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「Catch up Premier League」~Match week 18②+α~ 2021.1.19-1.23

目次

①ウェストハム【9位】×ウェストブロム【19位】

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■前進の難易度が段違い

 ウェストハムは2試合連続で得意ではないボール保持局面が多い試合に挑むことになった。ただし、前節対戦したバーンリーとは異なり、ウェストブロムはボール保持を放棄してブロックを組むシーンがあまり得意ではない。この試合ではプレス時の1列目と2列目の距離が遠いせいで、ウェストハムに簡単に運ばれる場面が目についた。

 とりわけ、2列目からプレスに出ていく際に長い距離を詰めなければいけないので、その隙にギャップができて前進!という風に簡単に侵攻を許す場面もあった。縦パスをつけて、ポストからの前進という流れで機会をより多く作り出すのはウェストハムの方。トップのアントニオだけでなく、中盤のソーチェクもポスト役になって縦パスの受け手をすることもあった。

 機会が多かったウェストハムは問題なく先制点をゲット。押し込んだ局面が多く、ウェストブロムは耐えられなかった形である。縦パスをつけてポストで前進という流れはウェストハムと似ていたウェストブロムだったが、相手の守備のタイトさも自軍のポストの安定感もウェストハムの保持とは異なるクオリティ。苦しい前進の中でペレイラが何とか点を取ったが、これが精一杯だったように思う。

 その後も攻め立てるウェストハム。決勝点は珍しいヤルモレンコとの競り合いから。エースのアントニオが最後に仕留め、ウェストブロムは万事休す。終始押し込んだウェストハムがウェストブロムを圧倒した試合だった。

試合結果
ウェストハム 2-1 ニューカッスル
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:45+2′ ボーウェン, 66′ アントニオ
WBA:51′ ペレイラ
主審:グラハム・スコット

②レスター【3位】×チェルシー【7位】

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■難しい2失点の評価

 今季のチェルシーの攻撃面で気になるところは攻撃の後ろ半分、すなわちゴールに近い部分がぼやけやすいところ。そこをクリアにしたのがジエクの存在だったのだが、負傷離脱によりもう一度見えなくなってしまったというのが今現在の立ち位置だと思う。

 そういう意味での課題へのトライはこの試合でも垣間見ることができた。レスターが待ち受ける4-3-3に対してアンカー脇の2列目の選手たちに縦パスを刺していこうという狙いは、少なくとも課題を受けての目標としては悪くないとは思う。3センターの一角がマディソンだったこともあり、レスター側にも縦パスを刺される隙があったことも含めて。

 ただ、3列目として役割を担うことが多かったコバチッチとマウントに負荷がかかったのは事実。後方から顔をだせるマウントと自ら運べるコバチッチのコンビで攻撃面での厚みをだそうというのが狙いなのだろう。一方で、守備の強度がしんどくなったのも確か。内側にWGが絞りながら受ける特徴があるレスター相手には少し相性が悪かったようにも思う。

 2失点の評価も難しい。少なくとも1点目はフォーメーションによって防げる類のものではなかった。2点目は中盤の競り負けを端に発しているように思うが、最後の局面ではジェームスの対応ミスと評価するのが妥当でもある。となると中盤の強度低下が失点につながったと言い切れないのも事実。

 ランパードにはやりにくさはあっただろう。カンテの欠場もそうだし、ヴェルナーを交代で使わずに負けるということがもたらす選手への心理的な影響もそうだし。一方で、裏抜けという事故を意図的に引き起こせるレスターに対して、中盤のデュエルで劣勢を許容するメンバー(カンテの離脱でどうしようもないのかもだけど)やこうした攻守のバランスを動かすトライを首位を争うレスター相手にすべきだったのか、前節のフルハム相手に出来なかったものかとか気になる部分があるのも正直なところ。ただ、それでもトライしないよりはマシとする向きもあるのかもしれないが。

 徐々にボトムハーフの足音が迫ってきているチェルシー。若手とスターの融合を求められたランパード政権はシーズン半ばで正念場を迎えることになった。と思ったら監督が代わってしまった。

試合結果
レスター 2-0 チェルシー
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI: 6′ ンディディ, 41′ マディソン
主審:クレイグ・ポーソン

③マンチェスター・シティ【2位】×アストンビラ【11位】

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■強さを持って強さを制す

 好調が続くマンチェスター・シティ。ボール保持における安定感を取り戻したシティに対して、アストンビラは非保持の対策を立案しなければいけない。

    アストンビラのやり方は最終ラインへのプレッシャーのタイミングを意識。バークリーとワトキンスのプレス隊は特定の個人にプレスをかけるというよりは、出ていくときに背中で中盤を消しながらプレスをする。

 前線に限らずアストンビラの中盤は選手の間に立ちながら距離感を縮め、圧縮していくように守る。シティは内側に選手を多く集めて受ける準備をするので、こういうやり方はいいのかもしれない。内側に絞るカンセロやジンチェンコにもポジションを乱さずに対応していた。

 しかし、シティには内側がだめでも外がある。アストンビラの4-4ブロックが内側に絞っている分、外が空く。シティは積極的なサイドチェンジで大外で受ける選手(左はフォーデン、右はデ・ブライネorスターリング)から押し下げる。左サイドに起用されたフォーデンはチェルシー戦は割と早めにクロスを上げていた印象だが、この試合では自らカットインすることが多かった。カットインして押し下げながらスペースを作ることが求められたのだろう。

 後半は徐々に自由に動き出すベルナルド。それに対応するように中盤の位置を深めに守る4-1-4-1に変更。その分、トップの位置でのプレスがかかりにくくなり、ストーンズが保持でチャラさを発揮する。アストンビラは徐々に押し下げられるようになる。

 ビラは2021年にシティが当たった相手の中では最も厄介な相手だったように思う。ロングカウンターは平気で繰り出せるし、グリーリッシュはタメが効く。トラオレにはもう少し判断能力を向上させたいところだけど。それでも、そのビラ相手に30本近いシュートを撃ちこむシティは強い。これだけ押し込んで打ち込めばそりゃ2点くらいは入る。ビラも良かったが、シティがそれをさらに上回った形である。

試合結果
マンチェスター・シティ 2-0 アストンビラ
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:79′ ベルナルド, 90′(PK) ギュンドアン
主審:ジョナサン・モス

④フルハム【18位】×マンチェスター・ユナイテッド【1位】

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■修正で奮闘も掌握されたペース

 立ち上がりのマンチェスター・ユナイテッドはここ数試合のコンディションの良さは鳴りを潜めていた。オフザボールの動きの少なさが非常に際立っており、むしろシーズン序盤のボール保持で手をこまねいている様子を思い出されたようだった。

 そんなユナイテッドのゆるさは守備にも波及。ルックマンに裏をとられて一発で先制点を献上する。ルックマンはこの日は3-4-1-2のトップ下起用。いつもの左サイド起用ではなかったのは同サイドのロビンソンが出場停止でいなかったからか、あるいはワン=ビサカから逃がすためだろうか。

 しかしながら、ユナイテッドもすぐに応戦。エンジンをかけてから追いつくまでは非常に早かった。フルハムが緩さを見せたのは右サイドの守備。ロフタス=チークの対応がやや遅れてしまうことで同サイドを突破され、クロスからアレオラのミスを誘発されてしまう。

 背走されるシーンで後手を踏んだことを考慮し、パーカーはラインを下げて対応。後半はここにさらにハイプレスも織り交ぜるなど、ここ数試合見せている修正力はこの試合でも垣間見ることができた。

 ただ、一方でじっくり腰を据えてユナイテッドがフルハムを押し込んでいっていくシーンも増えていく。むしろそういうシーンが増えたからこそパーカーは修正しなきゃいけなかったんだけど。押し込むシーンが増えれば、チャンスの数とセットプレーの数は増やすことができる。

 決勝点になったポグバのシュートはスーパーだが、それを引き起こすペース掌握がその前にあったのは確か。同点ゴールの相手の隙をついて一気に陥れる鋭さもさすが。序盤は重たく見えたユナイテッドだが、前半戦のようで前半戦の彼らではないことを証明することに成功した。

試合結果
フルハム 1-2 マンチェスター・ユナイテッド
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:5′ ルックマン
Man Utd:21′ カバーニ, 65′ ポグバ
主審:マーティン・アトキンソン

⑤リバプール【4位】×バーンリー【17位】

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■かかってこられる準備は万端

 激戦だった首位攻防戦を終えたリバプール。マンチェスター・ユナイテッドとの一戦は今季屈指の好勝負だったが、リバプールに関してはやや攻撃の部分の手詰まり感が出た試合でもあった。具体的にはやや前線の動きが直線的で両SBのクロス頼みになる頻度がこれまでよりも多い気がした。

 後出しにはなってしまうが、そういう状況でバーンリーとやるのは正直嫌な感じがするという部分はあった。負けるとは思わなかったけど、スコアレスドローくらいはありそうだなと思っていた。

    試合はバーンリーが望んでいた展開にうまく持ち込んでいたと思う。ズルズル下がりながらも自分たちがクロスを上げられていい状況をスッと作るのがやたらうまい。抉れるし球種が豊富で精度も抜群なリバプールの両サイドバックをしても打開は困難だった。

 一方で時折思い出したように発動するバーンリーのハイプレスはあまりリバプールには効かなかった。やはりチアゴの存在は大きく、多少のハイプレスなら味方との壁パスを駆使しながらスイスイ進んでいける。ほんとマジックみたい。フィットしてないように見えるのは確かなんだけど、それはより相手のゴール側に近い部分の話。ビルドアップのところではすでにリバプールの上積みに大きく貢献している。

 ハイプレスは不発だったものの、長いボールを収めるバーンズとウッドは想像以上にリバプールに効いた。かなり高い確率でロングボールを収める陣地回復に成功。リバプールの波状攻撃を許さず、攻撃を振り出しに戻すよう突き付けることはできていた。そんなバーンリーにご褒美があったのは82分。珍しく対応がワンテンポ遅れたアリソンがPKを与える。これを決めてバーンリーが貴重な勝ち点3をゲット。リバプールのホーム無敗記録を止めたのはまさかのバーンリーだった。

試合結果
リバプール 0-1 バーンリー
アンフィールド
【得点者】
BUR:83′(PK) バーンズ
主審:マイク・ディーン

⑥アストンビラ【11位】×ニューカッスル【15位】

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■形は変えても問題は変わらず。トンネルは続く。

 こちらは土曜の深夜のゲーム。アストンビラはまさかのこの記事再登場である。

 前節はアーセナルに2トップ脇を好き放題攻略され続けて4-4ブロックに侵入を許し続けたニューカッスル。アストンビラ戦においては5-3の形に後方ブロックを変更する。すなわち、2トップ脇から運ばれ続けることを許容するということの裏返しでもある。それだけ今のニューカッスルは前進にキャロルの高さが必要ということだろう。

 というわけでお望み通りに2トップ脇から運び続けるアストンビラ。これをやるにはWBとIHのどちらが捕まえに行くか?とかCBも含めてどうやってアストンビラを同サイドに閉じ込めるか?みたいなアプローチが必要なのだが、その部分までこの日のニューカッスルが整備されていたとはいいがたい。

 ニューカッスルはとにかく陣形が動かされてからのアクションが遅く、相手のオフザボールの動き出しについていけていない。それがたとえ簡単なワンツーでも。アストンビラの先制点の場面はフィニッシュだけ見ればニューカッスルにはアンラッキーな部分もあったかもしれないが、そもそも簡単にグリーリッシュにエリア内にラストパスを出されてしまっては自軍が失点の危機に陥るのは当然である。この場面ではWBとCHの連携がうまくいかず、シェルビーがグリーリッシュを離してしまった。

 2得点目もトラオレの見事な飛び込みだが、セットプレーを跳ね返してからのラインアップが遅く、簡単にアストンビラに再度ラインを押し下げられてしまう。これでは厳しい。保持における前進も非保持における対人守備もアストンビラの方が上。ニューカッスルにはまだトンネル脱出の気配はない。

試合結果
アストンビラ 2-0 ニューカッスル
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:13′ ワトキンス,42′ トラオレ
主審:シモン・フーパー

おわり!

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