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「堅実さ獲得の道のり」~2024.11.30 J1 第37節 東京ヴェルディ×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第37節
2024.11.30
東京ヴェルディ(6位/14勝13分9敗/勝ち点55/得点47/失点46)
×
川崎フロンターレ(13位/11勝13分12敗/勝ち点46/得点58/失点52)
@味の素スタジアム

戦績

近年の対戦成績

直近10回の対戦で東京Vの1勝、川崎の5勝、引き分けが4つ。

東京Vホームでの戦績

直近6戦で東京Vの1勝、川崎の3勝、引き分けが2つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 1回目の対戦はスコアレスドロー。
    • 川崎は以降37試合でスコアレスドローなし。
  • 直近4回の公式戦の対戦では少なくともどちらかのチームがクリーンシートを達成している。
  • 東京Vホームでの開催は川崎が2連勝中。
  • 当該カードにおける最多得点者は3得点の寺田周平。

スカッド情報

東京ヴェルディ
  • 山本丈偉、白井亮丞は長期離脱リリース後、試合の出場はない。
川崎フロンターレ
  • 高井幸大は浦和戦の出場停止から復帰。
  • 脇坂泰斗は肉離れで離脱中。
  • 浦和戦で負傷交代をした大島僚太はACLでベンチ外。

予想スタメン

Match facts

東京ヴェルディ
  • 公式戦直近10試合で1敗のみ(W6,D3)
  • ただし、ホームゲームでは直近3試合で1勝のみ。
  • 6位は今季ここまでのリーグ戦の中でもっとも高い順位。
  • 総得点の内、75分以降に生まれたものが34.5%。
  • 城福監督は指揮を執った直近4試合の川崎戦で無敗。
  • 木村勇大は11得点で公式戦におけるスコアリーダー。だが、直近19試合の公式戦の出場でわずか1得点。
川崎フロンターレ
  • 公式戦直近4試合負けなし。
  • ブリーラム戦のクリーンシートによって、13試合ぶりの公式戦無失点。
    • アウェイ・蔚山戦以来。日本国内では9/4のルヴァンカップ甲府戦が最後。
  • ACLアウェイ直後の試合は現在連敗中。
  • アウェイでのリーグ戦は今季ここまで19ポイントでこれより少ないのは降格圏の3チームだけ。
    • しかし、関東のアウェイに限れば4勝1分1敗。
  • 三浦颯太は今季ここまでリーグ戦で1得点4アシストを決めているが、ゴールに絡んだ5つのプレーはすべて関東でのアウェイスタジアムで決めたもの。
  • 味の素スタジアムの勝利は24戦で16勝。等々力での通算勝率(60.6%)を上回り、20試合以上しているスタジアムの中では最も高い勝率66.7%。

予習

第34節 浦和戦

第35節 新潟戦

第36節 神戸戦

展望

堅実さをベースにできることを広げていく

 鬼木監督が川崎の指揮を取るのも残すところあと3試合。鬼木フロンターレの最後のアウェイゲームの舞台となるのは味の素スタジアム。城福監督の元、堅実なスタイルで躍進を続けている東京Vとの一戦だ。

 すでに東京Vは昇格初年度での1桁順位を確定済み。町田の話ばかり溢れかえっていた1年だったが、個人的には予想外度では東京Vの方が上。限られた人件費の中できっちりと土台を固め、ここまで勝ち点を稼いでいる。予習した直近3試合のスタメンは全く同じメンバー。それだけ、スターターを自信を持ってきっちり送り出せている状況なのだろう。

 基本的なフォーメーションは5-4-1。シーズン序盤はローブロックを組んでは後半追加タイムに逃げ切りを失敗するというイメージがあったが、ここ数試合を見る限り、押し込まれるフェーズを迎えることに対しての抵抗力が十分についているように思える。

 例えば、ここ3試合の相手は全て4-4-2基調の守備をしてくるチーム(川崎も同じだ)だが、いずれも3バックのワイドから相手の1stプレスラインを通過し、サイドに散らしながら守備ブロックを動かすトライをすることができている。押し込んだ際の保持の武器は正直そこまで多くはない。体を張って相手とデュエルする木村、そして後から出てくる山見など強烈な個によって相手を貫くのが仕上げになっている。

 仕上げのところがうまくいかなくても、そもそも押し込む時間を作るということで自分たちの守備の時間を減らすことができているという点では意義は十分にある。その上で浦和戦、神戸戦では押し込むフェーズから最後にこじ開けるという成功体験も手にしている。ボールを渡されて相手に守られるという展開からでも勝ち点を得るなど、東京Vは着実にできることの幅を広げている。

 相手がボールを持っているフェーズにおいてもローブロックに構えるのではなく、まずはミドルブロックからプレスの圧力を高めていく形を模索。シャドーが相手のバックスにプレスをかけると、中盤がそこに呼応し、前からプレッシャーをかけていく形に移行する。

 若干ライン感が開く場面もあるが、そこは後方のCBの押し上げでカバー。降りる選手に対してきっちりついていくことでライン間のスペースを埋めにいく。

 もちろん、押し込まれても十分に相手の攻撃に抵抗はできる。バックスは高さがあるので高さがないFW陣が相手であればハイクロスは無効化が可能。城福監督のチームらしい、押し込まれたところからの抵抗は健在である。

 ローブロックの強度を保ちつつ、ミドルサードでのプレスへのトライとボール保持の時間を増やすことで攻守ともに堅実に時間を進めていく。それが今の東京Vの強みということになるだろう。

プレスに対する解決策は引き続きトライする

 率直に東京Vは手堅く試合を進めることができるいいチームなので、なかなかこじ開けるのは難しい。さすがにかかっているお金の分強度とか布陣は違うけども、大事にしていることのテイストとしては神戸に近いかなという感じである。

 最近の川崎は3バック気味にボールを動かすことも多いが、新潟戦の東京Vを見る限り、保持型のチームが3バックに変化した際は高い位置から3トップがかみ合わせることでハイプレスに出ていってボールを奪いにいくというパターンを持っている。

 ということでこのハイプレスに関しては解決策を持っておく必要がある。具体的にはCHのサイドフローがいいだろう。WGが両サイドに張ることで対面のWBをピン留めし、シャドーとWBの間の広がったスペースに川崎のCHが登場するというパターンである。

 サイドに流れることで図で言うと齋藤がついてくるかの選択を迫ることができる。ついてくるならば、小林や橘田の位置の選手が齋藤がいなくなったスペースに入り込むことでパスを受けにいくことで連鎖的に進んでいくイメージ。ついてこなければ河原からライン間か裏を狙っていく。

 上に示したのは噛み合うプレスを利用したパターン。後方からズラすことを狙うのであれば、CBとCHを初期配置からあまり動かさずにショートパスを繋ぐ2-2型もあり得る。その場合はCFの木村がワンサイドにボールを閉じ込めるようにCBに横からプレッシャーをかけていく形が多い。この誘導により、後方のプレスの的を絞らせて縦パスをカットしてカウンターへの移行を狙ってくるだろう。

 この形を避けるためにはGKを経由して木村の誘導を外すことはあげられる。どちらにしてもロングボールににげず、ショートパスから相手を外すトライはして欲しいところ。この試合に勝つためにというか、そういう川崎にするためにボールを動かすことからにげてほしくないと言うのは降格の現実的な可能性が無くなってからずっと願っていること。今のところ、試合ごとにできたりできなかったりが後者が多めの割合で出てきているイメージだ。

 ブリーラムと同じくライン間が空きやすいチームではあるが、東京Vの方がブリーラムに比べるとCBのチェックのスピードが速いので、ACLのノリでとりあえずライン間の選手に預けてそこからどうするか考えるみたいなスタンスだと潰されてしまうはず。ライン間に縦パスを刺す際はレシーバーがポストで落とすなど、少ないタッチでの解決策を持っているときに限りたい。

 非保持に関してはまずは2トップの脇から進もうとする相手のCBへの対応を整理したい。SHが前に出ていくのであれば、SBやCBはスライドして連動したプレッシャーをかけること。SHのプレスをかけにいくタイミングは重要になるし、超えられた時の2トップの守備が平行方向をケアしたい。マイナスのパスを誘発することでプレスをかけることができれば理想。それができればプレスのスイッチを入れることができる。

 前線の木村にボールを収められてしまうと、簡単に前進を許すことになってしまうため、ここのデュエルの成否は重要。ジェジエウが出てくれば楽かもしれないが、他の選手であれば多少手を焼くことになるかもしれない。

 押し込んでくる際にはそこまで分岐を作りながら攻めてくるわけではないので、それぞれが対面の相手を潰すことに専念すればそこまで対応は難しいタイプのチームではない。ただし、押し込み続けることに関しての成功体験を持っているので、終盤にリードをしていたとしても早々に自陣を固める守備に入り込むのは少しリスキーかなと思う。最終盤はもちろん籠ることになると思うが、保持や前からのプレスでそうならないための時間稼ぎの手段は持っておきたいところだ。

 強くなるのに近道はないとよくレビューで言っている気がするが、東京Vは近道をせずに踏ん張りながら少しずつやることを広げてきたという点でとても手本になるチームだと思う。川崎も次期監督絡みでスタイルが云々みたいな話はよく出るけども、結局のところどんなスタイルにしてもやってはいけない類のミスを重ねているから今の順位に甘んじているのかなと思っている。堅実なチームに堅実な内容で組み合い、できることのスタンダードを引き上げる作業を期待したいところだ。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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