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「Catch up Premier League」~Match week 9~ 2020.11.21-11.23

 さて今節も。

目次

①ニューカッスル【13位】×チェルシー【5位】

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■新・定番パターンと一発裏返しで二段構えを攻略

 中盤前は5-3-2でのボール保持のこだわりを見せたニューカッスル。ただ、この日は5-4-1を選択し、人選もややここ数試合に比べると守備色が強かった。しかし、トッテナム戦に比べれば守備のラインは高め。ミドルゾーンに構えてWBが前に出ていくタイミングも早かった。

 チェルシーは間をつなぐようなビルドアップの出口となる選手は前にはいない。したがってエイブラハムの裏取りやサイドチェンジを使ってニューカッスルを押し下げる。押し下げた後の攻略はジエフが主体に。大外に張るジエフに合わせてニアにコバチッチやジェームズが抜けて、ファーでチルウェルやヴェルナーが待ち構える形は徐々にチェルシーの定番になり始めている。先制点も右サイドのクロスからオウンゴールを誘発したものだった。

 後半は高い位置からプレッシャーをかけていくニューカッスル。立ち上がり10分程度はだいぶ混乱があったものの、徐々に対応していくチェルシーは一発の裏取りカウンターから押し込まれている状況をひっくり返すことができた。ニューカッスルが講じた策を前半も後半もぶち破ったチェルシー。前線のビルドアップの貢献度の低さは課題だが、多くの選手を送り込んだ代表ウィーク明けは上々の立ち上がり。

 ニューカッスルは所々に見えるバックスの安易なドリブルから、ピンチの連鎖を自ら招いていたのが気掛かり。ポゼッション志向に振り切った分のリスクテイクの感覚はまだ残っていたように見える。さて、ここからどう進むだろうか。

試合結果
ニューカッスル 0-2 チェルシー
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
CHE:10′ フェルナンデス(OG), 65′ エイブラハム
主審:クレイグ・ポーソン

②アストンビラ【6位】×ブライトン【16位】

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■乗り越えた試練、呼び込んだ試練

 ロス・バークリーの負傷交代というアストンビラにとって縁起の悪いスタートになったこの試合。前半からあまり展開が落ち着かず、共に素早く縦にパスを差していく意識が強かった。そのため、両チームの攻める機会は均等で共に間受けを相手に許してテンポアップする展開に。

 前節のアーセナル×アストンビラのプレビューでも書いたのだが、アストンビラは速い攻撃において守備が整わない状況で対応するとDFの無理が効かない場面から失点しやすくなる。ブライトンで間受けのパスを引き出していたのはララーナ。円熟味のあるパスの引き出し方でブライトンの前進を手助けした。にしてもブライトンの1点目はビラのライン設定が強気すぎる気がするが。

 後半はそのララーナが負傷交代で不在に。彼なしでどのように前進をするかが問われたが、モペイとウェルベックの機動力勝負ができる2トップが攻撃を牽引。セットプレーから同点に追いつかれるが、最後は彼らのスペースメイクでアストンビラの最終ラインを下げたところからマーチが打ち抜く形で決勝点。やはり最終ラインに縦横に揺さぶりをかける回数を増やすのがアストンビラ相手に効くやり方だと思う。

 このまま、逃げ切ればブライトンはハッピーなのだが、後半追加タイムにやたらわちゃわちゃ。PK判定はOFRで覆ったものの、ヒートアップする展開に釣られてランプティは退場。次節はリバプール相手に攻撃の核を欠いて臨むことに。ブライトンが開幕戦以来の勝利を挙げるも、主力が無駄に退場するという悪癖で最後は課題を呼び込んでしまった。

試合結果
アストンビラ 1-2 ブライトン
ビラ・パーク
【得点者】
AST:47′ コンサ
BRI:12′ ウェルベック, 56′ マーチ
主審:マイケル・オリバー

③トッテナム【2位】×マンチェスター・シティ【10位】

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■スタンダードすぎて『らしくない』

 レビューはこちら。

 この試合のトッテナムの先制点の要素を分解してみると『エンドンベレが間受けから前を向く』『ケインの降りる動き』『ケインに合わせたソンの裏抜け』という3つに分けられる。いわば、ここ数試合のトッテナムのお決まりパターン。この定番パターンにマンチェスター・シティはやられてしまった。

 この試合のマンチェスター・シティは原点回帰。偽SBでWGを外に張らせて勝負という往年のグアルディオラスタイル。トッテナムはPA内のCBの動きが怪しいので、とりあえずWGを起点にサイドから押し込む形は悪くはなかった。ただ、シティとしては本来は内側に起点を作りたいところ。トッテナムの前線は内側を塞ぐように外側に追い出す守備をしていたので、WG起点に攻められるのはもしかすると許容範囲内だったのかもしれない。

 内容について詳しくはレビューを見てもらうとして、そういえばこの試合はグアルディオラ×モウリーニョの組み合わせだったなとレビューを書き終わった後に思った。出来上がったチームの上に対策の打ち合いになることが多いこの組み合わせが『原点回帰』と『今季の王道パターン』で組むことになったのは、どことなくらしくないなと。別に悪い意味ではないけども!

試合結果
トッテナム 2-0 マンチェスター・シティ
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:5′ ソン, 65′ ロ・チェルソ
主審:マイク・ディーン

④マンチェスター・ユナイテッド【14位】×ウェスト・ブロム【18位】

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■差を感じるチーム体力

 チームの看板ほど両チームの間に差はなかった試合だった。むしろ、この試合をより顕著に表しているのは両チームの順位の方かもしれない。

 ウェストブロムはボールを持つ志向を徐々に強めているように見える。この日は前線の攻撃的な主力選手を中央に集約し、近い距離でプレーさせることで相手陣に侵入する試みを行っていた。COVID-19明けのペレイラの復活はウェストブロムには非常に大きく、彼がいると無鉄砲なドリブルとフィジカルで押し切りがちなウェストブロムの攻撃に違う味が加わる。

 ユナイテッドの攻撃はウェストブロムのつなぎのボールをカットするところから始まる。その後、素早くサイドの裏に流れたところからチャンスメイク。ボール保持時にラインの上がるウェストブロムの裏から縦に速く攻めることでチャンスを作る。マルシャルがサイドに流れるのはもちろんなのだが、意外とマタも流れて受けるのは上手。ポグバ不在の中盤から効果的な縦パスを引き出すには、相手の重心が崩れている前提が欲しいので、トランジッションをいつもより頑張っている感じはした。

 この試合の結果について言及するとPKに関するエトセトラになってしまうだろう。ただ、ユナイテッドが勝ったという結果を差し引いても、終盤のベンチメンバー投入後はややチーム力の差を感じた。レギュラーメンバーと遜色ない活躍を見せるカバーニとは対照的にウェストブロムは交代選手がユナイテッドにかみつくことができず。未勝利はまだまだ継続だ。

試合結果
マンチェスター・ユナイテッド 1-0 ウェスト・ブロム
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:56′(PK) ブルーノ・フェルナンデス
主審:デビット・クーテ

⑤フルハム【17位】×エバートン【7位】

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■もう1つの『無敗記録』は継続中

 今季エバートンが負けた試合を区別する術は非常に簡単。リシャルリソンがスタメンに名前を連ねているかどうか。ここまでの試合はその1点だけで判別することが可能だ。故にこの法則に従ってリシャルリソンが退場になったマージーサイドダービー以降の3節は全敗を喫しているエバートン。

 今節はそのリシャルリソンの復帰戦になったのだが、インパクトを残すのにかかった時間はわずか1分。フルハムのロストからボールを運ぶとキャルバート=ルーウィンにラストパス。他の選手に当たっているため公式にアシストがつくかはわからないが、実効性の部分で早速差をつけた。

 この日のエバートンは3-4-3を採用。WBが前線に顔をだしやすくなったことで幅を使いやすくなる。存在感を放ったのは左WBのディーニュ。的確なタイミングの顔出しと精度の高いクロスで2アシストを記録。トレーニング中の負傷で年内絶望の報道が真実ならば、大きな痛手になる。

 一方でエバートンの守備面での改善があったかは微妙なところ。間が空いた状態で誘導や圧縮がない形での非保持はフルハムの軽いタッチでのつなぎとの相性は悪かった。最終ラインに人はいるものの、PA内を横断するようなパスを許す場面も多く見られた。

 フルハムは後半に主力を投入し反撃を図るが、シャドーをシグルズソンとデイビスと守れる選手に入れ替えて終盤に閉じこもる陣形を敷くエバートンを前に最後はこじ開けられず。やはり、2試合連続のすっとこどっこいPKはあかんぜよ。

 エバートンは非保持の課題はあったものの、守備も含めてやはりリシャルリソンはさすが。彼が出ている試合の無敗記録は継続中だ。

試合結果
フルハム 2-3 エバートン
クレイヴン・コテージ
【得点者】
FUL:15’ コルドバ=リード, 70′ ロフタス=チーク
EVE:1′ 29′ キャルバート=ルーウィン. 35′ ドゥクレ
主審:アンディ・メドレー

⑥シェフィールド・ユナイテッド【20位】×ウェストハム【12位】

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■きっかけまでは手が届く

 アントニオの負傷離脱以降、苦戦が続いているウェストハム。代役を務めるアレがなかなかフィットしないのがモイーズの悩みの種である。この試合ではほんの少しだけど良くなっているような片鱗を見せた。クロスは競り合いになるようなものではなく、足の長さを活かした無理目なボールを収めるのが上手い。

 そんなアレがこの試合では先制点をゲット。ネガトラで撤退しながらライン整えることに難のあるブレイズは、人がわらわらいたのにも関わらずラインを押し上げられずにミドルシュートを許してしまった。ストライカーにとって得点は万病の薬と言われる。まだまだ合わないところの方が目につくアレのフィットが進むための得点になればいいのだけど。

 一方でチャンスをものにできなかった結果、スタメン落ちしてしまったのはブレイズのブリュースター。この試合ではクロスを上げればチャンスがあるものの、そこに行くまでに労力がかかっていたブレイズ。後半にそのブリュースターを投入して3トップにシフトし、限られたクロスのチャンスを広げようと試みる。とはいえ、エリア内に待ち構えるだけではなかなかチャンスが来ないのが切ない。

 結果を出したアレと同じく、ブリュースターも彼が出したラストパスをマクバーニーに決めてもらえれば好転の兆しもあったかもしれないが、これは惜しくもポスト。得点が入らないブレイズとブリュースターの苦悩はまだ続くことになりそうだ。

試合結果
シェフィールド・ユナイテッド 0-1 ウェストハム
ブラモール・レーン
【得点者】
WHU:56′ アレ
主審:マーティン・アトキンソン

⑦リーズ【15位】×アーセナル【11位】

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■珍しい恵みの雨

 前節、5バック撤退をアストンビラに攻略されたアーセナルはここに来て4バック回帰。さらにウィリアン、オーバメヤンの配置を代えたうえでウィロックを投入したうえでこの試合に臨む。

 リーズのマンマークを振り切るのにウィリアンのフリーなポジショニングや、両WGの横へのドリブルは有用だったが、この日のアーセナルはその先が用意されていない。周りはドリブルする選手を見守るばかりで敵だけでなく味方もこのあとどうなるかわからない!といった様相。結局安定したアタッキングサード侵入には至らなかった。

 4バック回帰の意味合いはプレッシングの位置を高めることもあるが、この日の相手はリーズ。ショートパスで相手のプレスをいなすことには長けているチームである上に、アーセナルのCHコンビは機動力の低いジャカとセバージョス。CHまで高い位置にでたプレスをかわされると一気にスカスカなバイタルエリアまで運ばれる。

 アーセナルは撤退守備時も中盤が最終ラインに吸収されることもしばしば。空けたバイタルが致命傷にならなかったのはこの日のぬかるんだピッチのせいでミドルシュートの踏ん張りがきかなかったからだろう。ペペの退場で攻め込まれる時間が増えてからはなおさら。もっとも10人になったアーセナルは捨て身のSBのボール運びとサカが効いていて11人の時よりチャンスは多かったけど。

 往年のアーセナルならば、ぬかるんでボールコントロールが正確に効かないピッチコンディションは嫌なはず。しかし、この日はむしろアーセナルにとって恵みの雨といっていいだろう。うれしいような悲しいような。

試合結果
リーズ 0-0 アーセナル
エランド・ロード
主審:アンソニー・テイラー

⑧リバプール【3位】×レスター【1位】

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■我が物顔でスペースを使う新参者

 差は付いたが3位対1位の看板に恥じない内容にはなったと思う。負けてしまったレスターだが、健闘は見せていた。リバプールの攻撃陣に食いついていったバックラインは称賛に価すると思う。2失点目のオルブライトンがロバートソンに軽くかわされてしまったシーンは少し残念だったが、それ以外のオープンプレーは比較的耐えていたように思う。シュマイケルも何回も好セーブを先発した。

 それでもこの日はリバプールの方がレスターよりかなり上をいっていたことは確か。ジョーンズとケイタのIH、そしてフィルミーノが広く動くことでレスターの2列目にほころびを作り、縦パスのスペースを作る。空いたスペースへの飛び込みはジョタが抜群。すでにこのチームで何か月もプレーしているかのような顔で周りの選手が空けたスペースに躊躇なく飛び込む。しかも、タイミングをワンテンポ遅らせてクロスに入ってくることもあるので、守る方からしたらやりにくいことこの上ないだろう。

 後方の守備陣はファン・ダイク、アーノルド、ゴメスが欠場という厳しい状況だったが、レスターが相手でもスコンスコン裏に抜けられるシーンはなし。少なくともこの試合においては、立ち上がりの怪しい時間帯を除けば危機にさらされることは少なかった。

 層が薄くなってしまったことは否めないが、起用可能なメンバーだけでもこれだけのポテンシャルを持っていることを証明できたことにクロップも一安心しているのではないだろうか。

試合結果
リバプール 3-0 レスター
アンフィールド
【得点者】
LIV:21′ OG, 41′ ジョタ, 86′ フィルミーノ
主審:クリフ・カバナフ

⑨バーンリー【19位】×クリスタル・パレス【8位】

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■王様のいぬ間に

 個人への依存度で言えばプレミアトップクラスのクリスタル・パレス。その高い依存を引き受けるザハがこの試合では欠場ということで、相手が未勝利のバーンリーとはいえ「どうなるねん!?」感が止まらなかった。

 この日の先発FWはアイェウとバチュアイだったのだが、このコンビは連携という連携はほぼ見られず、それぞれがゴールに向かって突き進んでいく。バチュアイには決定機といえるチャンスもあったのだがどうもこの日は彼の日ではなかったようである。

 一方で可能性を示したのはエゼ。ザハがいない中でドリブルとボールキープでタメを作り、チャンスメイクを引き受けていた。同サイドのファン・アーンホルトとの連携も良好で、パレスは深さを作るという点ではこのコンビが頼みの綱だった。

 対するバーンリーはジェイ・ロドリゲスが先発。パワープレー一辺倒の前線にドリブルや少ないタッチのパスを織り交ぜることによって、今まで比べれば多少は変化をつけられたように思う。先制点は苦しみ続けるウッドから。この日は対面のクヤテ相手に起点となれる動きを披露。FWコンビの出来はパレスよりは良かった。

 後方はベン・ミー、ターコウスキー、ポープが体を張って食い止めてクリーンシート。9節にしてバーンリーは初勝利。王様不在に苦しむパレスを下して降格圏脱出に成功だ。

試合結果
バーンリー 1-0 クリスタル・パレス
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:8′ ウッド
主審:ケビン・フレンド

⑩ウォルバーハンプトン【9位】×サウサンプトン【4位】

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■1人2役で厚みを出す

 3バックをベースしていたウルブスだったが、この試合は4-3-3に鞍替え。理由は難しいけど、まずはハーフスペースに楔を受けに入りがちなサウサンプトンのSHをやりにくくするためというのが1つ。5-3-2でも一応3センターで受けられはするが、ウルブスは最終ラインで上下動させられてしまうと結構ラインが乱れやすくなるので、中盤がサポートに入りやすいように両WGに低い位置までの守備タスクを課した4-3-3にしたのではないか。

 実際にサウサンプトンが先制したシーンはウルブスのDFラインから人が釣りだされており、整えるのに苦慮。最後はセメドのポジションの取り直しが甘くなってしまっている。

 ただ、サウサンプトンもウルブスの中盤のタイトな守備に苦しんでいた。DF-MF間で受けるスペースが少ないばかりか、ロメウとウォード=プラウズの起点となるべき2人がつぶされてしまう。結局長いボールをFWに当てることしかできず、イングス不在ではこの形から繰り返しチャンスを作るのは難しかった。

 ウルブスのWGは攻撃時に後方と連携せずに単騎突破を挑みがち。いつもより低い位置のサイドが攻撃スタートのポジションだったこともあり、この日は前3人の連携もやや希薄だった。それを解消したのがIHとストライカータスクを兼務できるネト。同点ゴールのシーンではポストに当てたヒメネスもさすがだが、あそこのスペースに飛び込めるのがネトの強み。同点どまりだったが終盤に主導権を握る原動力にはなった。

試合結果
ウォルバーハンプトン 1-1 サウサンプトン
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:75′ ネト
SOU:58′ ウォルコット
主審:アンドレ・マリナー

   おしまいじゃ!!

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