①レスター【3位】×リバプール【4位】
■変えざるを得ない色
シティに敗れ、リスタートの一戦となるリバプール。この試合でもシティ戦と同様にボール保持主体で組み立てる。ミルナーが負傷でチアゴに代わってからはその傾向は顕著になった。
レスターは直近数試合は相手のボール保持に対して、ハイプレスで試合をテンポアップさせるアプローチをとることが多かった。だが、この試合ではミドルゾーンで構える姿勢がメイン。無理が効くヴァーディが先発復帰したからなのか、それともリバプール相手にプレスは無謀と判断したからなのかはわからないけども。
リバプールの決定機は長いボールから。レスターはジャスティンが離脱した左のSBに入ったリカルド・ペレイラが狙い撃ちにされた。サラーに対して飛んでくる長いボールに対して、ペレイラがおぼつかなかった序盤はリバプールが決定機を得る。ただ、30分も経つと大分ペレイラは対応に慣れてきたよう。この辺りは底力を感じる。
逆にレスターは前半の終盤に反撃。キーになったのはサラーの裏でうけるリカルド・ペレイラ。この位置からズレを作ったレスターは前進してリバプールを押し込む機会を徐々に増やしていく。
後半は立ち上がりこそダラっとした長いボールを跳ね返され続けたリバプールだったが、カーティス・ジョーンズが左に流れる頻度を増やすことで収めどころを作ることで再び主導権を握る展開に。
リバプールは押し込んでからのネガトラの速さで先制点を奪取。見事な守備を見せたティーレマンスに再度ロバートソンとジョーンズで挟んでミスパスを誘発すると、フィルミーノとサラーのマーベラスな連携で先制点。プレー自体の美しさもさることながら、あそこでロブ性のクロスを上げなかったのはここ数試合のリバプールとの違いでもある。
終盤はオープンな展開に。ジョーンズが下がったことで収めどころを1つ失ったリバプールと点が欲しいレスターの組み合いではテンポが上がるのは必然だ。FKでの失点を皮切りにトランジッションでボロが出たのはリバプール。もちろん2失点目の際の最終ラインとGKの連携も目についたが、気になったのはむしろ中盤の間延び。縦に急いでパスを引っかける上にプレスの判断の怪しさが増したことで一気にレスターに畳みかけられてしまった。レスターの中盤の万能性はさすがでビハインド局面からンディディとティーレマンスが踏ん張り、逆転のチャンスにはカウンターにつながるパスカットを繰り返した。
スカッドに幅を持たせようと今季はいろんなカラーの中盤を試しているリバプール。しかし、この薄いスカッドでは人が変われば色が自動的に変わってしまうというジレンマに苦しんでいる。展開によってリバプールが色を選ぶのではなく、選手を代えることで展開を選ばされている形。苦しい状況でCLに向かうことになってしまったリバプール。2試合連続での終盤大量失点のダメージを克服することができるだろうか。
試合結果
レスター 3-1 リバプール
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:78′ マディソン, 81′ ヴァーディ, 85′ バーンズ
LIV:67′ サラー
主審:アンソニー・テイラー
②クリスタル・パレス【13位】×バーンリー【17位】
■スペースを与える仕立て屋さん
大黒柱のザハの欠場が続くクリスタル・パレス。今季彼がいない4試合は全敗で無得点9失点という散々な成績である。いるときのパフォーマンスだけでなく、いないときのパフォーマンスにおいてもザハの存在が際立つのが今のパレスである。
この試合もリーデヴァルドを中心にポジションを動かしながら保持を頑張りたいのだろうが、無駄な可変を繰り返してバランスを崩しただけになった前節と同じように機能はせず。受けた時の脆さだけは据え置きでバーンリーに畳みかけられるように2失点を喫する。
前節のハイライト記事で述べた「バーンリーの選手たちはスペースさえあれば割と正確にいいボールを蹴れる」という言説がこの試合では補強された形。先制点、2点目は共に相手の守備の対応がおかしかった部分もあるが、精度が高いボールを蹴ることでミスを誘発した部分はあるだろう。この試合でもサイドの選手を軸にキック精度は健在。マクニールをはじめ、サイドの選手はキレキレだった。
もっとも、それはパレスの淡白な対応がバーンリーの出来を引き立てている部分もある。3点目はロートンがまるでメッシに見えるくらいパレスは軽い対応の連続。そもそも狭いスペースでの保持に挑まされてしまうと苦しくなるはずのバーンリー。だが、この日は彼らを苦しめる相手はこのピッチには不在。パレスはバーンリーの晴れ舞台を用意するだけの仕立て屋にすぎなかった。
快勝したバーンリーだが、終盤に立て続けに発生した負傷者が気がかり。特に頭部に衝撃を受けた大黒柱のベン・ミーの離脱期間は気になるところだろう。
試合結果
クリスタル・パレス 0-3 バーンリー
セルハースト・パーク
【得点者】
BUR:5′ グズムンドソン, 10′ ロドリゲス, 47′ ロートン
主審:マイケル・オリバー
③マンチェスター・シティ【1位】×トッテナム【8位】
■王道パターンで展開をがっちり掌握
混戦模様だったプレミアリーグを水色に塗り固めてつつあるシティ。カンセロが内側に入る役回りは今のシティのビルドアップのトレードマークだが、この日はそのカンセロが内に絞る動きはなし。内側で無理に起点を作らずとも、サイドから前進できるというのがシティの算段だろう。トッテナムの2トップのプレス隊の脇からラポルトとカンセロを軸に侵入していく。
中央を固めて外に追いやるのはトッテナム目線では悪くない状況だとは思うが、あくまでそれは同サイドを守れるならばという前提付き。その日のトッテナムはそのニアゾーンをケアできるほど守備は成熟していなかった。特に大外を噛ませてからハーフスペースに折り返されるパターンはすごく苦手。先制点の場面も2失点目の場面も同様の形からの失点。
タンガンガはおそらく対人守備を買われての抜擢だろうが、サイドとしてこういう崩し方をされてしまうのであれば持ち味は出てこない。シソコをCHで使った方がいいかも?とは思ったが、2失点目の場面ではシソコがいても無駄なことが分かった。この場面ではサンチェスがサイドに釣りだされたのが痛恨だった。
トッテナムのバックスがハイプレスに対応できないのは開始早々にわかった。遅攻ではチャンス創出には難があるとなると、何とか早い展開に持ち込みたいところ。ホイビュアがプレス回避に奮闘してわずかなチャンスを作り出すも、そのチャンスから得点を生み出されることはなかった。
終盤は久々となったデレ・アリの投入と共に2点のビハインドを跳ね返すべくプレスを開始するトッテナム。しかし、それをあざ笑うかのようなエデルソンのロングキックからギュンドアンがストライカー顔負けの駆け引きでダメ押しの3点目。前節リバプールを破壊したハイプレスを起動する必要もなし。王道パターンでブロックを攻略したシティはトッテナムを90分間掌の上から逃がすことがなかった。
試合結果
マンチェスター・シティ 3-0- トッテナム
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:23′(PK) ロドリ, 50′ 66′ ギュンドアン
主審:ポール・ティアニー
④ブライトン【15位】×アストンビラ【9位】
■やりにくさともどかしさ
前節は本職WB不在の影響か攻撃にスピードアップが見られなかったブライトン。今節はアルザテをWBに起用するという新しいチャレンジを行った。ただ、前節失われたスピード感を補うために工夫が施されたのはむしろそれより前の選手たち。2トップに起用されたトロサールやモペイが外に流れることでインサイドハーフのアリスターやグロスが前に出てくるタイミングを作る。
理想的な攻撃だったのは59分。外に流れるアルザテがフリーランでルイスを釣りだす動きを見せることでバイタルエリアを空ける。フリーランでトロサールのシュートコースがはっきりとできた。浴びせた雨あられのシュート数を見ても、ブライトンの攻撃は前節に比べれば良化したことは明らかだった。
アストンビラは終始ボールを奪い返せず、後半頭など意識的にプレスに強くいった時間帯では簡単にいなされてしまった。ブライトンが攻撃を終わった後にリトリートしてスペースを素早く埋める方向にシフトするため、あまり速い攻撃ができない。
プレスがかからない、トランジッションで仕留めきれないとなるとアストンビラにとってはブライトンは相当やりにくい相手だったのではないかと思う。グリーリッシュ、ワトキンス、トラオレへの長いボールから活路を見出したいところだが、いずれも散発的でパッとしなかった。
ただ、圧倒したブライトンも相変わらずシュートが決まらない。突破が決まってもフィニッシュが決まらないブライトンへのもどかしさはまだまだ解消に時間がかかりそうだ。
試合結果
ブライトン 0-0 アストンビラ
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
主審:ダレン・イングランド
⑤サウサンプトン【12位】×ウォルバーハンプトン【14位】
■リソースの片側集中で盤面逆転
プレミアリーグらしい早い展開で幕を開けたこの試合。4-4-2の大外を使いながら幅を取るウルブスも悪くはなかったが、いかんせんWG頼みの攻撃は相変わらず。彼らがそれぞれのサイドで超人的な働きを見せなければ打開はできない!という状況だった。
速い展開の中で武器が多かったのはサウサンプトンの方。前線のローテーションアタックの流動性の高さは南野が入っても健在。自身も10分にシュートを撃てる状況が回ってくるなどチームの意識が前に向いているときは問題なくチームに溶け込めている様子が垣間見えた。復帰したヴェスターゴーアのフィードも武器も1つ。高い位置を取るウォーカー=ピータースへのタッチダウンパスは高い破壊力を示した。
先制点は武器が多かったセインツにもたらされる。アームストロングのドリブルに対してセメド、デンドンケルがアバウトな対応を見せたせいで下がってしまったラインをウルブスはリカバリーできず。レドモンドが体を張って作ったスペースに入り込んだイングスが抑えの効いたシュートをネットに突き刺した。
後半はビハインドのウルブスがWGの左右を変更。左のトラオレをピッチを横断するドリブルを駆使して人を集め、薄くなった逆サイドに展開する役割に専念させたことで、ウルブスは右サイドで好機を作ることができる。今のウルブスは突破力のあるWGが2枚も3枚も抜かなきゃチャンスにならない状況が問題である。配置変更で左右それぞれで1on1を作ることを目指すのではなく、トラオレをお膳立てに専念させて、右のネトで試合を決めるやり方を選んだのだろう。今のネトなら間違いなく1人は抜ける。ウルブスが取った2得点は共にお膳立てを受けた薄い右サイドから。最終ラインも勇気を持って押し上げたことでセインツに逆襲の隙を与えない。こうなると南野は持ち味が一気に消えてしまう。
最後は攻め返したもののゴールまでは届かなかったセインツ。後半のウルブスの配置変更で一杯食わされてしまい、連敗を食い止めることはできなかった。
試合結果
サウサンプトン 1-2 ウォルバーハンプトン
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
SOU:25′ イングス
WOL:53′ ネベス, 66′ ネト
主審:グラハム・スコット
⑥ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン【19位】×マンチェスター・ユナイテッド【2位】
■遠ざかる隣人の背中
この冬にトルコからウェストブロムで新加入でやってきたディア―ニュ。その特徴はとにかくでかくて強い。昇格の立役者であるビリッチからアラダイスに監督が代わったことを象徴するかのような人選である。そのディアーニュは前節はトッテナム相手に2回ネットを揺らすもいずれもオフサイド。動き直しを怠るためにストライカーとしての狡猾さに欠けることを指摘した。
しかし、裏を返せばそういった駆け引きを差し引いてしまえば十分にプレミアでやれるレベルの身体能力の持ち主だということ。その能力を証明したのが開始早々の得点である。体を寄せて何とかしのごうとするリンデロフに対して完勝。もつれながらも枠にシュートを飛ばし、プレミアデビューゴールを飾る。
ウェストブロムは守備においても何とかユナイテッドを自陣から遠ざけようという姿勢は見て取れた。DFラインからトップまでの陣形は前節よりもコンパクト。ミドルゾーンで守り、ユナイテッドにシュートシーンをなかなか与えない。ユナイテッド側はアンカー脇(インサイドハーフが食いつきやすいウェストブロムの弱点である)と4バックの外を駆使して空いているスペースから攻めるものの、どこか工夫がなく単調なクロスになっていった。
それでも35分を過ぎたあたりからはミドルゾーンでのウェストブロムの粘りは限界を迎えるようになる。徐々に自陣に押し下げられると前半終了間際に決壊。左サイドを主体とした攻めに屈してしまう。ユナイテッドはマグワイアを積極的に高い位置でボールに関与させたことでサイドに数的優位を作ることが出来ていた。
後半もウェストブロムがズルズルいってしまうかと思いきや、押し込んでからのユナイテッドの攻めあぐねが目立つように。とりわけWGのオフザボールの動きの少なさは重症。サイドのクロスに対してカバーニが孤軍奮闘することも珍しくなかった。むしろ、ロングカウンターから決定的なピンチを迎えることすらあったほど。マグワイアにはあわやPKの場面やヘディングがバーを叩く場面もあったが、粘ったウェストブロムを前に勝ち点は1どまり。
絶好調の隣人の背中は遠ざかるばかり。この日のユナイテッドのストライカーたちのように勝ち点を積む足取りは徐々に重くなっている。
試合結果
ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン 1-1 マンチェスター・ユナイテッド
ザ・ホーソンズ
【得点者】
WBA: 2′ ディアーニュ
Man Utd:44′ フェルナンデス
主審:クレイグ・ポーソン
⑦アーセナル【11位】×リーズ【10位】
■対策完遂でトップハーフは入れ替わり
ウルブス、アストンビラとミッドランズ地方で立て続けにダブルを食らったアーセナル。だが。ホームだけ見れば無敗の記録は継続中。無失点記録を続けるホームにおいて今節はリーズを迎える。この日のアーセナルはリーズの対策をうまくインストールしていた。CBの積極的な持ち上がりはリーズの起点をずらす役割を果たしていたし、中央とサイドを入れ替えるオーバメヤンとスミス=ロウには手を焼いていた。
オーバメヤンがCFに起用された際の問題として挙げられるのは中央の起点の不在である。この点をうまく補ったのは新戦力のウーデゴール。ここまでの活躍に派手さはないものの確かなキープ力とプレー選択、そして局面を進めるパスなど存在感はある。
サイドに流れたオーバメヤンを軸にポジションチェンジから立て続けに点を取るアーセナル。2点目のPKを誘発したサカのプレスはメスリエの右足があまり使えないという弱点を把握してのものだろう。得点はいずれもリーズの弱みにうまくつけこんだものだった。
しかし、後半はリーズもやり返す。4点ビハインドでもやり返せるのが彼らの芯の強さ。後半開始から投入されたエウデル・コスタを軸に、左サイドからアーセナル陣内に攻め入る機会を増やす。セットプレーも含めて意地の2点を返すことに成功した。だが、さすがに4点の壁は高い。意地は見せたが、前半に粛々と対策を遂行したアーセナルの完勝といえるだろう。
試合結果
アーセナル 4–2 リーズ
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:13‘ 41′(PK) 47′ オーバメヤン, 45′ ベジェリンLEE:58’ ストライク, 69‘ コスタ
主審: スチュアート・アットウィル
⑧エバートン【7位】×フルハム【18位】
■グレートエスケープの望みは託された
キャルバート=ルーウィンとミトロビッチという9番を背負うストライカーを欠いた両チーム。エバートンはリシャルリソンとハメスの2トップという純粋なCF不在で臨んだのに対して、フルハムは新戦力のマジャを初先発に抜擢した。
両チームのビルドアップはキーマンがハッキリしていた。フルハムはすっかり大黒柱に成長したアダラビオヨが配球役として最後方からチームを押し上げる。アンカー番をしていたシグルズソンを除けば、エバートンは前の選手に重い守備のタスクを背負わせなかったため、フルハムの最終ラインはスムーズにボールを前に運ぶことができた。狙い目となるのは3センターの外。エバートンの4-3-1-2の脇という空いているところから着実に進むボール運びだった。
一方のエバートンはアンカーのデイビスが狭い位置でターンをすることで時間とスペースを作っていく。狭いスペースでのボール扱いは徐々に板についてきたように見える。フルハムの2トップの脇にインサイドハーフを下ろして起点を作るなど、エバートンもビルドアップには安定感があった。
しかしながら、そこから先の終着点が見えないエバートン。ポスト役として躍動するマジャがいたフルハムとは異なり、ボールの預けどころが見えてこない。
後半はサイドのケアを重視する4-4-2にシフトしたエバートン。だが、同サイドの圧縮が間に合わずにニアのハーフスペースを使われ放題に。フルハムがついたサイドの隙を最後に仕留めたのはマジャ。いい内容をしっかり結果に結びつける2ゴールを挙げて一気にファンの心をつかんだ。依然厳しい厳しい残留争いが続くフルハムだが、仮に逆転残留が実現するのならばおそらくマジャは大きな仕事を果たしていることだろう。
試合結果
エバートン 0-2 フルハム
グディソン・パーク
【得点者】
FUL:48′ 65′ マジャ
主審:アンディ・マドレー
⑨ウェストハム【6位】×シェフィールド・ユナイテッド【20位】
■苦しさはあれど、甘さはあらず
何といってもこの試合のウェストハムのテーマはアントニオの不在の克服だろう。今季、パフォーマンスが大きく落ちたのはやはり彼がいなかった時期。大きなケガではなさそうとはいえ、この1試合をどうしのぐかである。
モイーズが出した答えは俊敏な3トップの起用。大正解というわけではないが、クレスウェルを軸に最終ラインから出てくるスペースへの長いボールで何とか前進を狙っていく。努力は感じられるものの、長いボールを収めていたアントニオの不在は色濃く感じられる。
一方のブレイズも前進には一苦労。マクゴールドリックがあらゆるところに顔をだしに行くが、全体を押し上げられる場面はあまり出てこない。トレードマークのワイドのCBの攻撃参加も控えめだった。
もっともこれに関してはウェストハムの守備の出来にも触れるべきだろう。人海戦術での守備はお手の物の彼らにとって、5-4-1でスペースを埋めて守るのは得意分野。同サイドに人を集めて多角形で打開を狙っていくブレイズのやり方に対抗するのは手慣れたものといえる。
一方のブレイズの守備は甘さが目立った。立ち上がりのPKはオフサイドによって取り消されたが、ゴールに向かってもいない相手を引っかけてしまったのは印象が悪い。そのあともPKの献上やCKからの失点など流れの中で苦しむウェストハムに要所で隙を見せてしまう。
共に苦しい試合となったが、差が出たのは守備の部分。シーズン半分を折り返してなおトップ4争いを繰り広げるチームの底力は伊達ではないということだろう。
試合結果
ウェストハム 3-0 シェフィールド・ユナイテッド
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:41′ ライス, 58′ ディオプ, 90+6′ フレデリックス
主審:シモン・フーパー
⑩チェルシー【5位】×ニューカッスル【16位】
■解放された両CH、初手の優位は覆らず
ニューカッスルはウィロックとシェルビーをインサイドハーフに組み込んだ攻撃的な4-3-1-2に挑戦中。攻撃面では広範囲のレンジのパスを繰り出せるシェルビーとデビュー戦から飛び込みのセンスの高さを見せたウィロックの組み合わせは悪くないのだが、課題は守備。3センターの距離感はまだまだで、中央で締めて相手を外に追いやるような堅さは見せられていない。
この日も保持志向が強いチェルシーに対して、ウィロックが1列あがった守備を見せるが、それに伴った後方の押し上げがなく、効果は薄いまま。ここ数試合のチェルシーの対戦相手に比べると、ニューカッスルはジョルジーニョとコバチッチを囲い込む意識が低いため、チェルシーは悠々とボールを運ぶことが出来た。
内側に人を集めるニューカッスルに対してチェルシーはまず裏を狙う。だが、きれいな抜け出しを見せたエイブラハムが裏抜けの際に負傷。機動力に欠けるが降りる動きに長けているジルーにCFが入れ替わると、ニューカッスルの3センターの外のマルコス・アロンソ目掛けて長いボールを出すようになった。先制点もこのスペースに走りこんだヴェルナーのクロスから生まれた。その後久しぶりの点を取るなどようやくエンジンがかかってきた印象だ。
ニューカッスルは後半にプレスのタイミングが揃うようになり、立ち上がりはチェルシーを押し込む。だが、ウィルソンを欠く攻撃陣はサン=マクシマンが効く場面を作り出せず。押し返すも得点機会を得るまでには至らなかった。初手の配置のズレを活かしたチェルシーに対して、ニューカッスルの後半の巻き返しはややものたりなかったようだ。
試合結果
チェルシー 2-0 ニューカッスル
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:31′ ジルー, 39′ ヴェルナー
主審:ピーター・バンクス
⑪バーンリー【16位】×フルハム【18位】
■手繰り寄せるのが遅かった落ち着きと主導権
17節延期分。エバートン戦の勝利で逆転残留に一縷の望みが出てきたフルハム。彼らが上に上がるためにはどこかのチームを引きずり下ろす必要がある。その候補の1つになっているのがこの日の対戦相手のバーンリーである。
共に4-4-2同士の組合となったこの試合はどちらかと言えばバーンリーペースで試合は進んだといっていいだろう。主導権を握って試合を優勢に進めたとまでは言わないが、ロングボール主体で縦に蹴りあうという状況はフルハムよりもバーンリーの助けになったはずである。
しかし、先制点はフルハムに。少々ラッキーな形ではあるが、アイナのゴールはフルハムが喉から手が出るほど欲しかったもの。それだけに数分後にそれを無にしてしまう失点を喫してしまったのが残念である。
同点になった後の選手交代で徐々にフルハムがボールを持つようになる。だが、そこから好機につなげるにはやや前線は疲弊気味に。落ち着かせてボールを握るだけではこの日のフルハムが勝ち点3を得るには不十分。交代で流れを引っ張ってきたのは事実ではあったが、その時間帯をもう少し早めて決勝点を奪うためにゴールを狙いたかったのではないか。後半は優勢に進めたフルハムだったが、最後に笑ったのはドローでしのいだバーンリーといえるだろう。
試合結果
バーンリー 1-1 フルハム
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:49’ アイナ
FUL:53′ バーンズ
主審:ジョナサン・モス
⑫エバートン【7位】×マンチェスター・シティ【1位】
■3対3で崩しきる
CL再開を前にいよいよ止まらなくなってきたマンチェスター・シティ。貢献度が高かったギュンドアンの欠場もそこまで大きな不安にはならないくらいに、チームの調子はいい。この試合ではそのギュンドアンのポジションにフォーデンが入る。
組み立てよりもフィニッシュに適性のあるフォーデンがIHに入る分、左のSBに入ったカンセロはいつもよりもCHにいる時間が増加。ほぼ攻撃時はCH常駐といっていいほどだった。相手を見てどうこうというよりは割と立ち上がりから決め打ち感があったので、これはスカッド事情に基づく決め事だろう。
相変わらずエバートンのCH付近はロドリ、カンセロ、降りてくる前線の選手で埋め尽くされる。ドゥクレもデイビスもマーク相手を次々と変えながら捕まえるのに忙殺されていた。重心を後ろに向けて、縦パスの入れどころを優先する彼らの判断は適切ではあるものの、後傾することでシティのCHに持ち運ぶ隙を与えてしまい、より重心が後ろになるという悪循環からは逃れられない。
エバートンも得点シーンのように相手陣まで行ければチャンスはあるものの、試合を通じて機会はほぼ訪れず。リシャルリソンがCF起用でなければもう少しチャンスはあったかもしれないが、キャルバート=ルーウィンを欠く中で彼がポスト役をやらないといけないとなると、馬力あるドリブルはドゥクレくらいしか期待ができない。相手陣まで運ぶ手段に困ったエバートンだった。
この試合のシティで特徴的だったのは右サイドの攻撃。多くの場合マフレズ、ベルナルド、ウォーカー以外の選手は寄らずに中央に待機する。おそらくこれは中央でクロスに合わせる選手の確保+右サイドのスペースに相手が寄らないようにして、3対3を広いスペースでやってしまおうというコンセプトだろう。狙い通り、シティの2点目、3点目はその右サイドを崩しきった形から。少し時間はかかったものの、狙った形からばっちり仕留めたシティ。負傷明けのデ・ブライネの試運転まで決めて、万全の首位固めに成功した。
試合結果
エバートン 1-3 マンチェスター・シティ
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:38′ リシャルリソン
Man City:32′ フォーデン, 63′ マフレズ, 77′ ベルナルド
主審:アンドレ・マリナー
おしまいじゃ!!