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「リーグ戦との向き合い方は」~2021.4.18 プレミアリーグ 第32節 アーセナル×フラム プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第32節
2021.4.18
アーセナル(9位/13勝6分12敗/勝ち点45/得点43 失点35)
×
フルハム(18位/5勝11分16敗/勝ち点26/得点24 失点42)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

近年の対戦成績

図1

 直近10試合の対戦でアーセナルの6勝、フルハムの1勝、引き分けが3つ。

アーセナルホームでの対戦成績

図2

 直近10戦でアーセナルの7勝、引き分けが3つ。

Head-to-head from BBC sport

・アーセナルは直近3試合のリーグでのフルハム戦で5-1,4-1,3-0。トップリーグにおいて同一相手に4試合連続で3得点以上取れば史上初めてのことになる。
・フルハムは対アーセナル戦6連敗中。トップリーグにおいての連敗の長さで言えば対マンチェスター・シティ(9連敗)と対マンチェスター・ユナイテッド(8連敗)についで多い。

スカッド情報

【Arsenal】

・マラリアにかかったピエール=エメリク・オーバメヤンは回復中で出場可否は不透明。
・しかし、足首の負傷から回復したマルティン・ウーデゴールは復帰の見込み。

【Fulham

・ふくらはぎの負傷でウルブス戦を欠場したアデモラ・ルックマンは復帰の予定。
・トム・ケアニーは復帰が違い一方で、テレンス・コンゴロはシーズンアウト。

Match facts from BBC sport

【Arsenal】

・1月以来のリーグ戦の連勝を狙う。
・トップリーグでの13敗は17-18に樹立したクラブ記録タイ。
・公式戦でのホーム8敗は9敗を記録した1929-30以来の多さ。
・11試合のリーグ戦無得点は38試合制のプレミア下において最悪の数字。
・降格圏にいる相手とのホームゲームは直近42試合で1敗だけ(W39,D2)。しかし、この1敗は直近の該当試合である12月のバーンリー戦で喫したもの。
・ピエール=エメリク・オーバメヤンとアレクサンドル・ラカゼットは共に出場した3試合のフルハムとのリーグ戦ですべて得点を挙げている。

Fulham

・リーグ戦直近4戦4敗。それ以前の17試合と同じ負け数。
・この試合はスコット・パーカーが指揮を執る100試合目の公式戦(W37,D23,L39)
・プレミアリーグでのロンドンダービーは22試合連続で勝利がなく、最後に勝ったのは2014年の元日にクレイブン・コテージにて2-1でウェストハムを下した試合。
・アレクサンダー・ミトロビッチは出場した16回のプレミアのロンドンダービーにおいて一度も勝利を経験したことがない(D2,L14)。プレミアの歴史上、最もロンドンダービーに勝てていないプレイヤー。

予想スタメン

画像3

展望

■良くも悪くも理屈通り

 残留争い崖っぷちのフルハム。これ以上離されると大分残留の可能性が薄くなってしまう。どこが相手でももう負けられないフェーズに入っている。

 ではフルハムとはどんなチームか?端的に言えば理にかなっている前進を志向しているチームといえるだろう。シーズンの序盤戦はハリソン・リードを軸とした軽いタッチのボール回しを主体に前進していくスタイル。そのため、やたら食いつきがいいチームに対しては相性が良かった。が、引き付けてリリース的な概念はあまりなかったため、理に適った前進ができるかどうかは相手次第といったところである。

 ただ、シーズンが進むにつれて徐々に後方の選手たちが持ちあがりを会得。アダラバイオを軸に持ちあがりながら相手を押し下げる頻度が多くなってきた。後方からの押し上げがあることが相手陣高い位置でのプレーの頻度は上がっている。

 一方として高いラインを組む頻度が増えた分、最終ラインにも負荷が増えたのか、最近の試合ではCBのミスが多い。大黒柱として機能していたアダラバイオは直近ではスタメンから外されるほどである。方向性としてはCBが持ち運びの動きを増やすというのはこのチームが踏むステップとしてはしっくりくる気がするが。

 理に適った前進をするチームだということは、裏を返せば理不尽なパワーが働いての前進はないということでもある。例えば復調気配のウェストブロムはディアーニュの強靭なフィジカルにすがる部分はあるが、フルハムではそういうことはない。彼らはいい流れの時間でなければ点は入らないのでロジックにすがって得点機会を引き寄せる必要がある。我慢して我慢して一撃!というプランはほぼ機能しない。我慢もそもそも長い時間は効かないし、自陣深い位置からは一刺しはできない。

 ミトロビッチというターゲットマンはいるが、そこまで積極的に活用する兆しは見せない。少なくとも完全にここにすがった割り切った戦い方はほぼ見ない。もう1つの前進の武器はルックマンのドリブルである。ルックマンの難点としてはドリブルの後のプレーが雑になること。シュートにせよ、ラストパスにせよ『ドリブルで全部使っちゃったんだな』って思ってしまうようなプレーが結構多い。当たり前だけど、自陣深い位置からの攻撃になればなるほどこの傾向は顕著になる。

 したがって、アーセナルとしては保持の部分で左右からしっかりと押し下げること。まずはこれが大事。その上で最近ミスが目立ちがちなバックラインへのプレッシングをかけつつ、アーセナルが最近ポツポツ出るようになったショートカウンターからの得点を狙っていきたいところ。

■試したいテストについて

 ショートカウンターもそうだが、ここからの試合はどれだけEL制覇に向けて武器を増やせるか?という部分が重要である。そういう意味では『チームが好調の時はいじらない』という鉄則もそこそこに多くのことを試す必要があるのではないだろうか。なぜならば、アーセナルはここ数試合でスカッドのバランスが変わっているからだ。

 最も大きなトピックスとなるのはティアニーの負傷離脱だろう。これにより左サイドの幅の取り方をどのように担保するか?という部分をアルテタは考えなければならなかった。多くのアーセナルファンが予想したソリューションはSBにサカを起用することだったが、どうやらこれは採用されなさそうである。彼にはより高いポジションでの貢献を求めているようだ。

 そこで浮上したのはジャカのSB起用である。シェフィールド・ユナイテッド戦でお披露目になったこのスタイルは一定の効果が見られた。続く、スラビア・プラハ戦でもジャカのSBは問題なかったが、陣形を歪ませる役割を担っていたシェフィールド・ユナイテッド戦とは事情は異なる。マンマーク気味でありかつ2列目のスミス=ロウを軸として2列目のオフザボールを活用する傾向が強かったため、ジャカのSBが効いていたということとは少しニュアンスが違うように思う。

 よりサイドの高い位置のフォローが必要ならばセドリック等の他の選手がSBに入ったときのバランスは見ておきたい。相手に幅を取ってサイドの多角形で崩すという方針ならば、SBには本職を使っても面白いと思う。もっとも、最近の試合でセバージョスが高い位置を取れたのはSBのジャカが低い位置でステイしていたからという部分もあるけども。なのでこの辺りのバランスも含めてうまくいくかはわからない。でもこういうことを確かめるために残りのリーグ戦を使ってほしい。

 もう1つ気になっているのはウーデゴールの処遇。ここ2試合のトップ下はスミス=ロウとサカだった。彼らの役目は高い位置を取りながら攻撃を仕上げたり、フィニッシュに絡んだりすることである。ウーデゴールがトップ下に入る際は彼らよりは低い位置でビルドアップに関わったり、背負ってボールを受けたりする形が多い。

 左のSBと異なり、右のSBのチェンバースは比較的高い位置を取るため、右に流れがちなウーデゴールとの連携がどうなるのかは気になるところ。負傷明けなのでプレータイムを長く確保するのは難しいかもしれないけども、ここもテストしておきたいところ。もちろん、マラリアにかかったオーバメヤンもコンディションうぃ含めて起用法を注視していく必要がある。

 あくまでプライオリティはELだが、今のフルハム相手であれば確実に勝ちながら次に進むテストをしていきたいところ。アーセナルとしては結果と上積みの両立がなければいけないフェーズだと思う。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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