Fixture
明治安田 J1リーグ 第30節
2024.9.13
川崎フロンターレ(14位/8勝10分10敗/勝ち点34/得点42/失点40)
×
サガン鳥栖(20位/7勝3分19敗/勝ち点24/得点36/失点57)
@Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
戦績
近年の対戦成績
直近5年間の対戦で川崎の5勝、鳥栖の2勝、引き分けが4つ。
川崎ホームでの戦績
過去10戦で川崎の6勝、引き分けが4つ。
Head-to-head
- 鳥栖が勝てば2013年以来、11年ぶりのシーズンダブル。
- 直近6回のこのカードにおける川崎の勝利はいずれもクリーンシート。
- 川崎は直近10試合のホームの鳥栖戦に負けがない(W6,D4)
- 現在3連勝中。
- 鳥栖が最後に等々力でゴールを決めたのは2017年の高橋義希が最後。
- 以降6年間、およそ596分間等々力ではノーゴールが続いている。
スカッド情報
- 高井幸大は代表活動から合流。
- ジェジエウは一時帰国し、肉離れの治療中。
- 本田風智は左膝外側半月板断裂で長期離脱。
- アルナウは内転筋の負傷で全治10週間。
- マルセロ・ヒアンは左大腿直筋損傷で全治8週間。
予想スタメン
Match facts
- 負ければ今季2回目のリーグ戦3連敗、今季初のシーズンダブル。
- ホームでの直近2回の公式戦の敗戦はいずれも「1-3」
- 対戦時点で降格圏に沈むチームとの対戦は今季4戦で1勝のみ(D1,L2)。
- 関西よりも西のチームに対しては今季10戦で1勝のみ(D4,L5)。
- 唯一の勝利は相手が2人退場者を出した等々力の神戸戦。
- 遠野大弥はルヴァンカップでは通算449分の出場で5得点。90分に1得点のペースでゴールを挙げている。しかし、直近2年のリーグ戦においては2476分で2得点。およそ、1238分に1得点のペース。
- 河原創は鳥栖との初めてのリーグ戦。
- 2021年、2022年の熊本時代に天皇杯でそれぞれ対戦するも敗戦。2022年にはゴールを決めている。
- 公式戦は4連敗。直近8試合で勝利がなく、唯一勝ち点を取った浦和戦は相手に退場者が出た。
- 勝てば今季初のシーズンダブル。
- 57失点はリーグワースト。
- 29試合終了時の勝ち点は昨季比で11ポイント減っている。
- マルセロ・ヒアンがベンチに入らなかったリーグ戦3試合はここまですべて負けている。
- 先発出場しなかった6試合はここまでチームで1得点のみ。
- 清武弘嗣は現在J1に所属している神奈川県のチーム相手に13得点を挙げている(湘南:4、川崎:4、横浜FM:5)
予習
第27節 札幌戦
第28節 神戸戦
第29節 湘南戦
展望
タイムリミットが迫る試行錯誤
代表ウィークという中断期間にもルヴァンカップを戦っていた川崎。リーグ視点で見れば再開初戦となる今節は最下位に沈む鳥栖とのフライデーナイトの一戦に挑む。
鳥栖は鹿島戦での敗戦を受けて8/9に監督交代をリリース。木谷監督が指揮を執り、リーグ戦ではここまで4試合を消化している。Match factsでも触れたが、監督交代以降まだ勝ちはなし。いわゆる解任ブーストと表現されるような、指揮官を交代したことによるV字回復は見られていないのが現状である。
内容面でも試行錯誤が続いていることは伝わってくる。就任直後の浦和戦、札幌戦は4-4-2、それ以降の2試合は5-4-1とフォーメーションにも変化はみられる。おそらくは札幌戦が契機になったのだろう。5失点を喫したことか、あるいはその試合でマルセロ・ヒアンを負傷で失ったことか、もしくはその両方がトリガーになっているのだろう。
4バックの試合を見てみると、やはり非保持はかなり脆い。札幌戦は典型例ではあるが、大外からハーフスペースにアタックを仕掛けてくるチームに対しては大外もハーフスペースも後追いになってしまってどうにもなっていなかった。
ただし、5バックでもというところはある。これはスカッドの編成の問題が先にくる話ではあると思うが、ストッパー的に振る舞えるWBが見当たらない。特に左サイドの堺屋は受けに回ると苦戦する局面が多く札幌の近藤や神戸の武藤にかなりサイドを破られてしまっている。
なので、強度に不安のある5バックが晒されるとまずいことになる。神戸戦では4-1の前5枚で同サイドに保持を圧縮しようとしたら宮代等の前線の降りるアクションからのサイドチェンジで薄いサイドへの展開を許してしまい、WBはさらされる格好に。湘南戦ではよりマンツー気味で捕まえに行ったが、WBの背後を取る2トップから押し返される場面が目立った。
ボックス内でのシンプルな迎撃性能の低さから失点しているというよりは、ボックスまでの運ばれ方が悪くて失点している感が強い今の鳥栖。4バックだろうと、5バックだろうとどう受けるかの解決策は見つけられていない。残り試合を考えると、1試合でも早くバランスの落としどころを見つけたい。
保持においてはFWへのロングボールがかなり増えた印象だ。プレスがかかった時はもちろんのこと、ゴールキックでのリスタートなど静的な局面からも前線に長いフィードを飛ばすことが増えた。CBが広がり、自陣に相手のプレスを引き寄せる意識の強かった前政権とは明確に違うところでもある。
よって、前線の収まり方に関しては攻撃の出来を決める生命線になる。川崎ファンはすでにアウェイの鳥栖で体感済みだと思うが、この点でマルセロ・ヒアンが離脱しているというのはかなり痛い。もちろん、富樫も相当収まってはいるが、ロングボールを受けたところからゴールまでもっていくような強引さはヒアンの方が上である。少ない人数でゴールに迎えればそれに越したことはないので、そのための手段を失ってしまったのはつらい。
サイド攻撃はワイドのCBが押しあがるくらいに時間を作れれば面白い。だが、河原の退団で中盤の組み立て水準はやや低下気味。中央からつなぐ意識を見せた湘南戦では田中聡にいいように封鎖されてしまい、カウンターの起点となることを許してしまった。
よって、現状では富樫にボールが収まるかどうかが前進の肝になることは間違いない。ただ、神戸戦を見ればわかるように富樫もJ1のあらゆるチームに対してボールを収められるわけではないので、そこ以外のルートで前進の手段をどこかしらに見出したいところではある。
現状で言えば攻守両面でチームは再構築中。監督交代に加えて夏の主力の大量退団を踏まえれば仕方ない部分もあるだろうが、順位表的な意味でリミットは迫っており、少しでも早くきっかけをつかむことが急務となる。
まずは流れに飲まれないことから
ACLを戦いながら残留を決めるというミッションがある川崎。残留争いに絡むチームとの対戦ではこれ以上勝ち点を落としたくないだろう。とはいえ、鳥栖はすでにアウェイで今季敗れている相手でもある。今は調子が悪いとはいえ、食われる可能性も大いにある状況だ。
最も警戒したいのはやはりアウェイ鳥栖での再現だろう。5-2という大敗を食らったあの試合では切り替えの早さや速攻の対応に後手を踏むことで、局所的なミスが失点に繋がり続けての5失点という流れだった。全体的な盤面を相手に握られて奪われたゴールはそこまで多くはない。
湘南戦で見せたように鳥栖も強度も振ったプランは残している。前から相手を捕まえにいって試合自体のテンポを上げてくるということに関しては直近で戦った甲府よりもはるかに上のチームだと思う。テンポを上げて晒されたバックスに富樫を中心とした攻撃陣が襲い掛かる展開が最も川崎にとって避けたいものだ。
よって、川崎からすればまずは鳥栖がハイテンポに出てきたケースに飲まれないことが重要になる。ボールを保持しつつ、危うくなったら前線に逃がしたい。ただ、飲まれないことを優先しすぎて雑に裏へのパスを蹴るだけになってしまうというのも昨今の川崎が劣勢に陥った時の悪い癖。札幌戦ではこの流れにハマり、有効打をろくに打てない時間が延々と続くことになってしまった。
プレスは交わすだけでは意味がない。相手が望まない形での背走を強いられる形が前提である。ノーモーションで蹴ってしまえば、あっさりと回収されてしまう。特にCBの背後にはカバー範囲が広いイルギュが控えている。
なので、できれば前の5枚と後ろの5枚を分断するところまでは持っていきたい。神戸戦と湘南戦で鳥栖の出方は違うが、少なくとも同サイドに誘導するようにスライドはしてくるはず。仮にスライドしてくるならばGKを経由して逆サイドまで展開することで鳥栖のマークを外したい。そして、家長と堺屋のマッチアップに中盤のヘルプがない状況を作りたい。
このフェーズまでいけばスムーズな攻撃の完結が求められる。中盤の選手のトランジッション能力を踏まえて、素早く仕留めたい。
オールコートマンツー気味に向かってきた時は最近やや目立っていない山田がキーマンだ。降りてくるアクションもいいが、鳥栖に効きそうなのはWBもしくはワイドのCBの背後を取る形でサイドに流れるアクション。湘南でルキアンが見せた動きに近いものである。
ゴールから角度がついてしまうという難点はあるが、馬力を生かしてマーカーを外すことができれば、直接シュートもしくはラストパスまでは持っていくことは十分に可能。山田が目立つような攻撃パターンでマンツーを攻略できる可能性はあるだろう。
こうしたファストブレイク寄りの解決策とは別にスローダウンした際の攻略法も欲しいところ。甲府戦では大外のSBからのクロス精度で物事を解決したが、できればもう少しバックスを動かすためのアプローチは欲しい。自陣に押し下げられた時の鳥栖は極端にボックス内の密度を増やす傾向になる。ターゲットを単に狙うだけでは跳ね返される可能性は高い。
それに関連して押し込んだ際にはバイタルを使ったフィニッシュのイメージを持っておきたい。ミドルはもちろんそうだし、ここから誰かに当てるイメージでもいいが、極端に重心が下がったブロックに対するアプローチは欲しいところである。
速い攻撃で鳥栖のプランを外すような形で得点を奪い、押し込んで主導権を握る形でさらに中押しができれば理想。二刀流の攻撃パターンでリベンジを果たしたい。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)