才能を世界に示したギュレル
グループFの先陣を切るのはEURO初の本大会出場を決めたジョージア。記念すべき本大会初戦の相手は真っ赤にスタンドを染め上げる熱烈なサポーターが印象的なトルコである。
非保持で積極策を見せたのは先輩に当たるトルコ。オールコートマンツーといってしまうとかなり強度マシマシの印象を受けるかもしれないが、人基準で前線から守備にあたるという意味ではそう言っても差し支えがないかなという感じ。ゾーンよりは人を捕まえることにフォーカスした守備だった。
一方のジョージアの守備はトップの2人の守備の基準を中盤に置くことできっちりと引くスタート。よって、序盤はトルコがボールを持つことが多くなった。
引いた5-3-2に対しては構造的にサイドが浮きやすい。そうした盤面上の理由もあってか、トルコはサイドからボールを運んでいく。特に印象的だったのは左のSBであるカディオールだろう。今夏の移籍市場の注目選手と言っていい左サイドバックはプレーメーカーとしてボールの供給役となり左サイドを掌握。フリーマンとして縦横無尽にピッチを動き回るコクチュとコンビを組んで、左サイドからリズムを作っていく。
タメのきく彼らにボールを持たせつつ、左サイドから抜け出す選手を作り、折り返しのクロスを上げる形でトルコはジョージアのボックス内に迫っていく。ボックス内で背後を取られる形になった時点でジョージアはかなり押し下げられており、トルコは強力なミドルから二次攻撃を狙うことができた。
この流れからトルコは先制点をゲット。左サイドでタメと縦の抜け出しを駆使して押し下げると、折り返しを跳ね返されたところでシュルドゥルのミドルが炸裂。今大会のトレンドと言っていい豪快なミドルが決まり、トルコが試合を動かす。
ノリノリのトルコがその後もゴールを狙っていく展開となったが、ジョージアも保持に回れば手応えがあった。自陣にきっちり引いている割にはジョージアのWBは攻め上がりの速度が早く、緩急をつけながらドリブルすることができるジョージアの前線の面々を幅をとりながらサポート。機会はトルコに比べると少なかったのは確かだが、保持の局面になると確実に押し下げてトルコのゴールを脅かすアタックを行うことができていた。ミドルへの積極性はこちらも同じである。
そうした中で同点ゴールを決めたジョージア。右サイドからコチョラシュヴィリからの折り返しをミカウタゼがゴール。歴史の扉を開いたのは22番のストライカーだった。
ここから一気に攻め込むジョージア。オープンな展開に乗じてトルコも素早く攻める展開に。総じて、かなりシュートの本数が多い前半となった。
ジョージアは後半に5-4-1にブロックを組む。おそらくはトルコのサイド攻撃に対して後手に回っている感覚があったんだろう。それでもトルコはゴリゴリと進撃。ライン間に差し込みながら2列目が強引に道を切り拓いていく。
ジョージアは布陣変更をしたもののベースとなる姿勢は変わらず。サリーからのゆったりした保持からテンポを整えつつ、大外をWBに任せつつ、中盤はライン間にワンツーを入れ込みながら進んでいく。
互いに攻め続けるオープンな展開で結果を出したのはトルコ。ジョージアの攻撃を高い位置で止めると、右サイドからギュレルが左足を一閃。才能を世界に示す一撃で再びトルコがリードを奪う。
以降もイケイケのトルコ。前半に見られた左サイドからのタメと抜け出しを作った押し下げをベースにジョージアの陣内に進んでいく。
終盤もオープンな展開になったこの試合。トルコは4バックから5バックに、ジョージアは5バックから4バックにシフトし、スコアに合わせて姿勢で殴り合いを試みていく。ジョージアはやや4枚で守るのがきつそうかなという感じではあったが、出ていく際にはサイドから鋭いくロスを上げることができており、ギャンブルに出る価値はあったなという感じであった。
しかし、その賭けに勝ったのはトルコ。GKを上げたCKのカウンターからアクトゥルコールが追加点をゲット。オープンな展開の決着は無人のゴールへの3点目で完全決着。オープンでスリリングな一戦はトルコに軍配が上がった。
ひとこと
これはリアルタイムで見たら楽しいだろうな。
試合結果
2024.6.18
EURO 2024
グループF 第1節
トルコ 3-1 ジョージア
BVBシュタディオン・ドルトムント
【得点者】
TUR:25′ ミュルドゥル, 65′ ギュレル, 90+7′ アクトゥルコール
GEO:32′ ミカウタゼ
主審:ファクンド・テージョ