ハヴァーツが作り出したギャップを生かし切るMF陣
全チームの中で第1節最多得点を決めた開催国のドイツ。連勝すれば突破は決まり。突破一番乗りを賭けた初戦となる。
立ち上がりに強襲を見せたのはハンガリー。長いボールの処理ミスを誘発すると、そのままあわやというシーンを作り出す。
ハンガリーのプランはこのようにきっちりと組んだところからの速攻ベース。5-4-1のローブロックを組み、ライン間はコンパクトに。左右に移動して最終ラインに落ちるクロースに惑わされることなく、シャドーが前に出ていくことと合わせてワイドのCBが前に出ていって陣形のコンパクトさを維持していたのが印象的だった。
このコンパクトな布陣でボールを奪い、攻め上がるとそこからセットプレーも含めて立ち上がりのハンガリーはコンスタントにドイツのゴールに迫る勢いをみせた。
それに呼応するようにドイツのチャンスもトランジッション色が強め。右のサイドに流れるハヴァーツがギャップを作り出してラインを押し下げつつ、中央に侵入するギュンドアン、ムシアラ、ヴィルツにチャンスを供給する。ハヴァーツの動きだしはブロックを組んだ静的な局面でも機能。5バックにギャップを作り、オフサイドにかからないように手前と奥でスペースを受けながらコントロールするスキルはとても見事であった。
ライン間のわずかなスペースの創出を右サイドからコンスタントに行っていたドイツは前半のうちになんとか先制点をゲット。サイドからライン間のギャップに差し込んだヴィルツのパスを起点に中央を一気に攻略。ギュンドアンのコンタクトはお咎めなしとなり、ムシアラのゴールが認められることとなった。
このシーンでも思うのだが、ドイツのMF陣は速いボールを狭いスペースで受けてコントロールするのが抜群にうまい。この特性とハヴァーツが作り出すわずかなスペースは相性がいいのだろう。
ハンガリーはショボスライのFK以降、なかなかチャンスを作れず。ケルケズの思い切りのいい攻め上がりまで辿り着けば推進力を持ってゴール付近まで辿り着けそうな気もしたが、そうしたシーンを作り出せるようなタメは少しずつハンガリーから失われていった。リード後はドイツの支配を崩せないままハーフタイムを迎える。
後半も試合の流れは同じ。きっちりとボールを動かすドイツに対して、ハンガリーは速い攻めからのカウンターでセットプレーまでたどり着く。ドイツの支配は苦しかったが、カウンターに出ていける分だけ前半のいい時間の感覚は取り戻したかなというハンガリーであった。
しかしながら、優勢なドイツは愚直にフリーの選手から背後のスペースを狙うアクションを欠かさずにハンガリーを自在に押し下げる。このフリーランのサボらなさは相手からすれば脅威だろう。
すると、左サイドからのミッテルシュタットの裏抜けからの折り返しに合わせたのはギュンドアン。深さができたところに飛び込むお馴染みのゴールシーンでさらにリードを広げる。
この2点目はハンガリーに重くのしかかった感がある。ゴール前まではいけるが、クロスはきっちり跳ね返されるという状況のハンガリーにとって勝ち点獲得が視野に入るのは1点差までだったよう思う。
最後はアダムを入れてストライカーを増員するが、押し込むという前提を作ることができないまま終戦。終盤もシュートを重ねるドイツに対してハンガリーはピタッとシュートが止まってしまった。
ローブロックを丁寧に壊したドイツが連勝に成功。11人が相手でも問題ないことを証明し、GS突破一番乗りを果たした。
ひとこと
主導権を保持で握り返してくるタイプの相手と戦っていないのは気にはなる。だが、押し込む相手に対してなかなかこじ開けられないシナリオを回避するという最低限のミッションはクリアしたと言えるだろう。
試合結果
2024.6.19
EURO 2024
グループA 第2節
ドイツ 2-0 ハンガリー
シュツットガルト・アレナ
【得点者】
GER:22′ ムシアラ, 67′ ハヴァーツ
主審:ダニー・マッケリー