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「再び直面する加速の課題」~2021.4.23 プレミアリーグ 第33節 アーセナル×エバートン プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第33節
2021.4.23
アーセナル
(9位/13勝7分12敗/勝ち点46/得点44 失点36)
×
エバートン
(8位/14勝7分10敗/勝ち点49/得点43 失点40)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

近年の対戦成績

図1

 2016年以降の対戦でアーセナルの6勝、エバートンの3勝、引き分けが1つ。

アーセナルホームでの対戦成績

図2

 直近10戦でアーセナルの8勝、引き分けが2つ。

Head-to-head from BBC sport

・アーセナルはホームでのプレミアのエバートン戦で直近24試合無敗(W20,D4)。
・エバートンは85-86以来のアーセナル戦ダブルの可能性。
・200回目のトップリーグでの対戦。アーセナルはエバートン相手に98勝をあげており、あるチームが特定のチームにあげた勝ち星としてはトップリーグで最も多い。

スカッド情報

【Arsenal】

・ピエール=エメリク・オーバメヤンとアレクサンドル・ラカゼットはそれぞれ病気とケガで欠場見込み。
・マルティン・ウーデゴールは足首のケガから復帰し、評価予定。
・ダビド・ルイスとキーラン・ティアニーは欠場予定。

【Everton

・ドミニク・キャルバート=ルーウィンは外転筋の負傷から復帰の見込み。
・ジェリー・ミナ、ベルナルジ、アンドレ・ゴメス、ファビアン・デルフは全員起用可能。

Match facts from BBC sport

【Arsenal】

・公式戦直近12試合で2敗のみ(W6,D4)
・金曜開催のプレミアは9戦負けなし。あるチームが特定の曜日で負けなしという記録の中でもっとも多い無敗記録(W7,D2)
・直近4試合のホームでのプレミアは先制点を献上している。
・エディ・エンケティアがフルハム戦相手に決めた同点ゴールは9月以来のプレミアでの得点。

Everton

・直近3試合のリーグ戦はドロー。5試合連続勝ちなし。
・4試合連続のプレミアでのドローは2012年11月のモイーズ政権以来。
・2週連続金曜日にプレミアを戦う史上2例目のチーム。1例目は2004年のアーセナル。リバプールを4-2で倒した後、リーズに5-0で勝利した。
・ギルフィ・シグルズソンは直近7試合のプレミアで5得点に関与。それ以前の23試合と同じ数字。

予想スタメン

画像3

展望

■9番の存在が幅を決める

 今年のエバートンは割と形が読めないチームである。前節は4-4-2を採用したが、5-3-2を採用する場合もあるし、4バックにしても中盤3枚の4-3-3を採用したこともあった。特に4-3-3は序盤戦に快進撃を見せた今年序盤のトレードマーク。アラン、ドゥクレ、アンドレ・ゴメスの3センターの前にリシャルリソン、キャルバート=ルーウィン、ハメスの3枚が並ぶ形は破壊力抜群だった。

 前進はどちらかと言えばシステムというよりも人のスペックに大きく依存したものになる。もっとも信頼できる存在はCFのキャルバート=ルーウィン。キャルバート=ルーウィンが務めるのが可能な役割は大きく分けて以下の3つ。

1. カウンターの最先鋒
2. クロスのターゲット
3. ハイプレスの回避の際のロングボールの収め役

 特に2つ目のクロスのターゲットという役割はエバートンの他の選手では代替不可能なポイントの1つ。高さに加えて入り込むタイミングも含めて大きな武器になっている。ここのクロスが計算できるかどうかで攻撃の手段がどれだけ広がるかが決まる。

 次に属人性が高いのはハメス・ロドリゲス。全体を押し上げるタメ、大外に振ることができるサイドチェンジ、そしてミドルシュートにラストパスという個々の武器の破壊力はチームでも随一。

 特にチームとしての形が決まっているのはハメスを起点とした大きなサイドチェンジ。ハメス自身はピッチのやや右側に位置することが多いので、逆サイドで大きなサイドチェンジを受けるのは左のSB。特にここにディーニュが起用された時は1つのパターンとして完成されている。ボックス内にキャルバート=ルーウィンが構えているならばなおのこと破壊力は上がることになる。

画像4

 ハメスの武器を見渡してみると、相手陣に押し込んだ際に生きるものが多い。逆に自身が体を張り高い位置までチームを押し上げるようなプレーはあまり得意としていない。したがって、個人で押し上げられるキャルバート=ルーウィンが不在の場合はハメスの効果が薄くなってしまう。

 SBはディーニュとコールマン以外はゴドフレイのようなCB型が入ることが多い。もしくはWBにイウォビのようなSHタイプを入れるなどでワイドにおける攻撃的なスタイルを維持するパターンもある。

 非保持において重要な要素は対人成分がどの程度入っているかである。スペースか?人か?で言うと今年のエバートンは断然人成分を多めに振ったほうが多い。対人守備のスキルは高い人揃いなので相手を捕まえまくるタスクを与えたほうがベター。一方でスペース管理は怪しい。ブロックで迎え撃った際はどこを締めるか、どこに追い込むかの共有がどこまでされいるかが微妙なところである。

■機動力勝負に持ち込めるか

 アーセナルとしてはまずはキャルバート=ルーウィンをどうするかを考えなくてはいけない。正直、出てきてほしくなかったのだが、どうやら間に合ってしまいそう。ここが出てくるとなると攻略の難易度は一気に上がる。パワーだけでなくスピードもあるタイプなので空中戦だけでなく、アジリティの部分でもカバーできるガブリエウを起用したほうがベターのように思う。

 次にハメス。万が一キャルバート=ルーウィンが出てこなかった場合はむしろ、ここはタイトなマークでつぶせる部分。そして、守備における献身性が落ちる部分なのでボール保持時における狙い目にはなりやすい。先ほども述べたようにハメスが活きるにはアーセナル陣内に入ってくる必要がある。

 それを防ぐにはハメス本人にタイトなマークを付けるということと、リシャルリソンの独走ドリブルを止められるかどうかである。リシャルリソンに関しては非常に本人の気性がパフォーマンスに出やすいシーズンになっているので、ワンプレー目で『あーイライラしてきた』という方のスイッチを入れることができるかどうかがポイントになる。ポテンシャルは間違いないので、逆のスイッチが入ってしまうと非常にめんどくさい。

 ハメスにシグルズソンと優秀なキッカーを揃えているのでセットプレーにおいても気が抜けない相手である。

 アーセナルの保持の局面においては前線の機動力で振り回したいところ。繰り返しになるが対人は強いがスペース管理は怪しいので、できればまずは個人を振り切って勝負をしたいところ。序盤はどこまでついてくるかを見極めつつ、できるだけブロックの切れ目で受けることを目指したい。

 サカのように絶対的なスピードがある選手やスミス=ロウのような出し受けを切れ目なくできる選手を主体にオーバメヤン、ラカゼット不在の若い前線でエバートンを振り回したいところ。特にスピードに乗ったドリブルに対してはエバートンのバックスは棒立ちになりやすい。SB-CB間のスペースも後追いになりやすいので、楔のスイッチを入れたタイミングからいかに手早くフィニッシュまで持っていけるかである。

 なので、これまでの記事で繰り返し述べている縦パスを入れてからのスピード感が問われる形になるだろう。EL準決勝を控えた大事な一戦。怪我人を増やさずに上昇気流に乗れるだろうか。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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