■大駒2枚が決め手
受けに回ったエクアドルの序盤戦を見れば失点は時間の問題のように思えた。深めの位置に構えるアルゼンチンは平常営業。ラウタロ・マルティネスを中心に裏を取る前線の動きと、メッシを中心とするライン間の動きのコンボでエクアドルを押し下げる。
前残りしたメッシに対して、エクアドルのプレゼントパスもあった。これはメッシが珍しくポストというお目こぼし。首の皮1枚でエクアドルは助かる。
すると20分くらいを境に徐々に流れが変わり始める。エクアドルは高い位置からのチェイスを開始。前線は押し上げながら組み合う形をとる。すると展開は徐々にイーブンに。エクアドルがマンマーク主体の動きからボールを途中で引っかけると、大外のプレシアード、エストゥピニャンの両SBが駆け上がりクロスを上げる。同時開催しているEUROでは香車型のSBやWBがブイブイ言わせているけど、彼らもその系譜に連なるSB。特にエストゥピニャンのクロスはエクアドルの攻撃の大きな柱となるパターンである。
これに合わせるエネル・バレンシアも優秀。エリア内に1人しかいないのに動き出しは完璧でクロスが合う場面が多かった。しかし、動きながらな分、精度が高いものが求められる。合わせるところでいっぱいのボールに厚くヘディングが当たらず、決定機が決まらない状況が数回あった。
すると、前半に試合を動かしたのはアルゼンチン。強気のハイラインを敷いたエクアドルに対して、ラウタロ・マルティネスが体を張り、メッシに落とす。スルーパスでGKの飛び出しを誘発すると、最後はデ・パウルが押し込み先制。苦しい展開の中でアルゼンチンが前に出る。
後半も人と人がバチバチぶつかり合う展開が続く。この試合は非常にファウルが多く、特に後半は試合が止まりがち。どちらも攻撃の機会はあったが、どちらの攻撃もぶつ切りな状態がダラっと続く展開になった。
この試合を決めたのはアルゼンチンの大駒2人。途中交代のディ・マリアは2点目のショートカウンターとなるボール奪取の起点と、3点目のキッカケとなるFKを誘発。大エースのメッシがこれを1ゴール、1アシストと得点に変えて試合は終了。ファウルで進まない試合を2人のスターが打開。一気に決着をつけたアルゼンチンが順当にベスト4に進んだ。
試合結果
アルゼンチン 3-0 エクアドル
エスタディオ・オリンピコ・ペドロ・ルドビコ
【得点者】
ARG:40′ デ・パウル, 84′ ラウタロ・マルティネス, 90+3′ メッシ
主審:ウィルトン・サンパイオ