意表をつく韓国と後ろの重さが目立つ日本
共にノックアウトラウンド進出の切符は手にしており、大幅にターンオーバー。あまり見ない珍しい状況での日韓戦となった。
ここまでの試合を見ていないのだけども、より変化が大きいのは韓国だったようである。10人を入れ替えている上、メンバー登録には大幅な偏りがあるようだった。
結果として韓国で投入してきたのは5バック。5-4-1をベースに形を組んでいく。どちらのチームも保持に対して非保持側がプレッシャーをかけないスタート。だが、その文脈は微妙に異なっていたように思う。
日本の保持は4バックがベース。CHはどちらかが中央に陣取り、もう片方が自由に動くという役回り。田中と川﨑のどちらがどちらをやるかはフレキシブルにといった感じであった。
率直に言えば、日本のビルドアップは少し後ろに重たすぎたと思う。この2人のCHに加えてSBも韓国の5-4ブロックの手前でプレーするので、CBが縦にパスを入れようにも入れられない状況。狭いスペースでも荒木などは入れてこい!というテンションなのかもしれないが、2列目に対する揺さぶるアクションのなさは気になった。韓国からすれば、特に裏に抜ける動きもなく、コンパクトな5-4-1をミドルゾーンで組むことができたので、特に困らなかったという印象である。
日本のプレスは4-4-2。韓国は3バックでビルドアップ隊は数的優位の状況だった。日本は2トップのプレス隊がスイッチの入れどころに困っていた印象。さらには日本がプレッシャーをかけてこないとなると、真ん中のCBのカンヒーが列上げを敢行。アンカーロールに入ることでさらに守備の基準点を乱しにかかる。
覚悟を決めてハイプレスに出ていった時も29分の半田のように出ていくのが遅れてしまい、後手を踏む場面も多かった。半田は少しコンディションが整っていなかったかなという感じ。プレスのエンジンを踏んでもなかなか相手に圧がかからず亜流のフォーメーションを導入した韓国に振り回された印象だった。
後半、日本はマンツーでなくスペースを圧縮する形でのハイプレスから韓国のポゼッションを圧殺しにかかる。これで主導権は日本に。韓国はカウンターベースで勝負に行くという前半とは少し景色が異なる展開に。
韓国のブロック守備も前半よりはコンパクトさにかける感じ。MF間の網目は粗くなり、これならば日本のCBも縦にパスを入れられるという感じ。ただし、SBの重たさは前半と同じである。
球際の遅れも目立ち、ファウルも嵩んできた韓国だったが、右サイドにロングボールを収めることでなんとかポイントを作っていく。そして、セットプレーで先制ゴールをゲット。ファーサイドから半田に競り勝つ形で叩き込み、韓国が先制ゴールを生み出す。
日本の攻撃のフィーリングは前半よりは良かった。左右にスウィングしながら押し下げるアクションを行いつつ、ボックス内でわずかな時間を捻り出す、もしくはブロックの外から叩き割ることでゴールを狙っていく。藤田、松木といった主力組の投入でギアの上がった日本だが、最後までネットを揺らすことはできず。試合は1-0で韓国の勝利で終わった。
ひとこと
中2日が続くこともあり、日本も韓国もかなり多くの選手を使い分けていた印象。そうしたマネジメントの効果が出てくるかどうかはここから次第だろう。
試合結果
2024.4.22
AFC U-23アジアカップ
グループステージ 第3節
日本 0-1 韓国
ジャシム・ビン・ハマド・スタジアム
【得点者】
KOR:75′ ミンウー
主審:マジェド・アルシャムラニ