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「Catch up Premier League」~Match week 37~ 2024.5.11-5.13

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フラム【13位】×マンチェスター・シティ【2位】

ストライカー顔負けのグバルディオルが大勝を牽引

 依然続くアーセナルとのマッチレース。シティに残されたのはロンドン勢との3連戦である。その初戦となるのはアーセナルに今季勝利を許さなかったフラム。クレイブン・コテージへの遠征が今節のシティの試練となる。

 凧揚げの画像が出回っていたフラムはこの試合にきっちりフォーカスする姿勢を見せた45分だったと言えるだろう。ボビー・リードが最終ラインに入ることで5バック化してシティの可変にはきっちりついていく姿勢を見せており、撤退守備ではスペースを消すプランを敷く。

 保持に回ればレノを活用したボール回しでバックスから左右に動かしながらシティのプレスを掻い潜りにいく。しかしながら、シティも最終仕様。立ち上がりからデ・ブライネの列上げに2列目の4枚が呼応する形でフラムのバックスに厳しいプレッシャーをかけていく。フラムは自陣にシティを誘き寄せることはできていたが、避けることに精一杯で前線では孤立するムニスが時間を作ることに苦戦していた。

 シティはアカンジが列を上げることでオーソドックスな3-2-5変形を見せていく。5レーンにきっちり人を揃えるフラムに対して、どこからいくのかな?と思ったが、レーン交換でインサイドに侵入したグバルディオルがストライカー顔負けのフットワークからあっさりとディオプを交わして先制点をゲットする。

 反撃に出たいフラム。ロビンソンの大外やイウォビの裏への一発のパスなど、わずかな可能性にかけるためのボールを出すことはできてはいたが、ディアスを中心としたシティの守備陣は非常に強固。ワンチャンスを狙ったボールはことごとくカットされる。逆に攻め上がったSBの背後を狙うデ・ブライネを起点としたカウンターでボックス内に迫られることも。クロスに対して体を投げ打ちながら、なんとか1点差でハーフタイムを迎えたというフラムだった。

 後半の立ち上がりもペースを握ったのはマンチェスター・シティ。前半と同様にボールを持ちながら試合をコントロールしていく。ようやくフラムのターンになった時にボールを持ったのはケアニー。交代で入った彼が瞬間的に空いたイウォビへのスルーパスを出せなかったのはこの試合へのリズムにまだ慣れていないことの証左だろうなと思う。

 頼みの綱だったトラオレはほんのりチャンスの香りを匂わせるのが精一杯。試合をコントロールするシティはベルナルドの斜めの侵入からのこぼれ球をフォーデンが仕留めて2点目を奪う。

 実質このゴールで試合は決着だったと言えるだろう。3点目はベルナルドのクロスにファーサイドに詰めたグバルディオル。またしてもストライカー顔負けのゴールでフラムをさらに突き放す。

 これ以降はフラムはシティ相手にボールを取りにいく心をへし折られてしまった。無抵抗のままボールを回され続けた結果、後半追加タイムにはディオプが退場。これで得たPKをアルバレスが仕留めて4点差に。

 ランチタイムキックオフもなんのその。終盤戦のシティらしい盤石さでアーセナルにプレッシャーをかけた。

ひとこと

 シティ、強かった。フラムにはこれ以上できることはあまりなかったように思える。

試合結果

2024.5.11
プレミアリーグ 第37節
フラム 0-4 マンチェスター・シティ
クレイブン・コテージ
【得点者】
Man City:13′ 71′ グバルディオル, 59′ フォーデン, 90+7′ アルバレス
主審:アンソニー・テイラー

エバートン【15位】×シェフィールド・ユナイテッド【20位】

保持で圧力をいなしてホーム最終戦を飾る

 紆余曲折あったエバートンのシーズンの最後を飾るホームゲーム。勝ち点減がなければ今季の成績は近年では十分な水準。きっちりと仕事を果たしたダイチがブレイズをグディソン・パークに迎えての一戦に臨む。

 立ち上がりはいつも通り、ブレイズが元気なスタート。ハイプレスで相手を捕まえていき、自陣ではバックラインで幅を使いながらエバートンのハイプレスを逃していく。

 しかしながら、エバートンにとってはこうした動きをなんとかするのは得意分野。死なば諸共のバーンリーもルートンもあっさりと退けてきた。ブレイズのハイプレスもこれらの前例のようにあっさりと破壊。キャルバート=ルーウィンへのロングボールからボールの収めどころを作る。

 今季は不振に苦しんだキャルバート=ルーウィンだったが、終盤戦にはきっちりとコンディションを上げている。きっちりと収めるだけでなく、左右に動きながらのスペースメイクも同時にこなすことで2列目の飛び出しを促す。この試合ではドゥクレとのコンビネーションが秀逸。左右の背後に動きながらCBをどかし、ドゥクレがゴール前に飛び込むスペースを作り続けていた。

 この形からエバートンは先制。キャルバート=ルーウィンがサイドに流れながらグラウンダーのボールを収めると、折り返しをほぼノープレッシャーのドゥクレが押し込んでゴール。前触れのある崩しの形からゴールを奪い取る。

 守備ではロングボールの封殺役としてCBが躍動。こちらも左右に動きながらブレアトンが起点となる動きを見せるが、ブランスウェイトは難なくこの動きについていき攻撃を無効化。相棒のターコウスキと背後のピックフォードも含めてこの3人のコンディションは非常にいい。ブレイズは攻守に勝てるポイントがなくなっていき、徐々に苦しい状況となっていく。

 後半も陸続き。ブランスウェイトのデュエルで制空権を握ったエバートンが優位をキープしていることをきっちりとアピールするスタートとなった。

 ロングボールは難しいことがよくわかったブレイズはショートパスを繋ぎながら、ボールを前に進めていく意識を持つように。エバートンはロングボールほどこの動きにシャープに対応できていたわけではないので、前半よりは押し込むきっかけを作ることはできていた。

 ただし、エバートンは保持から少しずつリズムを取り返していく。序盤の死なば諸共ハイプレス以外には出て行けないし、引いてもなんともならないブレイズにとってはボールを回されてしまうとリズムが完全に途切れてしまう。この部分は年間を通してプレミアで戦う上で足りなかったところだと思う。

 バタバタせずに落ち着いて対応したエバートンが逃げ切りに成功。ホーム最終戦をきっちりと勝利で飾った。

ひとこと

 センターラインが好調なエバートン。エミレーツでは要警戒である。

試合結果

2024.5.11
プレミアリーグ 第37節
エバートン 1-0 シェフィールド・ユナイテッド
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:31′ ドゥクレ
主審:スチュアート・アットウェル

ウェストハム【9位】×ルートン・タウン【18位】

苦しみに打ち勝ったウェストハムに屈して1年での2部帰還が決定的に

 フォレストとの得失点差を考えれば、敗れてしまうと残留の可能性はほぼ潰えてしまうルートン。ウェストハムとの一戦は絶対に勝たないといけない状況である。

 高い位置から敵陣でガンガン圧力をかけていくルートン。ショートパスでボールを動かしていきたいウェストハムはなかなかこのプレスを外すことができずに苦戦する。

 流れに乗ったルートンは一気に先制点をゲット。左サイドの裏を取るアデバヨからの押し下げに成功すると、2列目から飛び込んだロコンガがゴールを決める。

 リードをされたウェストハムは高い位置からプレッシングでリカバリーを図ると、ルートンは自陣での繋ぎで崩壊しかけてしまう。低い位置でのロストが多く、ウェストハムの圧に負けるようなプレーがちらほらと出てくるようになる。

 助かったのはウェストハムの精度がそこまで伴っていなかったこと。押し込んでもソリューションが見つからないままボールを持つ時間が増えることとなった。高い位置で奪える、ボールは持てる。だけどもボックス内での解決策が見つからないという状況のウェストハム。

 押し込まれるルートンも脱出の仕方が見つからずに苦戦。ウェストハムは敵陣攻略のフェーズで、ルートンは保持からの脱出のフェーズでそれぞれの苦しみを抱えながらハーフタイムを迎える。

 まずいと思ったのはルートン。このままでは追いつかれてしまうのは時間の問題という判断だったのだろう。高い位置からのプレッシングに出て行こうとするが、プレスはワンテンポ遅れてしまい、逆にウェストハムが前進のスペースを見つけてしまう。

 ウェストハムのプレス回避は順調。中盤を使いながらスムーズに前進が可能な状況出会った。同点の決め手になったのは右サイドからのキャリー。ボーウェンがドリブルでサイドからゴリゴリと押し下げると、ここから2列目が飛び込んできたウォード=プラウズのゴールで試合を振り出しに戻す。

 さらにはウェストハムはセットプレーから逆転。波状迎撃から逆転ミドルを仕留めたのはソーチェク。ルートンの残留の希望を打ち砕く一撃でリードを手にする。

 さらに縦に進むクドゥスからの折り返しでウェストハムはトドメの一撃。ゴールを決めたのはアーシー。嬉しい初ゴールとなった。

 悠々と逆転をするホームチームの地力に屈してしまったルートン。ウェストハムの快勝により、1年でのチャンピオンシップ帰還がほぼ確実な情勢となってしまった。

ひとこと

 ハイプレスの出足が鈍った後半の頭のクオリティが苦しかったルートンだった。

試合結果

2024.5.11
プレミアリーグ 第37節
ウェストハム 3-1 ルートン・タウン
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:54′ ウォード=プラウズ, 65′ ソーチェク, 76′ アーシー
LUT:6′ ロコンガ
主審:マイケル・オリバー

ボーンマス【11位】×ブレントフォード【16位】

突如訪れた終盤のゴールラッシュ

 共に積極的なプレッシングの姿勢が身の上の両チームだが、この試合は非常に落ち着いたスタート。無理にプレスに出ていかず、バックラインは自由にボールを持つことができるスタートとなった。

 立ち上がりにボールを持ったのはブレントフォード。バックラインからショートパスで繋ぎながらじっくりとボーンマスを押し込んでいく。

 だが、10分くらいになると今度はボール持つようになったのはホームのボーンマス。大外、もしくは裏に長いフィードを送るというこれまたあまりらしくない配球から前進を狙っていく。押し込むフェーズが安定したと見たら、ライン間のセメンヨを活用するなど、少しずつテンポを掴むように。

 このように保持が交互になっていくこの試合。そんな中でゴールに迫ったのはホームチーム。ボーンマスはソランケがネットをゆらすが、これはミドルゾーンで加速したセメンヨのハンドを取られてしまい取り消しに。

 さらには直後にも無人のゴールにボールを押し込んだソランケだったが、今度は自らの競り合いでファウル。いずれも微妙な判定でゴールが認められることはなかった。ブレントフォードも対角のフィードから右のムベウモを軸に攻めるが、こちらもゴールに迫ることはできず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。

 後半、押し込むフェーズになったのはボーンマス。だが、サイド攻撃に対してはブレントフォードの対人守備が冴えており、なかなか打開策を見つけることができず。ハイクロスもボックス内のブレントフォードの守備陣に跳ね返される展開が続く。

どちらが攻めても展開は大味。交代選手を入れて流れを変えようとするが、攻撃側のファウルが多くリズムを作ることができない状況が続いてしまう。

 すると、ブレントフォードがPKを獲得。トニーがサバルニーに倒されるが、これはOFRで取り消し。経験の少ない審判団ならではのバタバタとした展開に両チームは振り回される。

 どちらも決め手にかける展開は終盤に一気に解放。まずはフレッケン→トニー→ムベウモと長いボールからの展開でゴール前に少ない手数で迫ってゴールを陥れる。

 しかし、ボーンマスは負けじと同点に。ハイクロスに対して競り勝ったソランケが取り消された判定への鬱憤を晴らすかのようなゴールですぐに追いつく。

 このまま痛み分けかと思われた試合は追加タイムに決着。右サイドを抜け出したウィサが決勝ゴールを仕留めて土壇場で勝ち越し。アウェイでのスリリングな終盤戦を制して勝ち点3を手にした。

ひとこと

 いきなり文脈なき両チームのゴールラッシュ!

試合結果

2024.5.11
プレミアリーグ 第37節
ボーンマス 1-2 ブレントフォード
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:89′ ソランケ
BRE:87′ ムベウモ, 90+5′ ウィサ
主審:マシュー・ドナヒュー

ウォルバーハンプトン【12位】×クリスタル・パレス【14位】

要所の鋭さでトップハーフ入りの望みを繋ぐ

 絶好調のクリスタル・パレス。このままいけば逆転でのトップハーフ入りも夢では無いところまで辿り着いている。そのためには上にいるウルブスは乗り越えなければいけない相手である。

 立ち上がりはウルブスが保持をベースにスタート。パレスのプレスはこの日も意欲的ではあったが、シャドーの選手はインサイドを締めることを優先していたため、バックラインは比較的自由にボールを持つことができていた。

 しかしながら、中盤の縦パスに対するパレスのプロテクトは非常に強固。ヒューズが負傷交代により、アハマダに代わってもなお中盤のハードなタックルは変わらず。縦へのパスをきっちり潰すことで攻撃に出ていく姿勢を見せている。

 中盤での確かな手応えを携えて、パレスは15分過ぎからハイプレスに移行。ここから先制点を奪いきる。ウルブスは数回怪しいボールロストがあっただけにこの繋ぎのミスは避けたかったところ。失点シーンの直前ではくしくもロングキックを指示するような手振りを見せているオニールが抜かれており、ウルブスの面々がそれに従わずにあっさりとロストしているのは切なさがあった。堅くともインサイドにこだわるアイト=ヌーリなど内側への繋ぐ姿勢が裏目に出た格好である。

 さらにパレスは勢いに乗って追加点。オリーズの敵陣でのファンタスティックなプレーからマテタの追加点をお膳立てする。

 後半、ウルブスは反撃に向かう。根性でのターンを見せるベルガルド。クーニャのポストなどから少しずつチャンスを作っていく。右サイドからのポストからの細かいパスからのチャンスメイクなどアタッキングサードでの崩しも見せていく。

 パレスもエゼの抜け出しなどトランジッションを中心に攻略を仕掛けていく。だが、ゴールを決めたのはウルブス。クーニャの得点で1点差に追い上げる。

 だが、いけると思った矢先のところからパレスはゴールを決める。エゼがゴールを仕留めてパレスは再び突き放す。ウルブスはトティ・ゴメスが出て行き過ぎてしまったところが致命傷。背後を開けてしまったところを鋭く突かれてしまう。

 保持でなんとかしたい意思を見せたウルブスに対して要所要所の鋭さでダメージを与えたクリスタル・パレス。終盤にアハマダが退場するというアクシデントもあったが、アウェイでもお構いなしの3得点で好調をキープ。逆転でのトップハーフ入りに望みを繋ぐことができた。

ひとこと

 パレス、強いね。切れ味でいえば今プレミアで一番かもしれない。

試合結果

2024.5.11
プレミアリーグ 第37節
ウォルバーハンプトン 1-3 クリスタル・パレス
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:66′ クーニャ
CRY:26′ オリーズ, 28′ マテタ, 73′ エゼ
主審:トーマス・ブラモール

トッテナム【5位】×バーンリー【19位】

厳しいやりくりの中で望みを繋いだトッテナム

 トップ4入りと残留争い。互いに目標は違っていたとしても負けられない一戦である。死なば諸共という色がより濃いバーンリーはマンツーハイプレスに後方からのガンガンオーバーラップで攻撃を仕掛けていく。前に飛び込む意識も強いバーンリーは早々にヴィチーニョが飛び込んで決定機を迎える。

 トッテナムもきっちりとファストブレイクから反撃。こちらもジョンソンが決定機を迎える。試合のカラーとしては正面からのマンツーの斬り合いという流れになっていく。互いに保持での解決にこだわり、GKを使ってのプレス回避を実施。力の差を考えればトッテナムが有利なのは間違いないのだけども、ミスが多くバーンリーにもチャンスを与えてしまっている状況であった。

 先制したのはバーンリー。スキップを出し抜いたラーセンが先制ゴールを仕留めて絶対に勝利が必要なバーンリーが前に出る。

 しかしトッテナムも7分後に同点。右サイドに突撃したポロが試合を振り出しに戻す。このゴールでトッテナムは少し落ち着きを取り戻すことに成功。即時奪回から圧をかけている流れを作り出すことで試合を握ることができた。それでもバーンリーは抜け出してチャンスを作り出すなどの抵抗を見せた状態で試合はハーフタイムを迎える。

 勝たないといけないバーンリーは後半ハイプレスに移行。しかしながら、保持に回るトッテナムは前半の終盤同様に保持で落ち着かせることができており、バーンリーのハイプレスはゲームのペースを変えるきっかけにはならなかった。

 後半のトッテナムの決め手になったのは後方から攻め上がるアクションを見せていたDF陣。ボール奪取からそのまま前に上がって行ったロメロなど、機を見た後方からの思い切りのいいオーバーラップにバーンリーが後手を踏むシーンがちらほら見られるようになった。

 そして、決勝点を決めたのはファン・デ・フェン。スキップに代わって終盤に左サイドに入ったファン・デ・フェンがインサイドに入り込むという意外性のある形からゴールをこじ開けることに成功する。

 これまでバーンリーと戦ったチームに比べれば、この試合の終盤戦のトッテナムはだいぶ隙があったように思えたが、勝ちが必要なバーンリーにとってはこの1点は大きな重石に。結局試合はそのまま終了。ややバタバタしながらも目的の3ポイントを手にしたトッテナムとは対照的に、バーンリーは1年での2部降格が決まる結果となった。

ひとこと

 トッテナムの終盤戦のやりくりはかなり厳しそう。

試合結果

2024.5.11
プレミアリーグ 第37節
トッテナム 2-1 バーンリー
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:32′ ポロ, 82′ ファン・デ・フェン
BUR:25′ ラーセン
主審:ジャレット・ジレット

ニューカッスル【6位】×ブライトン【11位】

保持ベースの後半は活路を見出せず

 欧州カップ戦争いに残り続けているニューカッスル。まだまだやることが残されているシーズンになっている。今節はホームにブライトンを迎えての一戦となった。

 保持をベースに押し込んでいくスタートになったのはニューカッスル。序盤に存在感を発揮したのは両SB。インサイドに入り込むリヴラメントと左の大外でファウルを奪取するホールが攻撃で目立つ存在になっていた。

 非保持に回ればバックラインには左の大外にアンダーソンが入り5バックを埋めるプランに出たニューカッスル。ゴードンを前に残したのはカウンターでイサクと2人で点を取れるからということだろう。

 ブライトンは押し込むところまで持ち込むことができていても、なかなかボックス内に迫る手段を見出すことができず。そんな困ったブライトンはセットプレーから先制点をゲット。ウェブスターがゴールを決めてリードを奪う。

 以降はニューカッスルが主導権を握って攻めて行く展開。特に効いていたのは左サイド。ゴードンを軸に追い越すホールがアクセントになり、ブライトンの守備を苦しめ続ける。

 瞬間的に保持で切れ味を見出したブライトンだが、前半終了間際にゴールを奪ったのはニューカッスル。左サイドでやり切ったゴードンがゴールの立役者。一度は止まったかと思いきや、縦パスでサイドスイッチを入れてアシストのお膳立てをしたのは見事。得点には直接関与はしていないが、彼の功績は非常に大きい。

 後半はニューカッスルの保持ベースで試合は進む。保持から打開策を見つけようと押し込みながら攻め手を探していく。しかしながら、前半ほどのアタッキングサードの切れ味はなし。ブライトンも少しずつ保持からテンポを立て直しているが、こちらも前半同様にボックスに迫るところの手段が見つからない。

 ただし、ニューカッスルも明らかに受けに回ると脆い様子を見せてはいたので、押し込むところからミスを誘発できそうな気配までは持って行くことはできていた。

 互いに交代選手が入っても流れは変わらず。試合はどちらもスコアを動かすことができないまま終了。互いに痛み分けで終了のホイッスルを迎えることとなった。

ひとこと

 同点ゴールのゴードン、ワールドクラス。ぜひEUROで見たい。

試合結果

2024.5.11
プレミアリーグ 第37節
ニューカッスル 1-1 ブライトン
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:45+5′ ロングスタッフ
BHA:18′ フェルトマン
主審:ダレン・イングランド

ノッティンガム・フォレスト【17位】×チェルシー【7位】

お祝いムードに冷や水をかける

 直前の時間の試合でルートンとバーンリーが敗れてしまった為、事実上の残留がほぼ確定したフォレスト。欧州カップ戦争いに名乗りを挙げているチェルシーをリラックスした気持ちで迎えることができる状況に。

 試合はチェルシーの保持でスタート。ククレジャがインサイドに入るアクションでカイセドの横に立ち、内側でポイントを作っていく。ここからIH役となるパルマーとギャラガーを解放するパスワークができれば理想。チェルシーは早々にパルマー→ムドリクのスルーパスから一気にゴールを陥れる。

 順風満帆なチェルシーのスタートであったが、少しこのゴールシーンのような一発でゴールに迎えるパスにこだわりすぎていた感があった。こういったパスは決まれば強いが、成功率が低い分カウンターを食らう危険性もある。そういう意味では諸刃の剣。フォレストはカウンターでの出足が非常に良好だったので、こうした状況を生かしたポジトラからのカウンターでチャンスを作る。フォレストはムリージョのキャリーからファウルをもらうと、このセットプレーからボリーがゴールを奪う。

 以降も試合の構図としては同じ。保持のチェルシーはシステムの流動性を探りながらフォレストのカウンターを受ける形で試合が推移。ミスが減らずになかなかペースを掴みきれず、トランジッション色が強くなったままハーフタイムを迎えることとなった。

 後半、ククレジャは正位置に移動。よりシンプルな4-2-3-1からの組み立てでボール保持をベースに戦っていく。特にククレジャがいなくとも中央はポイントを作ることができていたし、大外にグストを入れることで右の大外が生きるようになってからはさらに威力を増す。

 後半のフォレストは左のハドソン=オドイを軸としたカウンターが生命線。それでも確実にここにボールを届けることができるギブス=ホワイトのおかげでここからゴールに迫ることができていた。

 先にゴールを決めたのはフォレスト。エランガの助けを借りてより高い位置に入り込むことができたギブス=ホワイトからハドソン=オドイにラストパスを決めるとここからスーパーゴールをゲット。この試合初めてのリードを奪う。

 追いかけるチェルシーは両サイドのテコ入れから追い上げを図る。先に効果を出したのは左サイド。スターリングの得意なカットインからの角度のついたシュートで同点に追いつく。

 そして、決め手になったのは遅れてやってきた右サイド。復帰のジェームズの美しいクロスをジャクソンが叩き込んでついにリードを奪い取る。

 劇的な逆転と嬉しいキャプテンのアシストで試合をひっくり返したチェルシー。残留がほぼ確定したフォレストに冷や水をかけて勝ち点3を確保した。

ひとこと

 ジェームズ、素晴らしい復帰アシスト。

試合結果

2024.5.11
プレミアリーグ 第37節
ノッティンガム・フォレスト 2-3 チェルシー
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:16′ ボリー, 74′ ハドソン=オドイ
CHE:8′ ムドリク, 80′ スターリング, 82′ ジャクソン
主審:トニー・ハリントン

マンチェスター・ユナイテッド【8位】×アーセナル【1位】

苦戦を強いられながらも最終節に望みをつなぐ

 レビューはこちら。

 昨年、アーセナルの優勝の夢が止まった37節は今年も鬼門。有観客では2006年を最後に勝利していないオールド・トラフォードを越えなければ20年ぶりのリーグタイトルは見えてこない。

 今季1番の苦しい陣容と言っていいユナイテッドに対して、アーセナルは高い位置から積極的に攻めていく。右サイドのサカを中心に即時奪回を効かせて波状攻撃に出ていく。

 しかしながら、ユナイテッドも反撃に。サカの背後のダロトへのオナナのロングボールを起点に擬似カウンターを発動すると、ここからスピードアップして敵陣に入っていく。

 ハイプレスが機能しないアーセナルは思ったように主導権を握ることができないスタートとなったが、ユナイテッドのミスに漬け込む形で先制。ロングキックのミスからラインをあげ損ねたカゼミーロのところを生かしてハヴァーツが右サイドを破るとトロサールがゴールをゲット。アーセナルが試合を動かすことに成功する。

 ハイプレスを強めるユナイテッドに対して、アーセナルはDF-MFの背後にパスを差し込むことでひっくり返しての2点目を狙う。しかしながら、ユナイテッドもアムラバトの躍動から中盤より前でカウンターを潰すことに成功。アーセナル相手にガルナチョを生かしたファストブレイクからゴール前に進んでいく。アーセナルのリトリートが間に合ってしまうと、攻め手がなかったユナイテッドにとってはこのファストブレイクは生命線だった。

 後半も前半と陸続きの内容。敵陣からプレスを仕掛けていくユナイテッドに対して、なかなか効果的にボールを動かすことができない。

 押し込むことができればサカを軸とした右サイドからゴールに迫ることができるアーセナルはハヴァーツへのロングボールを生かしたセカンド回収という安全策にシフト。試合をフラットに引き戻していく。守備で後手に回っていた右サイドはサカの負傷交代を機にジェズスを入れることで蓋。マルティネッリという速攻の武器も投入し、後方を固めて少ない人数での攻撃完結を意識した陣容に変化する。

 後半頭はガルナチョを軸としてゴールに向かうことができていたユナイテッドだったが、時間の経過に伴うガス欠と後方を固めるアーセナルを前に徐々に攻め手がなくなるように。アーセナルは苦しみながらも鬼門越えに成功。ユナイテッドファンが押し寄せるオールド・トラフォードを17シーズンぶりに攻略し、再び暫定首位を取り返した。

ひとこと

 プレッシャーのかかる状態での鬼門突破は見事。

試合結果

2024.5.12
プレミアリーグ 第37節
マンチェスター・ユナイテッド 0-1 アーセナル
オールド・トラフォード
【得点者】
ARS:20′ トロサール
主審:ポール・ティアニー

アストンビラ【4位】×リバプール【3位】

ラッキーボーイの登場で試合の流れが大きく変わる

 トッテナムとの4位争いは相当優位ではあるが、アストンビラのラスト2試合はリバプールと絶好調のクリスタル・パレス。最後の一山がなかなかに険しいこととなる。リバプールとはいえホームのこちらを制して、なんとかCLを確定させておきたいところである。

 そんなビラの思惑とは裏腹はにリバプールは早速先制点をゲット。右サイドからの仕掛けに対して、マルティネスがまさかのオウンゴール。2分でリバプールがいきなり前に出る。

 以降もリバプールがペースを握る。右サイドで大外に張るサラーをベースに攻撃を仕掛けていく。ロスト後は勢いをそのままにハイプレス。アストンビラは押し返すこともできなければ、ボールを奪うところも見つけることができない状態で一方的に押し込まれる。

 確かに敵陣の深い位置に入り込むことができたらビラも攻撃することができていたのだけども、そうした機会は稀。ティーレマンスがわずかなチャンスを活かしてゴールを決めて試合を振り出しに戻せたのはかなり意外な展開であった。

 その後も右サイドを軸につっつくリバプール。大外に張るサラーを軸にバタバタしているアストンビラの守備陣を破壊していく。2点目は同点ゴールの10分後。起点と終点両方を務めたガクポがゴールを決めて2ゴール目。ゴメスのオーバーラップを生かす形でのゴールで再び前に出る。この場面で関わらずSBのオーバーラップはリバプールの貴重な攻め手になっていた。

 このゴール以降は間延びした中盤をスキルの高い保持側が蹂躙する展開に。つなげるチーム同士ならではのオープン合戦に移行する。押し込む頻度ではアストンビラが徐々に上回る形となって試合はハーフタイムを迎える。

 後半、口火を切ったのはリバプール。クアンサーのセットプレーからのゴールでさらにリバプールは突き放す展開。

 ただ、このゴールは試合の展開には関係なし。中盤がら空きのオープン合戦は後半も継続。後方の選手たちがオフサイドで踏ん張らなければより多くの得点が入っていたはずである。

 2点リードのリバプールはやや余裕を持って試合を運んでいたように思えたが、その流れを変えたのはデュラン。85分にゴールを決めると、ここからビラは勢いに乗ることに。88分のゴールは完全なラッキーだったが、1ゴール目で完全に引き寄せた流れだろう。

 ゲームチェンジャーとなったデュランによって勝ち点1を拾うことに成功したアストンビラ。ホーム最終戦で踏みとどまり、ミッドウィークにシティと戦うトッテナムにプレッシャーをかけた。

ひとこと

 デュラン、いかにもラッキーボーイという働き。

試合結果

2024.4.15
プレミアリーグ 第33節
アストンビラ 3-3 リバプール
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:12′ ティーレマンス, 85′ 88′ デュラン
LIV:2′ マルティネス(OG), 23′ ガクポ, 48′ クアンサー
主審:サイモン・フーパー

今節のベストイレブン

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