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「クロスはクロスでも」~2020.12.13 プレミアリーグ 第12節 アーセナル×バーンリー プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第12節
2020.12.13
アーセナル(15位/4勝1分6敗/勝ち点13/得点10 失点14)
×
バーンリー(18位/1勝3分6敗/勝ち点14/得点5 失点18)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

近年の対戦成績

図1

直近10戦でアーセナルの9勝、引き分けが1つ。

アーセナルホームでの対戦成績

図2

直近10戦でアーセナルの9勝、引き分けが1つ。

Head-to-head from BBC sport

アーセナルは直近9試合の公式戦でのホームのバーンリー戦で全勝
バーンリーは直近15試合のアーセナルホームでのリーグ戦で勝ちなし最後の勝利は1974年1月のハイバリーでの0-1。

スカッド情報

【Arsenal】

・ダビド・ルイスは当日判断。
・腿の負傷であるトーマス・パーティは欠場見込み。
・火曜にU-23の試合に出場したガブリエル・マルティネッリはもう少しフィットに時間がかかる見込み。

【Burnley

・フィル・バーズリーに復帰の可能性。
・デイル・ステーフェンス、ベルグ・グズムンドソンは当日判断。ジャック・コークは欠場の見込み。

Match facts from BBC sport

【Arsenal】

ホームでのリーグ戦4連敗になれば、1959年以来のこと。当時の4連敗にはバーンリーに4-2で敗れた試合も含まれている
11試合での勝ち点13は1981年以来の成績。当時は勝ち点12だった。
・直近9試合のリーグ戦で6敗
オープンプレーからのチャンスクリエイト62回はバーンリー(57),ニューカッスル(60)に次いでリーグで3番目に少ない
・オープンプレーからのリーグ戦のゴールは656分間ない
ピエール=エメリク・オーバメヤンバーンリー相手に5戦で7得点。プレミアにおいて最も多くの得点を決めている相手
ダビド・ルイスが出場すればルーカス・レイバ、ウィリアン、フェルナンジーニョに次いで200試合のプレミア出場を果たした4人目のブラジル人になる。

Burnley

・直近11試合のプレミアで1勝。うち7試合は負けている。
27本の枠内シュートはプレミアで最少
・リーグ戦5得点は最少タイ
無得点で終われば2016年12月以来のアウェイ戦4試合連続無得点。

予想スタメン

画像3

展望

■相手は違えども同じ轍を踏めば・・・

 ノースロンドンダービーに敗れて苦しむアーセナル。しかしながら今節の対戦相手はそれ以上に苦しんでいるバーンリーである。EL出場や1桁順位のフィニッシュなどスモールクラブながら近年はショーン・ダイチの下で躍進を続けているバーンリー。

 しかし、今シーズンはだいぶ勝手が違う。昨季は43得点を挙げた攻撃陣だが、今季はここまで11試合で5得点。シーズンを通して20得点を割るペースである。複数得点は開幕戦のレスター戦以降ない。一方で失点も多く18。ベン・ミーとターコウスキーというレギュラーCBがそろっても失点の多さには歯止めがかからないのが現状である。

 攻守ともに単純な高さが通用しない相手が増えてきたのが1つの要因。そこを何とかしようと前にプレスに出ていくと、ラインに乱れが生じてしまいそのギャップを相手に突かれてしまうというのがここまでの悪循環のざっくりとした流れだろう。

 裏を返せば単純なクロスに対しては十分に対抗できるということでもある。クロスといえば最近話題のアーセナル。率直に自分の感想をいえば『クロスが多いこと=悪』というのは的外れだと思う。アルテタのアーセナルにとってはクロスは重要な手段。

 ただし、そのクロスの使い方に違和感が出てきているのもまた確かである。中を固める相手にひたすら人に向かったハイクロスを上げる場面ばかりが目立つ。確かにそういった手法をとれば『まるでモイーズ』と揶揄されるのも仕方がない。

 これまでのアーセナルはサカやティアニーなど精度の高いクロッサーから低く鋭いクロスをスペースに送り込むことで得点を重ねている。今はまずPAにおいてスペースがある状態でクロスを上げれている場面がそもそもほとんどない。つまり、クロスを上げる状況がまずアーセナルにとっていい場面ではない状況であることが多い。相手を十分に動かせている状態ではないアバウトな形でクロスに逃げている状況になっている。

 モイーズのユナイテッドのように中にフェライニがいるならばそれでもいいのだろうが、アーセナルには中で勝負できるターゲットはいない。ましてや、今節の対戦相手は単純なクロスなら簡単に無効化できるバーンリー。前節のような攻撃に終始するならば、スパーズが相手でないとしても十分に苦戦の可能性はある。

■あまり好きではないのだが・・・

 4-4-2ブロックを中心にしてくるバーンリーに対して、ハーフスペースと大外を使い分ける従来のアルテタ式の可変は有効だろう。昨季や今季序盤のアーセナルならば、高さのあるバーンリー相手でも深さを作って抉ることでPA内にスペースを作ることは十分に可能である。

 しかし、今のアーセナルはそのような状態にはない。同じ設計図を共有していた以前とは異なり、2,3手先のプレーを予想できずにボールホルダーの行く末をただただ見守っている場面があまりにも多い。競り合いにも勝てない、クロスの精度も悪い。

 監督は相手に勝利できるための仕組みを用意できていないし、選手はそれに勝利に値するプレーができていない。いわば箱も中身も十分に備わっていないのが今のアーセナルである。

 こういう状態ではあまりプレビューもレビューも意味がないだろう。相手が必ずいることが大前提であるサッカーにおいて、本当はこういう言い方は好きではないのだが、相手以前にまず自分たちが何ができるかという状態になっている。

 ノースロンドンダービーの結果はアーセナルにとって喜ばしいものではなかったが、選手たちも取り巻くメディアもアーセナルの監督人事が揺らぐものとはまだ考えていないように見える。しかしながら、バーンリー相手に結果を得られないようだとまた風向きは変わる可能性は十分ある。まずは1つ結果を残すこと、そしてできれば光が見えるような内容であること。それが出来さえすれば、彼らが何本クロスを上げようと自分は何も文句は言わないだろう。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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