Fixture
Jリーグ YBCルヴァンカップ
Quarter-final
2nd leg
2024.9.8
ヴァンフォーレ甲府
×
川崎フロンターレ
@JITリサイクルインクスタジアム
戦績
近年の対戦成績
直近10試合の対戦で甲府の1勝、川崎は7勝、引き分けが2つ。
甲府ホームでの戦績
過去10戦で甲府の3勝、川崎の6勝、引き分けが1つ。
1st legレビュー
Head-to-head
- 直近7試合の対戦で川崎は甲府に無敗(W5,D2)
- 直近20試合の対戦で川崎は甲府相手にいずれも得点を決めている。
- 直近7回のホームでの対戦で甲府は川崎に1勝のみ(D1,L5)
- 甲府がホームで2点差以上の勝利で川崎を下したのは直近17回の対戦のうち2回。2001年と2003年。共にJ2でのリーグ戦。
スカッド情報
- 主だった負傷者はいない。
- ジェジエウは肉離れにより一時帰国。
- 高井幸大は代表により離脱中。
- エリソンは1st legで脳震盪により交代。
予想スタメン
Match facts
- 勝ち上がればクラブ史上初めてのリーグカップベスト4。
- 今季ここまでJ2では10勝を挙げているが、ホームでは3勝のみ。
- 3勝のうち、2勝は19位の鹿児島と20位の群馬相手に挙げたもの。
- ただし、ホームで挙げた3勝のうち2勝は2点差以上をつけている。
- リーグカップは直近4試合勝利することができていない(D2,L2)。
- リーグカップのノックアウトはここまで5試合を経験して1勝のみ。
- 唯一の勝利は川崎相手にホームで3-2で勝った2007年。
- カップ戦における2nd legは直近6試合で勝ちがない(D4,L2)。
- 最後の勝利は2017年のルヴァンカップ準決勝の仙台戦。
- 今季ここまで公式戦のアウェイでは4勝のみ。3勝が関東、1勝が中国。
- 直近2回のリーグカップのノックアウトラウンドはいずれも準々決勝で敗退している。
- 今季ここまでのリーグ戦で山田新は11得点中7得点をアウェイスタジアムで挙げている。
- マルシーニョが今季公式戦で挙げた11得点のうち、5得点がカップ戦で決めたもの。
- 遠野大弥が決めた直近10得点のうち、8得点はカップ戦で決めたもの。うち、4得点はJリーグカップで決めている。
- 国内カップ戦はキャリア通算で11得点。145分に1回のペースでゴールを決めている。
展望
仕留めるためには焦れないこと
1st legは1-0という最少スコア差での勝利。大量得点で勝利した横浜FMや新潟とは異なり、川崎が4年ぶりとなるベスト4を手中に収めるためにはまだ予断は許さない状況である。
まずは1st legを簡単に振り返りたい。基本的には甲府は川崎にボールを持たせてOKというスタンス。その代わり、プレス隊にIHが加わることで川崎のバックスにプレッシャーをかけるスイッチを入れるというスタンスだ。
だが、これは川崎のボール回しによって最低限回避。敵陣まで進むことはできた。ただし、WGを軸としたサイド攻撃が安定せずに、甲府のバックスをなかなか揺さぶることができず。山本のボックス内でのフリーランから少しずつテンポを取り戻すと、スペースメイクに必死になっていたエリソンから奥行きを作り、最後は遠野が仕留めるという形になった。
この先制点を得た川崎はゆったりと押し込みながらプレーすることを選択、後半頭は相手を盤面で制圧するスタートを見せる。だが、その展開も徐々にしりすぼみになると、交代で入ったウタカや宮崎といった選手のフィジカルポテンシャルからの巻き返しで少人数勝負をかけてきていた。それでも追撃は及ばず、試合は1-0で川崎のリードのまま幕を閉じたという格好である。
苦手な2nd legであることを踏まえると、早々にスコアを取って楽になりたいのが川崎の本音だろう。しかしながら、どちらかといえば個人的には2nd legでは我慢の戦いを見たいと思っている。
当たり前の話ではあるが、0-0であれば勝ち抜けである。無論、引き分け狙いでうまくいくチームではないし、それを目指すことは試合終盤にならない限りはない。だが、甲府は0-0のままでは敗退である。ということで彼らは基本的には動いてくるプランを組んでくることになるだろう。
しかし、1st legやJ2でのリーグ戦を見る限り、自分たちから展開を動かすということに関して甲府はそこまで得意なチームではないように思う。もっとも顕著なのはハイプレス。前線の選手はベテランや外国籍選手が多く、プレスを繰り返し行いながらボールを刈り取る機動力はないといっていいだろう。
そうしたチームが強引に試合を動かそうとすると、個々人でのズレが起こりやすい。ある選手は出て行くのに、ある選手がついていかないから陣形が間延びするなんてことも出てくだろう。かくいう川崎もあまりこうした展開は得意ではない。慌ててボールを追い回すことで自軍のダメージを広げ、危うい場面をさらに迎えるというのはよくある話。というより、日曜に北の大地でやってきたばかりである。
追加点を取って楽になりたいのはわかる。しかし、前向きなエネルギーを出して速いテンポを前面に押し出した勝負に挑むのは、川崎が持っているはずの1点分のアドバンテージが薄くなることにつながる。
おそらく、2nd legの川崎はリーグスタメン組がスタメンに返り咲きになるだろう。大島、家長がスターターに復帰すればトランジッションに関しては低下方向に向かうと考えられる。楽になりたいからといって慌ててプレスに行けば空転するリスクはこちらにも平等にふりかかってくることになる。
強引にボールを奪い返しに行くスタンスは相手にだけやらせておけばいい。どちらかといえばこちらはそのコストによって生まれた隙をつくことを考えたい。1st legからメンバーが入れ替わると仮定して、最も向上が見込めるのはゆったりとしたボール保持の安定感である。大島、家長の起用はもちろんのこと、地味に大きいのはSBにレギュラー組を揃えられること。かつ右のCBに右利きの佐々木を起用できる公算が立つことである。
CB起点のビルドアップサポートは本職のSBの方がやはり慣れているし、味方を追い越すという1st legで足りなかった部分についてはやはり三浦とファン・ウェルメスケルケンの2人がもっとも優れているだろう。ゲームコントローラーが整えるテンポにSBが幅と奥行きをもたらし、甲府のプレス隊の撃破を狙っていきたいところである。
何よりもボールを持ちながら試合をコントロールできなかったというのは1st legにおける課題である。押し込みながら理想的に展開を運ぶ時間ももちろんあったが、持続力が足りていなかった。大島と家長の併用であればもちろんその点は解決することができるだろう。
インサイドへの差し込みは当然やっていかないと怖くはないが、カウンターでトップのウタカに当てられたり、WBの飯田などのスピードのある選手にボールを届けられたりすると非常にだるい。そのためには後方から広く横幅を使ってビルドアップをすることで甲府の2列目の意識を川崎のビルド隊に向けることが重要だ。縦パスのレシーバーは挟まれなければマーカーの圧力はだいぶ逃がしやすくなる。1st legの山本のように動く2列目の背中を取りながら、前を向くための手段を探っていきたい。
仕留めたいからこそ焦れない。相手が焦れたら仕留める。もちろん、フルスロットルで押し切れればそれが一番いいが、9月以降の日程はそれを川崎に許してくれることはない。リードしている状況で自分たちから崩れない。簡単に楽になろうとせず、一瞬のスキをうかがうようにして相手が焦れる瞬間を探す。少なくともスコア的に優位に進めている試合についてはそうしたい。この試合でスターター組に求められることは、甲府戦だけでなく週2が続く終盤戦を通じて求められるものである。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)