代表メンバー
▽GK
1 メルト・ギュノク(ベシクタシュ)
12 アルタイ・バユンドゥル(マンチェスター・U)
23 ウールジャン・チャクル(トラブゾンスポル)
▽DF
2 ゼキ・チェリク(ローマ)
3 メリフ・デミラル(アルアハリ)
4 サメト・アカイドゥン(パナシナイコス)
13 アフメッジャン・カプラン(アヤックス)
14 アブドゥルケリム・バルダクチ(ガラタサライ)
18 メルト・ミュルドゥル(フェネルバフチェ)
20 フェルディ・カドゥオール(フェネルバフチェ)
▽MF
5 オカイ・ヨクシュル(WBA)
6 オルクン・コクチュ(ベンフィカ)
10 ハカン・チャルハノール(インテル)
15 サリフ・エズジャン(ドルトムント)
16 イスマイル・ユクセク(フェネルバフチェ)
22 カーン・アイハン(ガラタサライ)
▽FW
7 ケレム・アクトゥルコール(ガラタサライ)
8 アルダ・ギュレル(R・マドリー)
9 ジェンク・トスン(ベシクタシュ)
11 ユスフ・ヤズジュ(リール)
17 イルファン・ジャン・カフベジ(フェネルバフチェ)
19 ケナン・ユルディズ(ユベントス)
21 バルシュ・ユルマズ(ガラタサライ)
24 セミフ・クルチソイ(ベシクタシュ)
25 ユヌス・アクギュン(レスター)
26 ベルトゥ・ユルドゥルム(レンヌ)
GS 第1節 ジョージア戦
才能を世界に示したギュレル
グループFの先陣を切るのはEURO初の本大会出場を決めたジョージア。記念すべき本大会初戦の相手は真っ赤にスタンドを染め上げる熱烈なサポーターが印象的なトルコである。
非保持で積極策を見せたのは先輩に当たるトルコ。オールコートマンツーといってしまうとかなり強度マシマシの印象を受けるかもしれないが、人基準で前線から守備にあたるという意味ではそう言っても差し支えがないかなという感じ。ゾーンよりは人を捕まえることにフォーカスした守備だった。
一方のジョージアの守備はトップの2人の守備の基準を中盤に置くことできっちりと引くスタート。よって、序盤はトルコがボールを持つことが多くなった。
引いた5-3-2に対しては構造的にサイドが浮きやすい。そうした盤面上の理由もあってか、トルコはサイドからボールを運んでいく。特に印象的だったのは左のSBであるカディオールだろう。今夏の移籍市場の注目選手と言っていい左サイドバックはプレーメーカーとしてボールの供給役となり左サイドを掌握。フリーマンとして縦横無尽にピッチを動き回るコクチュとコンビを組んで、左サイドからリズムを作っていく。
タメのきく彼らにボールを持たせつつ、左サイドから抜け出す選手を作り、折り返しのクロスを上げる形でトルコはジョージアのボックス内に迫っていく。ボックス内で背後を取られる形になった時点でジョージアはかなり押し下げられており、トルコは強力なミドルから二次攻撃を狙うことができた。
この流れからトルコは先制点をゲット。左サイドでタメと縦の抜け出しを駆使して押し下げると、折り返しを跳ね返されたところでシュルドゥルのミドルが炸裂。今大会のトレンドと言っていい豪快なミドルが決まり、トルコが試合を動かす。
ノリノリのトルコがその後もゴールを狙っていく展開となったが、ジョージアも保持に回れば手応えがあった。自陣にきっちり引いている割にはジョージアのWBは攻め上がりの速度が早く、緩急をつけながらドリブルすることができるジョージアの前線の面々を幅をとりながらサポート。機会はトルコに比べると少なかったのは確かだが、保持の局面になると確実に押し下げてトルコのゴールを脅かすアタックを行うことができていた。ミドルへの積極性はこちらも同じである。
そうした中で同点ゴールを決めたジョージア。右サイドからコチョラシュヴィリからの折り返しをミカウタゼがゴール。歴史の扉を開いたのは22番のストライカーだった。
ここから一気に攻め込むジョージア。オープンな展開に乗じてトルコも素早く攻める展開に。総じて、かなりシュートの本数が多い前半となった。
ジョージアは後半に5-4-1にブロックを組む。おそらくはトルコのサイド攻撃に対して後手に回っている感覚があったんだろう。それでもトルコはゴリゴリと進撃。ライン間に差し込みながら2列目が強引に道を切り拓いていく。
ジョージアは布陣変更をしたもののベースとなる姿勢は変わらず。サリーからのゆったりした保持からテンポを整えつつ、大外をWBに任せつつ、中盤はライン間にワンツーを入れ込みながら進んでいく。
互いに攻め続けるオープンな展開で結果を出したのはトルコ。ジョージアの攻撃を高い位置で止めると、右サイドからギュレルが左足を一閃。才能を世界に示す一撃で再びトルコがリードを奪う。
以降もイケイケのトルコ。前半に見られた左サイドからのタメと抜け出しを作った押し下げをベースにジョージアの陣内に進んでいく。
終盤もオープンな展開になったこの試合。トルコは4バックから5バックに、ジョージアは5バックから4バックにシフトし、スコアに合わせて姿勢で殴り合いを試みていく。ジョージアはやや4枚で守るのがきつそうかなという感じではあったが、出ていく際にはサイドから鋭いくロスを上げることができており、ギャンブルに出る価値はあったなという感じであった。
しかし、その賭けに勝ったのはトルコ。GKを上げたCKのカウンターからアクトゥルコールが追加点をゲット。オープンな展開の決着は無人のゴールへの3点目で完全決着。オープンでスリリングな一戦はトルコに軍配が上がった。
ひとこと
これはリアルタイムで見たら楽しいだろうな。
試合結果
2024.6.18
EURO 2024
グループF 第1節
トルコ 3-1 ジョージア
BVBシュタディオン・ドルトムント
【得点者】
TUR:25′ ミュルドゥル, 65′ ギュレル, 90+7′ アクトゥルコール
GEO:32′ ミカウタゼ
主審:ファクンド・テージョ
GS 第2節 ポルトガル戦
ミッションコンプリートのポルトガル
初戦は快勝を決めたポルトガル。今節の相手はこちらも勝利で初戦を飾ったトルコ。勝った方の首位通過が確定するグループFの大勢を決する大一番である。
気合い十分で入ったのはトルコ。前線と中盤が連動するハイプレスでポルトガルのバックスを追い込んでいく。ポルトガルは左サイドに出張するベルナルドの裏抜けから回避するなど、ショートパスを組み立てを軸としたパスワークでこのハイプレスを回避する。
初手での奇襲が効かないことを悟ったトルコはここからブロックを構築してリトリート。CHのアイハンが最終ラインに入ることで5バックに変形し、5-4-1の形でミドルブロックを組んでポルトガルの保持を迎え撃つ。
ポルトガルは右サイドは多角形のユニットでポジションチェンジを多用。大外を取ることが多かったベルナルドを基準点にカンセロ、ヴィチーニャ、時には降りてくるロナウドなどが顔を出し、ブルーノなどが裏抜けから仕上げの機会を伺う展開。
一方の左サイドはよりシンプル。大外のレオンと連携するメンデスの二人称からシンプルにクロスを入れていく。レオンにはトルコが時折3枚で監視するなど警戒の跡が目立った。
この二人称の攻撃から先制したポルトガル。枚数を引き付けつつ、外を回ったメンデスを活用したレオンの冷静さが際立ったシーン。メンデスの折り返しはトルコの選手に跳ね返り、目の前に転がってきたベルナルドが先制ゴールを叩き込む。
トルコの保持はポルトガルのプレスをこちらも自陣からの保持で解決しにかかる。ベルナルドの背後に忍び込んだカディオールから逆サイドへの対角パスを飛ばし、大外のアクギュンの仕掛けに連動する形でコクチュやチェリクがサイドに顔を出す。クロスに対してはイルマズとアクチュルコールが飛び込む形だ。
ポルトガルが先制しても互いに保持から解決策を模索する形は変わらなかったが、トルコの2点目のオウンゴールは試合の流れを変えた感。このゴールでベルナルドとレオンがかなりラインを下げて、後方を埋める形での逃げ切りモードに突入する。アクチュルコールの強引な突破は悪くなかったが、トルコにとっては攻略の難易度が上がってしまった痛恨の失点となってしまった。
迎えた後半、ポルトガルはマネジメントを重視している感の2枚の交代でスタート。トルコはとりあえず陣形を前に押し出してのプレスを行うスタートとなったが、引き続き、右サイドにボールを預けて保持を安定させるポルトガルが特に困らない様子ということを理解してからはミドルブロックに移行した。
トルコの前向きな姿勢をへし折ったのはポルトガルの3点目。ヴィチーニャが後方から出した柔らかい裏抜けのパスをロナウドが落としてブルーノがゴール。ここまでのポルトガルはどちらかといえば、抜け出しからフィニッシュまでが全力だった感があったので、ロナウドが見せた丁寧なラストパスが得点につながっているのはどこか象徴的でもあった。
このゴールで試合のテンションは完全に落ちることに。特にリードをしているポルトガルは主力を積極的に入れ替えながら控え選手の強度を試すことで残り時間を過ごしていた。
2連勝で注文通りの首位通過を決めたポルトガル。スペインと並び第2節で首位通過を確定させた2つのチームのうちの1つとなった。
ひとこと
ひとまずミッション達成のポルトガル。トルコは2失点目が痛かった。
試合結果
2024.6.22
EURO 2024
グループF 第2節
トルコ 0-3 ポルトガル
BVBシュタディオン・ドルトムント
【得点者】
POR:21‘ ベルナルド, 28’ アカイドゥン(OG), 56′ ブルーノ・フェルナンデス
主審:フェリックス・ツバイヤー
GS 第3節 チェコ戦
乱戦に持ち込まれるも最後の最後に決勝点を掴み取る
シンプルに勝った方が突破というグループステージ最終節。特に、ここまで勝利がないチェコには3ポイントが大事ということになる。
よって、バタバタを演出したのはチェコ。立ち上がりから中盤でボールを奪い合いつつゴールに迫るアクションに先に手をかけていく。奪ったら少ない人数でフィニッシュまでかけていくチェコは早々に得点を決めようという気概が見えた。
一方のトルコは試合を落ち着かせたい。ギュレルが列を落ちることでボールを受けて少しずつ状況を沈静化。左右にボールを動かしながら、敵陣に進んでいく。敵陣に入っていくと追い込みながら勝負をかけるプレスに出ていくトルコ。CBが開くチェコのポゼッションを片側サイドに追い込んでいく。
徐々にチェコはトルコのポゼッションに対してプレスに行くのがキツくなる。シャドーの位置が下がることで少しずつトルコの保持の時間が長くなる。さらには20分にはバラークが2枚目の警告で退場。これで残り時間は10人になる。
5-3-1のような5-4-0のような形で自陣を固めるチェコに対して、トルコが一方的に押し込んでいく流れに。それでもチェコはカウンターから決定機を創出。左サイドに流れて大チャンスを迎えるが、ギュノクのファインセーブでスコアレスでハーフタイムにたどり着く。
後半も数的優位のチェコが畳み掛ける流れは継続。左右からクロスを上げ続け、セカンドボールを拾うことで波状攻撃を生み出し、最後はチャルハノールが先制ゴールを決める。
失点でいよいよ追い込まれたチェコ。ここからは死なば諸共で前からのプレスで乱戦を仕掛けていく。トルコはこのチェコの姿勢に対して、前半ほど落ち着いて試合を鎮めることができなかった。その結果、チェコはセットプレーからソーチェクが追いつくことに成功。試合は1-1のタイスコアになる。
10人で追いつければ上々ではあるけどもこの試合でチェコに必要なのは勝利。引き続き、乱戦に持ち込みながら落ち着かない展開を仕掛けていく。トルコはカウンターに打って出る機会が当然生まれたが、チャルハノールやギュレルがいなくなった状態では精度が足りない。
どちらに転がるかわからない試合を制したのはトルコ。カウンターからなかなか存在感を発揮することができなかったトスンが終盤にマッチウィナーとなるゴールを決めて勝負あり。乱戦に持ち込んだチェコに屈せず、ノックアウトラウンド進出を決めた。
ひとこと
審判のコントロールもゲーム運びも不安なトルコだったが、なんとか目標達成。ノックアウトラウンド進出を決めた。
試合結果
2024.6.26
EURO 2024
グループF 第3節
チェコ 1-2 トルコ
フォルクスパルク・シュタディオン
【得点者】
CZE:66′ ソーチェク
TUR:51′ チャルハノール, 90+4′ トスン
主審:イシュトヴァン・コヴァーチ
Round 16 オーストリア戦
セットプレーでの殴り合いはオーストリアに軍配
ベスト8、最後の椅子をかけた一戦は伏兵対決。死の組を逆転での首位通過を果たしたオーストリアとグループFでポルトガル以外の2チームに勝利して悠々と突破を決めたトルコの一戦である。
試合は開始1分でスコアが動く展開。セットプレーからデミラルが豪快にネットを揺らすことでトルコが試合を動かす。以降は直線的な攻防が進む試合。追いかけるオーストリアもリードを得たトルコも前に前に進むことでオープンな展開となる。
オーストリアは中央にどっしりと構えるアルナウトビッチがボールを受けることで中央に起点を作ってシュートまで持っていく。一方のトルコはコクチュとギュレルという偽9番がライン間にひたすら降りることでポイントを作っていくという対照的な動きとなった。
時間が経過すると押し込むのはオーストリア。サイドからボールをあっさり運ばれてマイナスに折り返されるシーンなどは往年の脆い守備のトルコを思い出したが、後ろに重くシフトして手当を行う。SHが素直に下がる6バックに加えて、CHのアイハンがバックラインに入ることで5バックに変化することも。SHのユルマズが前に出ていくと、連動してそのスペースを埋めるようにスライドするなど柔軟性とオートマティズムを兼ね備えた仕組みはあまりトルコらしいものではない新鮮なものだった。
後ろに重たい布陣を敷くトルコに対して、ゴール前での仕上げができないオーストリア。トルコはアイハンのサリーによる3バック化で徐々に保持の時間を取り戻し、前半をリードで軟着陸させる。
後半のオーストリアは4-4-2にシフト。トップにグレゴリッチュを入れたツインタワーの構成でより前の圧力を強めていく。左右に流れる2トップを起点に押し下げていくオーストリアは後半を優勢に進める。しかしながら、左のハーフスペースに降りるアクションからカウンターの始点となったギュレルからトルコは反撃。そして、またしてもセットプレーからのデミラルが追加点を奪う。
ツインタワーを生かしてこちらもCKから1点差にするオーストリア。ニアフリックからファーに抜け出すグレゴリッチュというハメ技チックな動きから1点差に追い上げる。
以降はオープンな展開で殴り合いとなった試合。細かいことはいいからボックス内に枚数を揃えてクロス!という方針となったオーストリアが優勢となったが、終了間際のバウムガルトナーの決定機をギュノクがスーパーセーブするなど、シュートがゴールに結び付かず。終盤は苦しい戦いになったトルコだが、セットプレーでのスコア合戦を制してオランダの待っている準々決勝に駒を進めた。
ひとこと
セットプレーでの圧力はオーストリアの方が高そうだったので、トルコがオープンプレーも含めて圧力に耐え切ったのは意外だった。
試合結果
2024.7.2
EURO 2024
Round 16
オーストリア 1-2 トルコ
ライプツィヒ・アレナ
【得点者】
AUS:66′ グレゴリッチュ
TUR:1‘ 59′ デミラル
主審:アルトゥール・ディアス
QF オランダ戦
シンプルなサイド攻略をベグホルストで強化したオランダが逆転勝ち
準決勝のために残された椅子は残り1つ。PK戦での激闘を制したイングランドとの対戦を賭けて、オランダとトルコが残り1枠を争う。
立ち上がりにペースを握ったのはオランダ。5-2-3で構えるトルコに対して、サイドから進撃。大外からシンプルに押し下げてのクロスからボックス内に迫っていく。トルコは枚数を揃えて後ろからまずは跳ね返していく形である。
さらにはシャドーとWBの間に入り込むシモンズも厄介。浮いたライン間のシモンズからオランダの攻撃は加速する。
ただ、全体的に急ぎすぎだった感がある。ボールを奪ってスピードに乗ったらまずそこから緩めることなくゴールに猪突猛進するオランダのアタッカー。前線だけならまだしも、後方でボールを奪ったデ・フライまで似たような基準でプレーしているのは驚いた。
密集につっこんでいきながら攻撃を終えるオランダ。徐々に押し込むフェーズがなくなってしまい、時間の経過とともに一方的にオランダが攻める展開ではなくなってしまった。
立ち上がりこそすぐに縦につけていたトルコだが、徐々にボールを奪うと機能的に前進。降りて揺さぶるギュレルを煙幕として、右の背後をとるユルマズを使いながら前進。ファン・ダイクとのバトルはなかなか見応えがあった。
オランダが急ぎすぎたこともあり、押し込むフェーズを作ったトルコ。すると、またしてもセットプレーの流れから先制。右サイドに流れたボールをギュレルが逆足でファーへのピンポイントクロス。キックの質はピカイチだったが、ファーで3人が競り合っていたことを踏まえると、ここは狙い目というスカウティングがあった可能性もある。
Round 16と同じくセットプレーで試合を動かしたトルコ。オランダをリードしてハーフタイムを迎える。
後半、オランダは再びボールを持つフェーズに突入。左右のサイドをえぐってシンプルにクロスを入れるというスタンスは変わらないが、ベグホルストという長身のターゲットをボックス内に入れることでシンプルなスタイルの威力を増やしていた。前半に比べるとトルコのクロス対応は相当厳しいもののように見えた。
そうした中でもトルコは少ない人数からの反撃に出る。カディオールのやりすぎと思えるようなキャリーもあったし、相変わらず右サイドで起点になり続けるユルマズには頭が下がる思いであった。
しかしながらゴールを生み出したのは機械と圧力に優るオランダ。セットプレーからデ・フライがゴールを決めてついに追いつくことに成功する。
さらには畳み掛けるように追加点まで。押し込みながらの攻撃が延々と続く展開の中で、右の大外を走る嫌がらせを終盤まで続けたダンフリーズが折り返したボールをファーに詰めていたガクポがゴール。一気に試合をひっくり返す。
延長戦のことなど考えない!という勢いで前線の選手を投入し、巻き返しを図るトルコ。終盤は受けに回ったオランダだったが、最後方を守るフェルブルッヘンの活躍もあり、なんとかトルコの追撃を抑止する。
準々決勝唯一の90分決着はオランダに軍配。シンプルに殴り続けたことが功を奏し、粘るトルコを振り払うことに成功した。
ひとこと
オランダ、個人的にはちょっと力技に走りすぎかなという感じを受ける。トルコには通用したけども、イングランドにはこれが効くかは微妙なところ。代えが効かないメンバーの多さも他のチームに比べると少し多いように思えるが。
試合結果
2024.7.6
EURO 2024
Quarter final
オランダ 2-1 トルコ
オリンピア・シュタディオン
【得点者】
NED:70′ デ・フライ, 76′ ミュルドゥル(OG)
TUR:35′ アカイドゥン
主審:クレマン・トゥルパン
総括
タレント集団の台頭と守備での柔軟性の向上が躍進の原動力
EUROにはきっちりと出場を続けている一方で出た大会ではなかなか思うように結果を残せていないトルコ。ビックトーナメントでは失望が重なる時期が続いていたが、今大会でのベスト8はようやく胸を張っていい成績を上げることができた。
最も大きいのはやはり前線のタレント化が進んでいることだろう。ここで改めていうまでもなく、ギュレルにとっては才能を世界に示す大会になった。直線的にゴールを陥れる能力はもちろんのこと、降りるアクションから試合を落ち着かせるスキルも持っていて、テンポを変えたりギャップづくりができるあたりもえげつないなと感じた。
ユルマズ、ユルディズといったほかの前線や自由に動き回るコクチュ、SBから個性を発揮したカディオグルなどのタレントの台頭も顕著。見ていてワクワクするチームに変化を遂げた。
地味に目を向けたいのはバックスの安定感である。こちらは個々の守備力が大幅に上がったとは言い難いが、試合の流れの中でアイハンなどMFとDFラインを適切に行ったり来たりできる選手が登場することで後ろの負荷を下げることができていたのは受けに回る展開になった時の助けになっていた。
多少は落ち着かせる算段はあるとはいえ、オーストリアに空中殺法を仕掛けられた時の危うさや、10人のチェコに死なば諸共特攻を食らった時のアワアワ感を見ると、優位な展開を守るための自衛手段が今後は課題になってくるのだろう。どこが相手でも風穴を開けることはできる勢いはあるけども、なんでもない時間をきっちりやり過ごすことも昨今の代表戦のサッカーには求められる。そこをクリアできるかが悲願のW杯出場に向けた課題になるのかもしれない。
Pick up player:アルダ・ギュレル
まさしく才能を世界に示す大会になった。ゴールよし、クロスよし、ゲームコントロールよしと個人で貢献できることはほぼ全てやったのではないか。来季のマドリーでのパフォーマンスを見るのが今から楽しみだ。