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「EURO 2024 チーム別まとめ」~スコットランド代表編~

目次

代表メンバー

▽GK
アンガス・ガン(ノリッジ)
12 リアム・ケリー(マザーウェル)
21 ザンダー・クラーク(ハーツ)

▽DF
2 アンソニー・ラルストン(セルティック)
アンドリュー・ロバートソン(リバプール)
グラント・ハンリー(ノリッジ)
キーラン・ティアニー(ソシエダ)
13 ジャック・ヘンドリー(アルイテファク)
15 ライアン・ポーテアス(ワトフォード)
16 リアム・クーパー(リーズ)
22 ロス・マクローリー(ブリストル・シティ)
24 グレッグ・テイラー(セルティック)
26 スコット・マッケンナ(コペンハーゲン)

▽MF
スコット・マクトミネイ(マンチェスター・U)
ジョン・マッギン(アストン・ビラ)
8 カラム・マグレガー(セルティック)
14 ビリー・ギルモア(ブライトン)
17 スチュアート・アームストロング(サウサンプトン)
18 ルイス・モーガン(ニューヨーク・レッドブルズ)
20 ライアン・ジャック(レンジャーズ)
23 ケニー・マクリーン(ノリッジ)
25 ジェームズ・フォレスト(セルティック)

▽FW
9 ローレンス・シャンクランド(ハーツ)
10 チェ・アダムス(サウサンプトン)
11 ライアン・クリスティー(ボーンマス)
19 トミー・コンウェイ(ブリストル・シティ)

GS 第1節 ドイツ戦

ドイツの追手のポールポジションはスイスに

 本命のドイツを追う2つのチームによる直接対決。2位以上を確保するためにもここでライバルを叩いておきたい一戦である。

 互いにフォーメーションは3-4-2-1。ミラーでぶつかる両チームでの激突でまず求められるのは保持側のチームの対応となる。余裕があったのはスイス。ハンガリーがマンツーで前から当たってくることをしなかったため、バックスからボールを動かすことができていた。

 前進のためのズレを作ろうとしていたのは左サイド。高い位置に動くリカルド・ロドリゲスに合わせてジャカが低い位置を取るなどでマンツーの噛み合わせを破壊していく。

 特徴的だったのは多くの人が話題にあげていた20番のアエビシェールだろう。特に国際大会ではSBやWBは大外専用機になることが多いのだけども、このアエビシェールはかなり自由なポジショニングをとる。大外をバルガスに任せ、自らはインサイドに絞りながら攻撃に参加する。

 そして、アエビシェールは中央で2つのゴールに関与。先制点はライン間で縦パスのレシーバーになり、ドゥアーへの裏抜けでのラストパスを送ってアシストを記録。2つ目は豪快なミドルで追加点を奪う。

 左右から自在に押し込むスイスに対して、ハンガリーはなかなか前進をやり返すことができず。非保持ではボールの取りどころがわからず、保持ではロングボールでは逃げられない!という感じ。広く繋ぎながらスイスのマークのズレを剥がす方がまだ有力という状態だった。左サイドではスイスと同じようにマンツーをずらす旋回が散発的に見られたはしたが、決定的にゴールに向かうことができるほど大きなズレではないという感じ。2点のリードの分、明確にスイスが優勢だった前半と言っていいだろう。

 後半、ハンガリーはより前よりのプレスを仕掛けるように。前からハメに行くアクションを増やし、同サイドにスイスのボール保持を誘導しようと試みる。しかしながら、スイスのポゼッションの質の高さには苦戦。プレッシャーを逃しながら広く幅を使うスイスの組み立てに対して、なかなか狭いところに囲うことができなかった印象だ。

 保持に回った時のハンガリーはCHが左サイド落ちながら押し上げてつつ左サイドにオーバーロード気味に人を集めてはいたが、こちらも決め手にはならず。スイスがプレスを緩めたため、ボールを持つ機会自体はフラットになったが、その分ハンガリーが明確にチャンスを増やしたわけではなかった。

 ハンガリーは川崎ファンにはお馴染みの蔚山のアダムを投入し2トップに変化。しかしながら、スイスのボックス内の跳ね返し強度には屈してしまい引き続き空中戦でも優位を取ることができない。

 終盤は攻め疲れたハンガリーは徐々にスイスの反撃を受けるように。するとスイスはトドメの一撃をお見舞い。相手のCBのクロスの処理が甘くなったところをエンボロが掻っ攫いそのままゴールを沈める。

 前半は保持での変化を見せながら、後半は堅く逃げ切りを見せたスイス。GS突破に向けて好発進と言える勝利を飾った。

ひとこと

 クロースとギュンドアン、あまりにもサッカーがうますぎる。ただ、左落ちに関しては初手も初手だった感もあったので、うまくいくかは別としてスコットランド側にももうちょっと準備の跡が欲しかった。

試合結果

2024.6.14
EURO 2024
グループA 第1節
ドイツ 5-1 スコットランド
フースバル・アレナ・ミュンヘン
【得点者】
GER:10′ ヴィルツ, 19′ ムシアラ, 45+1′(PK) ハヴァーツ, 68′ フュルクルク, 90+3′ ジャン
SCO:87′ リュディガー(OG)
主審:クレマン・トゥルマン

GS 第2節 スイス戦

プレスとセットプレーで得点の機会を探るが・・・

 スイスは勝てばドイツに並びノックアウトステージ進出が決定。スコットランドとの得失点差を考えれば、引き分けでも突破はかなり濃厚になると言えるだろう。

 立ち上がりはスコットランドがサイドからジリジリと前進。地道な前進からのクロスでゴールを狙っていく。自陣に押し込まれたスイスは縦に早くロングカウンターで応戦。序盤は落ち着かない立ち上がりとなった。

 時間が経過するとボールを持つのはスイス。中央を固める陣形となっているスコットランドの守備に対して、右のSBの位置に降りてくるフロイラーが降りてフリーでボールを動かしていく。ここから縦に進み、右サイドから押し込んでいく。この辺り、左偏重となっていた第1節と攻め筋は少し異なっていた。大外に上がるのはヴィトマーでシャキリとエンドイェがインサイドで近い距離でプレーする。

 押し込むとスイスは高い位置からプレス。ハイテンポではないが敵陣から人基準で追い回す。スコットランドのプレスの耐性は怪しく、プレスに対してかなり危うい感じになっていたのは気がかりであった。

 しかし、先制したのはスコットランド。自陣でCKを跳ね返したマクトミネイが敵陣に侵入して放ったシュートが跳ね返ってゴール。押し込まれながらも先にスコアを動かす。

 だが、スイスも早い段階で反撃。ハイプレスに成功したスイスはシャキリが1on1で勝負できる局面を迎えてこのチャンスをモノにする。

 この得点以降、ペースを引き寄せたスイス。左サイドのコンビネーションを確立し、一気に押し込む。CKからネットを揺らす場面もあったが、これはオフサイドで認められなかった。

 スコットランドは40分以降にWBで相手のワイドをピン留めし、3バックが安定したポゼッションを見せたが、そこから先には進めず。やはり大外のロバートソンに突破力まで求めてしまうのはなかなか苦しいものがある。

 後半も前半と陸続き。互いにマークが空きやすいサイドからゴリゴリと進むジリジリとした展開となる。スイスがポゼッションを握る立ち上がりにはなったが、スコットランドのサイド圧縮に苦戦。狭いスペースに追い込まれ前半よりも低い位置で攻撃を止められる機会が増える。

 一方のスコットランドも前半の終盤のリズムを踏襲し、ワイドから押し込む。だが、突破力がないという課題は変わらず。セットプレーをいかに生かすかとプレッシングでどこまでリスクを負うかの勝負になっていく。

 決定機があったのはスイスの方だろう。エンドイェの抜け出しやセットプレーからの決定機でスコットランドを追い込むが得点には至らず。スイスは一方的に攻め立てるというよりはどちらかといえば優勢くらいのテイストであり、引き分けでも突破が見えてくるという勝ち点勘定も関係しているのかもしれない。突破に向けて苦しくなったのは得失点で大きなマイナスを抱えているスコットランドの方だろう。

ひとこと

 スイスは前節見せた万能性が薄れて少し器用貧乏感が出てきたのが気がかり。もう少し左サイドの可変性が前節のように前面に押し出せればいい流れができるのではないかなと思ったが。

試合結果

2024.6.19
EURO 2024
グループA 第2節
スコットランド 1-1 スイス
ケルン・スタジアム
【得点者】
SCO:13′ マクトミネイ
SWI:26′ シャキリ
主審:イヴァン・クルチニャク

GS 第3節 ハンガリー戦

突破条件到達のための終盤戦を制したハンガリー

 グループAの2位争いはスイスが圧倒的に優勢。ハンガリーはすでに3位にしか滑り込めないし、4ポイントを積むことができるスコットランドも初戦の大敗により得失点でスイスを逆転することは難しい情勢になっている。彼らはひとまず3位に滑り込み、他グループの結果に身を委ねるという舵取りが非常に難しい第3節を迎えている。

 立ち上がりからボールを動かしていくのはスコットランド。中盤からプレスをスタートするハンガリーに対して、スコットランドのバックラインは余裕を持ってボールを動かすことができている。2CHのギルモアとマクレガーは列を落ちながらボールを受けているが、すべてハンガリーのブロックの手前。相手を動かすことが全くできていない。

 ハンガリーの構える5バックの防波堤にはアプローチできなかったスコットランド。ボールを持つことはできたが、効果的に崩すことができておらず、本当にボールを持っているだけの時間が続く。カウンターに出てそうな局面もなくはなかったが、スピードアップのフェーズのクオリティも不十分。前に出ていく推進力も足りていなかった。

 ボールを奪い返すとハンガリーは対角にパスを通しながら前進。ピッチを広く使いながらのカウンターで敵陣に進んでいく。

 20分を過ぎるとハンガリーはボール保持の時間を増やしていく。左のCBであるダルダイがSBの位置に入り4バックに変形しながらボールを動かす。セットプレーからオルハンが決定機を迎えるなどよりクリティカルにチャンスを得ている感じはしたが、ゴールを奪うことはできていなかった。

 迎えた後半も流れは同じ。5バックに対して、保持側がブロックを壊すことを求められる流れとなっている。長いボールを収めるという点で前半よりはマシだったスコットランドだったが、どちらのチームもなかなか前にボールを進めることができないという苦境は両チームとも変化がない。

 ただし、両チームとも目標は3位でのグループ突破なので明らかに得点は必要な状況。徐々に中盤でのデュエルが増えるオープンな展開になっていく。

 5バックから4バックに。高い位置にアタッカーを揃えながらダイレクトな展開が増えていく両チーム。チャンスの応酬を制したのはハンガリー。カウンターからゴールを仕留めたのはチョボット。直前でチャンスを決められなかったこともあり、ラストプレーでのマッチウィナーは格別だったはず。

 3位の座を確保したのはハンガリー。共倒れ確実のドロー決着から一歩抜け出し、吉報を待つ権利を手にした。

ひとこと

 我慢強く守っていた両チームが徐々にリスクをとって勝負に出ていく姿はとても良かったけども、目標の不明瞭さが試合の目標の輪郭をぼかしていたのは少し残念な感じもした。

試合結果

2024.6.23
EURO 2024
グループA 第3節
スコットランド 0-1 ハンガリー
シュツットガルト・アレナ
【得点者】
HUN:90+10′ チョボット
主審:ファクンド・テージョ

総括

足りない堅牢さと届かない打開力

 いつの時代だって、ビッグトーナメントにおける開催国との開幕戦は貧乏くじである。今回その貧乏くじを引いたのはスコットランド。ドイツとの開幕戦に臨む役割を果たすこととなった。

 「意外とドイツは5バックで固めてくるチームに弱いのでは?」という空気感も下馬評ではなくはなかったが、フタを開けてみればドイツにスコットランドが一蹴される展開に。サリーの場所を微妙に調節するクロースへの対応と、放っておけないCB陣によって中央を揺さぶられ続け、ご自慢の2列目に縦パスを通されてしまい、あっという間に破壊されてしまった。退場者が出たことは反撃に出ていくという点では大きなダメージになったかもしれないが、こと守り切ることに関してはどちらにしてもできなかっただろうなというクオリティだった。

 一方で試合展開次第では余裕を持ったポゼッションからの崩しにトライすることもしばしば。しかしながら、次節の対戦相手であるスイスに追い回されるとプレス耐性は怪しいものであることが露呈。スペースが空いたところで 前にボールを当てて追い越すアクションが攻撃の肝のようではあったが、その役割として後方から駆け上がる役のティアニーがスイス戦で負傷交代してしまったのは手痛いところではあるだろう。アダムスが収める役割としてはイマイチなこともあり、マクトミネイが無茶苦茶する以外にアタッキングサードの破壊力があるプランは見えてこなかった。

 ボールを持たされることになったハンガリー戦ではバックラインにプレスがかかっていない状態でもクオリティ不足を露呈。中盤は立ち位置を守れずに下がるアクションを繰り返すことで全体の重心が下がってしまい、ハンガリーの陣内をこじ開けるきっかけを作ることができない。

 受けてもダメ、押し込んでもダメ、オープン合戦でもダメという状況で八方ふさがりだった感があるスコットランド。往年のアタッキングサードでの破壊力不足にバックラインの脆さが加わった今大会は勝ちあがるきっかけすら掴むことができない厳しい大会となってしまった。

Pick up player:スコット・マクトミネイ
 キックの精度はこの中ではいい方なのかもしれないけども、俺たちはCKを蹴るマクトミネイに祈りたいのではなく、CKと叩き込むマクトミネイに祈りたいんですよ。

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