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「勝手にプレミア定点観測」〜10月編 part1〜

 キャスの相方であるがちゃ氏が「J1全部見るマン」をやっていて楽しそうにしている感じ+選手についてどんどん詳しくなっていく感じを受けたので、それに触発されてプレミアリーグできるだけたくさん見るマンをやってみようと思った次第。

  確かにアーセナルのレビューばかりやっていると、ほかのチームのことなどわからないのでそろそろ勉強したい感はあった。ただ見るだけだとどうしても流してしまうので発信してみることにする。

    代表ウィークまでの4節までの短評と気になった選手(いい意味でも悪い意味でも)についてつらつら書いている。なんやねん!と思う記述があったら優しく突っ込んでいただきたい。では早速行ってみよう。

目次

【1位】エバートン

4勝/勝ち点12/得点12 失点5

■新戦力と既存戦力の融合で得意分野を確立

 「今年のエバートンは強そう」という声が聞こえてくるとプレミアの開幕の訪れを感じる。そして寒くなるころには開幕前にそう言ったことなんてみんなが忘れている。プレミアのあるあるである。しかし、今年は「あれ?本当に行くかも?」という雰囲気にはなっている。

 おなじみとなった大補強だが、新戦力は軒並み好感触。チームのへそとなったアラン、オフザボールの動きと潰し役を兼務するドゥクレ、そしてファイナルサードで特大の存在感を放つハメスの3人は即時レギュラーとして暴れまわっている。クロスの入り方に特筆すべき部分があるカルバート=ルーウィンや、オーバーラップのタイミングが絶妙な両SBと新戦力と既存戦力の攻撃時の歯車のかみ合わせが序盤戦の快進撃のポイントである。

 懸念点は非保持の局面はまだ未知数であること。相手のペースになった時にはややもろさは感じる。特にCBとGKの3枚は不安要素。ここは最終日にノリッジから獲得したゴトフレイに期待したいところである。

 もう1つは負傷者。特にカルバート=ルーウィンとリシャルリソンはそれぞれフィニッシャー、推進力のあるアタッカーとして代替が難しい存在。ブライトン戦で負傷したリシャルリソンの容態は気になるところだ。

今月気になった人:ドミニク・キャルバート=ルーウィン
 クロスの入り方がバツグン!新戦力との相性も完璧だった。点が取りたくてシャカリキにガンガンシュートを打つリシャルリソンを横目に淡々と得点を重ねている様がよかった。

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【2位】アストンビラ

3勝/勝ち点9/得点11 失点2

■エースの躍動&王者相手の完勝で序盤戦の主役に

 1位が意外なチームならば2位も意外。消化が1試合少ない4節を終えてのこの順位というのはビラサポーターさえ予想していなかったのではないだろうか。エースのグリーリッシュの残留に、正守護神としてマルティネスを迎えた今季は確かに健闘の予感はあった。

 他の中堅チームに比べれば、突っ込みどころは少ないし目立ったアラがない。それだけにリバプール相手の第4節は楽しみだった。しかし、蓋を開けてみれば期待されたアップセットどころか序盤戦の話題をすべてかっさらう勢いでリバプールを滅多打ちにするものだから恐れ入った。

 ディフレクションがいいところに転がる運もあったが、7点取ってなお決定機を逃したシーンが数回思い付くのだから、運がよかったとだけで片付けてしまうのは失礼だろう。グリーリッシュ、ワトキンスを軸とした攻撃陣は魅力たっぷりのパスワークでリバプールを翻弄。まさに完勝だった。

 この勝利で序盤戦の主役に躍り出たのは間違いない。ギリギリで残留を勝ち取った昨季から台風の目に飛躍を遂げられるだろうか。

今月気になった人:ジャック・グリーリッシュ
 以前は自由奔放なジョーカーというイメージが強かったが、キャプテンでありエースとしての風格が出てきたように感じる。もはや、ジョーカーではなく、アストンビラを彼のチームにしたといっていいだろう。

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【3位】レスター

3勝1敗/勝ち点9/得点12 失点7

■苦しみの輪廻を味わうも完成度はピカイチ

 圧巻だったのは第3節。相手を完全に手玉に取ったシティ戦だ。この試合ではローラインの5-4-1というロジャーズ体制では珍しい戦い方を披露。ハーフスペース攻略を苦心するシティをベタ引きで封じるとロングカウンターからヴァーディのPK祭り。
 
 見逃してはいけないのが中盤とのデュエルで完勝だったことだろう。ボールを運べるドリブルができる選手が多く、シティの守備陣をカウンターだけでなくボール保持でも圧倒した。ンディディが離脱してなお攻守に高いクオリティを見せたことは特筆に値する。ボールを持ってよし、迎え撃って良しという戦いで多局面で完成度の高さを見せつけた。

 しかし、ウェストハム戦では0-3の完敗でブレーキ。先手を取られるとウェストハムが築いた5-4-1ブロックを前にシュートまでたどり着くことが出来ず、カウンターで殴り返されてしまった。前節のシティの苦しみを自らが味わった結果だ。

 ただ、ブロックを固めた相手を崩せないというのはそれなりに形になっているチームの悩みともとれる。プレミアを見渡しても現段階での成熟度はトップクラス。昨季は畳みかける過密日程に対して選手層が悲鳴を上げて失速してしまったが、昨季の躍進がフロックでないことを証明しているだろう。

今月気になった人:ナンパリス・メンディ
 ロジャーズ就任当初はアンカーを務めたンディディを見て「こんなにうまかったっけ?」と思った記憶があるのだが、今季の「こんなにうまかったっけ?」枠はこの人。アンカーとしての配球はもちろん、自らもターンで入れ替わりボールを前に運ぶことが出来る。シティ戦のフェルナンジーニョをあしらったターンは必見。

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【4位】アーセナル

3勝1敗/勝ち点9/得点8 失点5

■安定感と爆発力で揺れる熟成期間

 アルテタ・スタイルは構築の真っ最中。相手を見ながらメンバーやアプローチを変えつつあるチームはまだ熟成期間だ。開幕戦のフルハム相手にはさすがに格の違いを見せつけたが、2節以降は苦戦する試合が多かった。アンフィールドではさすがに及ばなかったものの、ホーム2試合は終盤の決勝点をキープしての逃げ切り勝ち。昨季終盤からのいい流れをなんとかつなぎとめたといっていいだろう。

 後ろに人数をかけてバランスをとっていることもあり、守備の重心は高い時と低い時をくっきり使い分ける印象がある。他のチームと比べて後ろに人数をかけた時にはそれなりの強度があり、これが波が少ない成績につながっているといえそうだ。

 反対にビハインドに陥った時に何が何でも得点を取るような爆発力は鳴りを潜めている。綺麗な崩しをベースに少ない決定機を前線の得点力で仕留めることで、勝ち点を稼いでいるチームだ。後ろの強度を維持しながら、チャンス創出機会を高めることが今度の課題。中盤に推進力とフレアをもたらすことが出来るトーマス・パーティへの期待は大きい。

今月気になった人: ガブリエル・マガリャンイス
 やたら歯が白い!髪型が細川たかしっぽい!などちょいちょいいじりどころはあるが、対人にフィードにポテンシャルは抜群。いい意味で「気にならない」ほどフィットしておりアーセナルの最終ラインの主軸を担う準備ができていることを証明した。

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【5位】リバプール

3勝1敗/勝ち点9/得点11 失点11

■懸念が噴出した大敗

 コロナ中断前にアトレティコに敗れてCLは終了。実質無風状態だったリーグ戦で無事にゴールテープを切ることが唯一の仕事だったことを考えると、変則日程に対するコンディションは十分整える余地があったように思える。

 実際成績は上々だった。開幕戦のリーズ戦こそ撃ち合いに応じてド派手に魅せる「プロレスラー魂」を発動させてファンに冷や汗をかかせたものの、ロンドン勢との連戦には危なげなく連勝。相手が10人になったとはいえ、チェルシーには攻め筋を与えなかったし、アーセナルに対してもボールを自陣まで運ばせる機会は最小限に封じ込めた。コミュニティシールドのお返しはきっちりしたといっていいだろう。

 ただし、全てが順風満帆ならば紹介するのが5番目になるはずはない。ヴィラ・パークでの大敗は巡り合わせの一言で済ませるわけにはいかない。昨季中断明けから散見された守備陣のパフォーマンスの怪しさが一気に噴出した形だ。事実、リーズ戦やアーセナル戦の1失点目など勝った試合においても不安要素はあった。カバーする範囲が広くなってしまったのか、それとも広大なスペースを守り続けていた守備陣に疲弊の色があるのか。アレクサンダー=アーノルドやロバートソンだけでなく鉄壁のファン・ダイクにも疲れが見えているのは見逃せない懸念だ。

今月気になった人: モハメド・サラー
 大敗したヴィラ戦でも一人気を吐き2得点。マネとアリソンの不在に大量ビハインドという流れに乗れない展開の中、涼しい顔で豪快に得点を重ねる姿にエースの矜持を感じた。

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【6位】トッテナム

2勝1分1敗/勝ち点7/得点12 失点5

■超過密日程も型にハマればこっちのモノ

 余裕をもって序盤を迎えたのがリバプールならば、日程的に地獄を見たのがトッテナム。宿敵・アーセナルのFA杯優勝により、ELは予選2回戦からの登場に。例年より後ろ倒しになったEL予選に巻き込まれたことにより、週3試合という超過密スケジュールに臨む羽目になってしまった。元々選手層に厚みがあるチームではないだけに、過密日程によるダメージは無視できないところである。

 結果だけ見れば及第点を与えられるだろう。エバートンには敗れたものの、以降の3節は無敗である。攻めを放棄した代わりにスペースを与えてくれなかった亀の子状態のニューカッスルには手を焼いたものの、裏を取り放題だったサウサンプトンと中盤より前に守る意思が感じられなかったユナイテッド相手には得意なスタイルで大量の得点を重ねる。

 ケインやソンなど昨季調子が上がり切らなかったアタッカーに結果が出ているのは朗報。加えて、新戦力のホイビュアはすでに中盤に落ち着きをもたらす存在になっている。懸念なのは受けに回った時の方だ。SBのドハーティはまだ手探り状態、オーリエやデイビスなども彼をしのぐ安定感を出せているかは微妙なところ。シュクリニアルを取り逃がしたCBは質で優位を出し続けられるわけではないだけに最終ラインに不安はある。大勝したユナイテッド戦ですら、心をへし折るまでは危ないシーンに対してうまく対応し続けていたとはいいがたい。モウリーニョの志向するスタイルを考えれば、チームの完成度はまだ発展途上の領域といえそうだ。

今月気になった人:ソン・フンミン
 心身ともにムラがあるのは否めないが、今季はいいスタートを切ることが出来た。展開にさえはまれば独壇場で、サウサンプトンやユナイテッドなどスペースをくれる相手には容赦なしだった。

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【7位】チェルシー

2勝1分1敗/勝ち点7/得点10 失点6

■最も余白が多い船出

 まだ海のものとも山のものともつかないというのがここまでのチェルシーの感想。2節のリバプール戦での敗戦は退場者が出たこともあるし、そもそもチームとしての完成度が全く違うチーム同士の対戦。割り切れるものだ。TLではクリステンセンの退場まではよくやったと好意的な印象を持っている人が多かったが、自分はまだ未知数である部分が多いのかなとも思った。

 3節のウェストブロム戦は結果だけ見れば見事なリバウンドメンタリティといえなくはないが、バックスはスピード不足とビルドアップの危うさを見せたし、攻撃は超ファイヤーフォーメーションによる力技に頼った試合であり、実質継続は不可能なやり方で得点を重ねた試合だった。一方で4節のクリスタルパレス戦の快勝は見事。新加入のチルウェルのオーバーラップが攻撃に厚みを持たせていた。ただし、オーバーラップが多いSBの裏をスピードに長けているとはいえない中盤とCBが支えられるかどうかはなんとも言えないところだ。

 新戦力の多い前線の最適な組み合わせの模索、今季も付きまといそうな正守護神問題など不確定な部分はとても大きい。まずはチームを軌道に乗せることに注力すべき序盤戦といえるだろう。

今月気になった人:カイ・ハフェルツ
 即フィットでチームを牽引している大当たりの補強!というわけではないのだが、時折見せるテクニックは魅力的だしこの選手がハマったらチェルシーはどうなるだろう?と思わせてくれるので。

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【8位】リーズ

2勝1分1敗/勝ち点7/得点9 失点8

■スタイルと結果を両立させた好スタート

 奇人・ビエルサに率いられて久しぶりにプレミアの舞台に返り咲いたリーズ。昇格組は序盤戦に注目を集めるのが宿命ともいえるが、3チームのうち断トツで目立っているのがこのリーズだろう。相手がリバプールだろうとシティだろうと一歩も引かないその姿勢は多くの中立のプレミアファンの心を引き付けた。評価される理由は姿勢だけでなく結果も伴っているからだ。リバプール相手には3得点を挙げ、シティ相手には勝ち点1。そのほかの2試合も勝っているのだから文句なしの好スタートだ。

 リバプール戦ではチーム全体で豊富な崩しの手段からの得点を見せたし、リーズサポの友人・ジェイさんが「今季5ゴール」と予想していたバンフォードはすでに3得点。リバプール戦ではチーム全体で豊富な崩しの手段からの得点を見せたし、バレンシアから買いたたいた新戦力のロドリゴにも得点がすでに生まれている。

 問題は守備の方。フルハム戦のようにリードをしている試合でも落ち着かせられないのは課題だ。相手を自分たちのペースに巻き込むのはうまいが、自分たちのペースを調節するのは得意ではない。

 プレースタイルと日程の相性も懸念点。固定メンバー×消耗が激しいスタイルはマラソンと評されるリーグ戦との相性はイマイチのようにも感じる。代替が難しいバンフォードやフィリップスが調子を落とすとトーンダウンが懸念される。とはいえ1戦単位で考えた時にリーズとやりたいチームはそう多くないはず。上位食いとして1年間コンスタントにインパクトを残せるか期待したいところだ。

今月気になった人:ロドリゴ
 ジェイさん曰く、リーズ唯一の課金要素。大一番のシティ戦で課金した甲斐をかみしめることが出来てよかった。トップで試したりするのかな?ちょっとタイプが違うか。

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【9位】ニューカッスル

2勝1分1敗/勝ち点7/得点6 失点5

■割り切り4-4-2番長

 待ち人である大富豪による買収こそかなわなかったものの、積極的な補強でヘンドリック、ジャマール・ルイス、カラム・ウィルソンなどの実力者を引き入れたニューカッスル。ブライトンには崩され続けて手も足も出なかったが、トッテナム相手には攻撃をすべて捨てての徹底した撤退型の5バック化。崩しあぐねるトッテナムとのこの一戦がきっかけで「プレミアリーグに夢中になりました」という人がいたら、ぜひインタビューをしてみたくなるくらいには退屈な試合だったが、最後はハンドという事故を引き起こして同点までは持って行った。

 バーンリー戦では同じ4-4-2同士の対決となったが、球際と崩しの手段の豊富さではニューカッスルの方が1枚も2枚も上手だと感じさせる試合であった。今季4-4-2を採用しているチームの中ではSHのクオリティが高い部類であり、ウィルソンの加入でフィニッシャーの質も向上。4-4-2番長といえる存在かもしれない。

 一方で新加入選手が多いもののチームとしての伸びしろを感じないのも事実だ。持っている手段は4-4-2とベタ引き5-4-1くらい。そして監督のキャラクターを考えるとここからの上積みもおそらく期待は薄い。なにか新しいことを始めるというよりはここからも4-4-2と5-4-1を使い分けながら地道に勝ち点を拾っていく戦いになりそうだ。

今月気になった人:アンディ・キャロル
 全然出場していないのだが、トッテナム戦に途中から出てきてクロスを彼に放り込みまくった挙句、ハンドを獲得したのはなんかすごかった。ほぼメモることがない試合だったのでメンバー表に大きく「アンディ・キャロル!」とだけ書いて試合を見るのを終わりにした記憶。

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【10位】ウェストハム

2勝2敗/勝ち点6/得点8 失点4

■課題を実現して上昇気流に

 連敗スタートの開幕2戦だったが、3節のウルブス戦で大爆発。続くレスターも完全に撃破して上昇気流にのったままインターナショナルブレイクに突入した。全然笑い事ではないのだが、コロナにかかってしまったモイーズがベンチからいなくなった途端に連勝というのはなんか切ない。

 第2節のアーセナル戦のレビューで「後ろに重いがそこまで強固に感じないブロック。少ない人数で攻撃を完結できるかが課題」と書いたが、ウェストハム戦とレスター戦はその課題をクリアしたからこその完勝。特にレスター戦は「どんなボールでも跳ね返してやる!」という意気込みが伝わってくる5バックと、推進力のあるアタッカー陣が少ない人数での攻撃完結を実現。アントニオ、ボーウェン、フォルナルスは共に好調で理想的な試合運びを見せることができた。

 中断明け初戦の相手はトッテナム。まずは同じロンドンのライバルにこのメソッドの完成度をぶつけたいところだ。

今月気になった人:マイケル・アントニオ
 パワーとスピードを兼備しており、ディフェンダーにとって「プレミアの門番」的な役割だなと思っていたのだが、レスター戦では経験豊富なソユンクを圧倒。今季は好調をキープ。

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 いかがだっただろうか。後編はまた今度。

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