圧巻のエゼが上昇気流のパレスを牽引
前節、アンフィールド制圧に成功したクリスタル・パレス。結果だけなく圧巻の内容でリバプール優勝に赤信号を灯したグラスナーのチームは今プレミアで最も不気味と言っても過言ではないだろう。
端的に言えばこの試合においてもその勢いは存分に発揮されたと言っていいだろう。噛み合わせるまではいかなくとも、ウェストハムには高い位置からプレッシャーをかけていく。ウェストハムはサイドチェンジからチャンスを作る場面もなくはなかったが、パレスのリトリートの速さは十分。ウェストハムはプレスを回避した時のメリットをそこまで享受することができなかった。
保持においてはこの日は別格だったのはエゼ。中央の狭いスペースでボールを足に吸い付かせるようなキープを見せると、相手を動かしたスペースに入り込む味方に正確に正しい強度でパスを出す。完全に魔術師といえるパフォーマンスだった。右→左への踊るような横断から時間を作り出すと、左サイドからクロスに飛び込んだのはオリーズ。7分で先制点をアシストする。
さらにはカウンターから追加点をゲット。リチャーズのボールダッシュを皮切りに縦に鋭く進むとエゼが今度はフィニッシャーを担って2点目。その4分後には左サイドからのファーへのクロスという先制点に似た形をエメルソンが処理しきれずにオウンゴールで3点目を奪う。
クロスが入る左サイドはウェストハムにとっては無限に壊されているサイド。守備崩壊に歯止めがかからないウェストハムはさらにマテタにゴールを許して4点目を献上する。40分に右サイドに抜け出したソーチェクからのクロスをアントニオが押し込むことには成功したが、大量のリードをパレスに許したままハーフタイムを迎える。
後半もパレス優勢のペースは変わらず。3点差という苦境をなんとかするためのエネルギーを捻出することができないウェストハムは特に反撃の術が見つからないまま時間が過ぎていくこととなる。
すると、後半も違いを見せたのはエゼ。緩急と左右の体重移動だけで相手を動かしてパスコースを作り出して壊してしまったアシストはまるでイニエスタのよう。マテタの5点目のアシストは絶対に見た方がいい美しいドリブルである。
ヘンダーソンのとんでもミスからウェストハムは2点目を返すことができたが、反撃はここまで。アンフィールドの勢いを本拠地に持ち込んだパレスが大量5得点での圧勝を手にした。
ひとこと
チーム全体がソリッドではあるが、この日はとにかくエゼ。ちょっとやばかった。
試合結果
2024.4.21
プレミアリーグ 第34節
クリスタル・パレス 5-2 ウェストハム
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:7′ オリーズ, 16′ エゼ, 20′ エメルソン(OG), 31′ 64′ マテタ
WHU:40′ アントニオ, 89′ ヘンダーソン(OG)
主審:グラハム・スコット