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「Catch up Premier League」~Match week 31~ 2021.4.9-4.12

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①フルハム【18位】×ウォルバーハンプトン【14位】

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■手助けがないなら振り切ればいい

 強豪との連戦が始まってからからっきし勝ち点を稼げなくなってしまったフルハム。そろそろ勝ち点を積まないと残留に赤信号が灯る頃である。今節の相手は同じボトムハーフのウルブスである。

 フルハムはついにミスが目立つようになった大黒柱のアダラバイオを外してこの日のスタメンを組むことに。そのため、最終ラインのビルドアップにおいて主導権を握るのは普段アダラバイオの相方を務めているアンデルセン。プレスラインの低いウルブスに対して、持ち運びつつ対角のパスを織り交ぜることによって前進をしていく。押し上げてやり直してという保持のメカニズムは明らかにウルブスよりも高い精度。後方からボールを積極的に動かしていく。

 この日フルハムにとって誤算だったのはルックマンが不在だったこと。これによりサイドの崩しの威力が半減。特にクロスを上げるよりも狭いスペースで崩したがるロビンソンとコルドバ=リードの連携はイマイチ。とにかく逆サイドからミトロビッチに向けてクロスを上げるテイテイとは対照的な振る舞いとなった。

 一方のウルブスはトラオレとネトという両翼は強力である一方、サイドで勝負する形に持って行くまでに一苦労。さらに試合中にネトが今季絶望クラスの負傷を負うなど踏んだり蹴ったりのウルブスであった。

 片翼を失ったウルブス相手に後半も攻め立てるフルハム。対するウルブスはポデンスの手助けを借りながらトラオレを軸に攻め立てる。

 試合を最後に決めたのはそのトラオレ。後半追加タイムに右サイドを独走すると角度のないところから思い切った一振り。アレオラのニアを貫いた決勝弾はフルハムの残留を厳しいものにする一撃となった。

試合結果
フルハム 0-1 ウォルバーハンプトン
クレイブン・コテージ
【得点者】
WOL:90+2′ トラオレ
主審:ジョナサン・モス

②マンチェスター・シティ【1位】×リーズ【11位】

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■決まりごとはPA限定、奇跡を呼んだビエルサの一手

 試合の序盤はいつものシティ、いつものリーズだった。シティはジェズスが少し下がり目でアンカーのフィリップスをマークし、両WGが絞ってリーズのCBにプレスをかける。激しいプレスというよりは位置は高いけど、取り切るような強度ではない形のプレス。今季のシティでよくみられる形だ。リーズもバンフォードが2人を監視、CBが1枚余るマンマーク主体のスタイルだった。

 シティはいつもよりも後方のドライブが多め。バンフォードが2人のCBを監視する分、CBが1人余りやすいためストーンズ、アケ、そしてアンカーのフェルナンジーニョなど後方の選手たちのドライブは普段よりも多かった。

    一方で前線もスピードで振り回せるスターリングやベルナルドなどマッチアップ相手をドリブルで剥がそうとする動きが多め。後方でずらし、前方で振り切るスタイルでリーズのゴールに迫る。

 リーズはサイドの高い位置に起点を作ることに活路を見出す。特に攻撃志向の強いメンディと長期離脱から戻ってきたアケがコンビを組むシティの左サイドは狙い目としていた。大外でメンディを足止めして追い越す選手でメンディとアケの間のスペースに走りこむ形でチャンスを創出。あとはクロスを合わせるだけだった。ズレたけど。

 互いに持ち味からチャンスを作る中、先制点を取ったのはリーズ。ここまで攻めていたのとは逆サイドのカンセロのところを突破口についにダラスがこじ開ける。

 前半をいい形で締めくくれそうだったリーズにはこの後まさかの落とし穴。終了間際にクーパーが危険なタックルで一発退場。後半をまるっと10人で守ることになる。

 前半と比べてさらに後方の持ちあがりが積極的になるシティ。ストーンズはこの試合、敵陣で600m以上ボールを運んだらしい。バンフォードを下げたリーズに対して後方で2人余る状況になるシティ。いつもはプレスした選手が外されるとすかさずカバーに行くリーズだが、さすがに2人少ないとためらうように。シティはこの状況を利用して、インサイドハーフがボールホルダーから離れて、CBがバイタル付近まで運ぶスペースを作るのを先導する。

 風向きが変わったのはリーズがコッホを投入し、PAの人数を増やしてから。マンマーク主体を放棄し、時には7-2-0と見まがうようなフォーメーションでシティを迎え撃つリーズ。PA内に入ってきた選手だけにはマンマークで捕まえる的な形で後ろを重くして対応。いつもはピッチ全体でマンマーク+ゾーン的な受け渡しをPA内に限定し、実現した形である。なるほど、これならば確かに10人でもスムーズに受け渡しはできる。

 ただ、その分ミドルシュートのリスクは高まることになる。それをどこまで許容するか?というバランスは難しかった。シティの同点ゴールのシーンではフェルナンジーニョのミドルをコッホが咎めにいった分、リーズのPAの人数が減少。これに付け込まれてシティにPA内でフリーの選手を作らせてしまった。おそらくこのフェルナンジーニョの位置はミドルを撃たせて外れることを祈るのみなのだろう。

 しかし、終盤まであきらめなかったリーズ。特に左サイドのアリオスキは前がかりになっているシティに対して、一度外で起点になることでボール奪取後にカウンターで攻めあがる時間を稼いでいた。そしてそれが実ったのは90分。アリオスキ起点のカウンターの流れから再びダラス。見ている人すべてが思わず声を上げてしまうようなドラマティックな展開。

 個人的に10人×11人でもっとも面白い試合として記憶に残ることになった試合。マンチェスター・シティファン以外はすべてのサッカーファンが胸を高鳴らせる内容になったはずである。

試合結果
マンチェスター・シティ 1-2 リーズ
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:76′ トーレス 
LEE:42′ 90+1′ ダラス
主審:アンドレ・マリナー

③リバプール【7位】×アストンビラ【9位】

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■ようやくとけたアンフィールドの呪い

 出ている成績の割にはリバプールに厳しめのコメントを残している自覚はある。だが、この日のリバプールは立ち上がりから動きが非常に良かった。相違点はやはり再三指摘したIHの動き。左のミルナーはビルドアップからフィニッシュまで広範囲に動き回り、右サイドのワイナルドゥムは右に流れてサラーとアレクサンダー=アーノルドを開放する。ピッチを広く使い後方と前方のつなぎ役としてIHが機能するという昨年までのいい時のリバプールが少し戻って来たようだ。

 一方のアストンビラも抵抗。中央で食い止められればショートカウンターのチャンスが出てくるし、自陣深くまで下がってもワトキンスを目掛けてロングカウンターのチャンスが。どちらもある程度有効だった。

 気になるのは両チームで共に最終ラインで電池が切れるような振る舞いを見せる選手がいること。ビラはミングス、リバプールはアレクサンダー=アーノルドがふとしたタイミングで軽率なミスをするのが少々目についた。

 そんな中で先制点を得たのはアストンビラ。綺麗なカウンターではないが、中盤で跳ね返したボールをワトキンスまで素早くつないで得点に結びつける。

 ビハインドを負ったリバプールだが中盤が引き続き奮闘。どこかピリッとしない前線に対してチャンスを供給し続けてようやくサラーの得点を演出する。ここからは一進一退の攻防になる。

 そしてこの試合の勝負を決めたのはアレクサンダー=アーノルド。後半追加タイムに左サイドの斜め45度から突き刺すようなシュートでここ数試合の不振を振り払うかのような一発だった。

    アレクサンダー=アーノルドの決勝点でついにホームの連敗を6で止めたリバプール。リーグ戦も含めCL出場権の芽はなお残っている。CLと2足の草鞋で迎える終盤戦は非常に難しいかじ取りを強いられることになるが、ひとまずパフォーマンスが上がってきたことは好材料だ。

試合結果
リバプール 2-1 アストンビラ
アンフィールド
【得点者】
LIV:57′ サラー, 90+1′ アレクサンダー=アーノルド
AVL:43′ ワトキンス
主審:ポール・ティアニー

④クリスタル・パレス【12位】×チェルシー【5位】

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■普通にやって見どころなし

 ある意味、今節で最も話すことがないカードである。試合前に自分がこのゲームの見どころは?と仮に聞かれていたとしたら『普通にやれば3-4-3のチェルシーに対して、4-4-2のクリスタル・パレスはかみ合わない。パレス側が底をどのように克服するか?』と答えるだろう。

 ではこの観点に対して試合中に何が起こったか?というと答えは『何もない』ということになる。クリスタル・パレスはただただ、かみ合わないチェルシーの3-4-3のブロックに対して指をくわえてみていただけである。

   ハーフスペースも大外もチェルシーは出し入れが自由自在。そうなれば当然裏のスペースも使い放題になる。というわけでこの試合は4-4-2に並べられた赤青のカラーコーンを前に3-4-3のチェルシーがボールを動かすだけで勝敗ついてしまったという印象である。

 クリスタル・パレスは後半にプレッシングをかけ始める。ようやく試合が始まった感である。結構やけっぱちなプレッシングではあったが、それなりにチェルシーを苦しめていた。反撃の狼煙を上げるシュラップの突破からのベンテケの得点は、クリスタル・パレスのこの日1本目のシュート。そういえばクリスタル・パレスはブライトン戦もシュートを全部得点に結びつけていたし、初めてのシュートをやたら得点に結びつける不思議な能力があるのかもしれない。

 チェルシーは完勝したものの、プレッシャーをかけられた際の慌て方は前節の大敗で浮き彫りになった課題であり、少々気になる部分。終盤戦の4位争いやCLで致命傷とならないといいが。

試合結果
クリスタル・パレス 1-4 チェルシー
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:63′ ベンテケ
CHE:8′ ハフェルツ, 10′ 78′ プリシッチ, 30′ ズマ
主審:マイケル・オリバー

⑤バーンリー【15位】×ニューカッスル【17位】

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■最もオープンが似合うあの男が切り札

 立ち上がりは一方的なバーンリーペースといってよかった。保持をしつつ攻め込んでくるのはニューカッスルの方だが、明らかに序盤は攻めあぐねていた。バーンリーはそれをきっちり受け止めるとカウンターを発動。中盤から長いボールでつないでいきニューカッスルのボール保持をひっくり返す。

 この日のバーンリーの前線のキープ力は目を見張るものがあった。特に13分のヴィドラのキープは『誰でもいいから早く来い!!』という感じがして非常に好感度が高い根性があふれ出すものだった。バーンリーの先制点もこのFWのキープ力を生かす形から。今度はキープ役がウッド、サイドで体格差を生かしたキープを見せると中に入ったヴィドラがゴールを決める。

 この先制点以降、試合はややオープンになる。バーンリーとしても間延びした展開は苦手なわけではないが、ニューカッスルはシェルビーの展開力が生きやすくなった分、試合を盛り返す。チャンスが作れるようになったニューカッスルに対して、バーンリーはオープンな試合を落ち着かせることが出来なかった。

 試合がフラットになった状態のままバーンリーの1点差リードの状態で迎えた終盤、ニューカッスルの交代選手であるサン=マクシマンが違いを見せる。まずは右サイドでドリブルでタメを作り、マーフィーのゴールをアシストする。直後はカウンター。ドリブルしながら独走で一気にゴールまで陥れてしまった。

 フルハムとの持ちつ持たれつの残留争いが続くニューカッスル。だが、この日は両チームの中で最もこのオープンな展開が似合うサン=マクシマンの活躍で逆転勝利。プレミア生き残りに少し近づくことが出来た。

試合結果
バーンリー 1-2 ニューカッスル
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:18′ ヴィドラ
NEW:59′ マーフィー, 64′ サン=マクシマン
主審:アンソニー・テイラー

⑥ウェストハム【4位】×レスター【3位】

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■踏みとどまった三度の悪癖

 立ち上がりのスタンスは対照的だった。かっちり後方に構えるウェストハムはレスターのボール保持を受け止めながらブロックを組む。一方のレスターはWBを敵陣まで上げながらプレッシングを強めの意識で。両チームの非保持におけるベクトルはやや違っていた。

 このベクトルの違いが試合の摩擦を引き起こす。うまく緩急に乗れたのはウェストハムの方。非保持から保持へのスピードアップが非常に流暢。絶好調のリンガードの勢いは止まらず、ボール保持になった瞬間に素早く敵陣まで脱兎のごとく駆け抜ける。あっというまに2点を取ると、ウェストハムは後半開始早々に3点目を取り、試合を決定づける。

 一方のレスターに対してウェストハムは撤退守備が基本だが、中盤中央へのプレッシングを緩めはしなかった。したがって厳しいマークにあうティーレマンスからレスターはボールを進めることができない状態に。ならばボールを奪おうと前がかりになればなるほど、ウェストハムのロングカウンターが刺さりやすくなるという試合の摩擦をもろに受ける展開になった。

 しかしながら、決定づけた試合をなかったことにするのが最近のウェストハムの悪癖である。レスターへの中盤へのプレッシャーが徐々にかかりづらくなると、後半は主導権を完全にレスターに明け渡す。フォファナの攻め上がりやティーレマンスの展開力から徐々に押し込むようになる。

 イヘアナチョが2得点を取ったところで踏みとどまれたからいいものの、ウェストハムはこれで3試合連続3-0から追い上げられる展開に。悪癖が大惨事につながらなくて一安心だが、後半にイケイケの反動が跳ね返ってくる習性は何とかしなければならない。

試合結果
ウェストハム 3-2 レスター
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:29′ 44′ リンガード, 48′ ボーウェン
LEI:70′ 90+1′ イヘアナチョ
主審:マイク・ディーン

⑦トッテナム【6位】×マンチェスター・ユナイテッド【2位】

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■止められないポグバ、止められたソン

 どちらかといえば試合序盤はトッテナムのペースだった。ソンが本格復帰したことで回帰した3センターが機能。特にロ・チェルソは好印象。縦方向のレイア―の移動で敵陣に侵入したり、守備において体を張ったりなどの今期の中でもトップクラスのパフォーマンスだった。

 マンチェスター・ユナイテッドは積極的にボールハントのためにプレッシングに出ていくが、スパーズからはボールを奪い取れず。ボールを奪いとれなかったとすると、スパーズは得意のカウンターが炸裂!という展開になりそうなもの。しかし、そこはユナイテッドの守備陣がさすがの対応を見せる。

 とりわけ、加速役であるソンへの対応はタイトだった。右のリンデロフ、マクトミネイ、ワン=ビサカを中心にスパーズのスムーズな前進によるカウンターへの移行は許さなかった。トッテナムの先制点はそのわずかなスキを突いたもの。ロ・チェルソ、エンドンベレとボールをつないでいくとケインのワンタッチで一気にラインブレイク。ルーカスの落としをファーのソンが流し込み先制する。直前でマクトミネイがソンへのファウルしたとして得点が取り消されてしまったユナイテッドとしては一番得点を取られたくない相手に取られてしまった形である。

 反撃に出たいユナイテッドのキーマンはポグバ。左のサイドハーフで先発したこの日は前半はDFラインに張り付きながら長いボールのターゲットという珍しい役割をこなしていた。これも効いていたのだけど、より効果的だったのは後半の中央の中盤に出ていく動き。

   前半はアンカーのホイビュアがブルーノ・フェルナンデスをきつくマークしていたため、ユナイテッドはライン間で起点を作れなかったが、後半はポグバが似たような位置にやってくることによってホイビュアに迷いが出ることになる。これにより押し込む機会を作るとトッテナムは徐々にバックスの脆さが露わになる。中央のコンビネーションを生かし、フレッジが同点ゴールを叩きこむと、サイドの流れるようなコンビネーションから先制点が幻になったカバーニが決勝ゴールを決める。

   やはりトッテナムの守備陣はポグバの地上戦と空中戦の手ごわさにだいぶ苦心した様子。ソンを止め続けるユナイテッドの守備陣と対照的に、後半にバックスが押し込まれた様子がしっかりスコアに反映された逆転負けとなってしまった。

試合結果
トッテナム 1-3 マンチェスター・ユナイテッド
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:40′ ソン
Man Utd:57′ フレッジ, 79′ カバーニ, 90+6′ グリーンウッド
主審:クリス・カバナフ

⑧シェフィールド・ユナイテッド【20位】×アーセナル【10位】

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■驚きのオプションで得た久々の完勝

 リーグ戦での欧州カップ出場権がだいぶ危うくなってきたアーセナル。もちろん、数字上の可能性は残すものの好調のウェストハムやチェルシー、復調気配のリバプールなどの相手がミスを続けてくれなければ道は拓けない。

 一方のシェフィールド・ユナイテッドも目標に対して苦しいのは同じ。もっとも彼らは自分たちがまず勝利を積み重ねなければ逆転残留はあり得ないのだけど。

 苦しい状況の両チームだが、試合はテーブルの上にいるアーセナルのワンサイドゲームに。直近の弱点であるつまり気味なサイドのビルドアップの手当てとしてジャカをSBに起用したアルテタ。このジャカで相手の中盤を引き付けながら、ライン間のスペースを徐々に得る。

    ジャカを起点に展開する逆サイドではペペとトップ下のサカのコンビネーションが良好。左で作り、右で仕上げる流れからチャンスを作り出す。中央ではラカゼットが堅調。高い位置での関与がこの日多かったセバージョスとのコンビネーションで先制点を上げると、後半プレスの強度を上げたブレイズに対しては低い位置でポストプレー。身体を張ることで前進を手助けする。仕上げの3点目も決めて、組み立てから得点まで大車輪の活躍だった。

   ジャカのLSBで懸念とされるドリブラー対応はこの日のブレイズのシステム上不問。このやり方が機能したのは相手次第のところも大いにあるだろうが、まずはティアニーがシーズン絶望の負傷を負った左サイドにオプションが出来たことは喜ばしいところ。久々の先発となったマルティネッリは得点を挙げることが出来たし、エンケティアも出番を得た。

   突破に向けて勝利が望まれるELに向けて弾みをつけることができた快勝だ。

試合結果
シェフィールド・ユナイテッド 0-3 アーセナル
ブラモール・レーン
【得点者】
ARS:33’ 85‘ ラカゼット, 72’ マルティネッリ
主審: ピーター・バンクス

⑨ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン【19位】×サウサンプトン【13位】

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■並び立ったワースト候補、DFラインを手玉に取ったディアーニュ

 クリスタル・パレス×チェルシーを見た時は今節のワーストチームは間違いなくクリスタル・パレスだと思ったのだが、このサウサンプトンも彼らに並ぶ出来の悪さだった。4-4-2で噛み合う上下動が多い展開というと、どちらかと言えばサウサンプトンのペースになりやすいと思ったのだが、この日は明らかにウェストブロムペースだった。

 最も大きかったのはウェストブロムのFWのディアーニュの存在。彼のフィジカルによってサウサンプトンのDFラインを下げることができたのが大きかった。もっとも、不可解な部分もある。サウサンプトンがラインを下げたというよりは、ディアーニュの位置によってサウサンプトンの最終ラインの位置が決まってしまっているように見えた。

 シーズン序盤を思えば、ラインをきっちり上げてオフサイドを意識したコンパクトな4-4-2を組んでいたサウサンプトンが人を基準にここまでラインを乱すのはかなり不自然。DFラインがいびつなウェストブロムは中盤が非常にスカスカ。ウェストブロムはスペースが広がったサウサンプトンの中盤でドリブルし放題だった。

 その結果押し込まれてシュートの雨あられを受け続けるサウサンプトン。PKを与えたシーンの対応も疑問が残る。降りていくディアーニュにフラフラついていったヴェスターゴーアは、ボールにもディアーニュにも触れないままフリックを許して何もせずに裏を取られてしまう。2失点目は目も当てられないイングスのプレゼントパスから。3失点目もディアーニュが降りていったスペースに出ていったペドナレクのスペースにロビンソンが走りこんでフィニッシュ。

 後半はやや盛り返したものの、ウェストブロム相手に手も足も出なかったサウサンプトン。ディアーニュに支配された最終ラインでは彼らに全く太刀打ちができなかった。

試合結果
ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン 3-0 サウサンプトン
ザ・ホーソンズ
【得点者】
WBA:32′(PK) ペレイラ, 35′ フィリップス, 69′ ロビンソン
主審:シモン・フーパー

⑩ブライトン【16位】×エバートン【8位】

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■ブライトン『らしい』ドロー

 ボールが行きかう序盤戦を仕掛けたのはおそらくエバートンの方。アップテンポでボールの移動距離が多い展開すれば火力の部分では確かにエバートンの方が有利な気がする。

 しかしながら、試合の展開が落ち着くとブライトンが主導権を引き寄せる。きっかけはもちろんボール保持の局面。いつものビルドアップのスキルは健在で高い位置から追いかけまわすエバートンを尻目に、プレスを鎮静化させることに成功。いつも思うのだけど、ブライトンは長いボールを逃がすのが地味にうまいのがポイント。FWがポジション取りをサボらないせいなのかもしれないけど、近いパスを防がれたら長いパスで逃がせるので長いボールがボールを捨てることにならないというのが彼らのポゼッション安定の礎である。

 プレスが空転して苦しむエバートンは徐々に自陣に押し込まれていく。彼らにも長いボールでの前進の手段はあるはずなのだが、ロングボールの収まりどころとなるキャルバート=ルーウィンの不在のためこの日は不発。それに伴う副作用としてハメスが前を向く時間を作れないという状況に。逆サイドのディーニュへの大きな展開はこの日は見られなかった。

 そうなるとブライトンとしてはリシャルリソンの突進だけ止めておけば問題なし。エバートンは前進の手段に窮することになる。ブライトンが非保持の局面においてもビスマを中心に彼らが主導権を握る。とはいえ、押し込んでもブライトンのシュートが枠の外にビュンビュン飛んでいくのはいつも通り。

 交代してもペースを握れず、苦しんだエバートンはらしくなかったが、ペースを握りつつもシュートの決定力に苦しむブライトンはらしさ全開だった。

試合結果
ブライトン 0-0 エバートン
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
主審:ダレン・イングランド

   おしまいじゃ!

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