エバートン【15位】×アーセナル【2位】

PK判定に泣いたアーセナル
レビューはこちら。

ついにレアル・マドリーとの一戦を4日後に控えるアーセナル。エバートンに対して大幅なターンオーバーをすることでミッドウィークを意識したマネジメントを行なっていく。
序盤に熱量を感じたのはセットプレー。どちらのチームも意地でもなんとか跳ね返していく!という気概を感じたスタート。エバートンはニアだろうがファーだろうがアーセナルのプレースキックに喰らいつくヘッドで相手にヘディングを許さない。
一方のアーセナルもファーサイドのターコウスキを意識したポジションで抵抗。一度ファーサイドに抜けたところからピンチに陥っていたが、これもなんとか掻き出していく。
セットプレーが難しいのであれば、オープンプレーからチャンスを作っていきたいアーセナル。サイドの連携から抜け出すところを見つけることはできていたが、押し込むところまでが丁寧ではない分苦労した感がある。この日のアーセナルのスモールラインナップであれば、長いボールをつける時間帯は無駄。
丁寧さに欠けるアーセナルにとっては前に出てくるエバートンはスペースをくれるという点では安心材料もある。スターリングとトロサールの2人のカウンターから先制点を決める。対面の相手との駆け引きで見事にパスコースを作ったトロサールの左足が見事にゴールを貫いてみせた。
エバートンはセットプレー以外ではなかなかチャンスを作れず。直線的なカウンターは精度不足で味方に合うシーンは少なめ。アーセナルはリードをキープした状態でハーフタイムを迎える。
しかし、後半早々にエバートンは同点に。キヴィオル周辺を狙ったロングボールから不安定な対応を誘発すると、ルイス=スケリーがPKを献上。怪しい判定であったことは間違いないが、エバートンの長いボール起点の狙いが見事に刺さった展開だったと言えるだろう。
追いつかれてしまったアーセナル。マルティネッリとサカという後半頭から投入されたWGからチャンスを作っていきたいアーセナル。より目立っていたのは左のマルティネッリ。前節のフラム戦から好調を維持するアタッカーのチャンスメイクで終盤にアーセナルは再び押し込んで攻撃に出ていく。
ティアニー、ルイス=スケリーとともに最後まで左サイドはチャンスを作ったが、最後まで突破口を見つけることができなかったアーセナル。PK判定に泣き、勝ち点2を失うこととなった。
ひとこと
あのPKはなくない?
試合結果
2025.4.5
プレミアリーグ 第31節
エバートン 1-1 アーセナル
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:49′(PK) エンジアイ
ARS:34′ トロサール
主審:ダレン・イングランド
イプスウィッチ【18位】×ウォルバーハンプトン【17位】

事実上決着した残留争い
18位のイプスウィッチにとっては文字通り与えられた最後のチャンス。17位のウルブスをもう一度沼に引き込むためのシックスポインターという立ち位置の試合だ。
序盤からボールを持つのはイプスウィッチ。中央を横断し、ウルブスの守備が薄い逆サイドまで展開することで攻撃を仕掛けていく。ウルブスは守備の開始位置を完全に中盤に設定していたので、イプスウィッチにボールを持たれることは許容する格好だ。
ただし、ウルブスもボール持つ側に回ればイプスウィッチを脅かしていく。トランジッションの局面においてはイプスウィッチの攻撃から守備への4-2-3-1→5-4-1の可変の隙にできたギャップに入り込むことで前進のきっかけを作る。
より静的な局面においては動き回る2人のCHからチャンスメイク。ジョアン・ゴメスとアンドレの2人がややサイドに流れてエアポケットに入ることで縦パスを引き出していく。
どちらも保持に回ると持ち味が出せている展開の中で先制したのはイプスウィッチ。セットプレーの流れからファーサイドの折り返しをデラップ。非常に重要な試合を動かしたのはエース。大きな先制点でイプスウィッチが前に出る。
このゴールによって激しいデュエルがさらにヒートアップした熱い展開に。局面でのぶつかり合いが加速する。そうした中でよりチャンスを明確に作っていたのはウルブス。先制点直後にセットプレーからゴールを脅かすと、前半の終盤にはバックパスの処理をミスったことでやむなしと判断したパーマーのキャッチで間接FKで逃げるという形だった。
だが、このピンチを凌いだイプスウィッチ。なんとかリードでハーフタイムを迎える。
追いかけるウルブスは後半もポゼッションをベースにイプスウィッチをおい回していく。しかしながら、ボックス内を強襲する流れまで持っていくことができずにチャンスメイクに苦戦。一方のイプスウィッチもカウンターからはチャンスを作れずにいた。
試合を動かすためにウルブスは4バックにシフト。すると、ラーセンが左のハーフスペースの奥をとると、マイナスのパスを受けたサラビアがなんとか押し込んで追いつく。
あとのないイプスウィッチは4枚交代を敢行し、流れを引き寄せにかかる。だが、一度ウルブスに傾いた流れは引き戻せず。左右に揺さぶったところのクロスから最後はラーセンが仕留めてジエンド。
逆転勝ちは実質的な残留争いの決着を意味するもの。ウルブスがイプスウィッチの最後の足掻きを蹴落として、24-25シーズンの残留争いに事実上蹴りをつけた。
ひとこと
先制した時はあるか!?と思ったのだけども。
試合結果
2025.4.5
プレミアリーグ 第31節
イプスウィッチ 1-2 ウォルバーハンプトン
ポートマン・ロード
【得点者】
IPS:16′ デラップ
WOL:72′ サラビア, 84′ ラーセン
主審:ピーター・バンクス
クリスタル・パレス【12位】×ブライトン【8位】

9人で守り切った勝ち点3
ミッドウィークやマンデーナイトなど平日に行われる印象が強かったこのカード。今回は珍しく土曜の23時という視聴者に優しい時間に行われるM23ダービーである。
試合が落ち着く前に先制点が入ったこの試合。2CBの間にグイッと入り込む形でマテタが先制ゴールを決める。わずか3分でパレスがリードを奪う。
追いかける格好となったブライトン。押し込む機会はできているものの、サイドからの仕上げがなかなか決まらず。長いレンジを狙うシュートの筋は悪くなかったように見えるが、ヘンダーソンのセービングによって防がれてしまう。
先制点を奪ったパレスはカウンターフォーカス。エゼのシャープさが際立つ展開。ブライトンのカウンター対応の怪しさも手伝って少ない攻撃の頻度をチャンスに繋げていく。
時間の経過とともにブライトンの守備対応の怪しさは際立ってしまった印象だ。バレバのいない中盤はいつもに輪をかけてバラバラ。中盤にパスを通されて、パレスの縦に速い攻撃を許してしまう。
一方のブライトンも攻め筋に回った場合はライン間をまず起点に。間のスペースに入り込むオライリーが前を向いてチャンスメイクを行っていく。
劣勢気味だったブライトンは31分にウェルベックのゴールで同点に追いつくことに。サイドの守備でも高い位置からのチェイシングが際立つようになり、パレスのサイド攻撃をもろに受ける機会は減ることとなった。
後半もブライトンはボールを動かしながらピッチを幅広く使いつつチャンスを作る機会を狙っていく。一方のパレスはロングカウンターをベース。サイドに流れるマテタを起点にしつつ、少ない枚数での速攻でゴールに向かっていく。
勝ち越しゴールを得たのはパレス。エゼのカウンターから前に進む機会を得ると、右サイドからムニョスが長いレンジのシュートを沈めて勝ち越し。後半にリードを奪う。
これでゲームクローズ!といきたいところだが、ここからがダービーマッチの真骨頂。交代で入ったエンケティアがシミュレーションで完全に無駄なカードをもらうと、直後に文句なしの2枚目で退場。リードしているチームにあっさりと苦境をもたらす。
さらにはグエイも文句なしの退場でパレスは9人に。ブライトンにとっては追いつくまたとないチャンスだが、パレスは9人になった後の出ていく行かないの取捨選択が非常にシャープ。CHがゲームメイクできずにまごついているところとは対照的に冷静に9人で守っている。
最後は鎌田がファン・ヘッケを退場に追い込んで追い上げムードにさらに冷や水をかけてジエンド。3人がピッチから退いたM23ダービーは9人のパレスが逃げ切り勝利に成功した。
ひとこと
最後は爆笑に次ぐ爆笑だった。
試合結果
2025.4.5
プレミアリーグ 第31節
クリスタル・パレス 2-1 ブライトン
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:3′ マテタ, 55′ ムニョス
BHA:31′ ウェルベック
主審:アンソニー・テイラー
ウェストハム【16位】×ボーンマス【10位】

高さ強化の交代策は的中するも・・・
立ち上がりらしい激しいロングボールの応酬から試合はスタート。しかしながら、試合はすぐに落ち着くとボール保持から互いにチャンスを伺う展開に。
先にチャンスを作ったのはボーンマス。CBがGKを挟む形からウェストハムの前からのプレスを外していくと、間延びした中盤を横断する形でサイドから仕上げにかかる。
序盤はいい形を作ったボーンマスだが、徐々にライン間からの加速が物足りない展開に。スコットのパフォーマンスが特別悪いわけではないが、クライファートはやはり恋しくなる部分はある。
時間の経過とともにポゼッションは徐々にウェストハムに移行。中央に起点を作りながらのサイドバックのオーバーラップを活用し、ファーへの高さを生かしたクロスからチャンスを作っていく。
ボールのつかまえどころが見つからずにずるずると下がっていく形になってしまったボーンマスは反撃できずに苦しむ展開に。インサイドに起点を作れないながら、大外からのチャンスメイクでボーンマスは先制。スミスを外に回したセメンヨが放ったミドルから最後はエヴァニウソンが押し込んだ。
ウェストハムとしてはセメンヨの潰しが遅れたアルバレスのところが痛恨。優位な時間に失点を喫してしまう。ボーンマスは強かにリードを奪うと、さらにセットプレーで攻め立てていい流れでハーフタイムに突入した格好だ。
後半、ビハインドの状態のウェストハムはボール保持からボーンマスの守備ブロックを動かしにいく。しかしながら、肝心のポゼッションはブロックの外側を回るだけのU字コースに終始。高さ頼みのクロス以外になかなか打開策を見つけることができず苦しい戦いとなる。
ウェストハムはさらに高さを強化する交代策に。中央にフュルクルクを入れてのターゲット強化でシンプルなクロスの威力を高めていく。
この交代は的中。CKからの高さを生かしたフュルクルク自身の同点弾はもちろんのこと、逆転ゴールとなったボーウェンのシュートもファー側にフュルクルクがいることによる寄与がかなり大きかった。
後半は押され気味だったボーンマスだが、セットプレーからなんとか同点に。押し込まれた場面でオフサイドラインの設定を見誤ったキルマンは大チョンボ。大きな判断ミスで同点のきっかけを与えてしまった格好だ。
終盤はオープン気味になったことで展開はフラットに。だが、さらなるゴールは生まれずにドローで決着。シーソーゲームは引き分けのまま幕を閉じた。
ひとこと
キルマン、やっちまったなぁ。
試合結果
2025.4.5
プレミアリーグ 第31節
ウェストハム 2-2 ボーンマス
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:61′ フュルクルク, 68′ ボーウェン
BOU:38′ 78′ エヴァニウソン
主審:ティム・ロビンソン
アストンビラ【7位】×ノッティンガム・フォレスト【3位】

夢への一歩はビラ・パークに阻まれる
CLの夢は少しずつ現実に近づいているフォレスト。難敵相手に結果を出し続けているが、今節のビラ・パークも難所。また1つ夢を手繰り寄せることができるだろうか。
毎週、新しい組み方を披露するフォレストはこの試合では5バックを披露。ドミンゲスが右の大外に入り、アイナの不在を埋める格好だ。
結果は出ているが、フォレストが毎週披露する新しい守り方はことごとく機能していない。シティ戦とかは相手の精度に助けられただけである。この試合のビラはそれを見逃すことはせず、13分にあっさりと後方からのラインブレイクでアストンビラは先制。バックラインならともかく、中盤にこれだけプレスをかけられないのは仕組みがうまくいっていない証拠である。
さらにはサイドからドミンゲスを破る形で追加点。前線の守備の形と大外のドミンゲスとこの試合の工夫がダイレクトに失点として返ってきてしまった。
フォレストももちろんエランガのカウンターなど跳ね返すチャンスもある。特に速攻からのシュートまでの流れは見事。内側に切り込むアクションを1つとったおかげでシュートまでが見えた。
少しずつカウンターの鋭さは見えてきたフォレストだが、結局布陣的にミスマッチのサイドからキャリーを許してしまい、ビラへのプレスをかけ続けることができない。
再び押し込む時間が増えたビラは攻め込むものの追加点までは奪えず。試合は2-0でハーフタイムを迎える。
後半、リードを得ているアストンビラはオープンに前からのプレッシングを選択。エランガ不在で縦への鋭さを失ってしまったフォレストに対して、殴り合いを挑んでいく。
エランガという最もこのシチュエーションが得意な選手がいなくなってもビラと渡り合うフォレスト。70分には左サイドの攻撃からジョタ・シウヴァのゴールで1点差に迫ることに。
しかし、今度はポゼッションで平定するアストンビラを前にフォレストは徐々にボールを奪えなくなっていくように。終盤は逆にアストンビラが攻め立てる展開。ラッシュフォードには追加点のチャンスがあったが、セルスによってこれは防がれてしまい、フォレストは1点差をキープするのが一杯だった。
アーセナルが引き分けて2位追走のチャンスだったフォレスト。しかし、ビラ・パークに跳ね返されてしまい、絶好のチャンスを逃すこととなった。
ひとこと
アストンビラはいい流れでパリでの大一番に臨むこととなった。
試合結果
2025.4.5
プレミアリーグ 第31節
アストンビラ 2-1 ノッティンガム・フォレスト
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:13′ ロジャーズ, 15′ マレン
NFO:57′ シウヴァ
主審:サイモン・フーパー
トッテナム【14位】×サウサンプトン【20位】

ついに正式決定した降格第一号
負ければ降格が決まるサウサンプトン。実際のところ、もう早々に降格は確実なものにはなっていたが、最後の一踏ん張りをロンドンで見せられるか?が問われる一戦となる。
序盤からボールを持つのはトッテナム。ポゼッションからサウサンプトンの守備に対してボールを動かしていく。サウサンプトンの守備はサイドのケアが甘め。簡単にトッテナムに押し下げられる展開となった。
しかしながら大外のレーンにおいてはなかなか打開策が見出せないトッテナム。1on1から打開することができずに苦戦するという流れとなった。
サウサンプトンは保持に回るとショートパスからボールを動かしていく。序盤はトッテナムのハイプレスが効いていた展開だったが、徐々にサウサンプトンは右サイドからキャリー。ファーサイドのスレマナへのクロスから決定機を迎える。
だが、このピンチを凌ぐとトッテナムはスムーズに先制点をゲット。左サイドからの突破に対し、逆サイドから絞ったジョンソンが合わせて先制ゴールを決める。
以降もトッテナムは攻め立て続ける展開。一方的に押し込み続けてサウサンプトンを追い立てていく。しかしながら、ここはラムズデールがファインセーブ。なんとか1点差で喰らいつく展開となった。
そんなラムズデールを交わし、トッテナムはセットプレーから追加点を奪ったかに思われたが、これはわずかにオフサイドでノーゴール。しかしながら、直後にトッテナムは本当の追加点をゲット。右サイドからのキャリーでボックス内に入ると、セカンドボールの跳ね返りをジョンソンが押し込む。サウサンプトンはボールの動き直しに無頓着すぎる。マニング、ベドナレクあたりの動き直しが緩慢でゴールを決めたジョンソンとは対照的だった。
後半、トッテナムは保持をベースにしつつも非保持に回ればきっちりと自陣をプロテクトする形。リトリートを視野に入れつつブロックを組む。そうした中で異彩だったのはロメロ。強引なトライからキャリーをするなどちょっと変わった動きを見せていた。
ボールを持つ機会が増えたサウサンプトン。だが、打開の機会を掴むことができず。終盤には菅原とオヌアチュから反撃を狙っていくが、1点差に迫るゴールを決めたのは90分のこと。クロスに対して、チーム全体で対応が遅れたトッテナムの隙をついて、フェルナンデスがゴールを決めた。
しかしながら、このままではどうにもならないサウサンプトン。自陣までの侵入を許した段階において、PKを献上。トッテナムに勝利を確実にする3点目をプレゼントする。
確実だった降格が数字の上でも決まったサウサンプトン。年間を通してプレミアで戦う力がないことを露呈するシーズンとなってしまった。
ひとこと
さすがにボックス内の緩慢さはこのレベルだと見逃してくれないなという感じ。
試合結果
2025.4.6
プレミアリーグ 第31節
トッテナム 3-1 サウサンプトン
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:13′ 42′ ジョンソン, 90+6′(PK) テル
SOU:90′ フェルナンデス
主審:マイケル・サリスベリー
ブレントフォード【11位】×チェルシー【4位】

選手交代でのギアアップも得点には届かなかったチェルシー
優勝争いと残留争いの旗色が日々濃くなる一方、欧州カップ戦の出場権争いは加熱の一途。CL出場権と欧州圏外の距離はあまりにも近い。そんなハードな状況の中でチェルシーは今節ブレントフォードの本拠地での一戦に挑む。
序盤は両チームともサイド攻撃の応酬。ブレントフォードは左サイドのシャーデ、チェルシーは右サイドのマドゥエケからチャンスを作っていく。
前からのプレスの意識が強かったのはブレントフォード。ハイプレスは時折はめきれないこともあるが、仮に外されてもチェルシーにひっくり返される形での加速はされなかったことや、サンチェスがたまに強引な中央へのグラウンダーをつけてくれることを踏まえると、前から捕まえにいく収支は十分に取れている印象だ。
チェルシーはパーマーがいない分、デューズバリー=ホールとエンソの役割は均質的な3センターチック。非保持でそういう状況なのは相手の布陣の影響かもしれないが、保持時でも均質的なのは選手のキャラクターによるところではないだろうか。
プレスにも出ていく姿勢を見せていきたいチェルシーだが、前に行きすぎると、ズレを使われて加速されるので難しいところ。特にマドゥエケの背後をルイス-ポッターに利用される形はあまりよろしくない。ブレントフォードはサンチェスのパスミスからのショートカウンターと左サイドの加速を軸に相手を攻め立てていく。だが、決定的なチャンスを迎えたダムズゴーが足を滑らせてしまったり、あるいはサンチェスが自作自演のファインセーブをしたりなど、ブレントフォードはゴールには至らず。チェルシーは主力をベンチに残した状態でスコアレスでハーフタイムを迎えることができたとも取れる前半となった。
後半、チェルシーはジャクソンを投入。ブレントフォードは引き続き左サイドから攻撃を狙うが、前線に柱が投入されたチェルシーの方が旗色は優勢。右に流れるジャクソンからチャンスメイクに成功。一気に押し込む頻度を高めていくチェルシー。中盤の押し上げも効くようになり、明らかにチェルシーペースの時間帯を迎える。
さらにチェルシーはパーマー、ネトを入れて右サイドをギアアップ。仕掛けに凄みは増したようには見えたが、ややボールホルダーの個人技での力技感があり、シュートをやたらと相手のDFにぶつけるシーンが目立つように。
そうこうしていると、ブレントフォードはカウンターからペースを握る。ウィサとムベウモが根性で作り出していたロングカウンターは少しずつ板につくように。80分台はブレントフォードがチェルシーを上回る勢いで決定機を作り、サンチェスは相当冷や汗をかくシーンが出てくる。
押し込んでる状況のチェルシー、カウンターベースのブレントフォード、最後までどちらのチームも解決策には辿り着けず。試合はスコアレスドローで決着となった。
ひとこと
チェルシーの選手交代によるギアアップ、ジャクソン以外は個人の仕掛け強化に終始した感じがあってユニットでの強みの増幅できていなかったのが気がかりだった。
試合結果
2025.4.6
プレミアリーグ 第31節
ブレントフォード 0-0 チェルシー
G-techコミュニティ・スタジアム
主審:マイケル・オリバー
フラム【9位】×リバプール【1位】

積極策のフラムに後手を踏んで久々の敗戦
土曜日の試合でアーセナルは引き分け。リバプールはクレイブン・コテージで勝利すれば、ほぼ手中に収めているリーグタイトルをさらに引き寄せることになるだろう。
序盤からボールを動かすのはホームのフラム。左サイドから抜け出すポイントを作りにいく。バッシー、ロビンソン、イウォビといった面々がズレを作り、サイドの深い位置をとりにいく。
非保持でも前から仕留めにいく姿勢を見せていくフラム。4分にはあわやPKというようなシーンを作り出されるなど、リバプールはかなり冷や汗をかかされる展開となった。
リバプールも前からプレスに出ていったが、フラムはGKを絡めてボールを動かしていくことでリバプールのプレスを回避。リバプールのプレス回避と比べると安定感が際立っていた。
しかしながら、対応したリバプールは先制点をゲット。ハイプレス攻勢に出るフラムを縫うようにインサイドに入り込んだマック=アリスターが得点を決める。
だが、フラムはすぐに同点ゴールをゲット。右サイドからの大外のクロスを最後はセセニョンが仕留めて同点。前節のアーセナル戦で機能した右サイド起用に応えたセセニョンがゴールを生み出してみせた。
このゴールで一気に勢いに乗るフラム。次に刺さったのはハイプレス。不用意極まりないロバートソンの横パスから相手にショートカウンターを許すと、これをイウォビが仕留めて試合をひっくり返すことに成功する。
さらにはムニスがファン・ダイクとの体の入れ合いに打ち勝って追加点。立て続けのゴールでリバプールを突き放す。一方のリバプールは保持から反撃に転じたいが、長いレンジのパスミスが続いてしまいリズムを引き戻すことはできない。
後半に入ってもリードをしているフラムは積極策。ハイプレスからチャンスを作っていく。中盤のトランジッションでも優位に立ってるフラムは順調にペースを掴んでいく。
リバプールもジョタのハイプレスからチャンスを作りにいくが、抜け出したところを仕留めることができず。終盤は引きこもりに転じたフラムに対してパワープレー。グラフェンベルフのCB起用というスロットらしいパワープレーがどこまで効いたかはわからないが、ディアスが1点差にするゴールを決める。
終盤は左のSBを空位にして攻め込んでいったリバプールだが、最後まではゴールを決めることはできず。さらにリードを広げる絶好機を逃してしまったリバプール。フラム相手にリーグ戦久しぶりの敗戦を喫してしまった。
ひとこと
とはいえ、この終盤で勝ち点1縮められるのはリバプールにとってはそこまで痛くないように思う。
試合結果
2025.4.6
プレミアリーグ 第31節
フラム 3-2 リバプール
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:23′ セセニョン, 32′ イウォビ, 37′ ムニス
LIV:14′ マック=アリスター, 72′ ディアス
主審:クリス・カヴァナー
マンチェスター・ユナイテッド【13位】×マンチェスター・シティ【5位】

メモリアル感と反するスコアレスドロー
程度は違えど苦戦が続く今シーズンのマンチェスター勢。シティにとっては象徴であるデ・ブライネが迎える最後のマンチェスター・ダービーということでメモリアル感がある。
だが、そんなメモリアル感にユナイテッドは冷や水をかけてのスタート。いきなり左サイドを破ると、ガルナチョがFKを奪いチャンスメイクを果たす。
これが激しいダービーの号砲かと思ったがここから試合は停滞感があるものとなる。シティのポゼッションはU字。ユナイテッドの構える守備に対して、ギュンドアンが低い位置に下がるなどブロックの外に出たがる。降りる動きに呼応するなどユナイテッドの守備陣が出てくることで中央にスペースがあることもあったが。なかなかシティはこのスペースにパスを差し込むことができず。
一方のユナイテッドは保持から相手を揺さぶっていきたいのだが、なかなかにつまらないパスで台無しにするケースがあり、満足に前進することができず。シティの前線は運動量的に相手を追いかけ回すようなスピード感はないのだけども、きっちりと寄せるムーブをすればそれだけでユナイテッドは慌てていた感じがした。
シティのU字ポゼッションを跳ね返したシーンなど、カウンターの道筋もなくはなかったユナイテッド。だが、攻撃における雑さはポゼッションと同じ。相手をひっくり返してゴール前に向かう過程のどこかでミスが出てしまう。
シティもインサイドの起点が作れない状態において外から解決策を作ることができないまま時計の針がすぎる展開に。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半、試合はまさに前半のリピート。ガルナチョが相手に警告を出させるファウルからスタートする。
だが、後半は立ち上がりのオープンなテンションが持続する点で前半とは異なる展開となった。特に効果的な攻撃をしていたのはユナイテッドの方。主に右サイドからオライリーの背後からの抜け出しからシティのバックラインを押し下げていく。シティはエデルソン、ディアスを中心になんとかしのぐ。
シティの攻め筋はデ・ブライネの速攻が多かったが、一息を入れるケースが非常に少なく、シティらしさを感じない部分もある。立ち上がり始めのフォーデンの決定機はらしさが見えたが、それ以外は直線的に急ぐデ・ブライネの噛み合わなさが気になった部分ではあった。
かといってユナイテッドのブロック守備が完成してしまうとそれはそれで苦戦。メンバーを入れ替えてもここでのブーストはかからず、終盤はユナイテッドの攻めを一方的に受けてしまうことに。
それでもバックラインの粘りで最後までユナイテッドを跳ね返し続けたシティ。ボックス内の守備の固さでなんとか勝ち点1を拾った90分となった。
ひとこと
特にシティ側の内容は寂しいし、使わなかった交代選手の意図もちょっとわからない。ニコ・ゴンザレスとか欲しい気がするけども。
試合結果
2025.4.6
プレミアリーグ 第31節
マンチェスター・ユナイテッド 0-0 マンチェスター・シティ
オールド・トラフォード
主審:ジョン・ブルックス
レスター【19位】×ニューカッスル【6位】

またしてもホーム客を落胆させるレスター
ホームの観客に長らくリーグ戦でのゴールを届けることができていないレスター。このニューカッスル戦を逃せば実に4ヶ月もの間、自軍のゴールはお預けという格好になる。なんとしてもそれは阻止したいところだろう。
しかし、またしてもキング・パワー・スタジアムのホームサポーターにお届けするのは相手のゴール。トランジッション全開の形から横断に成功。左サイドからのクロスを最後はマーフィーが仕留める。お手本のようなスピードアップから早速レスターに対して先手を奪う。レスターはエンディディのところでボールを奪い切りたかった。
失点したレスターはGKを絡めたポゼッションでニューカッスルのプレスをいなしにかかる。しかしながら、このチャレンジの姿勢がさらなる失点を招くことに。マーフィーはこの日2得点目。あっさりと更なるゴールを積み重ねる。
攻撃に関して言えばこの試合のレスターの筋もそこまで悪いモノではなかったと思う。右サイドからのキャリーから少し手早い攻略も。いつもより縦に長いカウンターでもきっちりとシュートまで持っていくことができるということで、攻め筋は割とスマートな印象を受けた。
だが、非保持における崩壊は止まらず。カウンターからニューカッスルは追加点。好調なバーンズとは対照的にパスカットをされたエル・カンヌスの軽率さはどうしても際立ってしまう。
3点を追う格好となったレスターは後半の頭から4-2-3-1にシフト。入れ替えた左右のSHを起点に勝負を仕掛けていく。ヴァーディのファストブレイクからチャンスを作っていく形。
一方のニューカッスルは大量のリードがあったということもあり、落ち着いた入り。あまり前に進むことはできていないが、自陣での守備はそこまで不安定なモノではないので、問題視はされていないという感じであった。
自陣からの保持で勝負をかけていきたいレスターだが、ハーマンセンが不安定なプレゼントパスを渡してしまうなど保持から支配的な振る舞いをすることができない状況。敵陣まで進むことができても4-5-1のブロックを崩すことに苦戦する。
終盤はニューカッスルが保持でコントロールすることでゲームクローズに成功。レスターを終始寄せ付けないまま、リードをキープして逃げ切り。問題なく試合をコントロールして勝ち点3を手にした。
ひとこと
あまりにもあっさりとチームの勢いを反映する方向に試合の流れが転がっていったという感じであった。
試合結果
2025.4.6
プレミアリーグ 第31節
レスター 0-3 ニューカッスル
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
NEW:2′ 11′ マーフィー, 34′ バーンズ
主審:ロベルト・ジョーンズ
今節のベストイレブン
