Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第19節
2021.4.14
川崎フロンターレ(1位/9勝1分0敗/勝ち点28/得点26 失点6)
×
アビスパ福岡(11位/2勝4分3敗/勝ち点10/得点10 失点13)
@等々力陸上競技場
戦績
直近の対戦成績
直近10試合で川崎が7勝、福岡が2勝、引き分けが1つ。
川崎ホームでの試合
直近10試合で川崎が9勝、福岡が1勝。
Head-to-head
<Head-to-head>
・直近4試合の公式戦での対戦は福岡が2勝。
・ホームでのリーグ戦は川崎が9連勝中。
・直近8試合のリーグでの対戦は両チームとも得点を決めている。
・福岡が過去に川崎ホームで勝利したのは2回。いずれも0-1での勝利。
直近の対戦成績では福岡が優勢。直近4試合で川崎が勝利したのは2016年の等々力での試合一度だけ。同年の福岡ホームでの対戦では川崎の1stステージ優勝を阻む存在として福岡が立ちはだかっており、相性としては川崎はあまりいいイメージはもっていないはずだ。
一方、等々力での対戦に限れば川崎の9連勝中。苦手なイメージのほとんどは福岡の地で作られたものといえる。
試合自体は共に得点をする展開になりやすいが、福岡が等々力で勝利する際は0-1とロースコアに抑えられたときである。
スカッド情報
【川崎フロンターレ】
・チョン・ソンリョンは腰椎横突起骨折で4週間の離脱。
・山村和也は左大腿二頭筋肉離れで3か月の離脱。
・大島僚太も長期離脱中。
・旗手怜央は鳥栖戦以降、欠場中。
【アビスパ福岡】
・志知孝明は出場停止。
予想スタメン
Match facts
【川崎フロンターレ】
<川崎のMatch facts>
・リーグ戦は15試合負けなし。
・ホームゲームでは4試合無失点中。
・昇格組との対戦は直近18戦無敗(W15,D3)
・クロスからの得点10はリーグ最多。
・レアンドロ・ダミアンはここまで5アシスト。リーグトップ。
・ジョアン・シミッチは4試合連続フル出場中。
リーグ戦の無敗は15試合。公式戦までくくりを広げれば18試合負けなしと順調なシーズンを続ける川崎。特にホームにおいては公式戦10連勝中で4試合連続無失点と絶好調である。
昇格組との対戦も得意で18戦負けなし。今季すでに徳島を下したホームでは2013年の湘南以来負けがない。
得点源になっているのはクロス。10得点はリーグトップで2位の神戸の倍である。得点源となっているのはレアンドロ・ダミアン。今季は7得点5アシストとここまで大暴れ。特にリーグリーダーのアシスト数はすでに昨季に並んでおり、連携の向上がうかがえる。90分当たりのゴール+アシストは1.62でこちらもリーグ断トツ。リーグ2位の小林悠(1.41)、リーグ3位の前田大然(1.03)を大きく引き離している。
プレータイムの観点で気になるのはシミッチ。中断前は田中、山根(今も気になるが)、旗手のプレータイムが目立っていたが、序盤戦にシミッチと交代で入る機会が多かった塚川がベンチ外が続いているということもあり、4試合連続フル出場中である。自身のキャリアでいえば2019年10月以来のこと。ちなみにこのペースで出場が続けばどちらかの名古屋戦で昨季のリーグ戦のプレータイムを上回ることになりそうだ。
【アビスパ福岡】
<福岡のMatch facts>
・2016年の同時期と比較して勝ち点は4多い。
・公式戦直近5試合勝ちなし(D3,L2)
・15分で区切った場合、最も失点が多いのは開始15分。
・今季の13得点中10得点は後半30分以降のもの。
・直近3試合の複数得点を挙げた川崎戦は1人の選手が全得点を決めている。
・長谷部監督は福岡で53試合を指揮し27勝。歴代監督の中で最も勝率が高い。
前回J1だった2016年と比べると上々の序盤戦といえるだろう。8節まで苦しんだ白星は今年は4節に達成。勝ち点数は4多い。公式戦は5試合勝ちがないが、G大阪に完封で引き分けたり、C大阪に1人少ない中で追いついたりなどポジティブな内容も少なくない。
得点と失点の傾向は割と極端。失点は開始15分が特別に数が顕著なわけではないが、失点の傾向として前半頭にピークが来るチームというのは実はなかなか見ない。逆に得点は終盤に固まっており、残り30分で10得点を記録している。
過去の川崎戦を見ると川崎に複数得点を挙げた直近3試合はすべて同一人物が2得点を取っている。直近のカードから順に金森健志、城後寿、岡本英也。現チームには9節の段階で2得点の選手が2人(金森、サロモンソン)だけで残りは1得点とスコアラーは分散しているが、今回も複数得点を取る選手は出るだろうか。
昨季から指揮を執る長谷部監督は勝率が歴代の監督の中で最高。加えて、1試合平均失点が1.0を下回っている唯一の福岡の監督でもある。
展望
■4-4-2で加速を許さない
福岡はここまで起用した選手の数が横浜FC、大分に次いで多いチーム。前者は監督交代するほど低迷しており、後者は多くの負傷者と移籍者で手を変え品を変え試行錯誤している。この2チームに比べれば順調な序盤戦を過ごしている福岡。それでも起用人数が多いということは積極的なターンオーバーをしているということだろう。
したがって主軸選手の見極めは難しい。しいて言えば前寛之と宮大樹はプレータイム的には中心選手といっていいだろうか。特にFWは難解極まりない。Googleのスタメン表記を参考に2トップの組み合わせを抽出してみたけど、見事なまでにバラバラである。
福岡のFWの人選
1節 フアンマ ブルメン
2節 山岸 ブルメン
3節 フアンマ 山岸
4節 山岸 城後
5節 三國(1トップ)
6節 山岸(1トップ)
7節 山岸 渡
8節 フアンマ 渡
9節 ブルメン 金森
やたら膨れ上がっている外国籍選手は単なる序列だけでなく、他のポジションとの兼ね合いで見極める必要もあり、スタメンを11人当てるのはほぼ不可能といえそうである。
だが大枠としてどの選手が出てきてもスタイルに大きなブレはなさそうだ。守備においては4-4-2のブロックが基調。特にCHの出ていくタイミングが良く、保持側に加速点を作らせないのがうまい。攻撃を2連で前進させないイメージである。CFもカバーリングをサボらない。
なので配置としては同じ4-4-2だけど、川崎が直近で当たったFC東京と比べるとゾーンとしては完成度が高いように思う。相手の攻撃を止めて、ボールに近いスペースから埋めて相手にやり直しを促す。相手がやり直しをするためにボールを下げたらすかさず陣地回復を行う。
おそらくこの守備のメカニズムはここまで当たってきたチームの中ではかなり優秀な部類に入ると思う。ゾーン守備については造詣が深くないけども。
PA内にも高さはあるので単純なハイクロスに対しては耐性がある。見てきたチームの中では川崎にとって厄介というか、今までと異なる部分を強いられる試合になりそうである。昨季のC大阪戦とか。
■ファストブレイクの優先度が高い理由
攻撃を見ると最も優先度が高いのはファストブレイクのように思う。2人のFWを先導役にSHをアシスト役として4人で完結を狙う形が最も得点の匂いがする。
ファストブレイクが難しい場合は外に回しながらSBのクロスを主な武器とする。サイドチェンジを行い、薄いサイドを作りながらクロスを上げる機会を伺っていく。
速い攻撃が向いている選手が多いというよりは遅攻での中央での崩しの手段があまり多くないので、相対的に難易度が低い速い攻撃を好むというニュアンスのように見えた。クロス対応に強いチームならばなおさらである。
ただ、低い位置からのビルドアップがダメなチームではない。CBが開き、CHが間に落ち、SHが内に絞り、大外にSBを置く。パスコースの種類は多くやり直すための手段をしっかり持っているといったチームである。
■2つの武器を抑えるのがノルマ、あわよくば+αも
川崎の攻撃はなかなか難しい選択を迫られることになる。多摩川クラシコとは異なり、シミッチへの警戒は強まる方向に行くと思う。川崎としてはシミッチを開放したいのならば工夫が必要になる。
SBやIHなどが2トップ脇のスペースを取りながらシミッチへのプレッシャーを少しでも軽減していきたいところ。このあたりは登里の真骨頂のように思うが。
こういったIHやSBのサポートがなければボールを進めるのが難しく、ライン間で前を向く選手を作るのは難易度が高いミッションといえるだろう。
福岡は点を取ることにおいて早い攻撃の機会を必要としているので、無理にライン間に突撃することはむしろ福岡の攻撃機会を確保してしまう手助けになりかねない。
もちろん積極性は失ってはいけないが、相手の好機につながるようなパスミスは避けたいところである。
それもあって裏抜けは序盤から狙っていきたいところ。福岡はミドルゾーンで4-4-2を構えるものの、後方の選手たちの機動力はそこまで高くはない。したがってライン裏に走りこむ駆け引きは効果的だ。
ラインを下げる動きを見せながら少しでもライン間に受ける選手たちの余裕を作りたい。
相手の陣形を広げつつ、ライン間攻略の難易度を下げて福岡の堅い4-4-2ブロックを何とか崩したいところ。しいて言えば2列目では金森のポジションが甘いところがあるので、出てきたときは積極的に狙っていきたいポイントだ。
川崎は守備においてはまず個人でやられないこと。山岸、ブルメン、金森、フアンマ、三國、城後、渡などやたら選択肢が多いFWの組み合わせについては正直ほぼ絞れない上に、予習した3試合だけでは特徴と傾向がつかめない。なので誰が出てくるか次第ということもあるが、スピードとパワーに関しては川崎のバックスが主導権を握れる可能性は高いはず。まずはゴールへの最短ルートを寸断したいところである。
そうなった次の部分としては当然クロス対応になる。福岡のクロスはCF2枚に合わせてSHの2枚もエリアに入り込んで合わせる準備をしており、多くの人数がエリア内にそろっている。川崎戦としてはFC東京戦で見せた失点は共にファーに余った選手に合わせるもの。福岡的にはピッチを簡単に横断させてしまえば、ファーで余っている人物に合わせる形で好機を見い出すことができる。
川崎としてはまずはカウンター対応を止めることが第一、次いでクロス対応でミスらないこと、そしてクロス対応からロングカウンターまで結びつけられたらパーフェクト。
もつラーメンの件で試合前はしくじった感がある川崎だが、試合はしくじらず連勝を伸ばしたいところである。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)