シンプルなサイド攻略をベグホルストで強化したオランダが逆転勝ち
準決勝のために残された椅子は残り1つ。PK戦での激闘を制したイングランドとの対戦を賭けて、オランダとトルコが残り1枠を争う。
立ち上がりにペースを握ったのはオランダ。5-2-3で構えるトルコに対して、サイドから進撃。大外からシンプルに押し下げてのクロスからボックス内に迫っていく。トルコは枚数を揃えて後ろからまずは跳ね返していく形である。
さらにはシャドーとWBの間に入り込むシモンズも厄介。浮いたライン間のシモンズからオランダの攻撃は加速する。
ただ、全体的に急ぎすぎだった感がある。ボールを奪ってスピードに乗ったらまずそこから緩めることなくゴールに猪突猛進するオランダのアタッカー。前線だけならまだしも、後方でボールを奪ったデ・フライまで似たような基準でプレーしているのは驚いた。
密集につっこんでいきながら攻撃を終えるオランダ。徐々に押し込むフェーズがなくなってしまい、時間の経過とともに一方的にオランダが攻める展開ではなくなってしまった。
立ち上がりこそすぐに縦につけていたトルコだが、徐々にボールを奪うと機能的に前進。降りて揺さぶるギュレルを煙幕として、右の背後をとるユルマズを使いながら前進。ファン・ダイクとのバトルはなかなか見応えがあった。
オランダが急ぎすぎたこともあり、押し込むフェーズを作ったトルコ。すると、またしてもセットプレーの流れから先制。右サイドに流れたボールをギュレルが逆足でファーへのピンポイントクロス。キックの質はピカイチだったが、ファーで3人が競り合っていたことを踏まえると、ここは狙い目というスカウティングがあった可能性もある。
Round 16と同じくセットプレーで試合を動かしたトルコ。オランダをリードしてハーフタイムを迎える。
後半、オランダは再びボールを持つフェーズに突入。左右のサイドをえぐってシンプルにクロスを入れるというスタンスは変わらないが、ベグホルストという長身のターゲットをボックス内に入れることでシンプルなスタイルの威力を増やしていた。前半に比べるとトルコのクロス対応は相当厳しいもののように見えた。
そうした中でもトルコは少ない人数からの反撃に出る。カディオールのやりすぎと思えるようなキャリーもあったし、相変わらず右サイドで起点になり続けるユルマズには頭が下がる思いであった。
しかしながらゴールを生み出したのは機械と圧力に優るオランダ。セットプレーからデ・フライがゴールを決めてついに追いつくことに成功する。
さらには畳み掛けるように追加点まで。押し込みながらの攻撃が延々と続く展開の中で、右の大外を走る嫌がらせを終盤まで続けたダンフリーズが折り返したボールをファーに詰めていたガクポがゴール。一気に試合をひっくり返す。
延長戦のことなど考えない!という勢いで前線の選手を投入し、巻き返しを図るトルコ。終盤は受けに回ったオランダだったが、最後方を守るフェルブルッヘンの活躍もあり、なんとかトルコの追撃を抑止する。
準々決勝唯一の90分決着はオランダに軍配。シンプルに殴り続けたことが功を奏し、粘るトルコを振り払うことに成功した。
ひとこと
オランダ、個人的にはちょっと力技に走りすぎかなという感じを受ける。トルコには通用したけども、イングランドにはこれが効くかは微妙なところ。代えが効かないメンバーの多さも他のチームに比べると少し多いように思えるが。
試合結果
2024.7.6
EURO 2024
Quarter final
オランダ 2-1 トルコ
オリンピア・シュタディオン
【得点者】
NED:70′ デ・フライ, 76′ ミュルドゥル(OG)
TUR:35′ アカイドゥン
主審:クレマン・トゥルパン