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「Catch up EURO」~2024.7.6 EURO 2024 Quarter-final イングランド×スイス ハイライト~

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対策を打ったイングランドがスイスに立ちはだかる

 劇的なベリンガムのゴールでベスト16は地獄から蘇ってきたイングランド。準々決勝ではイタリアを一蹴したスイスとの一戦に臨む。

 フォーメーション変更が報じられたイングランドだったが、確かにスイスに合わせてチューニングをしてきたと感じる配置になっていた。非保持はミラー気味の3-4-2-1。スイスの布陣に噛み合わせて敵陣ではマンツー気味に追い回す。ただし、微妙に受け渡しは発生しているので、完全なマンツーではない感じであった。

 キーになるのはスイスの左サイドだろう。大外にバルガスを置き、アエビシェールはフリーマン気味、エンボロも初期配置左に流れてズレを享受しようとした。

 スイスの保持はこの左サイドの可変を使えるかがポイント。ここをすっ飛ばしてとりあえず最終ラインに蹴ってもまず回収されてしまう。蹴らせるためにイングランドはフォーデンが二度追いを仕掛けてアカンジやゾマーの時間を奪いにプレスに行く。

 スイスからすると、フォーデンの二度追いはロドリゲスのところが開くので、スイスとしてはここに届けられれば可変を使える公算は強まる。この可変を使うための保持の引き出しはさすがであった。根性でロドリゲスにボールを届けるまでショートパスを交換していたし、右サイドからアカンジがキャリーしたりなど、味を変えながら勝負することができていた。

 こうなると、スイスは敵陣に侵入できるので、イングランドは自陣側のリトリートの守備にシフトチェンジ。5-4-1で自陣での守りに専念する。立ち上がりは大外からラインを下げられてしまう形を作られると少し脆そうだったが、ここは時間の経過とともに慣れた感じがある。

 イングランドは保持でも少し整理された感がある。後方は4バックになるケースと3バックになるケースが共存。ウォーカーがCBとして振る舞うか、SBとして振る舞うかで決まる形であった。

 前進のキモになるのは前線の降りるアクション。ケインやフォーデンの降りるアクションから対角へのパスで大外から勝負を仕掛ける。1on1の行き着く先になっていたのは右のサカ。1on1であればアエビシェールには間違いなどアドバンテージは取れる。折り返しの精度はもう一つだが、明らかに武器になっていた。スイスはバルガスがリトリートしてダブルチームを取れるかが抑えるための要素になる。4になればイングランド側はウォーカーのサポートもできるので、ここは枚数調整によって厚みの変化が見られた。

 悪くはないイングランドは攻め手の多様さという点では疑問を残したと言えるだろう。右のサカ以外では攻撃のレパートリーは中央でボールを引っ掛けてのライスとメイヌーを使ったカウンターくらい。前半にスイスが水際で踏ん張れる要因の1つになったと言えるだろう。

 後半も流れとしては同じ。スイスの保持に対して高い位置からイングランドが阻害をかけるという構図。スイスが少し早い段階で前線に蹴るという点が変化といえば変化。ここはウォーカーやコンサといったバックスの迎撃性能が目立つ展開となる。

 スイスは少しずつ保持から解決策を探りに行く。ジャカが縦パスのコース探しにフォーカスしたり、トランジッションから右サイドを縦に進んでみたり、あるいはゆったりと左右で幅をとってみたりなどの工夫でイングランドを徐々に押し込んでいく。

 そして、前半はあまり使わなかった右サイドから先制したスイス。右サイドからの鋭いクロスのこぼれ球をクリアしきれずにエンボロがゴールを仕留める。処理が難しいボールだったことは確かだが、スイスのバックスがサカの鋭いクロスを延々と弾き返したことを考えれば、ストーンズにはなんとかしてほしかった感もある。

 追い込まれたイングランドは3枚替えを敢行。ベリンガムが残るのか、残らないのか問題に見ている側も混乱しているうちにサカがスーパーゴールを決めて試合を振り出しに戻す。これで試合は延長戦に突入する。

 終盤までオープンな90分だったが、それでも延長戦は慎重。5-4-1のブロックに対して、ゴール前で攻める局面をターン制で迎える形となった。決定機が全くないわけではなかったが、散発的にやってきたチャンスを仕留められればいいな!という程度であり、基本はPK戦に向けて陣容を整えながら30分を過ごしていた。

 PK戦を制したのはイングランド。各チームの名キッカーを揃えての堂々たるキックを披露し、名手ゾマー相手にパーフェクトを達成。ベスト4に駒を進めた。

ひとこと

 スイス対策色が濃かったながらもこれまでの試合に比べればイングランドのやりたいことの解像度が爆上がりしたのは良かったように思う。特に高い位置からの制限は他の強豪国との差別化になる部分だと思うので、スイス以外の相手にもここを実装できるかが残り2試合のポイントになるだろう。

 引き出しが多いスイス、とても好きなチームだった。2年後も楽しみである。

試合結果

2024.7.6
EURO 2024
Quarter final
イングランド 1-1(PK:5-3) スイス
デュッセルドルフ・アレナ
【得点者】
ENG:80′ サカ
SWI:75′ エンボロ
主審:ダニエレ・オルサト

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