このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。
Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第10節
2021.4.18
川崎フロンターレ
(1位/10勝1分0敗/勝ち点31/得点29 失点7)
×
サンフレッチェ広島
(7位/4勝4分2敗/勝ち点16/得点14 失点9)
@等々力陸上競技場
戦績
直近の対戦成績
直近5年間で川崎が8勝、広島が2勝。
川崎ホームでの試合
直近10試合で川崎が6勝、広島が3勝、引き分けが1つ。
Head-to-head
<Head-to-head>
・川崎は当該カード3連勝中。
・直近12試合のリーグ戦で引き分けがない。
・ホームでの広島戦は直近5戦で川崎の4勝。
・等々力の広島戦で記録された直近13得点のうち、11得点が後半に決まったもの。
直近の広島戦では川崎は連勝中。川崎が4連勝になれば2016-17年以来となる。カードの特徴としては比較的得点が入りやすく、白黒がはっきりつきやすいところにあるといえる。
等々力の試合でも川崎は広島戦連勝中。ここ5年でいうとパトリックが終盤に決勝点を決めた2018年以外は川崎が勝利を決めている。得点が後半に集中しているのも特徴の1つ。逆にあまり点が入らない前半に得点を決めたチームはこのカードでは5連勝中というデータもある。
スカッド情報
【川崎フロンターレ】
・チョン・ソンリョンは腰椎横突起骨折で4週間の離脱。
・山村和也は左大腿二頭筋肉離れで3か月の離脱。
・大島僚太も長期離脱中。
・旗手怜央は鳥栖戦以降、欠場中。
【サンフレッチェ広島】
・佐々木翔は3/21の大分戦以降出場がない。
・永井龍は左足首の怪我で欠場の見込み。
予想スタメン
Match facts
【川崎フロンターレ】
<川崎のMatch facts>
・勝てばリーグ戦6連勝。
・リーグ戦ホームゲーム10連勝中。
・4月のリーグ戦は12戦無敗(W10,D2)。
・今シーズン全試合で2桁シュート数を記録。
・田中碧は直近2年の等々力での広島戦で3得点。
・レアンドロ・ダミアンの直近3得点は全て後半に決めたもの。
勝てば6連勝目。今季の新記録となる。ホームでは昨季からまたいで10連勝中。今年はすでに開幕から7連勝中である。
4月のリーグ戦も好調で最後に敗れたのは2017年のホームでのC大阪戦。リーグ戦では低迷気味だった2019年も含めて好調を維持ししている。
今季目立つのはシュート数の多さ。全試合で2桁を記録しており、最後に1桁だったのは最後に敗れた昨年の大分でのアウェイゲームである。
今季まだ得点のない田中碧だが、等々力での広島戦は大得意。彼が唯一Jで複数得点を挙げている相手が広島である。この試合では後半の得点が多いと紹介したが、ダミアンは直近3試合の得点が後半に挙げたもの。後半に点が入りやすいこのカードでさらなる得点を積み重ねたいところだ。
【サンフレッチェ広島】
<広島のMatch facts>
・リーグ戦2連敗中。
・直近のリーグ戦4試合で無得点が3回。
・現在リーグテーブルのトップハーフにいるチームには未勝利。
・今季の14得点のうち、10得点が前半に挙げたもの。
・城福監督は19試合の川崎戦で37失点。最も多くの失点を喫している相手。
・浅野雄也は今季3得点のすべてをアウェイであげている。
開幕から8戦無敗と好調だった広島だが、ここに来て2連敗と停滞。仮に川崎に敗れて3連敗になれば昨季末以来。ちなみにその時は1-0での敗戦が3連で続いたが、今回もここまで1-0での敗戦が2連できている。無得点試合が多く、得点が入らないのが辛いところである。
ちなみにここまでとの対戦はほとんど下位勢。トップハーフとの対戦は横浜FMと名古屋のみでどちらも勝利に至っていない。また得点のほとんどは前半に挙げたものでこのカードの傾向とは真逆になっている。
城福監督は川崎相手に失点が非常に多い。監督キャリアでおよそ1試合平均2失点と失点に歯止めが効かない状況になることがしばしば。そんな中でアウェイに強い浅野の存在は大きい。昨季も等々力で得点を決めた浅野の存在が広島を牽引すれば面白くなるが。
展望
■両翼で形を作れれば
広島のボール保持はCBとアンカーのタッチが多め。SBは高い位置を取る代わりにIHの2人が低い位置まで降りてくる頻度が高い。ただし、1人の選手が動くのに合わせて、他の選手が合わせて動くイメージはあまりない。例えばアンカーがボールを受けるように降りた位置を取った代わりにCBが少し広がって持ちあがるみたいな連動は見られない。
ゆっくりしたボール運びの崩しはサイドから仕上げていく。外側を担当するのはオーソドックスにWG,SB,IHだが、タメが効く選手にボールを預ける過程をすっ飛ばすことが多いので、全体が押しあがり切らずに距離感が遠くなってしまうこともある。
ただし、前提として広島の選手は一人一人に明確な武器がある選手が多い。特に両翼の浅野とエゼキエウは展開を選ばずに活躍できるプレイヤー。左のエゼキエウは森島などの周りの選手の助けを借りながら、1対1の状況を作り、大外からのカットインを狙う。逆サイドの浅野は大外に幅を取った後、内側の選手との壁パスを使いながら斜め方向のランをして侵入する。浅野はこの斜めの侵入が上手い。なので両翼とも形さえ整ってしまえばというところがある。
SBも高い位置をとってのサポートには積極的だが、全体的に3人目のサポートの動きを使う意識は少ない。川辺がインサイドハーフに入るならば、オフザボールの動きはより増えるかもしれないが、あいにく直近では川辺はアンカーのポジションが主になっている。
CFの人選はドウグラス・ヴィエイラとジュニオール・サントスの2択である。この2人のどちらをCFとして使うかで広島のサッカーの仕上がりは全然違う方向に向かう。
ドウグラス・ヴィエイラが使われる際はポスト役として彼を使う意識が高く、シャドーを含めたアタッカーが中央に寄る機会が増える。一方、ジュニオール・サントスが起用される際はそれぞれ頑張っていきましょう色の強い形の攻め手になることが多い。
カウンターの際は言わずもがなジュニオール・サントスの存在が強烈である。すでに述べた通り、両翼の浅野とエゼキエウはカウンターでも威力を発揮できる存在である。CHも走力は十分でカウンターアタックの能力は高い。ただ、カウンターも決まったルートがあるわけではない。どちらかと言えば攻撃は全体的に素材重視である。
非保持はプレッシングをかける際にはGKまで思い切って圧をかける。横浜FC戦はその代表例。ただし、無理にハイプレッシングにこだわることはない。ミドルブロックへの撤退は比較的早い段階で行われている。
守備の基準はマンマーク志向に寄っていることが多い。特に相手の中盤とサイドではその傾向が強め。アンカーとCBは余らせながら後方で遊軍として待機する。ただし、中盤とサイドのマンマークはそもそもそこまで徹底されたものではない。割と縦方向には相手についていく傾向が強いものの、横方向にはあまり徹底的にスライドせず受け渡しがちなように見受けられる。いずれにしてもプレス時もブロック時も人基準というのは間違いない。
■斜めを活用できるか?させないか?
川崎がどう戦うかを考える前に、広島がどういうメンバー構成と戦法で来るのかを考えたい。保持も非保持もゆったりと素早くの両方の手段を持っているのはわかったが、彼らにとってどの手段の優先度がどれだけ高いのか?という部分は測りかねる。
というのも直近の相手が絶好調の名古屋と絶不調の横浜FC、そして広島自身がガッツリターンオーバーして迎え撃った湘南ということでサンプルが極端。この部分は想像を及ばせながら展望を考えなくてはいけない。
おそらくミドルブロックでの守備と縦に速い攻撃を主体として川崎を迎え撃つのではないか?というのが予想する。なので長いパスを出せる青山とロングカウンターで無理が効くジュニオール・サントスをCFとする予想をした。
ハイプレスで来た時の脱出の心配はあまりしていない。外せるだけのスキルはあるだろうし、いざとなれば長いボールを蹴ればいい。レアンドロ・ダミアンと広島のCBのマッチアップはこの試合において最も優位が取れる部分である可能性もある。早い段階でここに頼るやり方はアリだろう。
ブロックを組んだ場合はまずは川崎の中盤の対面のマーカーがどこまで自分についてくるかを確かめる必要がある。おそらく相手を背負っている状況における判断とオフザボールの方向とタイミングが重要なはず。特に斜めの移動に弱いので、オフザボールについてはこの動きを織り交ぜると効果的なように思う。縦と横に動く選手へのパスが連続して2本つなげばかなりの確率でフリーになっているはずである。
逆に中盤がつかまると厄介。今年のJも昨年に続きコンタクトには寛容。ハードにチェックをかけてくる広島とは相性がいい可能性はある。まずは裏返されてショートカウンターを食らうことだけは避けたいので、無理せず蹴るという選択肢を視野に入れつつ、ポストを駆使した狭いゾーンでの前進を合わせて狙いところだ。
非保持においてはまずはカウンターが最重要警戒ポイント。川崎にとっては押し下げて重心を下げさせて、広島のカウンターの難易度をあげるということが肝要だ。ショートカウンターのように選択肢が豊富な形で裏返されないようにしつつ、単騎でのロングカウンターに誘導し刈り取りやすいようにしたい。ロスト直後の数秒の守備で状況は変わりそうだ。
広島の定点攻撃の局面では大外の使い方がポイント。特に浅野の斜め方向のフリーランには要警戒だ。相手の視界から消えるようにマークを外すので、後方のCB(特に浅野に近いLCB)のカバーリングの判断の遅さは致命傷になる。LCBの真価が問われそうな相手である。
まとめると自分の攻撃はオフザボールのタイミングと方向で相手の先読みを外したいし、相手の攻撃は斜めのフリーランに先読みして手を打ちたい。と。そんな感じである。
最後にもう一つ付け足すならば、クロスやプレースキックはなるべくゴールに巻く方向にファーに向けて蹴るボールを増やしたい。ハイボールに苦手な大迫を揺さぶるためである。いわば福岡戦の後半と似たコンセプトだ。
総力戦の様相呈する連戦の最後。相手が17連戦の真っ最中であることも踏まえれば日程的には川崎は有利だろう。攻守に勘所を抑えてまだまだ走りつづけたいところだ。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)