マンツー色は相対的には薄いのだけどもきっちり抑えるところは抑えており、なかなか前に進めない。
ルートンはマンツーで強引に噛み合わせにいくが、1人1人の寄せが甘くブレントフォードは前線の裏抜けからチャンスメイク。ルイス-ポッターの抜け出しなどでルートンのDFラインを壊す。噛み合わせないフォーメーションでのマンツーは誰が誰を捕まえるかが微妙に都度異なっていて、この辺りはルートンの迷いが見えた。
それでも左右に散らすロコンガを起点にルートンは少しずつ押し込んでいく。チョンのタメから追い越すダウティーなどはいかにもルートンらしいゴールの迫り方。ブレントフォード側にはこういったアクションはないけども、大外からのクロスの質でゴールを脅かしていた。
先制点はブレントフォード。後方同数を受け入れるルートンに対してトランジッションから前線が抜け出すと、これを繋いでウィサが先制ゴールを仕留める。動き出しからゴールまでの流れが非常に見事なゴールだった。
先制されたことでボールを持てるようになったルートンだったが、押し込むことで追い越すアクションで得られるスペースは限定的なものに。このスペース打開に悪戦苦闘しているうちにブレントフォードは追加点。前半追加タイムのウィサの2点目はめでたい年間2桁達成のゴールとなった。
後半、ルートンは4バックにシフト。いわゆる死なば諸共作戦で追いかけていく。しかしながら、ブレントフォードはさらに脆くなったルートンのバックラインを強襲。前半以上にさらに色濃いチャンスを積み重ねていく。
肝心の攻撃の方は焦りが先行してしまい、パスがズレてしまうなど思ったよりも前線の枚数を増やした効果が出ない状況に。メリットがないままデメリットが前面に押し出される展開になってしまった。
ブレントフォードはピノックのヘディングでのゴールを皮切りにゴールショーをスタート。慣れない4バックで横のチェーンが切れがちなルートンのバックラインを破壊してさらに2得点を挙げる。
大量5得点でルートンの意気込みを粉砕したブレントフォード。4試合を残して残留勝ち点マジックは2。事実上、残留確定と言っていいだろう。
ひとこと
最後のベリーの一撃が来週からの活力になってくれればいいのだけども。まだシーズンは終わっていない。
試合結果
2024.4.20
プレミアリーグ 第34節
ルートン・タウン 1-5 ブレントフォード
ケニルワース・ロード
【得点者】
LUT:90+2′ べりー
BRE:24′ 45+1′ ウィサ, 62′ ピノック, 64′ ルイス-ポッター, 86′ シャーデ
主審:ジャレット・ジレット
シェフィールド・ユナイテッド【20位】×バーンリー【19位】
ブレイズの最後の希望を打ち消し、奇跡に望みを繋ぐバーンリー
もはや両チームにとっては風前の灯となっている残留の可能性。より炎が小さくなっているブレイズからすれば、本当の本当にラストチャンス。まずは1チームを射程圏内に捉えるための重要な試合である。
ボールを持つのはバーンリー。CB-CH-GKの5枚を軸にボールを動かしていく。当然いつもの形なのでブレイズは織り込み済み。なるべく高いところから相手を捕まえるために、この日はブレイズが仕様変更。4-3-3でWGが早めにSBを捕まえにいく。
なんとか横断してボールを動かしていきたいバーンリーだが、プレッシャーが強く思うように前に進むことができない。ブレイズとしてはバーンリーのバックスに蹴らせて回収というメカニズムをうまく回し、ミドルゾーンで踏ん張りながらカウンターに打って出ることができていた。ここからのクロスでチャンスを作っていく。
保持においてもWGとIHのレーン交換でバーンリーの4-4-2圧縮の網を掻い潜ることができるように。保持に回っても悪くない手応えだった。
ブレイズにとって残念だったのは悪くない時間帯にゴールという結果に結びつけることができなかったこと。そして、前半の終盤に失点を喫してしまったことである。中央を鋭く進むオドベールのドリブルでブレイズの守備を切り開くと、ラーセンのシュートはディフレクトでゴールに吸い込まれてしまう。
さらにバーンリーは畳み掛ける。ハイプレスに出て行った中盤にキャッチアップしたオズボーンが完全に釣られてしまい、後方はブレアトンが埋めるハメに。サイドの守備ではほぼ効かないブレアトンがあっさりと破られると簡単に追加点を許してしまう。
どうしても負けることができないブレイズは後半開始からポゼッションで相手を動かしにいく。左右に押し下げてからのマカティーのミドルなど保持からバーンリーを押し込むことがでチャンスを作っていく。
すると52分には追撃弾をゲット。ロングボールを根性で収めたブレアトン、キャリーするマカティー、そしてフィニッシュのハーマーとブレイズの叡智を結集したかのようなゴールでついに反撃に成功する。
総攻撃を仕掛けたいブレイズだが、後方の脆さは前半と変わらず。特に2点目で崩れた左サイドの脆さは異常。オズボーン1人を引き出せばあとは芋づる式に簡単にDFに穴を開けてくれるという感じ。クロスに対して余るファーサイドもぐちゃぐちゃで複数人いる相手に優先度をつけることができず、ただただ棒立ちという感じだった。
さらには交代出場のグズムンドソンのミドルから4点目を手にしたバーンリー。ブレイズは残りの時間を押し込んで過ごすが反撃の狼煙を上げることはできず。試合はバーンリーが大勝でわずかながら残留に望みを繋いだ。
ひとこと
ブレイズの意気込みは感じたけども、左サイドの守備の強度はちょっとプレミア強度とは言えない水準だった。
試合結果
2024.4.20
プレミアリーグ 第34節
シェフィールド・ユナイテッド 1-4 バーンリー
ブラモール・レーン
【得点者】
SHU:52′ ハーマー
BUR:38′ ラーセン, 40′ アシニョン, 58′ フォスター, 71′ グズムンドソン
主審:アンディ・マドレー
ウォルバーハンプトン【11位】×アーセナル【2位】
強度が出ないなりの強さ
レビューはこちら。
CL敗退にPL首位陥落と苦しい1週間となったアーセナル。それでもまだ続く中2日の連戦。次なる相手はウルブス。ただ、ウルブスも前線とワイドの選手のやりくりに厳しいものがある。それぞれ苦しいスカッド事情で迎える一戦となった。
そのため、試合は互いの保持の時間が長いスタートに。それでもロングカウンターができる選手がいないウルブスは前からプレスに行かなくては行けないし、アーセナルもスタイル的に前から追うスタートとなった。
手応えをより掴んだのはアーセナルだろう。浮きやすいSBのポジションから相手の中盤やWBを自陣側に引き付けて、中盤にスペースを作る。このスペースにライスが入り込むことでドリブルから前線にボールを運んでいく形を確立する。
アーセナルは右サイドからウルブスのゴールに迫っていく。ホワイトが手前で相手を引きつける分、ダブルチームに苦しむことがないサカはオンザボールでもオフザボールでも一定のパフォーマンスを披露することができていた。だが、ボックス内の守備はウルブスに踏ん張られてなかなかこじ開けることができない。
保持に回ったウルブスはサイドに散らしながらアーセナルのプレスを逃すスタート。だが、こちらはアーセナル以上に中盤での剥がしには苦労。出ていけないならいけないなりにコンパクトにというアーセナルの差配に対して対策を打つことができなかった。
それでもロングボールからキヴィオルを狙い撃ちすることで打開を狙うウルブス。ジョアン・ゴメスが競り勝ったところから迎えた決定機は前半の最もクリティカルなチャンスの1つだ。
だが、前半にゴールを手にしたのはアーセナル。ジェズスの高い位置からのキープの恩恵を受けたトロサールが見事なトウキックからの先制ゴールを決めた。
後半、アーセナルはギアアップ。プレスを強めつつ、前半よりも間延びしたウルブスのライン間に縦パスを入れることで敵陣に侵入していく。
だが、ウルブスのボックス内の堅さは健在。セットプレーの攻撃を含めてアーセナルの攻め筋を受け切る。
70分以降はアーセナルのプレスも緩み、展開はオープンに。マルティネッリ、アイト=ヌーリといった両チームのキーマンによる陣地回復が目立つようになる。そうした中でも保持の安定感に勝るアーセナルがやや主導権を握る。
決着は追加タイム。右サイドの角度のないところから試合を決めたのはウーデゴール。頼れるキャプテンの一撃で苦しい1週間の最後を暫定首位浮上で締め括ったアーセナルだった。
ひとこと
強度が足りないながらもそれなりにまとめることで強さを見せたアーセナルだった。
試合結果
2024.4.20
プレミアリーグ 第34節
ウォルバーハンプトン 0-2 アーセナル
モリニュー・スタジアム
【得点者】
ARS:45′ トロサール, 90+5′ ウーデゴール
主審:ポール・ティアニー
エバートン【16位】×ノッティンガム・フォレスト【17位】
減点組の直接対決はエバートンに軍配
前日のブレントフォードの勝利により、残留争いは3チームの昇格組と2チームの減点組に絞られた感がある。日曜のオープニングを飾るのは減点組同士のシックスポインターである。
立ち上がりから4-4-2をベースに組まれた形からの勝負となった両チーム。ハイプレスに対してロングボールで逃すことでまずは慎重に相手のプレスを回避していく。
先に解決策を見つけた感があったのはフォレストだった。CHのサリー、SHのレイナの列落ちなど配置のズレを作るアクションからエバートンのマンツーを外していく。アタッキングサードにおける仕上げはRSBのウィリアムズ。抜け出してからのクロスでゴールに迫っていく。
エバートンはリトリートで迎え撃つが、ウッドが裏に抜けるアクションからエバートンのブロックのコンパクトさを揺さぶると、ここからウッドは自身で決定機を迎える。だが、これはピックフォードのセーブで危機を回避する。
エバートンはより力技。ロングボールでのデュエルからズレよりもマッチアップからぶん殴っていく形である。そこからセットプレーでチャンスを作っていく。
だが、先制点は少し意外な形だった。引き気味だったフォレストをブロックの外からゲイェのミドルで撃ち抜いて試合を動かしてみせる。
後半はダイレクトな展開を継続。前半と同じようにロングボールが行き交う展開を前半以上の長い時間行っていた。前半と同じくセットプレーを獲得することでチャンスを作っていたエバートンに対して、フォレストはより繋ぎで手応えがある展開。中盤にスペースがある状況でムリージョやダニーロといった面々がミドルパスをガンガン刺していくことで敵陣に進んでいく。
そうした展開と関係なくミドルが解決策になるというのは前半と全く同じ。ミドルシュートを決めたのは今度はマクニール。エバートンは後半もミドルでさらにリードを広げる。
以降は押し込むフォレストがエバートンの守備ブロックを崩しにかかるが、なかなかきっかけをつかめずに苦戦する。追加タイムのギブス=ホワイトとベトの接触は冷や汗をかくものだった。よりダメージの大きそうなベトも意識はありそうなのでひとまずは。早い回復を祈りたい。
シックスポインターとなった一戦をミドル2つで制したエバートン。残留争いからはひとまず安全圏と言える場所に逃げることができた。
ひとこと
試合後に公式声明を出して3つのPKにまつわる判定をVARがルートンファンであることを絡めて非難したフォレスト。ヤングのハンドは割と明確なサポート対象かと思ったけども。
試合結果
2024.4.21
プレミアリーグ 第34節
エバートン 2-0 ノッティンガム・フォレスト
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:29′ ゲイェ, 76′ マクニール
主審:アンソニー・テイラー
クリスタル・パレス【14位】×ウェストハム【8位】
圧巻のエゼが上昇気流のパレスを牽引
前節、アンフィールド制圧に成功したクリスタル・パレス。結果だけなく圧巻の内容でリバプール優勝に赤信号を灯したグラスナーのチームは今プレミアで最も不気味と言っても過言ではないだろう。
端的に言えばこの試合においてもその勢いは存分に発揮されたと言っていいだろう。噛み合わせるまではいかなくとも、ウェストハムには高い位置からプレッシャーをかけていく。ウェストハムはサイドチェンジからチャンスを作る場面もなくはなかったが、パレスのリトリートの速さは十分。ウェストハムはプレスを回避した時のメリットをそこまで享受することができなかった。
保持においてはこの日は別格だったのはエゼ。中央の狭いスペースでボールを足に吸い付かせるようなキープを見せると、相手を動かしたスペースに入り込む味方に正確に正しい強度でパスを出す。完全に魔術師といえるパフォーマンスだった。右→左への踊るような横断から時間を作り出すと、左サイドからクロスに飛び込んだのはオリーズ。7分で先制点をアシストする。
さらにはカウンターから追加点をゲット。リチャーズのボールダッシュを皮切りに縦に鋭く進むとエゼが今度はフィニッシャーを担って2点目。その4分後には左サイドからのファーへのクロスという先制点に似た形をエメルソンが処理しきれずにオウンゴールで3点目を奪う。
クロスが入る左サイドはウェストハムにとっては無限に壊されているサイド。守備崩壊に歯止めがかからないウェストハムはさらにマテタにゴールを許して4点目を献上する。40分に右サイドに抜け出したソーチェクからのクロスをアントニオが押し込むことには成功したが、大量のリードをパレスに許したままハーフタイムを迎える。
後半もパレス優勢のペースは変わらず。3点差という苦境をなんとかするためのエネルギーを捻出することができないウェストハムは特に反撃の術が見つからないまま時間が過ぎていくこととなる。
すると、後半も違いを見せたのはエゼ。緩急と左右の体重移動だけで相手を動かしてパスコースを作り出して壊してしまったアシストはまるでイニエスタのよう。マテタの5点目のアシストは絶対に見た方がいい美しいドリブルである。
ヘンダーソンのとんでもミスからウェストハムは2点目を返すことができたが、反撃はここまで。アンフィールドの勢いを本拠地に持ち込んだパレスが大量5得点での圧勝を手にした。
ひとこと
チーム全体がソリッドではあるが、この日はとにかくエゼ。ちょっとやばかった。
試合結果
2024.4.21
プレミアリーグ 第34節
クリスタル・パレス 5-2 ウェストハム
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:7′ オリーズ, 16′ エゼ, 20′ エメルソン(OG), 31′ 64′ マテタ
WHU:40′ アントニオ, 89′ ヘンダーソン(OG)
主審:グラハム・スコット
アストンビラ【4位】×ボーンマス【13位】
勢いに乗るボーンマスを下しCLに前進
アーセナルを下して4位争いに向けて勢いに乗るアストンビラ。こちらも前節ユナイテッドを圧倒していいフィーリングのボーンマスとの一戦に挑む。
ボーンマスはビラに対して強気のプレスでスタート。CFは縦関係になり、CBには枚数を合わせることはしないが、中盤とサイドの受け手をことごとく封鎖。特にサイドの狭いスペースに閉じ込めることに関しては非常に手応えがあるスタートとなった。
と言うわけでビラはこのプレスを外すことから取り掛かる。レイオフなどからフリーマンを作ることで前進を狙っていくが、なかなか手応えが感じられない立ち上がりとなった。
アストンビラのプレスはそこまで強気ではなく、5レーン気味に攻めることが多いボーンマスに対して後ろを5枚にして守ることもしばしば。そんなビラに対してボーンマスはサイド攻撃を繰り返してゴールに向かっていく。基本的には右サイドからガンガンと言う感じではあったが、決め手になったのは左サイド。クライファートを追い越す形のオーバーラップとなったケルケズがPKを獲得。キャッシュは安易なアプローチになってしまった。これをソランケが仕留めてボーンマスが先制する。
サイド攻撃が詰まりやすくハードな展開になっているビラだったが、前半終了間際にベイリーが低い位置まで降りてきて横断に成功。ロジャーズがゴールを仕留めてハーフタイム前に試合を振り出しに戻す。
タイスコアで迎えた後半。互いにプレスをかけて受けてには厳しく制限をかけていく展開に。そうした状態で解決策を見つけたのはアストンビラ。ロジャーズの縦パスから加速すると一気に進んでいく。この前進で手応えを掴むと、ワトキンスの抜け出しから腰の入った折り返しをディアビが仕留めてゴール。ワトキンスのチャンスメーカーとしての能力の高さを示すゴールとなった。
反撃に出たいボーンマスはセメンヨを投入した右サイドから反撃に出るが、クロスからのチャンスメイクをマルティネスに悉くセーブに遭ってしまいゴールを破ることができず。逆にボーンマスはベイリーの追加点で試合を完全に決着させた。
勢いがいい両チームの一戦はビラに軍配。CL出場権確保に向けて弾みをつけた。
ひとこと
ワトキンス、相変わらず万能すぎる。
試合結果
2024.4.21
プレミアリーグ 第34節
アストンビラ 3-1 ボーンマス
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:45+1′ ロジャーズ, 57′ ディアビ, 78’ ベイリー
BOU:31′(PK) ソランケ
主審:ティム・ロビンソン
フラム【12位】×リバプール【3位】
輝きを見せたグラフェンベルフが後半を牽引
首位を追走するためには負けることができないリバプール。CBを余らせて守ってくるフラムのプレス隊に対して、バックラインからビルドアップを行っていく。
SBに起用されたアレクサンダー=アーノルドはインサイドに絞る形でゲームメーカーとして君臨。フリーになることで展開力も十分にボールを左右に動かしていく。ファン・ダイクの対角パスを使いながら、フラムの4バックの横幅を広げていく。狙い目となったのは左サイドのロビンソンの裏のスペースである。
リバプールのプレスは通常以上に強め。後方でマンツーを受け入れる形の強気のスタンス。序盤はディアスの背後のロビンソンからキャリーをする形でチャンスを作っていくリバプールだが、プレスが強くなっていくことで少しずつボールを持つのは苦しくなる。
押し込む時間が増えたリバプールは先制点をゲット。直接FKをアレクサンダー=アーノルドが沈めて高い圧力をスコア的な優位に変えて見せた。
先行したことでリバプールは保持ベースにシフト。降りるアクションからターンが決まれば加速することはするが、基本的には慎重なペースで試合は運ばれていた印象だ。
フラムはリードをされたこともあり、プレスの圧を高めながら勝負。リバプールはこれを受け止めきれずに少しずつ押し込まれる時間が増えていく。
この甲斐あってフラムは同点。セカンドボールを拾うところからカスターニュがゴールを決めてハーフタイムを前に試合を振り出しに戻す。
後半、保持をベースに試合を進めていくリバプール。ゆったりとポゼッションから時間を進めていく。前半の追加タイムにもたらされたフラムの優位をきっちりと取り返したといっていいだろう。
押し込むリバプールは勝ち越しゴールを早々にゲット。戻るアクションからインターセプトを見せたエリオットから、トランジッションでゴールにつなげたのはグラフェンベルフ。苦しい1年目となったが、この試合では輝きを見せた。
引き続き保持でペースを握るリバプールはさらに追加点をゲット。こちらもグラフェンベルフとガクポが起点となりジョッタのゴールを演出。レーンをスムーズに変えながらゴールに迫り、試合を決めるゴールをゲットする。
フラムは失点以降に保持の時間を増やしていくが、自陣ではアリソンがゴールに鍵をかけて試合を落ち着かせる。前半の終盤の返り討ちから整え直したリバプールがアウェイで3ポイントを積み上げた。
ひとこと
グラフェンベルフ、よかったね。
試合結果
2024.4.21
プレミアリーグ 第34節
フラム 1-3 リバプール
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:45+2′ カスターニュ
LIV:32′ アレクサンダー=アーノルド, 53′ グラフェンベルフ, 72′ ジョッタ
主審:クレイグ・ポーソン
トッテナム【5位】×マンチェスター・シティ【2位】
可能性を感じさせる奇策を跳ね返しタイトルレースに王手
いよいよプレミアリーグもクライマックス。優勝争いとCL出場圏争いをかけた大一番はシティファンとノースロンドンの2チームのファンにとっては高い注目度の一戦となる。
基本的には大枠が決まっている両チームだが、どちらのチームも仕掛けてきたなという印象。よりわかりやすかったのはトッテナムの方だろう。最前線は敢えて置くとすればサールなのだろうが、基本的には0トップでシティの基準を乱しにかかる。
トッテナムのプランはとにかく左サイドの低い位置でフリーマンを作ること。ホイビュア、マディソンが低い位置に降りて、大外のソンを使って、フリーマンを作り左サイドの大外で抜け出す選手にボールを届けることである。抜け出す選手は誰でもOKというのがミソ。左サイドはロメロやベンタンクールなどむしろ後方の選手がラインブレイクを行うシーンが目立っていた。この点でも基準点乱しは今日のトッテナムのキーワード。やや強引ではあるが、普段の崩しの結末を普段と違うプロセスで持ってこようというイメージだろう。
それでもホイビュアやマディソンが落ちる位置は守備における機動力に最も欠けるデ・ブライネ周りだったので理には適っている。カバーにロドリを釣り出すところまで粘ることができれば、カウンターの成功率は明らかに高まるのでトッテナムはポゼッションのチキンレースで裏抜けの成功率を高める賭けに出たと言っていいだろう。元々正面からぶつかっても劣勢なのは明らかなので、賭けとしては個人的には分が悪くはないかなとは思う。
ちなみにサールは落ちるアクションという0トップでのプレーをしつつも、時折シンプルに推進力を生かした独力の陣地回復も見せたりした。こちらも前進のオプションとして持って置けたらな!ということだろう。
しかしながら、やはり抜け出すところまでに力を使っている感があるトッテナム。速いパスじゃないとシティの守備陣相手には引っ掛けるという意識もあるのだろう。セカンドを狙った押し上げまではセットだった感があったが、拾う部隊のポロの足元が物足りず効果的な二次攻撃につなげられなかったのも手痛かった。
一方のシティは初手でベルナルドが列落ちを披露。DFの列上げ以外は基本相手を見ることが多い今季のシティにおいてはこれも亜流の対応である。デ・ブライネは右の大外のレーンを空けて、そのレーンに攻め上がるのはウォーカー。トッテナムはインサイドに注力していたため、大外のウォーカーはガラ空き。しかしながら、クロスは刺さらなかった。
ライン間のフォーデンがドリブルで運びながらより内側に視線を集めることで大外のウォーカーを解放していたので、トッテナムとしてはその手前の段階で大外を空けるように仕向けられていた。ただ、大外のウォーカーにトッテナムが対応しないまま、シティがさっさとこのプランを辞めてしまったので、シティの本命は大外に慌てて出て行ったウォーカーを捕まえにいくことで空いたハーフレーンからのデ・ブライネの強襲だったのかもしれない。
ウォーカーの大外をやめて以降はベルナルドが外に張るオーソドックスな形に移行。シティは繋ぎの局面での不安定さを露呈しており、徐々に敵陣で運ぶフェーズがぐらつくように。ディアスやコバチッチあたりがこの辺りでミスをしたせいでやや基盤が緩くなっていた。前半は大きなチャンスも少ないスコアレスで折り返す。
後半は前半に比べればオーソドックスな展開だったと言えるだろう。トッテナムはそこまで左偏重ではなかったし、シティは時間の経過とともにワイドでボールを落ち着かせることと、ハイプレスに出ていくことをやめることで普段着に回帰しつつあった。
そうした中で出てしまったのはトッテナムのミス。パスは引っ掛けるよりも速くつけましょう!というこの日のトッテナムのスローガンはマディソンが受け手の時はより顕著だった気がする。そりゃ無理だろう!という強引なパスをマディソンが収められず、ここからシティはカウンターを発動。ロメロとカードを持っているベンタンクールを振り切ったフォーデンが敵陣まで運ぶとベルナルドとデ・ブライネの大外→ハーフスペースアタックからハーランドがゴール。何度も見てきた王道パターンを作ることに成功したシティが前に出る。
反撃の機運を高めなければいけないトッテナムはクルゼフスキを投入。サールとは異なる収まり方で存在感を見せる。エデルソンの怪我のあとはややふわふわした時間帯でミスも多かったシティ。そういう意味ではこの時間帯を凌ぐ立役者になったオルテガは素晴らしかった。クルゼフスキ、ソンという2つの決定機を凌いでシティが輪郭を取り戻すまでの時間稼ぎをする。
右はベルナルド、左はグバルディオルと徐々に幅を使ったポゼッションを落ち着かせるために使うようになったシティ。そこに最後に残された攻めのイケイケ要素であるドクがフォーデンの展開からPKを獲得。これをハーランドが仕留めて試合は決着する。
2日前のアーセナルと同じく、シティもまた鬼門を突破。正真正銘の首位に立ち、タイトル争いに王手をかけた。
ひとこと
今日この日をこの地力の差で迎えたという状況の中ではポステコグルーはできることはやったなという感覚。緩む時間もある中で試合を締めたオルテガが明らかなMOMであった。
試合結果
2024..
プレミアリーグ 第34節
トッテナム 0-2 マンチェスター・シティ
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
Man City:51′ 90+1′(PK) ハーランド
主審:クリス・カバナフ
マンチェスター・ユナイテッド【6位】×ニューカッスル【8位】
常に先手のマンチェスター・ユナイテッドがホーム最終戦を制する
欧州カップ出場権争い中の両チームだが、微妙にプライオリティの違いを感じるメンバー先行となった両チーム。ここに全力!という感じがあるニューカッスルと比べると、ホイルンドを温存したマンチェスター・ユナイテッドはFAカップの決勝を見据えたコンディション作りも両睨みである。
ただし、メンバー選考と比べるとマンチェスター・ユナイテッドのハイプレスは高い位置から出ていくスタート。特にCHのスライド意識の高さを見てみると、かなりプレスへの意欲は高かった。ニューカッスルは早い展開には意欲的であり、こちらもハイテンポで応戦する。
ただ、両チームとも一気に前に蹴り出すのではなく、自陣でプレスを引き寄せるためのショートパスを大事に。特にマンチェスター・ユナイテッドはアウトナンバーになるオナナからボールを落ち着かせることでパスの出し先を狙っていた感があった。
内容的に手応えがあったのはマンチェスター・ユナイテッド。プレスでの圧力も十分にかかっていそうだし、DFのポジションを活かしたショートパスへの繋ぎのトライやボックスに突撃する役割をきっちりと遂行するマクトミネイをみる限り、アーセナル戦での反省が生かされている感があった。
先制点はそのアーセナル戦で輝きを放っていたディアロ。カットインからのラストパスを受けたメイヌーがゴールを決める。ニューカッスルは上げたラインに取り残されたトリッピアーによってオフサイドを取ることができなかったのが痛恨であった。
反撃に出たいニューカッスル。ショートパスでの繋ぎに加えてゴードンのターンからの独力陣地回復から反撃を狙っていく。サイドからの攻撃は左右ともに深い位置を取ってからの折り返しを意識。惜しいシーンまでは辿り着いてはいたが、カゼミーロがラインを下げて跳ね返すなどまたしても反省点が見られた守備となった。
迎えた後半はマンチェスター・ユナイテッドの落ち着いた保持でスタートするが、得点を奪ったのはニューカッスル。イサクのポストからサイド裏に抜け出したマーフィーがダロトを置いていくと、クロスからゴードンがゴール。サイドで作ったギャップから追いつくことに成功する。
しかしながら、セットプレーからディアロですぐにマンチェスター・ユナイテッドは巻き返しに成功。好調を示すアタッカーによって再び前に出る。
またしても追いかけるニューカッスルはジョエリントンの投入からアタッキングサードの攻撃を強化。ゴールに迫るアクションを増やしていくが、立ちはだかったのはオナナ。ファインセーブでチームを救うと、こちらも交代から仕事をしたホイルンドが3点目を確保する。
リサンドロ・マルティネス以降は5バックで受けるアクションに移行するマンチェスター・ユナイテッドに対して、ニューカッスルは押し込む時間を作る。ホールのミドルで1点差まで追い上げたが、反撃もここまで。常に先手をとったマンチェスター・ユナイテッドがホーム最終戦を制した。
ひとこと
両チームの元気のいいアタッカーが躍動した一戦だった。
試合結果
2024.5.14
プレミアリーグ 第34節
マンチェスター・ユナイテッド 3-2 ニューカッスル
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:31′ メイヌー, 57′ ディアロ, 84′ ホイルンド
NEW:49′ ゴードン, 90+2′ ホール
主審:ロベルト・ジョーンズ
ブライトン【10位】×チェルシー【7位】
順調な保持型チームとしての運用
勝てば欧州カップ戦での逆転出場の望みが繋がるチェルシー。ブライトンのホームでの試合という勝つハードルは低くない試合だが、ここはなんとか勝利を手繰り寄せたいところである。
立ち上がりからボールを持つアクションを見せたのはチェルシー。ブライトンのバックスは無理にプレスに行かず、チェルシーのバックラインはゆったりとボールを持つ。ククレジャのインサイドに絞るアクションは今節も継続。インサイドに差し込む動きと大外を迂回する動きを織り交ぜながら前進。今節はムドリクを壁にして、ギャラガーが前を向くという新しいレパートリーも見られた。総じて悪くない保持と言っていいだろう。
ブライトンはカウンターとセットプレーで粘りが求められるチャンスメイク。SHにボールを当ててのポストからの前進を狙っていく。だが、チェルシーのインサイドのブロックはとてもコンパクト。20分過ぎからボールを持てるようになっていたが、なかなか攻め手を見つけることができない。
先制点を奪ったのはチェルシー。左サイドのククレジャの突破からパルマーが合わせてゴールをゲット。前半のうちにリードを奪うことに成功する。
先制したことで一層落ち着いたチェルシーは幅を使いながらの保持を徹底し、安定した試合運びを取り戻す。ポゼッションのためのポゼッションだけではなく、クロスからの決定機もきっちりと演出することができていた。
後半、先に攻め手を見つけたのは追いかけるブライトン。ライン間で反転するエンシソからの加速で一気にゴールに迫っていく。アタッキングサードで狙い目にしていたのは左サイド。両SHをこちらサイドに集めることで攻略を狙っていく。
チェルシーは右サイド側からのひっくり返すカウンターでチャンスを狙いたいが、抜け出したジャクソンのパスが合わずに難航。それでもよりクリーンなチャンスメイクができていたチェルシーはエンクンクのゴールから追加点を奪うことに成功する。
以降はローブロックを組むことに専念したチェルシー。ハーフスペースを埋めるアクションを行うカイセドなどから自陣の低い位置を埋めることを徹底する。ボールを持ちながら解決策を探る必要があるブライトン。後半追加タイムにウェルベックのゴールから1点を返したが反撃はここまで。試合はチェルシーが上位に迫る勝ち点3を確保して幕を閉じた。
ひとこと
チェルシー、順調に組み上がってる感がある。もう少しカウンターの精度を身につければよりいいけども。
試合結果
2024.5.14
プレミアリーグ 第34節
ブライトン 1-2 チェルシー
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:90+7′ ウェルベック
CHE:34′ パルマー, 64′ エンクンク
主審:マイケル・サリスベリー