静的な局面制御とクロスバーの活躍でウェンブリー行きを決める
ドイツではフュルクルクの一発の抜け出しに沈んだパリ。決勝の舞台に再び辿り着くにはパリで少なくとも勝利を挙げなければ望みはつながらない。
パリのボール保持から試合はスタート。ドルトムントは4-1-4-1でミドルゾーンにきっちりと組む形。基本はCBにボールを持たせてOK。2列目から追加で時折プレスに出ていく形。
パリは右サイドから進撃を狙っていく。ライン間のザイール=エメリと大外のハキミからボールを前に進めていく。押し込む流れを作ったパリはハイプレスに出ていく。ドルトムントはバックスが距離を取りながら開き、シュロッターベックの逆サイドへのフィードからフリーの選手にボールを届けてプレスを回避する。
パリの非保持の意識は高かったが、左右のスライドが1st legほどきつかったわけではない。よって、シュロッターベックのフィードはその先のスピードアップを見込んでの展開というよりはプレス回避できっちりと逃すことに重きを置いているものと言えるだろう。ドルトムントはこういう相手が望む展開から逃げるのが上手い。
押し込む展開が増えるものの、パリは膠着状態になる。両翼のデンベレやムバッペは独力でなんとかする意識が強すぎてなかなかインサイドを動かすわけにはいかず、目の前の選手は剥がせるが内側の選手が合わせられない状況が続く。
結局、ハキミの追い越しやヴィチーニャの高い位置での奪回など動的な成分を増すことでチャンスを可能性を広げるパリ。ドルトムントも左サイドを爆走したアデイェミの抜け出しから一撃での追加点を狙う展開となった。
後半もパリの保持がベースでスタート。インサイドもきっちり差し込んでいこうというヴィチーニャの意識とセットプレーからのザイール=エメリの決定機が目立つ立ち上がりとなった。
しかし、これを凌ぐとドルトムントが先制点をゲット。フンメルスがベラルドを出し抜いてファーでフリーになると、ヘディングでネットを揺らして先制。2nd legで先に試合を動かしてみせる。
当然2点のリードを奪ったところでドルトムントはさらに試合展開を静的にする形に移行。非保持ベースで撤退をきっちり。メンデスが左サイドで暗躍し始めたタイミングでズーレを投入して5バックに。前半からアデイェミが降りて5バックになる形はスポットであったが、この交代で明確なシステム変更に踏み切った形となった。
最後の最後は迫力のある攻撃を見せたパリ。だが、迎えた決定機は1st legに続けてことごとくクロスバーに。ボックス内でのチャンス、ミドルなど多様なチャンスはあと一歩で阻まれる展開が続く。
結局試合はそのまま終了。1st legに続いて1-0のスコアでドルトムントがウェンブリーへの切符を手にした。
ひとこと
ドルトムントは試合展開を不用意にアップテンポにしないのがめっちゃ上手い。非保持で我慢もそうだけど、特にテンポを落とすためのプレス回避が上手。パリがあんまりハイプレス得意じゃなさそうなのもあるけど、ここで一気に行くで!のところで畳み掛けられてない。
試合結果
2024.5.7
UEFAチャンピオンズリーグ
Semi-final
2nd leg
パリ・サンジェルマン 0-1 ドルトムント
パルク・デ・フランス
【得点者】
BVB:50′ フンメルス
主審:ダニエレ・オルサト