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「運動量を封じて逆手に取る」~2021.3.17 J1 第5節 ヴィッセル神戸×川崎フロンターレ BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第5節
2021.3.17
ヴィッセル神戸(6位/2勝1分1敗/勝ち点7/得点5/失点4)
×
川崎フロンターレ(1位/5勝0分0敗/勝ち点15/得点13/失点3)
@ノエビアスタジアム神戸

戦績

近年の対戦成績

図1

直近5年の対戦で神戸の3勝、川崎の7勝、引き分けが2つ。

神戸ホームでの戦績

図2

直近10試合で神戸の3勝、川崎の4勝、引き分けが3つ。

Head-to-head

<Head-to-head>
・直近7回の対戦で両軍合計で34得点。
・直近6試合の対戦のうち、5試合はミッドウィーク開催。
・直近5試合の神戸ホームのリーグ戦で川崎は無敗。
・5節以前の対戦は直近5試合で神戸は負けなし(W2,D3)。

 直近の神戸×川崎は打ち合いになる傾向が多い。リーグ戦直近6試合共に両チームとも得点を決めており、クリーンシートはない。この間に行われたカップ戦2試合でも両軍合計11得点。このカードはとにかく点が入る。

 昨年は水曜日に天皇杯も含めた3連戦を行ったが、今季の初戦も水曜日。これで4試合連続の水曜開催となる。

 かつては鬼門だった神戸ホームでも近年は好調。かつての苦手意識は薄れつつある。一方でシーズン序盤の対戦では神戸が有利。春先に川崎が神戸を下したことはない。

スカッド情報

【ヴィッセル神戸】

・右大腿筋を負傷しているアンドレス・イニエスタは欠場。

【川崎フロンターレ】

・大島僚太はふくらはぎの負傷で離脱中。

予想スタメン

画像7

Match facts

【ヴィッセル神戸】

<神戸のMatch facts>
・負ければ今季初の連敗。
・昨季トップハーフとのリーグ戦は18戦2勝。
・今季の総得点のうち、75分以降の得点が50%。
直近6試合中、5試合が1点差での決着。
・古橋亨梧は川崎戦との5試合で3得点1アシスト。
・三浦監督は選手時代の川崎戦では6試合に出場し2勝。

 今季は開幕3戦無敗の滑り出しだったが前節は名古屋に無得点で完敗。負ければ今季初めての連敗となる。

 昨季はトップハーフとの戦いで完敗。現状で上位にいる名古屋にも敗れており、格上相手の戦いはあまり得意ではない。一方で大差がつく試合は少なく、どのチーム相手でも肉薄したスコアでの決着となっている。終盤での得点が多く、粘りが強くめんどくさいチームである。

 各チームにとって最も脅威になっている古橋は川崎相手でも好調。5試合で4得点に絡んでいる。だが、一方で得点を決めた3試合は全敗という嫌なジンクスも。

 監督としては川崎と初対戦になる三浦監督は選手時代には川崎相手に2勝。しかし、これはマリノスとフリューゲルス時代のもの。神戸のエンブレムを背負って勝利を挙げたことはない。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・勝てばクラブ史上初の開幕6連勝。
・直近6試合のアウェイでのリーグ戦は2勝のみ。
・直近2試合のアウェイゲームは8得点3失点。
・アウェイでのクリーンシートは2020年10月の広島戦が最後。
・小林悠は神戸戦で通算11得点。同カードでもっとも得点を取っている。
・レアンドロ・ダミアンか小林悠のどちらかが点を取った試合は2020年以降全勝。

 開幕からの連勝記録は継続中。今節は苦手なアウェイで連勝継続を狙うことになる。直近6試合でのアウェイでの勝利は2勝のみ。この期間でのクリーンシートはなし。安定のホームに比べるとやや精彩を欠いている戦いぶりが続く。約5か月ぶりのアウェイでのクリーンシートをノエスタで決めることができるだろうか。

 神戸戦で好調な戦績なのは小林悠。同カードにおける最多得点者。ユアスタに続いてアウェイでの連続得点を狙う。気になるのは地理的なジンクス。2020年以降、湘南よりも西のスタジアムでは得点を取っていない。ダミアンか小林が点を取れば全勝というジンクス継続を狙って、関西での久々の得点を狙っていきたいところだ。

展望

■三浦ヴィッセルの特徴とは

 フィンクから三浦淳宏に監督交代が行われ、チームとしてのテイストは大幅に変わった。組み立ては2CB、降りるSB、CHなどを主体で行われる。GKを使ってのビルドアップが多いので、FPは3枚程度が低い位置でビルドアップを行うことが多い。CHは山口、SBは山川が主に降りる役割をこなす。

画像5

 直近2試合では低い位置での下手なロストはとても少なかったが、これは積極的にプレスをかけてこなかったFC東京や名古屋という相手の影響もあるように思う。その分苦しんでいたのは中央からの組み立てである。神戸は縦関係にあるCHや内に絞るSH、降りてくるセカンドトップなど中盤中央に選手は集結する。

 しかしながら、定点でここからボールを運ぶ!という確固たるルートはあまり見られない。各々の裁量でボールを中央で引き出してね!という感じである程度任されているように見える。それもあってか、SHの少なくともどちらかには佐々木や井上などMFタイプの選手を置くことが多い。彼らは内側に絞る頻度が多く、神戸の2列目には中盤に絞る役割が求められているということだろう。

 サイドの崩しの質は率直に言えばフィンク期より精度は落ちていると思う。サイドはSH-SBの2人のリンクであることが多く、3人目が絡んでくる頻度が少ない。その上、西のようなDFラインの裏に斜めに走りこむ動きやそれをめがける山口の対角パスは減少。したがって守る方はサイドを閉じ込める方向性に狙いを絞りやすい。

 左サイドは井上、酒井のコンビが多い。酒井が外を取ることが多く、彼のクロスは武器ではあるが、彼がクロスの際にフリーになるような工夫はそんなには見られない。逆サイドはセカンドトップの郷家が絡んでくることで3人目の動きになっているが、こちらのサイドはむしろ決め手となるゴールに向かう手段が見当たらない。古橋の斜め方向の抜け出しが最も怖い武器だ。

 こういった仕組みとかそもそもSH起用されている井上などのメンバー構成やシステムに関してはそれがどのくらい機能しているかとかあるいは可変した先の特性が選手個々にあっているか?という所が微妙だなと感じた。

 カウンターはダイレクトにスピードアップができた際は大きなチャンスが生まれる。具体的にはドウグラスに長いボールを当てたり、裏に抜ける古橋に一発で速い展開を出せればチャンスは生まれてくる。一方で昨季のような相手の出方を伺いながら、後の先を取るという形でのボールの動かし方はほぼ見れない。やり直しをしながらの動かし方の怖さは減った印象だ。

 したがってドウグラスと古橋のような少ない手数でゴールを陥れることができる選手は貴重。彼らにどのようにボールを届けるか?という部分が神戸の攻撃の肝になる。

 ボール非保持は4-4-2。直近で言えば川崎が対戦した仙台や柏は共に4-4-2だが、その両チームが2トップでCB+アンカーの3回を監視する形だったが、神戸は2トップが2CBにプレスをかけていく。アンカーにはMFがラインを上げて対応する。

 全体的に人基準でラインアップする意識が強い。ラインを整えてコンパクトにというよりは、人を次々と捕まえながらホルダーに対する圧力をかける人員を逐次投入していくイメージである。そのため、全体のバランスが崩れてライン間にギャップが出来たり、プレッシングに後方の選手が遅れて出てくる状況になることもしばしばである。

 全体的にフィンク期と比べ、攻守ともにダイナミズムを活かせるときがチームが機能しており、走力を重視するスタイルに変貌を遂げたといっていいだろう。

■大人な振る舞いで連戦を乗り切る

 ここからは川崎がどう戦うか。まず神戸のハイプレスの耐性は未知数だ。以前のように一つずつ剥がしながら前進していく形は鳴りを潜めているが、GKを積極的に絡めていること、高い位置を取るSBという逃げ場があり、前川がそこにボールを届けることができるキックの精度があることを踏まえると、リスクを取らないロングキックを軸に川崎のハイプレスを空転させに来るかもしれない。

 川崎側にとって重要なのはサイドに逃げられた後の対応。ここからドウグラスのポストや古橋の裏など直線的にゴールに向かわれる動きをされるとまずい。一方でそこさえ避けてしまえば、神戸はサイドの高い選手に対するボール保持の中盤のフォローが以前より少ないためやり直しをすることになる。先述のように今の神戸はスローダウンをさせれば脅威は半減する。

 したがって、ボールを取り切れない場合はロングキックの的(ダイレクトにドウグラスに向かう場合もある)にしっかりプレッシャーをかけること。神戸が対角へのサイドチェンジというパターンを使う頻度が落ちたので、サイドにボールが渡る場合は川崎は一時的に陣形をスライドさせてサイドに閉じ込めるように動くのもアリだろう。まずは後方にボールをさげる選択をさせることが優先だ。

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 川崎がボールを持つ場合は神戸の中盤の積極的な前がかりの守備を利用するのがベター。間でつなぎながらゾーンの切れ目で前進ができればそれが一番簡単。左サイドに閉じ込められるようにプレスをかけられることは避けなければいけないが、ショートパスでのプレス回避にチャレンジする価値はある。

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 縦関係でのプレスのタイミングがずれることがあるという神戸の癖も利用したい。具体的には神戸の右サイドの縦関係のプレスのタイミングのギャップがとても目立つ。山川がプレスに遅れることが多く、かつ遅れても出てくる場合が多いので、川崎としては左サイドを縦に進むパターンが使えそう。三笘-旗手の大外レーンでの縦への推進や内側のIHを絡めての同サイドでの前進を積極的に狙っていきたい。

 また神戸はDFラインの同サイドへのスライドが非常に激しいため、逆サイド裏へのクロスも有効。ボールサイドの逆のWGは積極的にゴール前に飛び込む意識が欲しい。

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 中盤は山口とのデュエルを避ければサイドチェンジの起点に出来る可能性もある。前節はここでつぶされやすかった脇坂にとってはリベンジを見せるチャンスもある。最終ラインも高く設定されているので裏も狙い目ではある。

 全体的に神戸はインテンシティが高く走ってくるチームなので、川崎としては走り負けて圧力に屈するパターンは避けたい。ここ数節の川崎の運動量はダラっと落ちている。そんな中でもハイプレスを志向するスタイルは多分あまり変えないと思う。仮に取り切れなくともやり直しを強いるために相手の勢いを殺すプレスはサボらないようにしたいところ。先に述べたGKが蹴ったターゲットなど要所へのプレッシャーは抑えたいところ。

 攻撃では間、裏、幅を使いながら相手のプレッシャーをいなしていきたい。仮に苦しい展開になってもうまくプレスをいなせれば、相手の運動量が落ちる後半に勝負を仕掛けることができる。

 非保持では相手のダイナミズムを発揮させず、運動量を殺すようにやり直しをさせる。ボール保持ではプレスを空転させて相手の運動量を利用する。走る頻度が増えた神戸に対して大人な振る舞いで過密日程の終盤を乗り切りたいところである。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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