2位通過を巡る大一番は後半追加タイムに劇的な幕切れ
雌雄を決する最終節。クロアチアは引き分けでは3位通過を狙うには難しい勝ち点であり、突破を見据えるためには勝利が必要という状況である。対するイタリアが引き分けOKというのがまた状況を厄介にしている。
ボールを持つスタートとなったのはクロアチア。4-3-3ベースでボールを動かしていく。5-3-2のイタリアに対してはSBのところが空きやすいのであるけども、攻め手になりそうなグバルディオルには早々にディ・ロレンツォがチェックに行くなど警戒ポイントに対してイタリアは抜かりがない。クロアチアとしてもなかなか前線の預けどころが豊富でないため、外のグバルディオルがチェックをかけられてしまうと苦しいところ。
イタリアの保持に対してはクロアチアはハイプレスでマンツー気味にスタート。イタリアは背後に一発で逃がすためのロングボールはなく、パスワークでどこかにギャップを作らなければいけない状況。ただし、少しでも隙があればジョルジーニョが左右にサイドチェンジを行うことで横幅を使い、クロアチアの4-3-3を振り回すことができる。ディマルコ、ディ・ロレンツォはこの振り回すアクションをかなり意識して攻め上がりの出足が良かったように思える。
ここにさらにイタリアはラスパドーリやペッレグリーニなど前線が手前に奥に動きながらボールを引き出すアクションが加わるように。横幅と縦のアクションが重なった前半中盤は明確にイタリアペースと言って良かった。
クロアチアはモドリッチが左に流れるオーバーロードやクラマリッチの絞るアクションなど人の偏りをあえて作り出しているようには見えたが、フィニッシュ設計から逆算するとボックス内に人がいないというしんどい状況。サイドからマイナスの折り返しでMFがミドルを狙うという形はクロアチアが得意な形ではあるがこの試合ではあまり見られず。ドンナルンマのミドルを警戒したのかもしれないが、単調なクロスに終始するなどそれに代わる攻め手を見つけられないままハーフタイムを迎えてしまった印象だ。
後半、クロアチアはブディミルを投入。やっぱりクロスのターゲットは必要ということになったのだろう。一方のイタリアもフラッテージを入れて互いに1枚ずつを入れ替えるHTとなった。
基本的には前半と大きく変わらない入りをした両チームだが、ボール奪取からカウンターを演出したグバルディオルの出足のいいプレーの分、いい入りをしたのはクロアチアだっただろうか。その流れに乗ってクロアチアはPKを獲得。フラッテージのハンドで決定的なチャンスを得る。
だが、モドリッチのPKはドンナルンマが完全に読み切ってシャットアウトして大ピンチを防ぐ。PKが止められた後は直後のプレーが流れを決める上で超大事。この直後のプレーでクロアチアが先制ゴールをゲット。ファーでクロスを合わせたモドリッチがPKのリベンジを果たした。ターゲットとしてブディミルをおいた効果も出ていいと言っていいだろう。それだけにイタリアはクロスの出し手への甘さが気になった場面だった。
このゴールを受けてクロアチアは自陣にグッと引く形でブロックを組む形に。バックスが6枚になって受けるシーンも増えていく。イタリアは失点直後にキエーザを投入して右サイドに攻め手を作る。しかしながら、キレはあるもののパス周りの判断と精度がやや鈍く試合を変えるまでには至らず。
初手でクロス対応にバタバタしていたクロアチアは冷静に跳ね返せるように。保持に回ればきっちり時間を作ることもできることで試合の流れは少しずつイタリアから離れてしまった感もあった。
陣形ごときっちり5バックにシフトし、後方を固めて試合をクローズしたいクロアチア。動きの鈍いイタリアはここまでかと思われたが、ラストプレーで左サイドからボールを運んだカラフィオーリからパスを受けたザッカーニが角度のついた位置から放ったシュートはゴールに吸い込まれていった。
2試合連続で後半ATの失点で3ポイントを逃したクロアチア。3位抜けの可能性は残っているが条件は厳しく、劇的な同点ゴールの代償は大きいものになりそうだ。
ひとこと
クロアチアはスコア推移だけ見ればもっともっと冷酷に残り時間を過ごせ!だったのかもしれないけども、前半の時間帯における普通に攻める手立てのなさは辛い。ビルドアップに人数を後ろに重たくなる陣形はプレス回避能力の高さ的には防衛策としてはいいけど、攻撃に打って出る形に昇華できるシーンがあまりにも少なかった。
試合結果
2024.6.24
EURO 2024
グループB 第3節
クロアチア 1-1 イタリア
ライプツィヒ・スタジアム
【得点者】
CRO:55′ モドリッチ
ITA:90+8′ ザッカーニ
主審:ダニー・マッケリー