ドイツの追手のポールポジションはスイスに
本命のドイツを追う2つのチームによる直接対決。2位以上を確保するためにもここでライバルを叩いておきたい一戦である。
互いにフォーメーションは3-4-2-1。ミラーでぶつかる両チームでの激突でまず求められるのは保持側のチームの対応となる。余裕があったのはスイス。ハンガリーがマンツーで前から当たってくることをしなかったため、バックスからボールを動かすことができていた。
前進のためのズレを作ろうとしていたのは左サイド。高い位置に動くリカルド・ロドリゲスに合わせてジャカが低い位置を取るなどでマンツーの噛み合わせを破壊していく。
特徴的だったのは多くの人が話題にあげていた20番のアエビシェールだろう。特に国際大会ではSBやWBは大外専用機になることが多いのだけども、このアエビシェールはかなり自由なポジショニングをとる。大外をバルガスに任せ、自らはインサイドに絞りながら攻撃に参加する。
そして、アエビシェールは中央で2つのゴールに関与。先制点はライン間で縦パスのレシーバーになり、ドゥアーへの裏抜けでのラストパスを送ってアシストを記録。2つ目は豪快なミドルで追加点を奪う。
左右から自在に押し込むスイスに対して、ハンガリーはなかなか前進をやり返すことができず。非保持ではボールの取りどころがわからず、保持ではロングボールでは逃げられない!という感じ。広く繋ぎながらスイスのマークのズレを剥がす方がまだ有力という状態だった。左サイドではスイスと同じようにマンツーをずらす旋回が散発的に見られたはしたが、決定的にゴールに向かうことができるほど大きなズレではないという感じ。2点のリードの分、明確にスイスが優勢だった前半と言っていいだろう。
後半、ハンガリーはより前よりのプレスを仕掛けるように。前からハメに行くアクションを増やし、同サイドにスイスのボール保持を誘導しようと試みる。しかしながら、スイスのポゼッションの質の高さには苦戦。プレッシャーを逃しながら広く幅を使うスイスの組み立てに対して、なかなか狭いところに囲うことができなかった印象だ。
保持に回った時のハンガリーはCHが左サイド落ちながら押し上げてつつ左サイドにオーバーロード気味に人を集めてはいたが、こちらも決め手にはならず。スイスがプレスを緩めたため、ボールを持つ機会自体はフラットになったが、その分ハンガリーが明確にチャンスを増やしたわけではなかった。
ハンガリーは川崎ファンにはお馴染みの蔚山のアダムを投入し2トップに変化。しかしながら、スイスのボックス内の跳ね返し強度には屈してしまい引き続き空中戦でも優位を取ることができない。
終盤は攻め疲れたハンガリーは徐々にスイスの反撃を受けるように。するとスイスはトドメの一撃をお見舞い。相手のCBのクロスの処理が甘くなったところをエンボロが掻っ攫いそのままゴールを沈める。
前半は保持での変化を見せながら、後半は堅く逃げ切りを見せたスイス。GS突破に向けて好発進と言える勝利を飾った。
ひとこと
左サイドの旋回とジャカの司令塔としての役割は見事。堅さもあるしスイスは悪くない内容だったのではないか。
試合結果
2024.6.15
EURO 2024
グループA 第1節
ハンガリー 1-3 スイス
ケルン・スタジアム
【得点者】
HUN:66′ ヴァルガ
SWI:12′ ドゥアー, 45′ アエビシェール, 90+3′ エンボロ
主審:スラヴコ・ビンチッチ