①ニューカッスル【16位】×アストンビラ【9位】
■終盤に着火、決定機の応酬はラストプレーまで
前節は互いに消化不良気味の内容だった両チーム。しかし、両チームとも大きなスタイル変更はなし。ニューカッスルはチャレンジ中の4-3-1-2を維持し、アストンビラも同様に前節からの4-3-3での形を継続した。
残念だったのはシステムだけでなく停滞感も前節を引きずってしまったこと。ニューカッスルはアンカーとして起用が固まりつつあるシェルビーを軸に左右にボールを振っていくが、なかなか崩しのキッカケを掴むことができない。
一方のアストンビラも決定打に欠けてしまうのは同様。唯一違うのはニューカッスルが4-3-1-2という中央で固めた形で迎え撃った分、アストンビラの方がサイドから上げるクロスに余裕があったこと。ニューカッスル側の攻撃はこのクロスを上げる部分も窮屈。エリアにボールを届けるのはしんどそうだった。
エリアからボールを跳ね返される攻撃の応酬が繰り返す中で変化が出てきたのは80分過ぎ。途中交代のマーフィーがシュートをポストに当ててアストンビラのゴールを脅かしたのが最初の変化の匂いだった。これをきっかけに試合はテンポアップ。得点という結果に結実したのはアストンビラの方。OGを引き起こしたクロスはここまで同様、ニューカッスルのDF陣がタイトにマークに行けない状況に。
ここからゴール前での展開続きになったこの試合。バークリーとワトキンスのコンビ主体で3対1の局面から作ったシュートはドゥブラフカがストップ。アストンビラは試合を決められる場面はあったが、結果としてこれを外したのが高くつくことに。ラストプレー直前からロングスローの流れのクロスから最後はラッセルズがヘッドで叩きこみドローに持ち込む。80分過ぎに着火した試合は痛み分けとなった。
試合結果
ニューカッスル 1-1 アストンビラ
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:90+4′ ラッセルズ
AVL:86′ クラーク(OG)
主審:ポール・ティアニー
②リーズ【11位】×チェルシー【4位】
■組み合って貫くマイスタイル
どちらもマイスタイルで突き進むチーム同士の対戦。格上だからという理由で怯むリーズではないのでこの日も当然いつも通りのスタンスでオープンな流れを狙ったプレーに打って出る。リーズにとってありがたかったのは、チェルシーがこの流れに真っ向から組み合ったこと。撤退しながらスペースを消すのではなく、間延びしたスペースの中でボールを奪いに来てくれた。ただただボールを持たされるよりも、前から来てくれる方がやりやすかったに違いない。
チェルシーの守備はマンマークが主体でリーズの上下動にも人基準でついていく。付け入るスキがありそうなリーズだったが、チェルシーもただボランティアでスペースを明け渡すわけではない。彼らも保持に回った際にはこの間延びしたスペースを活用する。DFが狭いスペースでのボール扱いを苦手としているチェルシーにとってもこの状況は悪くなかった。
リーズの守備の特徴は基本マンツーマンだったが、CFのバンフォードだけはCB2人を見るシステムになっている。そのため、バンフォードが担当するCBが離れた距離でプレーしていると1人だけでは捕まえきれなくなる。こうなるとリーズは後方にズレが出てくることに。この試合ではリーズのWGはいつも以上にCFのカバーが大変そうだった。広いスペースにおいてCB間が距離をとって前に進むことによってチェルシーはボール保持を安定して進められるようになった。
この試合ではトゥヘルは打開役としてWBにプリシッチを抜擢。パフォーマンスとしては就任当初に登用したハドソン=オドイに比べるとややインパクトには欠ける。プリシッチも悪くはなかったが、期待されるのはこういう得点が入らないジリジリする試合での切り札としての活用だ。
リーズは絶対的な柱であるバンフォードが負傷。攻守に幅広い役割を担っていたエースの離脱に加えて、追いかける時間が長いことで体力面での懸念もあった。だが、この日は最後までガス欠にならずに奮闘。チェルシーも全体をコンパクトに維持することが難しくなった展開において、即時奪回という手段を取り上げてしまい支配力はいつもよりも落ちていた印象。すんでのところのセービングでチームを救ったメンディがいなければ、チェルシーがこの日エランド・ロードから持ち帰る勝ち点は0でもおかしくはなかった。
試合結果
リーズ 0-0 チェルシー
エランド・ロード
主審:ケビン・フレンド
③クリスタル・パレス【13位】×ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン【19位】
■素材は素材のままで通用する?
立ち上がりに主導権を取ったウェストブロム。ファン・アーンホルトの裏のスペースにいるペレイラから積極的に持ち上がる。このクロスへのクリスタル・パレスの対応は結構怪しかった。人についていきすぎてスペースを空けてしまうことが1つ、そしてクリアが非常に甘く距離がでずにウェストブロムの波状攻撃を許してしまったことがもう1つの理由である。
だが、ウェストブロムの攻撃も盤石というわけではない。冬に加入して以来、絶対的な前線のレギュラーとして攻撃の核となっているディアーニュをうまくいかすのに未だ苦心している様子。放っておいても競り合いには勝つのだが、勝ったところでそのあとウェストブロムがどうしたいのかがイマイチ伝わってこない。
ディアーニュ本人が点を取るところまで行ければいいんだけど、エアバトル無双と抜群の動き出しと得点力を備えたストライカーはおそらく冬にウェストブロムにレンタルでやってこないので、それは求めすぎなのかもしれない。
一方で大エース・ザハの帰還でその武器がしっかりしていたのはクリスタルパレス。ザハとエゼのコンビで左サイドのハーフスペースの表と裏を占有する。このコンビをきっかけにクリスタルパレスはPKを奪取。苦しい中で先制点まで持って行く。
優勢な立ち上がりから先制点を許してしまう流れになったウェストブロム。後半頭はジョンストンのセーブからいい流れを引き出すもここを生かすことが出来ず。ウェストブロムは素材で勝負してしまうと絶対的な武器を持つクリスタル・パレスとの差を埋めるのは難しかったかもしれない。
試合結果
クリスタル・パレス 1-0 ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:37‘(PK) ミリボイェビッチ
主審:シモン・フーパー
④エバートン【6位】×バーンリー【15位】
■準備は返り討ち、ズレのきっかけを裏返し
対バーンリーにおいては間延びさせてくるスペースをいかに利用するかが重要。というのがバーンリーをアーセナル戦のレビューのために観察し続けた感想である。そういう意味でいえばこの日のエバートンはその間延びしたスペースを使う準備はできていた。4-3-1-2というライン間に多くの選手を置く形もバーンリー相手には効きそうなもの。前半からすでにリシャルリソンが高い位置でドリブルを見せて、バーンリーが見せたライン間を気持ちよく泳いで見せた。
ズレのきっかけになったのはエバートンの両インサイドハーフ。彼らがバーンリーの中盤の前でボールを受けることで、中盤を引っ張り出してそこから間をつなぎつつ相手陣に迫る。これがエバートンのプランだったように思う。しかし、これは絵に描いた餅になってしまう。なぜならば、初動のバーンリーの中盤のプレッシングに屈してしまうからである。エバートンが前半に立て続けに喫した2失点はいずれも中盤の前のラインの選手へのプレッシャーをかけたところからのショートカウンターからである。
バーンリー、キャラに似合わずこれでアーセナル戦から続いて3得点連続でハイプレスのショートカウンターからの得点を決めたことになる。比較的高い位置からプレスをかけてくるバーンリーに対して、戸惑いが隠せなかったエバートン。高い位置でライン間に入り込んだデイビスからキャルバート=ルーウィンへのクロスは決まったものの、バーンリーの強いプレッシャーからのロストでゴールに迫られる場面もしばしば。
エバートンは後半に4-3-3にして幅を使った攻撃を試みるも効果は限定的。バーンリーを相手陣に押し込んだり、間延びしたスペースからスピード感のある攻撃を繰り出せる一方的な展開にはならなかった。
結局最後までエバートンとガッツリ組み合って勝利を手にしたバーンリー。アーセナル戦に続いて難しい相手に勝ち点3をゲット。残留に大きな上積みを得た。
試合結果
エバートン 1-2 バーンリー
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:32′ キャルバート=ルーウィン
BUR:13′ ウッド, 24′ マクニール
主審:ジョナサン・モス
⑤フルハム【18位】×マンチェスター・シティ【1位】
■寝技のプレスで絞め落とし
序盤はまったりとフルハムがボールを持つ展開。彼らはショートパスでつなぐスタイルが好きだし、メンバーを落としたとはいえリバプールに対しても立ち上がりはボールをつなぐことを試みた。それを踏まえればシティ相手にもトライしてみる!というのは当然の流れである。
実際にある程度ボールを持つことはできた。この日のシティは3-4-3気味だったが、両WBは過度に高い位置を取らずにブロック守備でフルハムを保持をしっかり受け止める序盤となった。
だが、試合は15分もすると徐々に表情を変える。フルハムの保持同様、この日はシティのボール保持もまったりとしたもの。フルハムはこれに対してマンマーク強めで対抗する。カバレイロはカンセロについていく羽目になって縦横無尽に守備でピッチのあらゆる場所に顔をだしていたのはちょっと面白かった。
アンカーのリードはアグエロを監視し、最終ラインは人を余らせる形。それでもフルハムのプレスがうまくいかなかったのはトップのロフタス=チーク1人では深い位置からシティのビルドアップを追い込むことはできないし、マンマークは保持側が対面の相手を剥がせないという前提に基づくものだから。ベルナルド・シウバがゴリゴリに数枚剥がすことができる状況ではマンマークの効果は限定的だろう。
加えて、敵陣深くまでシティが保持で進むため、失った後のプレスを高い位置からかけられるようになる。シティのプレスは激しくはないものの、高めからフルハムのミスを誘うかのように選択肢を限定して行われる。シティ、たまにこういう寝技みたいなプレスをする。自陣深い位置の守備を敵陣でやるみたいな。徐々に保持で追い込まれていったフルハムは後半頭のセットプレーでの失点以降、立て続けにビルドアップでミスが出る。
保持で存在感を見せた前節と異なり、保持で絞められてしまったフルハム。王者を前に残留への道のりは一歩停滞となった。
試合結果
フルハム 0-3 マンチェスター・シティ
クレイブン・コテージ
【得点者】
Man City:47‘ ストーンズ, 56’ ジェズス, 60‘(PK) アグエロ
主審:アンドレ・マリナー
⑥サウサンプトン【14位】×ブライトン【17位】
■帰還組がもたらす質の向上
中期的に調子を落としているチーム同士ではあるが、共にスタイルに関しては見どころがある。南野拓実の先発起用に加えて見やすい時間帯だったこともあって、カードの地味さの割には多くの日本人の目に触れる機会が多かった試合かもしれない。
直近の試合に比べると両チームとも内容はよかった。これには少なからず属人的な要素も絡んでいる印象。サウサンプトンにとってはカイル・ウォーカー=ピータースのスタメン復帰が大きかった。組み立てにおいて単なる大外にとどまってボールを触る役割だけではなく、そのまま内側に絞ってエリア内にラストパスを出したり、オフザボールで自らがエリア内に入ったりなどが出来る。彼のスタメン復帰により、この試合のサウサンプトンには攻撃の厚みを感じることが出来た。
ブライトンの方で輝きを放ったのはウェルベック。こちらも負傷に悩まされるシーズンだが、そんな中での先発。少ないタッチでのやわらかいパスでスムーズに回るビルドアップに変化をつけるウェルベックはブライトンにとって貴重な存在。相手の目先を変える素晴らしいアクセントになる。他のブライトンのプレイヤーと同じてシュートはとにかく決まらないけども。
この試合でもこの少ないタッチで結果を出したウェルベック。互いに1点ずつ取り合う展開の中で試合を決めたのは彼のワンタッチパス。これを受けたトロサールがサウサンプトンのCB間を割り決勝点を決める。久しぶりの先発で大きな仕事を見せたウェルベックだった。
一方守備においてもこの日のブライトンはコンパクト。高い位置からの奪取こそできないものの、中央を締めてダイレクトにゴールに向かいたいサウサンプトンを封殺した。
ようやく攻守がかみ合ったブライトン。降格争いの沼からまずは体半分抜け出した。
試合結果
サウサンプトン 1-2 ブライトン
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
SOU: 27’ アダムス
BRI:16‘ ダンク, 56’ トロサール
主審:スチュアート・アットウィル
⑦レスター【3位】×シェフィールド・ユナイテッド【20位】
■3試合で昨季並み。再起を図るブレイズをイヘアナチョが一蹴
ついにクラブを一部まで導いた最大の功労者であるクリス・ワイルダーの解任に踏み切ったシェフィールド・ユナイテッド。理由は補強方針の対立みたいだけども、確かに言われてみれば前節のアグレッシブさはおりゃー感はあった。おりゃー感があっても相手がそういう展開にめっぽう強いサウサンプトンだったのは切なかった。
新監督のポール・ヘッキンボトムはU-23からの昇格人事。ということで方向性としては大枠での継続路線が想定されるだろう。この試合でも3バックを基調としたボール保持によるスタイルは健在。だが、ついにCBが揃い踏みしたレスターの前に攻撃を跳ね返されまくっている。ここでもバックスにフルメンバーがそろったレスターと当たるというタイミングの悪さを感じてしまう。
そのレスターは3バックからのボール運びからチャンスを創出。運び役を命じられたフォファナを主軸に、相手陣内に入り込む。レスターとシェフィールド・ユナイテッドの差が出たのはここから先の部分。乱暴に言ってしまえば、ティーレマンスがいるかどうかである。裏に間に配球できる存在であるティーレマンスを介することでレスターの攻撃は非常に多彩なものになる。
この日はトップ下に間受けが出来るペレスを入れたおかげでライン間へのパスも可能になる。裏に引き出せるヴァーディとイヘアナチョに加えて3つ目の武器を手にしたティーレマンスを起点にこの日も先制点をゲット。間受けのペレス、裏抜けのヴァーディの流れから最後はイヘアナチョがネットを揺らす。
イヘアナチョはこの日ハットトリックの大暴れ。2試合連続で得点を決めて覚醒疑惑?と前節書いたが、これで直近3試合で5得点。この3試合だけで昨季のリーグ戦の得点に並んでしまった。この日はいくばくか気持ちよくできた節はあるが、ヴァーディとの2トップの連携は試合を重ねるごとに熟成しているのは確かだ。新しい攻撃の柱として確固たる地位を掴めるか注目が集まる。マディソン復帰後の2トップ継続は彼の出来にかかっているといっても過言ではない。
試合結果
レスター 5-0 シェフィールド・ユナイテッド
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:39‘ 69’ 78‘ イヘアナチョ,64’ ペレス, 80‘ アンパドゥ(OG)
主審:ピーター・バンクス
⑧アーセナル【10位】×トッテナム【7位】
■ラメラとベイルが演出するジェットコースター的NLD
好調を維持する他のロンドン勢についていけるかどうか?というノースロンドンダービー。直近の戦績で勢いに乗っているのはトッテナムの方だったが、試合はアーセナルが立ち上がりから主導権を握る。
アーセナルが狙いを定めたのはトッテナムの右サイド。ジャカがベイルを引き付けるとティアニーとスミス=ロウの縦関係でドハーティを完全に手玉に取る。この動きは非常に再現性が高く行われた崩しだった。スミス=ロウが絡んだことにより展開も多様化。大外を回っての単純なクロスだけでなく、ペナ角からのアタックからバイタルを突くなどバリエーションが豊富になった。トッテナムにとっては得意な切り替えの激しい展開にならなかったことと、ソンの負傷離脱が大きな誤算になる。
しかし、先制したのはトッテナム。守備では穴になったベイルだが、攻撃ではソンの負傷交代で奥行きが作れなくなった分、幅を使いながら孤軍奮闘。レギロンへの大きなサイドチェンジでアーセナルを揺さぶると、最後はエリア内でラメラがラボーナ。33分にしてようやく記録したこの日初めてのトッテナムのシュートはシーズンベスト級のゴールとなった。
だが、得点でも展開は変わらずアーセナルペース。トッテナムの右サイドを穴とする定点攻撃を軸に前半のうちに追いつくと、後半はハイプレスに出てさらに攻勢を強める。すると、おそらく(カメラのスイッチャーのせいでわからない)ロリスからのボールをカットしたペペがダイレクトにトッテナムの陣形をかち割るラストパスを供給。サンチェスに倒されたラカゼットがPKを決めて一歩前に出る。
そして、先制点を取ったラメラの退場である。歴史に残るスーパーゴールと敗戦の象徴になる退場を共に記録。『ラメラ史上、最高にラメラ』という言葉はまさしくこのノースロンドンダービ-を象徴する言葉である。
やたらドラマチックな展開で数的不利になったスパーズだがここから反撃に。時間を作るのか、3点目を取るのか優柔不断なアーセナルの攻撃陣をよそにルーカスのドリブルを基軸として進撃。後追いとなったアーセナルの中盤からバンバンファウルを奪取し、得点まであと僅かまで迫る。だが、最後までゴールを得ることはできず、結果的にはこの日の大半を優勢に進めたアーセナルに軍配。
序盤のトランジッション控えめな展開こそらしくはなかったが、オーバメヤンの遅刻から試合終了までストーリー性は抜群なノースロンドンダービーになった。
試合結果
アーセナル 2-1 トッテナム
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:44′ ウーデゴール, 66′(PK) ラカゼット
TOT:33′ ラメラ
主審:マイケル・オリバー
⑨マンチェスター・ユナイテッド【2位】×ウェストハム【5位】
■先制点を盾に手堅い赤い悪魔
ダービーに勝利し、勢いに乗るマンチェスター・ユナイテッド。目を見張るのは直近9試合で4失点、複数失点がないという堅い守備である。
マン・ユナイテッド同様に堅さを感じさせるウェストハムが今節の相手。レンタル条項で出場が出来ないリンガードが不在ということでノーブルを中盤に据えた5-3-2気味のフォーメーションでマン・ユナイテッドを迎え撃つ。
ダービーを終え、前後にミランとのELが組まれていることもあり、さすがにテンションマックスとはいかなかったマン・ユナイテッド。しかしながら、徐々に定着しつつあるグリーンウッドのワントップを基軸にウェストハムの攻撃を遅らせてアントニオ主体のロングカウンターのチャンスを減らす。
ウェストハムは前の選手の枚数を調節しながらコントロールしながらプレッシングをかける。さすがにリンガードがいたころよりは機動力が落ちるものの、こちらも速い攻撃はしっかりと防いでいる。
だが、縦横無尽に動き回るグリーンウッドを基準としたマン・ユナイテッドの前線の流動性で徐々に押し込まれ始めるウェストハム。後半はやや6バック気味に重心を下げて対応し、前線の動き回るスペースをさらに消しにかかる。
そういう流れの中でマン・ユナイテッドがセットプレーから先制点をとれたことは大きい。これで前に出てこなくてはいけなくなったウェストハムは徐々にプレッシングが間延びしていく。
ベンラーマ、ランシーニと攻撃的なタレントを投入し巻き返しを図るウェストハム。だが、最後までウェストハムのカウンターを制御したマン・ユナイテッドが手堅く勝利。少ない決定機に終始した試合で勝ち点3を掴んだ。
試合結果
マンチェスター・ユナイテッド 1-0 ウェストハム
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:53′ ドーソン(OG)
主審:クリス・カバナフ
⑩ウォルバーハンプトン【12位】×リバプール【8位】
■白星も残る課題
プレミアでは4位チェルシーの背中が遠くなっていく一方で、CLではライプツィヒを撃破してベスト8に進出したリバプール。相変わらず負傷者が多い台所事情は変わらないものの、CLという目標があるのはポジティブなことだろう。
ウルブスは5-2-1-2のフォーメーション。内側を締めながら大外に誘導するボールの動かし方である。したがってリバプールはSBからの前進が可能になる。だが、この大外からの攻撃は以前よりも精度が下がっているように思う。ロバートソンとアレクサンダー=アーノルドの両名による単純なクロスが多く、IHやWGとの外での絡みは徐々に減っている。
したがって、攻撃回数はサイドの方が多いものの、より効果的だったのは手早く3トップで攻め切る方向。この試合唯一の得点もジョタ、マネ、サラーが素早くウルブスの陣形を切り崩したところからだった。形としては少ないんだけども。多分、CBがもう少し対角フィードを使えれば大外使える気がする。でも今のCBにそこまで望めないのはわかる。守るだけで十分。
むしろ気になるのは中盤の間延びの方。ファビーニョがアンカーに、ワイナルドゥムがIHに戻ってきても前後の陣形のコンパクトさは維持しにくそうで、ウルブスはドリブルで前進することが可能だった。
ウルブスの最後のクオリティの低さがあったため、致命傷にはならなかったものの、クロス対応には危うさがあった。CL制覇以外のCL出場は難しいとリーグ戦では白旗を挙げたクロップ。勝ちはしたものの、やや寂しさが残る内容ではあった。
試合結果
ウォルバーハンプトン 0-1 リバプール
モリニュー・スタジアム
【得点者】
LIV:45+2′ ジョタ
主審:クレイグ・ポーソン
おしまいじゃ!