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「Catch up Premier League」~Match week 16~ 2020.12.28-12.30

目次

①クリスタル・パレス【14位】×レスター【3位】

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■唯一の光明で手繰り寄せた引き分け

 ヴァーディやティーレマンスを温存し、ターンオーバーして臨んだレスター。しかし、この日はそのターンオーバーの分、もろに苦戦した試合だったといっていいだろう。

 相手がクリスタル・パレスということで問題なくボール保持は可能だったレスター。しかしながらこの日のパスはU字循環の安全最優先のもの。彼らの得意なローテーションした選手が内側に入ってボールを受ける動きはほぼ見られず、パレスにダメージを与えられない状況になっていた。

 唯一光明だったのはパレスのケアが甘くなりやすい大外。特に左サイドのトーマスから大外に張るバーンズへの縦パスは、この試合におけるレスターの生命線といっても過言ではなかった。逆に言うと、ほかの手詰まり感がそれだけ大きかったということになるのだが。

 それだけに先制のチャンスとなったPK失敗はレスターにとって痛かった。PKの失敗で意気消沈すると、今度は逆にSBの裏を使われて失点する。最後はザハの見事なボレーだが、失点シーンはきっちりCBがサイドにつり出されたままエリアにクロスを上げられてしまっている。しっかり崩された上でのスーパーゴールということがわかるだろう。

 窮地に立たされたレスターを救ったのは前半唯一の攻略の糸口となっていたバーンズ。前節のユナイテッド戦に続くスーパーな得点で苦しむチームを再び救って見せた。

試合結果
クリスタル・パレス 1-1 レスター
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:58′ ザハ
LEI:83′ バーンズ
主審:グラハム・スコット

②チェルシー【8位】×アストンビラ【7位】

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■脱一辺倒、脱トンネル

 こちらも中1日ババを引いてしまった両チームである。その割には序盤からある程度の強度のある試合を展開していた。しかしながら、相変わらずチェルシーのビルドアップの問題は健在。チルウェルがフリーで持ち上がるところまではこぎつけるも、そこから先の動きが決まっておらず前になかなか進むことができない。

 しかし、この日のチェルシーにはジルーがいる。今や希少種となったポゼッション型長身CFでのジルーのスタメン起用によりチェルシーには内側でのポストによるチャンスの起点を作れるように。中央を迂回して外一辺倒になってしまっていたここ数試合のチェルシーとは異なる表情を見せることになる。

 先制点はこのジルーへの楔から。カンテのフリーランでのアシストが効いており、フリーになったジルーがゴールにシュートを叩きこむ。カンテの助けを借りながら、ジルーがポストからゴールまでこなした先制点は彼ならではといった印象を受けた。しかしながら、その後はやや停滞。中央を固めるのが得意なアストンビラ相手にはなかなかこの楔が簡単には引き出せないチェルシーだった。

 一方のアストンビラは50分に同点に追いつく。絶好調のエル・ガジの得点は3試合連続。チェルシーとしてはクリステンセンが痛んでいる間のものであり、悔しいものになってしまった。アストンビラの好調の要因は徐々に調子を上げてきている両SH。この日結果を出したエル・ガジだけでなく、トラオレも好調。タメの効く両SHの台頭により、グリーリッシュ一辺倒の攻撃には徐々に変化が出てきている。

 一方のチェルシーは少しカッカしたジルーに代えてヴェルナーをトップで起用。速い攻撃でなんとかという部分だっただろうが、同じタイミングで投入されたハフェルツと同じく、まだトンネルからの脱出は先になるようだ。

 60分後半くらいから、両チームの運動量が落ちてきてオープンになってきているので、スピード勝負という策は悪くない。が、結果が伴わなかったということである。同じく決め手に欠いたアストンビラと共に勝ち点1を分け合った。

試合結果
チェルシー 1-1 アストンビラ
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:34′ ジルー
AVL:50′ エル・ガジ
主審:スチュワート・アットウィル

③ブライトン【16位】×アーセナル【15位】

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■相性<流れ。質で押し切りに成功したアーセナル

 アーセナルにとってブライトンは天敵。去年、ひと悶着があったこともあるが、それ以前にリーグのブライトン戦は4戦未勝利である。直近ではチェルシーにプレスから流れを作り、強度の高いプレーにつなげることで久しぶりの勝利を収めたアーセナル。

 ただ、ビルドアップ時のプレス回避能力ではプレミアでも屈指なブライトンにはミドルプレスで優位に立ったチェルシー戦の再現はおそらく相性が悪い。しかし、アーセナル側からすると苦悩の末にたどり着いたいい流れなので、相性は悪かろうともこれで押し切るしかないというのはわかる。

 案の定、プレスはハマらなかったアーセナル。幸運だったのはブライトンは大幅にターンオーバーを敷いていたこと。FWに奥行きを作り出せる選手もいなければ、サイドで勝負できるWBもいない。ブライトンは理屈のチームなので、チャンスを多く作らなければ決定機を作ることができない。

 機会で差がつかなければ勝負を分けるのはシュートの質。その分野で言えば、軍配が上がるのはアーセナルだろう。交代で入ったラカゼットの技ありシュートはまさしくその質の部分で違いを見せつけたもの。ブライトンに対して、押し切るためのクオリティで相性の悪さを覆したアーセナルが連勝を飾った。

試合結果
ブライトン 0-1 アーセナル
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
ARS: 66′ ラカゼット
主審: クレイグ・ポーソン

④バーンリー【17位】×シェフィールド・ユナイテッド【20位】

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■貯金をこぼしてしまう前線の連携 

 下位に苦しむチーム同士の対戦。攻め手の乏しさは両チームのスカッドにおける苦しさを反映しているかのような試合であった。  

 乏しい攻め手の中でも相対的に筋道だった攻め方をできていたのはどちらかといえばバーンリーの方だろうか。ウッドへのロングボールを主体とし、こぼれ球を拾っていきながら前進するスタイル。全く持って華麗ではなく、成功率も正直高くないやり方ではあるが、彼らが何年間も続けてきたやりかたでもある。

  攻撃のタレントでいえばバーンリーよりはパンチ力があるメンバーをそろえているシェフィールド・ユナイテッド。しかし、FW同士が連携しての崩しはほぼ皆無に近い。ボールを受けた後も前を向くという選択肢の優先度が低く、軽くワンタッチで叩くことを簡単に選んでしまう傾向もあった。

  自分の観察眼の鈍さというのもあるだろうが、いまだにブリュースターがどういう選手なのかピンとこないのは、彼がチームの流れの中で活かされるシーンがあまりにも少ないからというのもあるだろう。ビルドアップでは時間が作れるチームなのに、前に運んだらいつの間にか時間の貯金を吐き出してしまっている。そんな印象のブレイズだった。 

 試合はセットプレーから得点を得たバーンリーが勝利。シェフィールド・ユナイテッドは年内の未勝利が確定してしまった。

試合結果
バーンリー 1-0 シェフィールド・ユナイテッド
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:32′ ミー
主審:クリス・カバナフ

⑤サウサンプトン【9位】×ウェストハム【10位】

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■下ごしらえは十分、仕上げが不十分

 先に主導権を握ったのはホームのサウサンプトン。非常に理想的な試合運びだったように思う。まずは後方のビルドアップ部隊のボール回しの動きでソーチェクやライスのCHコンビを中盤中央から引っ張り出す動きが下ごしらえになる。

 彼らが動いたのを合図にSHが内側に絞りボールを受ける準備。ハーフスペースに絞って近い距離感でパス交換から抜け出しというのは彼らの得意パターン。この試合ではその前準備としてCHを引っ張り出す動きを入れることが出来ていた。したがって、最後尾のDFラインからの楔を簡単に通すことが出来たサウサンプトン。中央でパスの受けどころを作ることで前進を可能にする。

 一方でそこから先の部分に関してはやや精度に欠けただろうか。プレーの精度や選択もさることながら、ゴールネットを揺らしたシーンもわずかに抜け出しのタイミングが合わずにオフサイドを取られる。崩す準備は万全なのだが、なかなか仕上げられないこの日のサウサンプトン。頼みのセットプレーも不発のままで打開の策を見いだせなかった。

 ウェストハムは前半のチャンスはファウルを受けてのセットプレーが主体だった。後半に徐々にボールをもてるようになると、大きなサイドチェンジを駆使してサウサンプトンを横に揺さぶるよう試みる。

 だが、こちらも決定的なチャンスメイクのメカニズムまで持って行けるほどの高い精度を見せることが出来ない。好材料だったのはアントニオの復帰だろうか。前線で相手を背負えるFWの復帰は少し湿りがちなウェストハムの前線の再点火のきっかけになっても不思議ではない。

試合結果
サウサンプトン 0-0 ウェストハム
セント・メリーズ・スタジアム
主審:アンディ・マドレー

⑥ウェストブロム【19位】×リーズ【12位】

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■持ち味全開についていけず 

 今節、一番ひどいパフォーマンスをしたチームはどこか?と聞かれると、やはりウェストブロムになってしまうだろうか。先制点の場面は今季ワーストといっても差し支えない失点だ。ゴールマウスを空けて、ボール保持の手助けに来たジョンストンに対して、自らゴールに蹴りこむソーヤーズのプレーには開いた口が塞がらなかった。

 得点シーンを見てみると、確かにスーパーなミドルもあるのだが、そこにいきつくまでもひどかった。ウェストブロムはおそらくマンマーク主体でかみ合わせるための4-3-3の採用ではないだろうか。しかし、行動範囲が広く上下左右に揺さぶられると途端に対応なくなってしまう。

  人を捕まえるプレス主体なので、当然前がかりになる場面も出てくる。しかし、ウェストブロムは守備で背走させられると脆い上に、スピードも怪しい。そして埋めるべきスペースがうまく共有できていないようにも見える。そんな苦しい90分間を過ごすことになった。

 逆にリーズ目線でいえば、久々に持ち味が全開になった試合ではないだろうか。オフザボールでの走行量を活かすことでウェストブロムの守備陣を完全に翻弄。ここ数試合はやや鳴りを潜めていた彼ららしい勝利であった。  49分のシーンではマンマークであまることが多いCBの片方の選手を活かした持ち上がりを披露。エイリングはらくらくもち運べていたし、このシーンを見れば中央よりもマークマンを大事にしているウェストブロムの守備の難儀さが伝わってくる感じがする。

 最後まで受け渡しが定まらなかったウェストブロムを尻目に得点を重ねるリーズが大量5得点の圧勝。最高の2020年の締めくくりを飾った。

試合結果
ウェストブロム 0-5 リーズ
ザ・ホーソンズ
【得点者】
LEE:9′ ソーヤーズ(OG),31′ アリオスキ, 36′ ハリソン, 40′ ロドリゴ, 72′ ラフィーニャ
主審:リー・メイソン

⑦マンチェスター・ユナイテッド【4位】×ウォルバーハンプトン【11位】

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■ちりばめられる良化の跡

 共にアタッカー陣の好調さが見えるゲームだった。特に立ち上がりは攻め合いの応酬。とりわけ両チームの中でも目を引いたのはネト。連戦で出ずっぱりなはずなのだが、コンディションはなんとか維持されているよう。ワンタッチ目で相手を外すスキルでユナイテッドのDFを翻弄。動きのいいユナイテッドのアタッカー陣と張り合う原動力になった。

 20分以降はユナイテッドのボール保持で試合は小康状態になる。互いの噛み合わせ的にSBの浮いたユナイテッドはここをボールの落ち着けどころとする。ただし、落ち着くけどブロック守備に対してユナイテッドのSBが何か特別なことができるわけではないのが難しいところ。

 ウルブスはネトとトラオレがカウンターの旗手となりユナイテッドにかみつき返すが、機会が増えてこない。

 ユナイテッドで良さが感じられたのはポグバ。守備における動きも、シンプルな縦パスも好調で後半になるにつれて動きは良化。こういうジリジリした試合において決定的な働きをすることが出来そうな予感を感じる。

 しかし、試合を決めたのはラッシュフォード。膠着した展開を後半追加タイムで打開できることがチームの勢いを感じさせる。前節のレスター戦では終盤に甘さがあったが、今節は逆に勢いに結果が引っ張られる形になったといえよう。

試合結果
マンチェスター・ユナイテッド 1-0 ウォルバーハンプトン
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:90+3′ ラッシュフォード
主審:ジョナサン・モス

⑧ニューカッスル【13位】×リバプール【1位】

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■精彩を欠く中盤再び

 開始の10分か20分くらいはお互いに攻め合う構図になっていたのだが、徐々にニューカッスルが引いてリバプールが攻めていくというスタンスに試合は落ち着くことになる。しばらく続いていたニューカッスルの謎にボールを持ちたい期は突然の終焉を迎えたようである。

  ということでリバプールはニューカッスルのブロック攻略に挑むことになる。ニューカッスルのブロックはそこまで精度が高くないもののように見えた。とりわけ、中盤セントラルの動きが大きくリバプールが2手、3手先をイメージしながら崩すことが出来そうだったので、割と時間の問題かな?と思っていた。

 しかしながら、リバプールは苦戦。前節と同じくインサイドハーフが精彩を欠いてしまう。そんな流れからこの試合はマネの負担が急増。左で作って右で仕上げる形でなんとか光明を見出そうとする。そして実際に決定機を得るまで至っていた。だが、この試合では前線が決定機を決めきれず。

 攻撃がどうにも噛み合わないリバプール。ニューカッスルに殴り返すほどのカウンターの精度がなかったのは救いだが、ウェストブロム戦に続いて勝ちきれない試合が続いているのは気掛かりである。

試合結果
ニューカッスル 0-0 リバプール
セント・ジェームズ・パーク
主審:ポール・ティアニー

   おしまいじゃ!!

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