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「挑む要素の濃度」~2021.1.26 プレミアリーグ 第20節 サウサンプトン×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第20節
2021.1.26
サウサンプトン(10位/8勝5分5敗/勝ち点29/得点26 失点21)
×
アーセナル(11位/8勝3分8敗/勝ち点27/得点23 失点19)
@セント・メリーズ・スタジアム

戦績

近年の対戦成績

図1

直近10戦でサウサンプトンの2勝、アーセナルの5勝、引き分けが3つ。

サウサンプトンホームでの対戦成績

図2

直近10試合でサウサンプトンの4勝、アーセナルの3勝、引き分けが3つ。

Head-to-head from BBC sport

・FA杯でサウサンプトンがアーセナルを下して以来、4日ぶりの再戦
直近10試合のプレミアでの対戦でサウサンプトンはアーセナルに1勝のみ(D4,L5)
・プレミアにおけるアーセナル戦のサウサンプトンの勝利は7つとも全てホームゲーム

スカッド情報

【Southampton】

・ライアン・バートランドは出場停止、カイル・ウォーカー=ピータースは負傷で欠場見込み。
・ネイサン・レドモンドはフィット。起用可能な見込み。

Arsenal

・FA杯を「個人的な理由」で欠場したピエール=エメリク・オーバメヤンの復帰は不透明。

Match facts from BBC sport

Southampton

・直近6戦のリーグ戦で1勝のみ(D3,L2)
ホームでの勝ち点16これより多くホームで勝ち点を取っているチームは3つだけ。
・リーグ戦で12試合連続得点の後の5試合中4試合で無得点
・ホームでのクリーンシート6つは昨季と一昨季の合計と同じ
セオ・ウォルコットは同一シーズンにホームとアウェイでアーセナルに得点を決めた元所属選手になる可能性。達成すればケビン・キャンベル、二コラ・アネルカ、ロビン・ファン・ペルシーに次いで4人目。
ジャック・ステーフェンスが出場すればプレミア100試合目

Arsenal

・直近5試合のプレミアで4勝。この間の失点は1。
・土曜の敗戦は7試合ぶりの負け失点は8時間28分ぶりのもの。
5試合連続クリーンシートになれば2006年以来。
アウェイでの失点は8。これより少ないのはアストンビラとマンチェスター・シティのみ。
・無失点で勝てば2013年以来3試合連続のアウェイでの無失点での3連勝
・前半戦を終えた段階で23得点は98-99以来最も少ない数字。
ミケル・アルテタは選手と監督合わせた7回のプレミアでのセインツ戦で負けなし

予想スタメン

画像9

展望

■早さ×速さで優位に立つセインツ

 連戦だ!というわけで展望をやるにはまずFA杯の振り返りから。

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 まずはセインツの保持の局面から。絞るSHを使って内側のレーンに多くの人を並べるのが特徴。すなわち相手のMFの裏への縦パスを通すことが目的である。直接の楔でもいいし、CFを使った長いボールでのポストでもいい。

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 幅の部分はSBが請け負うことが多く、オーバーラップした状態で攻撃が詰まったときはまずはここの裏のスペースを狙うことが有効である。厄介なのはFWがサイドに流れる動きが多いこと。CBがどこまでついていくか?という部分の判断がアーセナルは怪しい部分が多い。ついていくか行かないかの判断が遅れてしまうことがある。

 カウンター局面になれば、さらに純粋なスピードでの後手を踏む。早さ×速さの掛け合わせでさらに厳しくなってしまう!みたいな。FWが流れればSHが内側でも仕事ができるのが厄介である。

 したがって、こういう局面をまずは回避したいアーセナル。攻撃の完結の仕方は気を付けたい。そして、欲を言えば相手の攻撃を早い段階のプレスで詰ませて、敵陣でのサッカーの時間を長くしたいところである。ヴェスターゴーアやロメウがいない分、ビルドアップの精度は割引であり狙い目の部分ではある。

 もっとも、セインツもその弱みを自覚しているからこそ、後述するハイプレスでアーセナルを自陣に閉じ込めようとしたのだろうと思うけど。そもそも押し込ませなければ、アーセナルがハイプレスなんて発動させられないでしょ的な。

■圧をかけるサイド、やらせていいサイド

 セインツのプレスの特徴は左高右低。つまり、アーセナルの右サイドを積極的に潰しに行っているということになる。LSH(セインツ両SHがちょくちょく入れ替わる)の選手が後ろを気にしながらいけそうなタイミングでプレスにGO。その際にSBが前にでていき縦のコースも切る。斜めのコースにはニアサイドのCHが待機。逆サイドのSHも中央まで出てくるというサイド圧縮の徹底ぶりだった。

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 セインツとしては同サイドの縦への侵攻を防ぎ、逆サイドに展開させるのはOK。逆サイドのSBであるセドリックが持った時のプレスの遅さ、緩さは逆サイドに比べると顕著。これはおそらくLSBが左利きのティアニーでないならば、このサイドから抉られにくいだろうということで撤退を許容できるということだろう。最悪抉られてもいいかな的な。

画像6

 というわけでこのプレス⇒サイドチェンジまでの流れはセインツが意図してアーセナルをそのようなボールを回しに誘導したといってもいいだろう。

 ただし、アーセナルにサイドチェンジを強いたのならば逆サイドまで展開させなくてはいけない。そうでなければプレスからリトリートに切り替わる時間を稼ぐことができない。

 このセインツの誘導を打破したのが11分のセドリックの動き。大外ではなく内に受ける進路を取ることで、アーセナルのサイドチェンジのベクトルを内側に変化。エルネニーの縦パスを引き出した。

画像7

 9分のベジェリンのシーンもそうだけど、徹底したサイドの圧縮に対して、内に進路を取って1列前の受け手となるという案は面白かった。しかし、それを試合の中で組み立てに完全に入れ込むというところまではいっていなかった印象である。この2シーン以外は縦への進路を取るのにSBが内に絞るシーンはなかった。

 これにはCHの前を向く意識が低いことも関係するだろう。ジャカもエルネニーも逆サイドへの展開の優先度が高く、縦に刺す選択肢をとる頻度が非常に少ない。この辺りはトーマスの起用により変わる部分ではありそうだ。

 アーセナルはセインツの狙い通りに動いてしまったといっていい。先制点を取った場面もセインツが狙い撃ちしたアーセナルの右サイドのプレスを成立させたことが起点となる。前半は特にセインツのプレスに対してアーセナルは有効な策を打てるシーンが少ないまま推移してしまっていた。

■できなかった要素をどうとらえるか

 後半の頭、アーセナルは長いボールを織り交ぜての前進に挑む。

画像8

 ズバリ、次のリーグ戦においてのポイントはここ。この長いボールというセインツへの対抗策をどう見るかである。後半の終盤もそうなのだが、セインツがプレスを仕掛けてきた時間帯においてはこの試合はアーセナルは主導権を握られっぱなしだった。この日のメンバーではセインツの連動したプレスを回避する術はなかったと見るべきだろう。

 すなわち、裏に蹴るというやり方も選び取らされた部分ではある。ただ、セインツのバックスはスピードがあるわけではない。アーセナルの裏抜けに対しては、CBがサイドに流れてでも思い切りよく潰しに来るという策を取っていたことからもスピード勝負に挑まれる前に決着をつけたい意図が見て取れる。

 アーセナルとしてはリスクが大きいプレス回避に挑むよりも、長いボールで直線的なスピード勝負を挑む方が勝ち目もある上にメリットも大きい。

 ただ、アーセナルはトーマス、ラカゼット、サカなど主力の登場につれて保持でスムーズにサイドチェンジができるようになっていた。セインツのブロック形成のスピードをサイドチェンジが上回り、最終ライン近くまで下がってしまうシーンもできていた。

 さらに言えば本来は先に挙げたSBを使った前進のようなプレスへの対応策を打つためにこういうサッカーをやっているという部分はある。ロングボールで戦うことのメリットはすでに紹介した通り。だが、ショートパスでの選択肢を持てずに泣く泣くそちらをやるのと、短いパスでのプレス回避を織り交ぜながら長いボールを蹴ることでは雲泥の差である。

 アーセナルとしてはメンバーが入れ替わるであろうリーグ戦でどこまでプレスに対して短いパスで挑むのか。あるいは数日での改善は不可と判断し、フルメンバーをカップ戦で起用したセインツに縦に速い展開を挑むのかである。カップ戦の結果を受けた上での保持におけるアーセナルのスタンスというのがこの試合の最大の注目ポイントだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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