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「Catch up Premier League」~レスター編~ 2024-25 season

レスター、24-25シーズンの歩み。

目次

第1節 トッテナム戦(H)

帰還を果たしたヴァーディの一撃で昇格組唯一の勝ち点確保

 首位でチャンピオンシップを制し、プレミアへの1年復帰を果たすというミッションをコンプリートしたレスター。ポステコグルー政権2年目を迎えるトッテナムをホームに迎えて残留という新たなミッションに挑むシーズンが始まる。

 ボールを持つのはトッテナム。2-3-5の形からポゼッションし、4-4-2で構えるレスターを押し込んでいく。3センターは2CHに加えて左のIHにウドジェが入るのが基本線ではあるが、マディソンにスイッチすることも。この辺りは流動性を持たせる形になっていた。

 この左のIHがレスターの2トップの脇に立つことでトッテナムは攻撃の入り口を作れていた感があった。そういう意味ではむしろ、ここに入るのはウドジェよりもマディソンの方がしっくりくる。ここから同サイドを崩し切る、もしくは逆サイドに大きく展開することで攻撃のスイッチを入れていく。

 ミドルゾーンからアタッキングサードに侵入するフェーズはとても良く整っていたトッテナムだが、仕上げの部分が心許ない。左の抜け出しではソンの精度がイマイチ。外すアクションはできているのだが、左足での折り返しが単調だったり、ダイレクトプレーのパスが繋がらなかったりなど、物足りなさが先行する。

 マディソンのサイドチェンジを引き取った右サイドもクルゼフスキがいないこともあり、そこからボックス内に有効なクロスを入れることができなかった。そうした中で得たシュートのチャンスもことごとくハーマンセンの正面。チャンスを生かせない。

 レスターは自陣深くまで下げられてしまうので前進はとても苦しい。右に流れたブオナノッテが根性で時間を作りにいくが、とてもゴールに近づけるまで持っていけるシーンはなし。陣地回復すら困難という感じであった。

 しかしながら、トッテナムが攻めながらもリズムを崩す時間帯に突入したため、ここからどう転ぶかが非常に大事な25分過ぎ。スコアを動かしたのはトッテナム。お馴染みの2トップ脇を起点としたマディソンからボックスにクロス。ソランケで固定されたバックラインに遅れて突撃するという巧みさを見せたポロがトッテナムに今季初のゴールをもたらす。

 レスターはプレスを強め、少しずつ高い位置からボールを奪えるように。しかしながら、奪った後のプレーの精度がついてこず。シュートはリードのロングシュート1つのみで前半を終えることとなった。

 後半もボールを持つのはトッテナム。右サイドにマディソンが顔を出すなど、味を変えながら敵陣に迫っていく。押し込むことはできていた立ち上がりのトッテナムだがボックス内での急ぎすぎな選択が目立ち、レスターのシュートブロックにかかる場面もあった。

 レスターも前プレスから少しずつ店舗を掴めるように。すると、早々に成功体験をゲット。一本道での苦しいカウンターになることが多かったが、左サイドにエンディディとクリスチャンセンが粘りを見せてクロスを入れると、最後は逆サイドからのクロスにフリーのヴァーディがゴール。試合を振り出しに戻す。

 このゴールを機に前に出ていくレスター。エンディディが前プレに連動して圧力を高めると、トッテナムがこれに屈して自陣でのパスミスが増えるように。レスターはここから一気にチャンスを増やしゴールに迫っていくように。トッテナムはひっくり返せば敵陣に一気に侵入できるが、トッテナム一色という前半のムードとは明らかに違う展開になった。

 ベンタンクールの負傷、そして両チーム合わせて6枚の交代で試合は80分を前にリセット。ベリヴァルが左右に流れながらボールに触り、トッテナムにリズムをもたらしたかのように見えたが、下手なロストからの大ピンチでヴィカーリオのお説教を招くと、レスターもチャンスを作れるように。

 前半と異なり、終盤のもつれた展開でスコアを引き戻したレスターが引き分けをもぎ取ることに成功。昇格組の中で唯一開幕戦で勝ち点を取ることとなった。

ひとこと

 前半に複数リードを取れなかったトッテナム。時間が立つにつれて落ち着いて対応するレスターのバックスが印象的だった。

試合結果

2024.8.19
プレミアリーグ 第1節
レスター 1-1 トッテナム
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:57′ ヴァーディ
TOT:29‘ ポロ
主審:クリス・カバナフ

第2節 フラム戦(A)

赤いロンドンからの贈り物が今季初勝利をもたらす

 パリーニャの売却資金を堅実なセンターラインの補強に回し、移籍市場ではかなり存在感を見せているフラム。ベルゲ、アンデルセンなどこの試合には間に合わなかったが、新しいユニット構築が楽しみになるマーケットを過ごしている。

 ゆったりとボールを持ちたいフラムに対して、レスターは前からのチェイシングでスタート。しかしながら、GKとCBで後方の幅を取るビルドアップを行っていたフラムは冷静にこれを回避。レスターのプレス隊に高い位置からボールを奪うことを諦めさせて、サイドから押し込んでいく。

 どちらかといえば、左サイドに偏りを見せた攻撃だったといえるだろう。アンカーのルキッチが後方で支援し、ロビンソン、スミス・ロウ、イウォビの3枚がトライアングルから抜け出してのクロスを狙っていく。

 押し込まれることとなったレスターはやはり今日もブオナノッテが頼みの綱。中央で相手を背負いながらボールを受けて反転しながらゴールに迫っていく。

 だが、対照的にSHのプレーの粗さは目に付いた。雑なプレー選択からあっさりとボールを失うことでブオナノッテの努力を水の泡にしている感があった。

 自陣からのポゼッションも3-2-5に変形し、フラムに対して悪いかみ合わせを誘発する。しかし、ボールを手早く動かすことができず、同サイドに圧縮したフラムにあっさりと押しつぶされてしまうこととなる。

 先制点は試合の流れに沿って生まれる。ムニスのボールキープからトラオレがピッチの横断に成功すると、左サイドから攻撃を完結させたのはスミス・ロウ。近年の不振からようやく一歩を踏み出すことができたゴールでホームの観客へのあいさつに成功する。

 その後もフラムのポゼッションの術中にハマるなど苦しいレスターであったが、ファタウの陣地回復からもぎ取ったセットプレーをファエスがヘディングで叩き込む。これで何とか前半の内に試合を振り出しに戻すことに成功した。

 しかしながら、迎えた後半も苦しいレスターの景色は変わらない。反撃に意気込むフラムはWGがガンガンスイッチを入れる高い位置からのプレスでレスターを追い込み、自陣からの脱出を許さない。前半に先制点の起点となったトラオレはハイプレスからもひっかけて決定機を生みだすなどとても生き生きしていた。

 ボールをつなげないレスターはプレスでスイッチを入れたいが、出て行ったところをひっくり返されて失点。ロビンソン→イウォビの左サイドのコンビであっさりとレスターのゴールを陥れる。

 以降もレスターのプレスは空転。終盤の選手交代でようやく推進力が生まれ、セットプレーからチャンスを作るが、これも仕留めることができず。終始優勢に試合を進めたフラムが順調に勝ち点を重ねた。

ひとこと

 元アーセナルの選手が活躍して勝つのを見るのはとても気分がいいね。

試合結果

2024.8.24
プレミアリーグ 第2節
フラム 2-1 レスター
クレイヴン・コテージ
【得点者】
FUL:18’ スミス・ロウ, 70‘ イウォビ
LEI:38’ ファエス
主審:ダレン・ボンド

第3節 アストンビラ戦(H)

狙い通りのセットプレーで逃げ切り成功

 レスターは好調だったトップ下のブオナノッテを外すMFの構成で挑む。おそらくは守備を意識したものだと考えられるが、それでも早々にCBの間をワトキンスに打ち破られるなど幸先のいいスタートとは言えなかった。

 一方のビラも中央封鎖には後手に回るように。オナナが警告を受けるなどこちらも順調とは言えないスタートだった。ともに保持には3-2-5に変形するチームが4-4-2を相手にとって動かすという流れは基本的には保持側が優勢だった。

 そうした中で試合を動かしたのはセットプレー。FKからのデザインされたニアへの走り込みから最後はオナナがゴールを決める。明らかにビラはニアに走り込む準備はしており、ウィンクスは再三対応を確認していたのだが、トーレスにスクリーンを決められてしまい、あっさりと走り込みを許してしまったのが切ない。ハーマンセンにバチくそ怒られていた。

 相手を保持から動かすという手段に関してはビラの方が基本的には上だったように思える。レスターは外から押し下げるための手段が欠如していたし、失点後にハイプレスに出ていくレスターへの対応も落ち着いていた。先制点の場面に引き続き、ライン間のラムジーは引き続き猛威を振るっていた。

 後半は主導権を握ったのはレスター。ボールを持って押し込むところから試合を支配していく。前半は刺さらなかったハイプレスも後半の頭はかなり刺さるように。覚悟を持ったプレスに対して、ビラはかなりバタバタする入りとなった。

 流れが変わったのはバークリーの投入だろう。いそうでいない司令塔タイプのCHを投入することで幅広く動かしながらレスターのプレスを回避することに成功。左サイドからの仕掛けでデュランがゴールを決めてリードを広げる。開幕戦のゴールにそっくりの形からまたしてもデュランが決めて見せた。

 苦しんでいたレスターはこちらも交代で入ったブオナノッテが豪快なシュートを突き刺す。これで1点差まで強めることに成功した。

 しかしながら、反撃もここまで。交代選手が攻撃を活性化した後半だったが、前半のセットプレーでのリードを守り切ったアストンビラが勝利を挙げた。

ひとこと

 セットプレー対応、わかっていてもやられてしまうのはなかなかに切ない。

試合結果

2024.8.31
プレミアリーグ 第3節
レスター 1-2 アストンビラ
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:73′ ブオナノッテ
AVL:28′ オナナ, 63′ デュラン
主審:デビッド・クート

第4節 クリスタル・パレス戦(A)

交代策が実って薄氷のドロー

 今季ここまで勝ちがない両チーム。特にホームのパレスは期待が大きいシーズンだっただけに早く初勝利を手にしたいところである。

 ボールを持つのはレスター。パレスはマテタが中盤をケアするなど、バックスには無理にプレスにいかないスタートとなった。レスターは左サイドのコンビネーションからサイドの奥を取りに行く。奪われるとすぐにハイプレスでボールを奪い返しにいくなど、立ち上がりはかなり積極的な姿勢が見えた。

 序盤の流れが落ち着くとレスターも4-2-3-1のブロックを組み、ヴァーディを前残しすることでパレスとレスターはそれぞれ交互に保持から解決策を探る流れに。パレスの保持で少し気になったのはウォートン。中央で浮く機会が瞬間的に訪れるのだが、なかなかその機会に効果的な配球を見せることができない。周りとの連携の話もあるので、彼だけの責任ではないかもしれないけども。

 流れの中から迎えた決定機は両チームに訪れたが、これを決めるか決めないかで明暗はくっきり。左サイドを壊したパレスは逆サイドに余ったムニョスが決定機を迎えるが、ファエスが体を張ってのセーブ。ゴールを許さない。

 すると直後に中盤でのボール奪取からエンディディのラストパスを受けたヴァーディが裏抜けから先制。職人芸と言える一撃で試合を動かす。

 先制点以降はパレスの方がややボールを持つ機会が多くなる。大外のWBを生かしつつニアの裏抜け、そして逆の大外など広く使いながらチャンスを狙っていくが、ネットを揺らせないままハーフタイムを迎える。

 後半は立ち上がりにスコアが動く展開。先にゴールを奪ったのはマヴィディディ。クリアし損ねたところを仕留めて中押しのゴールを決める。

 だが、すぐにパレスもやり返し。左サイドから精度抜群のクロスを入れたミッチェルに応えたマテタがネットを揺らして後半早々の失点を帳消しにする。

 1ゴールずつを分け合った両チームは再びフラットな展開に。ボールを持ちながら解決策を探るのが多かったのはパレスなので前半の終盤の流れに戻ったといってもいいだろう。後半頭に入ったヒューズは左右に散らす展開力で存在感を発揮。レスターを押し下げることに貢献する。

 押し切りたいパレスは鎌田の投入から4-4-2にシフト。一方のレスターはコーディを組み込んでの5バックで逃げ切り態勢を構築する。

 方向性は打ち出された展開で成果を得たのはパレス。鎌田のスルーパスを収めたエンケティアの落としにサールが入り込んでPKを獲得。PKを与えてしまったのがコーディというのはなかなかに切ないところである。

 土壇場のPKで追いついたパレス。レスターはすんでのところで今季初勝利を逃してしまうこととなった。

ひとこと

 パレス、勝ち点を取れたことは良かったけども、昨季の良かった時期のフォームに全く戻ってこれない感じが気になるところ。

試合結果

2024.9.15
プレミアリーグ 第4節
クリスタル・パレス 2-2 レスター
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:47′ 90+2′(PK) マテタ
LEI:21′ ヴァーディ, 46′ マヴィディディ
主審:トニー・ハリントン

第5節 エバートン戦(H)

沼生活は終わらない

 ここまで未勝利が続いている両軍の一戦。勝った方が未勝利沼から抜け出すことができるし、負ければ相手を勢いづかせることに繋がってしまうという重要な試合だ。

 序盤からボールを動かす立場になったのはホームのレスター。3-2-5もしくは2-3-5と後方の陣形を変えながら、エバートンの4-4-2のブロックに向かっていく。陣形自体はズレも作れているし、そこまで悪くはないのだけども、いかんせんショートパスの強さの加減がバグっており、受け手のコントロールが乱れることもしばしば。狙ったようにズレを使える展開ではなかったのが悔やまれる。

 それでもインサイドにパスを差し込むことが出来れば、そこから左右にボールを動かすことが出来るレスター。真ん中のポイント作りが深さの伴った前進の可否に関わってくる。

 一方のエバートンはシンプルにサイドの裏から反撃。インサイドに絞ったり、あるいは高い位置を取ったりなど、持ち場を離れることの多いレスターのSBの背後を主にマクニールが使うところから少ない手数で陣地回復。敵陣に入ってブロック守備を組まれたら左右のサイドから旋回で攻撃に打って出る。

 先制したのはエバートン。左サイドの攻撃が有効打に斜めに入り込んだエンジアイを捕まえることが出来ず、レスターはヤングのスルーパスを通すことを許してしまう。このまま、エンジアイが先制ゴールをゲット。レスターはあっさり入れ替わられたジャスティンとあっさりインサイドを捨てたファエスの連携が致命傷となった。

 30分以降は雨が強まり、試合はシンプルな手数で前進をすることが出来るエバートンペースに。レスターは失点前後から少しずつ苦しい展開に追い込まれていく。

 後半もレスターはボールを動かしていくスタート。後半開始を遅らせた判断にも関わらず、雨は結構降っている様子だったが、前半よりは動かせているのを見るといくばくかはましだったのかもしれない。

 レスターは左サイドからマヴィディディを軸に旋回を仕掛けていく立ち上がりに。この辺りは前半のエバートンのゴールをリスペクトしているかのような似ている崩し。エバートンもこれに対抗するようにサイドからボールを動かしながら、ズレを作りに行く。

 後半の中盤は互角に組みあい、攻撃の機会は均等に与えられていたが、どちらもゴールにたどり着くことはできず。試合はゴールチャンスのない膠着した展開になる。

 リードしているエバートンとしてはうってつけの展開ではあったが、終盤のセットプレーでレスターは追いつくことに成功する。何とか巻き返したいエバートンだが、前節以前と同じ追いつかれる展開に意気消沈気味。終盤のレスターも精度が足りず、押し込む状況で勝ち越しゴールを決めることはできなかった。

 未勝利対決は勝者不在。両チームの沼生活はまだまだ続くこととなる。

ひとこと

 エバートン、らしくない勝ち点の落とし方が続いており心配。毎試合リードは取れているのだけども

試合結果

2024.9.21
プレミアリーグ 第5節
レスター 1-1 エバートン
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:73′ マヴィディディ
EVE:12′ エンジアイ
主審:ダレン・イングランド

第6節 アーセナル戦(A)

間に合った決勝弾

 レビューはこちら。

 激戦を終えた開幕5試合に別れを告げて、アーセナルはここから昇格組とのホームでの連戦がスタート。まずはレスターとのホームゲームに挑む。

 レスターはアーセナルにボールを持たせてOKというスタンス。4-4-2でトップの守備の基準点を中盤に置くことでミドルゾーンに構えながら勝負をかけるという形だった。

 アーセナルはサイドから敵陣攻略を狙う流れ。大外のWGにはダブルチームに行く決まりがあったこの日のレスターに対して、アーセナルは両方のSBを高い位置にサポートに回すことで対抗。右のサカにはティンバーが追い越しや手前のサポート役として顔を覗かせていたし、左ではカラフィオーリがマルティネッリのサポートに加えて、中盤での組み立てにも参加。多彩な役割を果たしながら攻撃のメカニズムを回す。

 後方ではサリバのデュエルでヴァーディを潰すことで反撃の芽を摘み取る。奪ったあとは素早く縦につけることで攻撃の起点として活用していた。ここのボール奪取からアーセナルは先制。素早いティンバーのオーバーラップからの折り返しをマルティネッリが仕留める。

 以降もペースはアーセナル。レスターの起点を潰しつつ、自陣で相手の中盤を引き出すポゼッションから縦にパスを差し込んでいく。サイドでのユニット攻撃は相変わらず好調。前半の追加タイムにマルティネッリがトロサールにアシストを決めてセーフティリードを手にしてハーフタイムを迎える。

 後半、1stプレーでレスターは流れを変えることに成功。ヴァーディがサリバとのマッチアップでファウルをもぎ取り、FKからジャスティンが追撃弾を手にする。

 アーセナルは右サイドからの陣地回復で流れを引き戻しにいく。押し込むところまで持っていったアーセナルだが、ハーマンセンの活躍とンディディのサイドの守備の加勢により決定打を欠く展開に。

 すると、スーパーゴールでレスターは振り出しに戻すことに成功。左サイドからのクロスをまたしてもジャスティンが振り切って、アーセナルの守備陣を棒立ちにさせた。

 終盤はアーセナルが勝ち越し弾を挙げられるかが争点。ヌワネリの入った右サイドから縦横に揺さぶる展開を作りながら時間との勝負に挑む。

 タイムレースはセットプレーで決着。CKからファーのトロサールがオウンゴールを誘発してギリギリで勝ち越しに成功。最後はおまけの4点目も決めて、終わってみれば2点差でアーセナルが勝利を収めた。

ひとこと

 競り合いにはなったが、内容的にはサイドの攻撃ユニットの構築が進んだ感があったので悪くないアーセナルだった。

試合結果

2024.9.28
プレミアリーグ 第6節
アーセナル 4-2 レスター
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:20′ マルティネッリ, 45+1′ トロサール, 90+4′ ンディディ(OG), 90+9′ ハヴァーツ
LEI:47′ 63′ ジャスティン
主審:サム・バロット

第7節 ボーンマス戦(H)

ブロック攻略合戦を制したブオナノッテ

 はっきりしていたのはどちらのチームもボールをきっちり持つことに労力を使うというスタンス。そして、守備に回った際には無理に敵陣からのプレスにはいかず、構えて守る姿勢を維持しているということである。

 ということで試合は保持側がどのようにブロックを切り崩すかに焦点が当たっているかのような展開。押し込む機会が多かったのはボーンマスの方だったが、先制点を手にしたのはホームのレスター。この日は右サイドでの起用となったブオナノッテがパス交換からボックス内への侵入に成功。素晴らしいゴールを入れ込んで試合を動かして見せる。

 追いかけるボーンマスは攻勢に出る。前線がフリーレーン化することで縦横無尽のオフザボールからチャンスを作りに行きたいところ。エヴァニウソンとクリスティが流れる左サイドの方が有力だったといえるだろう。だが、レスターの中盤の食らいつきもさすが。ンディディが最終ラインに入り込むアクションを見せるなど、中盤からの加勢からチャンスを潰していく。

 ただ、押し込まれるレスターはロングボールでの起点づくりが効いていた。中央にボールを収めることが出来ることで左右のサイドアタックもより効率的な状況を用意できるように。お馴染みのヴァーディの裏抜けだけではなく、マヴィディディへのロングボールも効果的な一手になっていた。

 後半は縦に速い展開からのガチンコ勝負でスタート。優位に立ったのはボーンマス。プレスを強めて高い位置から追い込んでいくことでレスターの保持の機会を制限。まずは押しこむ状況を安定的に作ることで攻める土台を作り上げる。

 2列目の配置換えなど、押し込んだ際のアクセントも充分につけることができたボーンマス。ついにFKからネットを揺らすことに成功するが、これはボールに競りかけたエヴァニウソンがオフサイド。

 ボールの軌道はゴールに向かっているのでエヴァニウソンが触らなければ・・・とも思うかもしれないが、エヴァニウソンがボールにアプローチしていなければ、ハーマンセンはより迷う要素が少ない状態でボールに向かうことが出来たので、そこは難しいところ。オフサイドの本質が~みたいことを言っている人もたまにどこかで見かけたりするけども、この場面はオフサイドってよくできているなと感心したくなる場面だった。

 終盤まで積極的に攻め続けたボーンマスであったが、水際対応を続けたレスターをこじ開けることはできず。最後まで何とかしのいだレスターは昇格組で今季初めての勝利というご褒美を手にした。

ひとこと

 ブオナノッテのゴール、スーパー。もっと使えよ。

試合結果

2024.10.5
プレミアリーグ 第7節
レスター 1-0 ボーンマス
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:16‘ ブオナノッテ
主審:ダレン・ボンド

第8節 サウサンプトン戦(A)

サイドのマッチアップの変化がゲームチェンジャーに

 昇格組同士の一戦。今季初勝利を狙うサウサンプトンに対して、すでに1勝目を手にしたレスターという構図の試合だ。

 ボールを持つのはサウサンプトン。後方を3バック気味の組み立てに。菅原をサイドに押し出す形でディブリングとの連携を活かしていく。レスターはバックスを無理に追いかけることはせずにカウンター勝負。セットプレーを奪うことでチャンスを狙っていく。

 ボールを持つサウサンプトン、カウンターのレスターという構図で結果を出したのはホームチーム。ダウンズのクイックリスタートから抜け出したウォーカー=ピータースのところからアーチャーが先制ゴールを決める。先制点以降も左サイドのウォーカー=ピータースは起点になり続けるなど継続的に攻撃のポイントになっていた。

 一方のレスターもカウンターから反撃。サウサンプトンが引いて受ける姿勢が増えるなど押し込む状況を作れるように。全体が押し下げる中でマヴィディディやエル=カンヌスなど2列目の降りるアクションから打開策を探りにいく。

 押し下げられると少し苦しいサウサンプトンだったが、そういう状況で存在感を出したのはまたしてもウォーカー=ピータース。左サイドからの1on1の突破でアリボの追加点をアシストする。

 押し込む構図を作りながら痛恨の失点をしてしまったレスター。引き続き2列目が狭いところから打開をしようとするが、スコアを動かすことはできず。試合はサウサンプトンのリードでハーフタイムを迎える。

 後半も先制点以降と構図は同じ。レスターが押し込みながらサウサンプトンが一発を狙う形。サウサンプトンのゴールに迫る姿勢は前半と変化はなし。ファエスがあわやオウンゴールという対応を見せるなど不安定さを見せるレスターだった。

 しかし、そうした不安定さの流れを変えたのがファイアーフォーメーションへの変更。SBにファタウをコンバートしたクーパーの一手。中央に絞って狭いエリアで仕事をしたい2列目をそのままに大外で1on1ができるファタウを置くことでレスターは攻撃力を増す。サウサンプトンは菅原の負傷交代でWBにフレイザーを起用せざるを得なかったのも手痛かった。

 大外からの仕掛けでブオナノッテの追撃弾を手にする原動力となると、2点目ではクロスに飛び込むアクションでフレイザーのDOGSOを誘発。同点ゴールにつながるPKとともに数的優位を確保する。

 以降もサイドからファーへのクロスを狙うことで決勝点を狙うレスター。4-4-1でなんとか耐えようとするサウサンプトンだったが、最後はセットプレーで決壊。アイェウのミドルがネットを揺らしたのは98分のことだった。

ひとこと

 フレイザーの交代とファタウの登場が完全にゲームチェンジャーとなった。

試合結果

2024.10.19
プレミアリーグ 第8節
サウサンプトン 2-3 レスター
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
SOU:8‘ アーチャー, 28’ アリボ
LEI:64‘ ブオナノッテ, 74’(PK) ヴァーディ, 90+8‘ アイェウ
主審:アンソニー・テイラー

第9節 ノッティンガム・フォレスト戦(H)

変則日程のフォレストが連勝を重ねる

 プレミアでは珍しいフライデーナイトの一戦。特に月曜日にリーグ戦を行ったフォレストにとっては2週続けて変則的な日程での試合ということになる。

 ボールを持つ流れになったのはホームのレスター。RSBで久しぶりの先発となったリカルド・ペレイラがインサイドに絞り、アンカー役のウィンクスの隣に並び立つ。3-2-5の形からフォレストの4-4-2に対してギャップを作りにいく。

 フォレストのSHはレスターの3の外側についていくアクションを見せたので4-2-4っぽくなることもしばしば。レスターの狙いはこのSHの背後をとり、フォレストのCHを左右にスライドさせて、その背中を2列目で撮ること。より具体的にはフォレストから見て右サイド側にスライドすることが多かったドミンゲスの背中をブオナノッテが取る形だった。

 ブオナノッテがボールを受けるとレスターの攻撃は一気に加速。ここからゴールを狙える。

 カウンターがベースとなるフォレストの攻撃。縦横無尽に動くアンダーソンの好調さは前節をキープという感じではあったが、サイドから裏をとるスピード勝負はやや大雑把な感も否めない。

 それでもレスターの雑さに救われてフォレストは先制点をゲット。サイドからのクロスの二次攻撃をイエーツがミドルで沈めてゴールを奪う。ハーマンセンが激怒したように、明らかにジャスティンの拙いクリアが招いた人災による失点であった。

 しかし、すぐにレスターは同点。中盤のパス交換から4-2-4になったフォレストを背走させると、左サイドからのクロスをヴァーディが仕留める。ややフォレストからすると自陣側に戻りながらの対応となったが、最終的にはヴァーディが2枚のマークを外しており、この辺りはさすがのスキルと言っていいだろう。

 前半の残りはレスターペース。押し込んでいきつつ、ファーを狙ったクロスでフォレストを苦しめ続ける。フォレストは守備の前後分断感が足を引っ張っている感があった。

 しかし、後半早々にフォレストは勝ち越し。左サイドに抜けるアンダーソンからウッドがゴールを決める。またしてもレスターはボックス内のもっさりとした対応が目立つ失点シーンとなった。

 失点したレスターは左のハーフスペースをヴァーディが強襲するも、自陣での守備の不安定さが先立つプレーが目立つなど、前半よりも苦しい展開となる。案の定、60分にはフォレストの追加点。自陣からのフィード一発に抜け出すという芸当をウッドにやってのけられてしまい、あっさりとリードされてしまう。

 以降はフォレストがきっちりと試合をコントロール。後半を終始優勢に進めたフォレストが連勝を飾った。

ひとこと

 ギブス=ホワイトがいなくなっても連勝を重ねられるのは強い。

試合結果

2024.10.25
プレミアリーグ 第9節
レスター 1-3 ノッティンガム・フォレスト
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:23’ ヴァーディ
NFO:16‘ イエーツ, 47‘ 60’ ウッド
主審:クレイグ・ポーソン

第10節 イプスウィッチ戦(A)

立ちはだかるATのアイェウが眼前の勝利を盗む

 昇格組同士の一戦。いまだに勝利を得ることができていないイプスウィッチにとってはまたとないチャンスだろう。

 立ち上がりにボールを握ったのはレスター。中盤でフリーの選手を作るパスワークから奥をとるヴァーディを終点に攻撃を完結させにいく。

 しかし、徐々にイプスウィッチはポゼッションを回復。ハイプレスで支配力を高めようとしたレスターの前がかりの守備をひっくり返し、中盤の背後の縦パスから前進のきっかけを掴むと、敵陣でのプレータイムを増やしていく。ハッチンソンが軸となった右サイドからのミドルを中心にレスターベースは15-20分くらいを目処にひっくり返る。

 こうなるとレスターはカウンターからチャンスを探っていきたいところではあるが、なかなか押し返すきっかけを作ることはできず。こちらもハイプレスに出て行ったタイミングでハイプレスの強度を高めたイプスウィッチに苦しみ、ロングボールから起点を作ることができない。

 ただし、イプスウィッチももう一歩敵陣に入り込む強度を生み出すことができず。試合はスコアレスのままハーフタイムを迎えることとなった。

 後半、まずはレスターは前半の頭のように保持から展開を持ってこようとする。左右に動かしてイプスウィッチのプレスを回避し、背後を取るアクションからイプスウィッチのDFラインを押し下げる。少しずつペースを握ることで前半終盤の流れをひっくり返そうという意欲は垣間見えた。

 しかしながら、この状況をぶっ潰すことに成功したイプスウィッチ。右サイドからの進撃に成功すると、左サイドで待ち構えていたデイビスがスーパーボレー。戦慄の一撃で試合をリードする。

 得点直後もレスターにペースを渡さず、展開をキープしたイプスウィッチ。しかしながら、フィリップスが2回目の警告で退場。10人での戦いを強いられることに。

 これで一気にレスターは押し込む機会を得ることになる。10人のイプスウィッチはなんとか耐えたい展開が続くが、得意ではないラインを下げる展開を強いられる。

 バックスを下げてアタッカーを入れるというプランを構築するのは数的優位ならでは。大外に起点を作りつつ、ボックス内の枚数を増やすことで少しずつ圧力を高めていく。

 殊勲の同点ゴールはまたしても追加タイムのアイェウ。ヴァーディとのワンツーで滑らかにボックス内に入っていくと、技ありのゴールで試合を振り出しに戻す。

 またしても眼前で勝利を逃したイプスウィッチ。プレミア初勝利はお預けとなった。

ひとこと

 相手が10人だからこそ、打つことができた大胆なやり方が同点ゴールを生んだのはイプスウィッチにとっては切ない。

試合結果

2024.11.2
プレミアリーグ 第10節
イプスウィッチ 1-1 レスター
ポートマン・ロード
【得点者】
IPS:55’ デイビス
LEI:90+4‘ アイェウ
主審:ティム・ロビンソン

第11節 マンチェスター・ユナイテッド戦(A)

左サイドの詰まりを解消し、ファン・ニステルローイの最後を飾る

 高い位置から相手を捕まえにいく積極的なスタートとなったのはレスター。ユナイテッドのバックスに対してプレスをかけていく。ただし、プレスの足枷になったのはトップの役割。アイェウ、エンディディの2人はユナイテッドの中盤をケアしつつ、前に出ていく役割になっていたのでユナイテッドのCBを捕まえきれないことも。

 特に浮くことが多かったのはリサンドロ・マルティネス。中盤とCBを往復するレスターの2トップを尻目に、外側で受けることでキャリーに成功する。割を食ったのはブオナノッテ。自分の前に登場するマルティネスとマーカーのマズラヴィの葛藤に悩まされる場面が出てくるように。

 よって、徐々にレスターはバックラインにプレスにいかない場面を作るように。そうなると、今度はレスターの保持に悪影響が出てくる。ボール奪取位置が後ろになるため、ヴァーディ抜きで前進するにはなかなかにしんどいものがある。

 なんとか左のファタウとアイェウの裏抜けから敵陣でプレーするチャンスを作るレスター。だが、先制点はマンチェスター・ユナイテッド。ディアロが陣地回復に成功したところからの流れで左サイドを攻略。左サイドで相手の目先を変えるアシストも披露。ブルーノのミドルのコースを埋めるべき、スマレはディアロに釣り出されることとなった。

 ユナイテッドは後方の左サイドからのキャリーは安定していたが、前線ではやや動き出しのところが噛み合わない感があった。それでもその左サイドから追加点をゲット。2人のCBを惹きつけたホイルンドの背後から出てきたブルーノがオウンゴールを誘発する。

 レスターは1-0の段階でアイェウとンディディがデ・リフトを挟み撃ちにすることで大チャンスを作り出す。だが、この前半唯一の決定機はオナナが落ち着いて対応。レスターは前半にスコアを動かすことができなかった。

 後半はレスターの保持が中心となってスタート。右サイドから横断する形からチャンスを狙っていく。だが、左サイドで横断を完了させてもなかなかそこから仕上げることができない。

 一方のユナイテッドは左サイドからのカウンターが中心。だが、パスのズレやコントロールの甘さから十分なチャンスに持っていくことができない。

 チャンスを作れない状況が続く後半。どちらもチャンスを作れないならば、リードしている方が有利である。結果を出したのもユナイテッド。左に入ったガルナチョがミドルで仕上げて追加点。ようやく外から得点に絡んだガルナチョによって、試合は完全に決定づけられてしまった。

 すでに勝敗は決していることを悟っているのか、追加点以降は何も起きない状態で試合はそのまま終了。ユナイテッドがファン・ニステルローイの指揮最終試合を白星で飾った。

ひとこと

 ようやく、ユナイテッドは2桁得点に到達。アモリム就任で欧州カップ戦出場権争いに食い込めるか。

試合結果

2024.11.10
プレミアリーグ 第11節
マンチェスター・ユナイテッド 3-0 レスター
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:17′ ブルーノ・フェルナンデス, 38′ クリスチャンセン(OG), 82′ ガルナチョ
主審:ピーター・バンクス

第12節 チェルシー戦(H)

第13節 ブレントフォード戦(A)

第14節 ウェストハム戦(H)

第15節 ブライトン戦(H)

第16節 ニューカッスル戦(A)

第17節 ウォルバーハンプトン戦(H)

第18節 リバプール戦(A)

第19節 マンチェスター・シティ戦(A)

第20節 アストンビラ戦(A)

第21節 クリスタル・パレス戦(H)

第22節 フラム戦(H)

第23節 トッテナム戦(A)

第24節 エバートン戦(A)

第25節 アーセナル戦(H)

第26節 ブレントフォード戦(H)

第27節 ウェストハム戦(A)

第28節 チェルシー戦(A)

第29節 マンチェスター・ユナイテッド戦(H)

第30節 マンチェスター・シティ戦(A)

第31節 ニューカッスル戦(H)

第32節 ブライトン戦(A)

第33節 リバプール戦(H)

第34節 ウォルバーハンプトン戦(A)

第35節 サウサンプトン戦(H)

第36節 ノッティンガム・フォレスト戦(A)

第37節 イプスウィッチ戦(H)

第38節 ボーンマス戦(A)

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