柔と剛、それぞれの2トップ
ボールを持つのはスロベニア。セルビアのプレス隊の脇でフリーでボールを持つと、ここからボールを進めていく。
サイドから押し下げるケースもあったが、スロベニアの前進のメインは縦パスを受ける2トップ。シェシュコ、スポラルの2トップは共に動きながらボールを収めることができる機動力のあるコンビ。サイドから斜めのパスをこの2トップにボールを当てて、逆サイドに展開する。もしくは、ポストでコースを変えて攻撃の目先を変えてボックス内に侵入。狭い中央のエリアでもこじ開けることができていたため、細かいパスのベクトルの変化はセルビアの守備陣の負荷になっていたように思う。
対するセルビアはボールを前に進めることに苦戦。立ち上がりこそ横断しながらボールを動かすことができたが、徐々に手詰まりに。WBを使って前に進みたいところだが、スロベニアの前から止めるアクションによりハーフウェイラインを超えて前に進むことができない。
ならばボール奪取を!と行きたいところだが、セルビアはボールの奪いどころがない。CFを警戒して中央を閉めると、CBのキャリーからサイドにつけられるなど、常にスロベニアの方がセルビアの嫌なことにアプローチできていた印象である。
前半の終盤にようやくセルビアは前進できるように。スロベニアの2トップとは異なり、ゴリゴリと体を当てて踏ん張るタイプの2トップで何とかボールを収めながらボックス内に侵入する。ボールを収めて反転したミトロビッチは決定機を迎えたが、これは最後の砦のオブラクに阻まれる。それでも、30分以降は少しずつ反撃をすることができていたセルビアだった。
後半もミトロビッチのシュートをオブラクが止めるという前半のリプレイのようなシーンでスタート。押し込むセルビアに対して、スロベニアは軽さのあるカウンターから反撃に挑む。2トップの基準点としての機能性に加えて、後半に目立ったのは右サイドのキャリー。カルニッチニック、ストヤノビッチのドリブルからセルビアのMFを超えると、一気に押し下げていく。
ゴールの起点となったのはカルニッチニックのドリブル。セルビアの守備網の薄いところからボールを前に進めると、逆サイドまでの横断に成功。ここからクロスを上げるとカルニッチニックが自らフィニッシャーとなり先制ゴールを決める。
追いかけたいセルビアは以降は押し込むフェーズに。スロベニアは自陣での守備をきっちり受け入れる形でボックス内にブロックを組む。
なかなかこじ開けられないセルビアだったが、ラストプレーで奮闘が身を結ぶことに。CKに競り勝って押し込んだヨビッチが勝ち点1の立役者になった。スロベニアの勝利を奪い取り、1ポイントを手にしたセルビア。最終節に突破の望みをつなぐことに成功した。
ひとこと
セルビアとスロベニアの2トップのキャラクターの違いを生かした前進は面白かった。
試合結果
2024.6.20
EURO 2024
グループC 第2節
スロベニア 1-1 セルビア
フースバル・アレナ・ミュンヘン
【得点者】
SVN:69′ カルニッチニック
SER:90+5′ ヨヴィッチ
主審:イシュトヴァン・コヴァーチ