①バーンリー【15位】×アーセナル【3位】
■昼下がりのターフ・ムーアに飲まれる
アーセナルにとって前半戦のバーンリー戦は地獄のような時期の試合。高さが強みのチームにハイクロスで挑んだ上に、アルテタは『内容は良かった。あとは点が入れば』みたいなことを言っていた。今のところ自分にとってこの試合前後くらいがアルテタを最も信じられなくなった時期である。
その頃のアーセナルでは適わなかったスピードアップした攻撃からこの日は先制点。前線に引き続き、降りる動きからドリブルで運びつつ攻撃を加速させるウィリアンが先導役に。最後はオーバメヤンがお馴染みの左からのカットインでフィニッシュ。バーンリーはタルコウスキとブラウンヒルが内側を締められなかったのが痛恨だった。
アーセナルはバーンリー相手にマンマークの4-4-2で対抗。バーンリーのやりたい間延びした前後分断に付き合う形を取る。なんとなくこの日の昼下がりのターフ・ムーアに流れるもっさりした展開となった。この展開に飲まれたアーセナルはビルドアップで痛恨のミスから失点。ミスについてはレビューで掘り下げたのでそちらで。
ウィリアンのエネルギーがなくなったタイミングで徐々に前で出ていけなくなったアーセナル。選手交代で活性化を図るもペペは最後の局面で惜しいシュートをゴールにすることができず。ハンドを取ってもらえない不運も手伝って、アーセナルは今季バーンリー戦を未勝利で終えることになった。
試合結果
バーンリー 1-1 アーセナル
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:39′ ウッド
ARS:6′ オーバメヤン
主審: アンドレ・マリナー
②シェフィールド・ユナイテッド【20位】×サウサンプトン【14位】
■仕組みを乱され、ポテンシャルで
9試合勝ちなしという泥沼に入り込んだサウサンプトンと何としても最下位を脱出したいブレイズの一戦。アップテンポを志向するサウサンプトンに対してブレイズはハイプレスによる積極策による真っ向勝負で来た。
サウサンプトンはボール保持ではある程度は落ち着きを見せることはできていたものの、守備に回ると割とバタバタ。ロメウとウォルコットを除けば一時期は深刻だったけが人もだいぶ戻ってきてはいるのだが、それでもなおバタつくのはやはりチームの調子に引っ張られてしまっているのだろうか。特にブレイズのサイドの多角形崩しに対してCBがスペースを空けて穴をあけてしまうシーンが多くやや不安定な部分もあった。怪我人事情で言えば、負傷交代したイングスの容態は気になるところである。
一方でブレイズのハイプレスに関しても穴はあった。一番深刻な問題だったのが、サウサンプトンのアタッカー陣とブレイズのバックスのスピードのギャップ。要は縦ポンに対しての耐性があまりにもなかったことである。この日、その部分で大活躍したのがテラ。いつものサウサンプトンならば、縦パス入れてポストして裏抜けという連携が非常に大事になってくるのだが、この日はそれよりもシンプルなスピードのポテンシャルが重要。その部分でブレイズを一番苦しめたのがテラ。先制点につながるPK奪取も彼の裏抜けからである。
後半も大まかなペースは同じ。早々にアダムスが追加点を取ると、南野やテラなどのアタッカー陣が前から点を取りに来るブレイズのプレスにスピードで対抗する展開に。結局最後までブレイズはゴールを揺らせず。プレスの副作用を突いたサウサンプトンがリーグの未勝利を9で止めることに成功した。
試合結果
シェフィールド・ユナイテッド 0-2 サウサンプトン
ブラモール・レーン
【得点者】
SOU:32′(PK) ウォード=プラウズ, 49′ アダムス
主審:ポール・ティアニー
③アストンビラ【9位】×ウォルバーハンプトン【12位】
■ターンオーバー、スタイル回帰。消化不良のダービー。
立ち上がりにペースを握ったのはアストンビラ。ウォルバーハンプトンの中途半端に高いラインから裏を取る形でチャンスを作る。ポストに当てるほどのチャンスには迫ったものの、先制パンチは食らわせることができなかった。
ただ、この日のアストンビラは非常に安定感に欠けた。大幅にターンオーバーした面々は連携が不十分でパスが何本もつながることはなし、スタンドで映るグリーリッシュが『俺なら一人でもできるのに』と思ったかどうかはわからない。
一方のウルブスはWBとWGの内外のコンビネーションで大外からアストンビラの攻め立てる。シティ戦ではいいところがなかったネトだったが、この試合では普通に対面をちぎりまくっていたので、前節のシティが良すぎたという結論でいいと思う。
そのウルブスもパスワークの安定感に欠けるのはアストンビラと同じ。試合はパスミスによるトランジッションの連続でテンポが速くなっていく。ターンオーバーが激しくない分、低調な完成度が深刻なのはむしろウルブスの方。再び攻撃はWG主体の同サイドのドリブル突破の依存度が高まってしまい、スペースがない中では相変わらずチャンスメイクをすることができなかった。
パスから相手を崩す機会は互いに非常に少なく、個人で反転し前進できるワトキンス、ネト、トラオレなどにチャンスメイクは両チームとも依存していた。ここまでは順調なシーズンを過ごしてきたアストンビラだったが、さすがにこれだけメンバーを入れ替えてしまうとチームとして機能させるのは難しい様子。固定していた最終ラインが踏ん張り勝ち点1を獲得するのが一杯だった。
試合結果
アストンビラ 0-0 ウォルバーハンプトン
ビラ・パーク
主審:クレイグ・ポーソン
④ブライトン【16位】×レスター【3位】
■安定の出し手と覚醒疑惑の受け手で取り戻した主導権
野戦病院化が止まらないレスター。フォファナの復帰は朗報でエバンスが離脱した最終ラインの一角は安心できる本職選手で埋められることになった。今節の相手は局所的なポジションの離脱者の多さに悩まされるブライトン。いつまでもWBは帰ってこない。
共にボール保持が得意な両チームだが、序盤は保持はレスターの時間帯が多かった。一方のブライトンで目立ったのは縦への推進力。レスターの3-5-2のWBの裏が空いていることもあり、このスペースへの抜け出しを積極的に活用。レスターを自陣に追いやって見せ場を作る。先制点は珍しくショートカウンター気味のトランジッションから。ララーナのボールの引き出し方はさすがで、ダイレクトにシュートを打てるところまで引き付けて決定力欠乏症のブライトンに先制点をもたらす。
レスターも後方の数的優位を生かして前進。ブライトンのプレスがそこまできつくないこともあり、保持で落ち着くことはできていた。ワイドのCBが積極的にブライトンのSHの基準点を乱す試みをするものの、なかなか急所にボールを送り込むことが出来ない。
それでも後半になると徐々に良化してくるのがレスターの上位チームたる所以。徐々に不慣れなこのシステムを使いこなせるようになっている。特に光ったのは配球役のティーレマンス。内外巧みなコースの使い分けでブライトンにプレスの狙い目を絞らせない。
受け手で良化が見られたのはイヘアナチョ。背負うより間で受けるほうが得意なのはよくわかった。同点ゴールは先制点のララーナのように裏抜けのボールを引きつけてシュート。2試合連続の得点でほんのり覚醒の予感が漂っている。タイプ的にはリセットがかかりそうなのが心配だけど。
押し込んだレスターはアマーティがセットプレーから終盤に決勝点。ここ数戦怪我人に苦しんだレスターは3試合ぶりとなる白星を手にすることに成功した。
試合結果
ブライトン 1-2 レスター
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRI:10′ ララーナ
LEI:62′ イヘアナチョ, 88′ アマーティ
主審:マイケル・オリバー
⑤ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン【19位】×ニューカッスル【17位】
■苦しい中で欠けた決め手
残留請負人のアラダイスを招聘したものの、残留の芽がだいぶ薄くなってきてしまったウェストブロム。逆にニューカッスルは追いすがるフルハムの影が徐々に怖くなってきたところである。
それぞれの事情で負けられない一戦。ということである意味非常にプレミアらしい肉弾戦だらけの試合となった。序盤はボールを握ったのはニューカッスル。2トップのフレイザーとジョエリントンがサイドに流れることでアンカーのシェルビーからのパスを引き出す。ただし、そこから先のサポートはないし、後方の選手が攻めあがる時間を作りだすのもハード。厚みのある攻撃を繰り出せないのが苦しいところである。
ただし、ウェストブロムの守備も後追いになりやすくファウルを連発。前半はニューカッスルのセットプレーを跳ね返したウェストブロムがカウンターを繰り出すという展開の繰り返しだった。
後半は逆にウェストブロムが主導権を握る。ニューカッスルのボールの供給源だったシェルビーにギャラガーがプレッシャーをかけて、まずは起点封じ。逆にウェストブロムがニューカッスルの4-3-1-2の大外を使いながら徐々に押し込んでいく。ニューカッスルは3センターの行動範囲が広くじり貧に。頼みのサン=マクシマンも不在となると陣地回復の手段もなかった。
ただし、ウェストブロムもサイドのサポートはなく、攻撃の精度は苦しい。13本のシュートを放ちながらのスコアレスは今季得点を取れなかったチームの中で最多のシュート数。互いの粗い部分を突くことができなかった両チーム。崖っぷちで迎えた一戦でドローで幕を閉じた。
試合結果
ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン 0-0 ニューカッスル
ザ・ホーソンズ
主審:マーティン・アトキンソン
⑥リバプール【7位】×フルハム【18位】
■耐えきったクロス爆撃で上にプレッシャー
アンフィールドでの5連敗という不名誉なクラブ新記録を打ち立ててしまったリバプール。この試合の面々はCLを見据えているのか大幅なターンオーバーを敢行する。というわけで序盤はボールを握ったのはフルハム。中盤でボールを跳ね返したかったリバプールだが、どこを締めたいのかが定まらずにパスをガンガン通される展開に。
また、前線の引く動きと大外の上がる動きを組み合わせることでリバプールの最終ラインを揺さぶるフルハム。最終ラインを晒されてしまうとこの試合のリバプールはやばい。これでなんとかなるなら、カバクはリバプールに来ていないという感じの最終ラインである。
サイドからクロスの機会を得ることはできたフルハム。あんまりフォローがないせいで、ルックマンが単騎でネコ・ウィリアムズを交わさなければチャンスはなかなか訪れなかったが、何とかCKの流れでレミナが先制点をゲットする。
後半はリバプールペース。ビルドアップでミルナーを落とし、シャキリを内に入れることでフルハムのブロックに一つずつズレを作る。後半頭のリバプールのビルドアップで完全に押し込まれてしまったフルハム。両サイドからのクロス爆撃に合う。そうなるとフルハムのバックスは厳しい。マネでクオリティを追加し、アレクサンダー=アーノルドでクロスの精度を足して、ファビーニョで左右に揺さぶるというクロップのアプローチも非常に的確だった。
だが、フルハムも5バックのワイドにロビンソンを入れる交代でこれに対応。これ以降はアレクサンダー=アーノルドがオープンな形でクロスを入れられなくなったので、この交代はパーフェクトである。
一方で攻撃陣には終盤の時間の使い方にばらつきが見られたフルハム。73分で時間稼ぎを始めるルックマンの気持ちをガン無視して、90分以降にハイプレスと密集突撃をはじめて時間稼ぎを台無しにするミトロビッチは最高だった。ミトロビッチのせいで無駄に増えたリバプールの攻撃機会をこの日はアンデルセンとアダマバイオがすんでのところでシャットアウト。
結局最後までゴールを割ることは許さず。ブライトン、ニューカッスルにプレッシャーをかける勝ち点3をフルハムがアンフィールドで手にすることに成功した。
試合結果
リバプール 0-1 フルハム
アンフィールド
【得点者】
FUL:45′ レミナ
主審:ケビン・フレンド
⑦マンチェスター・シティ【1位】×マンチェスター・ユナイテッド【2位】
■紙一重で粘って一刺しでトドメ、赤く染まったマンチェスター
両チームの順位は1位と2位、だけど勝ち点差は14。首位決戦なようなそうでもないようなという今回のマンチェスターダービー。ユナイテッドとしてはシティに一泡吹かせられるかどうかという意地の問題になってくる。
試合はいきなり動く。エリア内でジェズスが慌ててブルーノ・フェルナンデスをひっかけてしまい、いきなりPKを献上。見ているこっちが落ち着く間もなくユナイテッドに先制点が入る。
ユナイテッドはまずは2列目の選手たちがナローに絞る。カンセロのように内側に絞るシティの選手たちに対して、とりあえず内側から締めるというのは徐々にシティ対策の第一歩の定石になってきている。シティのサイド攻撃には同サイドのCHが圧縮するように対応。内側を使わせないことは徹底していた。
それに対して、シティはカンセロが絞ったスペースにストーンズが開くことで対応。徐々にユナイテッドの横のスライドが怪しくなってくる。シティがその先の狙い目としたのはワン=ビサカとリンデロフの間のスペース。ここに裏抜けをすることでシティは徐々に押し込んでいく。
ただ、この日はシティのWGが大外で優位をとれない。スターリングが相性が悪いワン=ビサカを前にこの日は沈黙。中央ではCFにジェズスを起用し、ベルナルドが不在だったこともありポジションチェンジによる活性化もなし。もちろん好機までは至る場面もあったが、いつものシティに比べれば創出されるチャンスはややアバウトなクロス主体によるものが多かったように見えた。
そしてもう1つ、この日のシティが違ったのはプレスの精度。前線の鈍重なプレスではショートカウンターというもう1つの武器も使えなくなってしまう。むしろ、トランジッションを得点に結びつけたのはユナイテッド。ヘンダーソンからルーク・ショウへのスローはシティのプレスの切れ目を狙った一投。切れ目で受けたショウはそのままドリブルで決定的な2点目を演出する。スーパー。
ユナイテッドはこの日は最後まで引き締まっていた。特に中盤。フレッジ、マクトミネイ、ラッシュフォード、ジェームズのパフォーマンスはビックマッチに強い昨季のユナイテッドがよみがえったかのような強度。シティが1つでもチャンスをゴールに変えていれば確かにわからない展開ではあったが、そもそもその土俵に上がれることが偉大だ。紙一重の我慢を耐え抜き、プレスの切れ目から試合を決めるとどめを刺したユナイテッドがシティをストップ。この日のマンチェスターの主役となった。
試合結果
マンチェスター・シティ 0-2 マンチェスター・ユナイテッド
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man Utd:2′(PK) フェルナンデス, 50′ ショウ
主審:アンソニー・テイラー
⑧トッテナム【8位】×クリスタル・パレス【13位】
■役者が揃い踏み、いざノースロンドンダービーに
チェルシー、ウェストハムと安定感を増すロンドン勢のライバルになんとかくらいついていく必要があるトッテナム。次節のノースロンドンダービーのためにも、同じロンドン勢であるクリスタル・パレスを何とか倒す必要がある。
まずはボール保持で安定した試合の進め方を見せるトッテナム。CH,SB,SHのトライアングルを両サイドに作り、幅を使いながらクリスタルパレスを押し込んでいく。クリスタルパレスは逆にこの試合はうまく内外を使い分けられなかった印象。中盤が内側に寄りがちになってしまい、大外をうまく活用することが出来ていなかった。
この日のスパーズは内容の圧倒をスコアに反映することが出来ていた。得点の取り方は多彩で1点目はプレッシングからのショートカウンター。2点目は大外を賄うレギロンのファーへのクロス。このファーへのクロスは4点目のラメラのクロスとちょっと似ている構造。そして、3点目はブロックの外から打ち抜いたベイルのミドルである。
失点の仕方は相変わらずでミソがついたものの、攻撃のパターンの増加および攻撃陣の上昇気配はノースロンドンダービーに向けて好材料である。一方のクリスタルパレスはここ数試合の粘りがなく、いいところなし。ザハがようやく復帰を果たしたことが数少ない明るい兆しになってしまった。
試合結果
トッテナム 4-1 クリスタル・パレス
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:25′ 50′ ベイル, 52′ 77′ ケイン
CRY:45+1′ ベンテケ
主審:スチュアート・アットウィル
⑨チェルシー【4位】×エバートン【5位】
■講じた策には早々に対応、監督交代でリベンジ達成
トゥヘル就任で勢いを増すチェルシーの前に立ちはだかるのはアンチェロッティのエバートン。前半戦はマンマークでランパードのチェルシーを粉砕している。今節のアンチェロッティの布陣は5-3-2。キャルバート=ルーウィン、リシャルリソンでワイドのCBを捕まえ、ゴメスとシグルズソンがジョルジーニョとコバチッチを捕まえる。チェルシーとしては唯一呼吸できるのがクリステンセンという状況になっていた。
この状況に対してチェルシーは打つ手が速い。早速コバチッチが上下左右に動きどこまでマーカーがついてくるかを探り出すと、ゴメスがついていったスペースに入り込んだのは久しぶりの先発となったハフェルツ。ズレをつなぎながらチェルシーは前進に成功する。もはやこの辺りは打つ手というか個人の対応力な気がするが。
ただ、この日はヴェルナーの貢献度がイマイチ。リバプール戦で猛威を振るった裏抜けは不発。チェルシーは前線までボールをつなぐことができたものの、そこからの加速が出来ない状況に陥っていた。この展開を変えたのは左サイドのハドソン=オドイとアロンソのコンビ。ややプレスの押し引きに難のあるイウォビとホルゲイトのコンビの裏をかき、一気にラインを押し下げオウンゴールの誘発に成功する。
エバートンはチェルシーの高い位置からの回収に苦戦。キャルバート=ルーウィンはある程度対抗できていたが、この日はリシャルリソンが自分のプレーが出来ず悪い流れのループに。長い守備の時間からのワンチャンスを生かさなくてはいけないという状況はあまりメンタル的に得意ではないのだろうか。
前で時間を作れないエバートンは4-3-1-2にシフト。前線のメンバーを増やして攻勢を強めにかかる。だが、その分裏への対策は薄くなる。チェルシーの2点目も裏に抜けだしたところから。ピックフォードのチャレンジは間に合わずPKを与えてしまう。
対策を打ちたいエバートンだったが、この日のベンチメンバーではできることが限られてしまうのは仕方がない。3連勝で臨んだチェルシー戦だったが、完成度もコンディションもこの日は完敗。4位争いからは一歩後退となった。
試合結果
チェルシー 2-0 エバートン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:31′ OG, 65′(PK) ジョルジーニョ
主審:クリス・カバナフ
⑩ウェストハム【6位】×リーズ【11位】
■間延びを利用したのは
ウェストハムはリーズにお付き合いするマンマーク作戦を敢行したため、この試合は非常に陣形が間延びした戦いになった。序盤に攻め込んだのはリーズ。縦に長くなったウェストハムの陣形を利用して、動き回ってスペースを作り前進することに成功した。
ウェストハムの最終ラインはラインを整えるのに少し時間がかかるイメージ。マンマークで引き出された後に、自陣に引き返してラインを作る際に中盤がDFラインに吸収されてしまったり、あるいは裏抜けに対して逆に最終ラインに残ってしまったりなどでラインコントロールが不安定になる。だが、リーズはこれを活かせず。感覚としてはアーリー気味のクロスが増えて裏を取る機会が少なかったりとかもう一手足りない感があるのだけどどうだろう。
しかし、リーズにとってそれよりも大きなミスはDFである。リンガードをひっかけたエイリングのチャレンジはあまりに軽率。周りに人がいる状況で無理なチャレンジをする必要は全くない。前半に掴んだリズムをあっという間に先制点献上という形で手放してしまった。
ウェストハムはトップの選手たちが深さを使って受けるのがうまい。特にアントニオ。少ない人数で起点となり全体を押し上げることでリーズ相手に徐々にシュート機会を増やしていく。追加点を取った後半はマンマークをやめて徐々に重心を後ろに下げている。攻撃を受けながら自陣に下がるのではなく、初めから下がった状態でのブロック守備ならばウェストハムはお手の物。
終盤は押し込んだもののリーズのシュートがウェストハムのブロックを超えることはなし。前半の2得点を守る完勝でチェルシー追走に成功した。
試合結果
ウェストハム 2-0 リーズ
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:21′ リンガード, 28′ ドーソン
主審:マイク・ディーン
⑪マンチェスター・シティ【1位】×サウサンプトン【14位】
■ダービーの傷を5得点で癒す
マンチェスター・ダービーによる敗戦のリカバリーが必要なシティにとってはミッドウィークでの試合はむしろありがたかったかもしれない。プレッシングを見てもさすがにフルスロットルとはいかないが、内を締めることでサウサンプトンの攻撃の最短ルートを防ぐという効率のいい立ち位置で攻撃を迂回させる。
したがってサウサンプトンはSBに長いボールを届けることでプレス回避していかなければならないことに。ただ、今日も今日とてSBに本職が揃わなかったのが痛い。左にはCBに入っていたサリス、右には普段左にいるバートランド。足を引っ張っていたわけではないものの、攻撃がここから加速とまではいかなかった。
シティは3-2-5型の配置で外循環主体の日。ラポルトとウォーカーを入り口に外に流すような形で回り込むような動線で崩す。先制点はディアスからジンチェンコの斜めへの走りこみを利用したもの、3点目は逆サイドからマフレズがデ・ブライネとの連携で侵入して一気にゴールを陥れる。
PKで1点を返されたものの後半の頭でしっかりとボール回しでサウサンプトンの心をへし折る。「あーこりゃボールとれないわ」っていうサウサンプトンの選手たちの声が聞こえてきそうだった。終盤は再度オープンになったものの、交代選手の調整の意味合いが大きいだろう。ダービーの傷を5得点で癒したシティが再起動を完了させた試合だった。
試合結果
マンチェスター・シティ 5-2 サウサンプトン
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:15′ 59′ デ・ブライネ, 40′ 55′ マフレズ, 45+3′ ギュンドアン
SOU:25′(PK) ウォード=プラウズ, 56′ アダムス
主審:ジョナサン・モス
おしまいじゃ!!