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「課題と対策の難儀な両立」~2020.11.22 プレミアリーグ 第9節 リーズ×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第9節
2020.11.22
リーズ(15位/3勝1分4敗/勝ち点10/得点14 失点17)
×
アーセナル(11位/4勝0分4敗/勝ち点12/得点9 失点10)
@エランド・ロード

戦績

近年の対戦成績

図1

直近10戦でリーズの1勝、アーセナルの7勝、引き分けが2つ。

リーズホームでの対戦成績

図2

直近10試合でリーズの2勝、アーセナルの5勝、引き分けが3つ。

Head-to-head from BBC sport

・アーセナルは直近7試合のリーズ戦で6勝。残りの1つは引き分け。
・アーセナルは直近4試合のリーズとのアウェイゲームは全勝

スカッド情報

【Leeds】

・カルビン・フィリップスは肩の負傷から復帰予定。
・ロドリゴもCovid-19から復帰。
・パブロ・エルナンデス、ジェイミー・シャックルトン、ディエゴ・ジョレンテは欠場予定。

Arsenal

・モハメド・エルネニー、セアド・コラシナツはCovid-19の陽性反応で欠場。
・トーマス・パーティは腿の負傷で欠場見込み。

Match facts from BBC sport

【Leeds】

・敗れればビエルサ政権で初めてのリーグ戦3連敗
17失点はリーグ最多タイの失点数。
・今季の得点のうち8得点はセットプレーからで、リーグでもっとも高いセットプレーの得点占有率アーセナルは今季未だセットプレーからの失点がない
・直近21試合のプレミアでのホームゲームでクリーンシートは1つだけ
・8試合終了時の14得点昇格組としては00-01のチャールトン以降、最も多い。
パトリック・バンフォードの7得点のうち、ホームでの得点は1つのみ。

Arsenal

・直近4試合のリーグ戦で3敗。それ以前の12試合と同じ負け数。
・その敗れた3敗はいずれも無得点。プレミアリーグにおいてオープンプレーからは6時間26分間得点がない
ヨークシャー地方でのプレミアリーグは直近11試合で9勝(L2)
ピエール=エメリク・オーバメヤンは直近4試合のプレミアリーグの出場でシュート4本のみ。
アレクサンドル・ラカゼットが決めたプレミアリーグでの40得点のうち、ロンドン以外で決めたものは7つだけ。

予想スタメン

画像3

展望

■マンマークだけじゃない強み

 話題性で言えば今季リーグトップのリーズ。直近の試合では苦しんでいる様子も垣間見えるが、スタイルという意味ではそこまでブレはないといえるだろう。

 リーズは攻守に特徴のはっきりしているチームだ。守備においてはマンマークが基調となる。ただし、CFとCBだけは余る下記のような配置になることが多い。

画像4

 アーセナルは5バック基調だが、ビルドアップ時は4バックに変形することが多い。したがって、リーズのこれまでの基準通りのマンマークが適用されることになるだろう。CBは1人余らせて、CFのバンフォードは根性という形である。

 リーズの特徴はマンマークのマッチアップ相手を逃した後の対応。近くの選手が自分のマークを捨てて追いかけていく。普通はここがつなぎ目になり、マークのズレが発生しやすくなる。ただ、リーズはこのマークの受け渡しが非常にスムーズ。したがって、対戦するチームはマーク相手を振り切るのに一苦労する。

 一般的にボール保持側にとって近くがふさがってるときは遠くに蹴る方が安全だし、同じスペースの広さならあわよくば決定機まで持っていける敵陣に深い位置の方が有利。なのでリーズがらみの試合は相手が長いボールを使いがちで、縦に速い展開になりやすいという特長がある。

 ボール奪取後もリーズは比較的速い攻撃を志向する。ボールホルダーを追い越すようにサポートする選手が多い。相手が帰陣しているときはサイドから崩すパターンが多い。大外に張る役割のWGとSBがレーンを棲み分けつつ、時にはオーバーロードのようにサイドで密集しながら打開を狙う。

 PA内に入る役割はCFのバンフォードとIH。ロドリゴがIHに入る時は特に警戒したいところである。仮に相手がサイドに注力しすぎて中央を開ければ、間を通して中央をかち割るスキルがあることもクリスタル・パレス戦で証明済みである。

■狙い目と近い課題

 アーセナルにとっては厄介な相手であることは一目瞭然だろう。まず、マンマーク主体ということでアーセナルの特徴である配置変化に軸足を置いたビルドアップの効果が薄い。配置変化をマンマークで消すというのは鉄板だ。

   そして相手のマンマークで余ることが多いのはCB。アーセナルのCBは持ち運びながら相手の引き付けて動かすようなスキルはまだあるとはいいがたい。余らされてしまうポジションも含めて、マンマークは非常にめんどくさい。対人で違いを見せているトーマスはこの試合では欠場の見込みだ。

 加えて、リーズの守備における狙い目もアーセナルにとってはフィットしているとはいいがたい。ここまで見てきたようにリーズは比較的オープンな展開を好むチームである。しかし、リーズサポーターである友人のジェイさんは「ボールをロストした直後はリーズが唯一オープンであることを許容できないタイミング」といっている。

 したがって、アーセナルからするとリーズのボールロスト後は狙い目ということになる。リーズの選手たちが自らのマーク相手にたどり着くまでの間に攻め切ってしまう展開は彼らが望むことではないということだ。

 しかし、アーセナルはこの部分が今季の課題になっている。ボール奪取後、前線に渡ってからカウンターのスピードアップをすることができず、相手の帰陣を許してしまうことで速い展開から攻め切れないことが非常に多い。攻撃に転じた時にリーズの弱みを突くということは自らの弱みを克服するということと非常に近い。

 そして、非保持の部分でも悩ましい部分が。ここまでのリーズは結果がいい場合も悪い場合も相手を自分たちのフィールドに引っぱってきて、自分たちのテンポで試合を行う機会が多いチーム。相手がその展開を望んでいるかという部分もあるが、どの試合も「リーズの試合」という刻印が押されているような筋書きになりやすい。

 そのリーズが今季最もテンポを狂わされたのがウォルバーハンプトン。ウルブスはリーズがボール保持を行うと、撤退型の5-4-1を強いてスペースを消し、相手にボールを持たれることを許容した。スペースを埋めて後方を余らせられてしまうやり方はリーズはあまり得意ではない。細かい場所の攻略が要求されることもあり、どうしてもテンポがあがりづらいという難点が浮き彫りになった。今季ここまでで「リーズの試合」という刻印が最も薄かったのがこの試合だったと思う。

 さて、今季のアーセナルもリーズと対戦した日のウォルバーハンプトンと同じように撤退型の5-4-1で臨むことが非常に多い。後ろに人数をかけた形でまずは跳ね返す。そして相手が前からくることを利用して後ろからつないで少ないチャンスをものにするのが勝ちパターンである。

 アストンビラ戦ではその後ろに人数をかけたブロックを先制点でなきものにされたというのが最も大きな問題点であった。あれだけ引いて崩されては立つ瀬がないというやつだ。

 そしてもう1つ先にあげた攻撃面での課題。前線のコンディション不良は自陣深い位置まで前線にリトリートを求められるという負荷の高い守備に起因している可能性もある。後ろに重いリトリートは今季の得意技だが、それがリーズの弱みを突く足かせともなりうる。

 アルテタはアストンビラ戦の敗戦を受けてなおすぐに大きな手を加えないことを示唆している。得点の匂いがしないアーセナルがこれまでの後方撤退第一主義のやり方がある程度ハマりそうなリーズ相手にどう立ち向かうかが見どころになりそうだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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