ノッティンガム・フォレスト【3位】×ブライトン【9位】
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攻守に狙いを絞った完勝で大敗はチャラ
前節は大量5失点でボーンマスに屈したフォレスト。欧州カップ戦を争うためにはここは踏ん張りどころ。ホームにこちらも連敗は避けたいブライトンを迎えての一戦だ。
3バック採用でゆったりと後方からボールを持つフォレスト。まずはボールを持つ局面からスタート。だが、ブライトンがボールを持つと、リトリートにシフト。やはりまずはこっちが本業という感じでブライトンにボールを持たせるが時間が増えていく。
5-3-2の採用で明確に効いていたのはブライトンのWGへの対応だ。ミンテのサイドはフォレストからすれば相対的にはやられていた側だが、アンダーソンが外に出て行きやすくなる構造を維持することでカットインを防ぐことでダメージを十分に抑えていた。
逆サイドはシンプルにアイナが三笘を食い止めることで成立。構造を無理に動かして三笘に対応する必要がないのだとすれば、3センターの陣形でジョアン・ペドロの左ハーフスペースの起点も抑えることができる。結果的にフォレストがブライトンをクリーンシートに抑えることができたのは5バックの採用でブライトンの攻撃の起点となる両WGとジョアン・ペドロに対策をうてた事が大きい。
逆に攻撃面ではフォレストはきっちり勝負できるポイントを見つけることができていた。右サイドのギブス=ホワイトとエランガで動かしながら勝負。ランプティとポジションを駆け引きし、穴を開けて広いスペースでという戦い方を徹底することができていた。ダンクのオウンゴールもこの形からだった。
ブライトンはルターを前においてゴリゴリと前に枚数をかけにいくが、中盤までに引っ掛けるケースが目につく。2列目の根性プレスバックで引っ掛けて迎えたピンチを帳消しにするシーンがよく見られるように。そんなブライトンを尻目にフォレストはセットプレーから追加点。この後のブライトンの追撃弾をセルスでシャットアウトしたところまでが見事な一連であった。
前半終了間際に一旦ピッチを離れていた三笘のいない間に右サイドから再びフォレストは追加点。エランガ→ウッドでブライトンのCBを振り回して3点目。前半のうちにセーフティリードを奪う。
後半、メンバーを入れ替えたブライトン。CHに本職が入ったことで保持面でのサイドのフォローはそれなりにナチュラルになった感がある。だが、落ち着きのある試合運びをしているフォレストにここを防がれると。右サイドからエランガが再びスピード勝負で勝利。潰れながらも4点目のアシストとなるクロスをウッドに蹴り込む。
後半頭は少しジリジリした展開となったが、フォレストはここからゴールショーを再開。全く不要なセットプレーのファウルでランプティが無駄にPKを献上し、これでウッドはハットトリック。
自分もゴールが欲しいアウォニィが入ったフォレストはその後も攻撃の手を緩めることはなし。本命のアウォニィにこそゴールは生まれなかったが、さらにウィリアムスとジョタ・シウヴァが追加点。合計7点のゴールショーで前節の大敗を打ち消してみせた。
ひとこと
最終スコアがいくつぐらいが妥当か?という点は難しい話だけども、守備面でサイドの封鎖のプランを練っていたことと、攻撃面で右サイドのポジションとスピードという勝負のポイントを絞っていたフォレストの完勝であることは間違いない。
試合結果
2025.2.1
プレミアリーグ 第24節
ノッティンガム・フォレスト 7-0 ブライトン
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:12’ ダンク(OG), 25‘ ギブス=ホワイト, 32′ 64′ 69′(PK) ウッド, 89′ ウィリアムス, 90+1′ ジョタ・シウヴァ
主審:サイモン・フーパー
ニューカッスル【5位】×フラム【10位】
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辛抱強さが光る逆転勝利
フラムは4-4-2でFWやMFが積極的にスライド。ニューカッスルのバックラインに積極的にプレスをかけにいく。ニューカッスルはそれに対して背後を取るアクション。抜け出したギマランイスからジョエリントンがチャンスになるが、ここはバッシーが根性のラインコントロール。なんとかオフサイドを取る。
序盤のピンチは防いだが、依然として優位なのはニューカッスル。フラムが手当てが間に合う前にサイドでスピードに乗る。ニューカッスルはサイドのスピード感から一気にボックス内まで。中央では前節のトナーリのゴールを彷彿とさせるレイオフからの前進でゴールに向かう。中盤の移動から流動性を作り出すという流れは今のニューカッスルの3センターの強みと言えるだろう。
一方のフラムの保持はニューカッスルの4-5-1を超えることができずに苦戦。ニューカッスルはハイプレスとリトリートを使い分ける形でこれが機能。中央を動かすことができないフラムは外循環からのクロスに終始する。
苦しみが続くフラムは徐々にハイラインの懸念が顕在化。アンデルセン、ロビンソンなどニューカッスルのアタッカーが少しずつ牙を剥き始める。
どうにもならないフラムはニューカッスルの得意なトランジッションで勝負をかける。これによって試合は縦に速い展開に。守備では警告を受けていないバッシーが必死で相手を追い回していくことでニューカッスルの中盤を潰しに行く。
だが、それでも先制点はニューカッスル。左サイドでスピード勝負を制したゴードンからマーフィーにクロス。得意な速い展開からチャンスをものにする。
後半もテンポが速い展開。ビハインドのフラムも前半よりは食いつくことができている状況。ただ、スピードに乗ったプレーの精度はもう一声。ヒメネスのCBとの駆け引きなどは悪くないが、ゴールを奪うにはもう少し味付けが欲しいところだった。
辛抱強く続けていたフラムはようやく攻撃が完結。トラオレ→ロビンソン→ヒメネスと蹴鞠のように繋いだカウンターを鎮めて試合を振り出しに戻す。
この得点以降もいい流れを継続したフラム。プレスが効くなど前半では見られなかった現象も見られるように。逆にニューカッスルは67分のウィロックの千載一遇のチャンスを逃してしまう。
出力が上がってこないニューカッスルに対して、フラムは終盤にブーストに成功。押し込んでいくとセットプレーからゴールを決めたのはムニス。マークを外したイサクの隙を見逃さない勝ち越しゴールでリードを奪う。
最後は5バック移行で華麗に逃げ切り。フラムが辛抱強い逆転勝利で勝ち点3をものにした。
ひとこと
ニューカッスル、少しバテ気味の終盤戦。フラムはそこまでよく粘ることができた。
試合結果
2025.2.1
プレミアリーグ 第24節
ニューカッスル 1-2 フラム
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:37‘ マーフィー
FUL:62’ ヒメネス, 82‘ ムニス
主審:クリス・カヴァナー
エバートン【16位】×レスター【17位】
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いとも簡単にチャンスを生み続けて3連勝
前節、アウェイでトッテナムに勝利にして長い連敗のトンネルを脱出。降格圏を脱出したレスター。今節も勝利を挙げて勢いに乗りたいところだろう。
しかしながら、そのレスターの思いが砕かれるのは一瞬。ピックフォードのファーストタッチであるフィードはいきなり先制ゴールにつながることに。ベトの背後から抜け出したドゥクレが先制ゴールを決めたのは1分になる前のことだった。
先制したこともありエバートンはミドルブロックに構える形。レスターはゆったりとした保持から反撃を狙う。ジャスティンが内側に絞ることで外に開くアイェウのコースを開ける。ここまでは安定してボールが入るのだが、この先に進むことができない。
そんなレスターを尻目にエバートンはあっさりと追加点。ゴールはまたしても裏抜けからヴェスターゴーアの背後を簡単にとったベトが容易く1on1を作り出し、一瞬でリードを広げる。
この試合ではレスターのCB陣の拙さがいつも以上に目立つ展開。エバートンはヴェスターゴーアの背後から抜け出し、ファエスがバタバタ対応するというシーンをカジュアルに作り出す。レスターの前からのプレスが低いこともあり、エバートンはひっくり返すところからチャンスを作り続ける。
レスターは反撃のきっかけを全く見出すことができない。左右に振るアクションはできるけども、そこから前に進むことができず。エバートンは前半終了間際にあっさりと3点目。CBのギャップから抜け出して見せたベトが追加点を決める。
後半、リードを得たエバートンは保持でプレスをいなすスタート。後半はゆったりとしたポゼッションから展開を掌握する。敵陣ではベトのポストからコンビネーションを見せるなど前半とは異なる姿でチャンスを作る。
レスターは外をぶん回すポゼッションからチャンスを探るという前半と同じ文脈。右サイドの裏抜けから少しずつ作り出したのは70分手前から。エバートンは押し下げられる時間は増えるものの、インサイドは間に合うという状況が基本。押し下げられても問題ない状況でレスターの攻撃を受け切る。
むしろ、後ろのブロックという意味では後半も噛み合わなかったのはレスター。ヴェスターゴーアがオコリに代わっても噛み合わないのは相変わらず。オコリがファエスにボールをぶち当ててしまったせいで与えたチャンスをエンジアイが4点目を確保する。
終始エバートンはレスターを圧倒。圧巻の4得点でリーグ戦3連勝を飾った。
ひとこと
このCBのクオリティで勝てるチームはプレミアにはないと思う。
試合結果
2025.2.1
プレミアリーグ 第24節
エバートン 4-0 レスター
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:1’ ドゥクレ, 6‘ 45+2‘ ベト, 90’ エンジアイ
主審:ダレン・ボンド
イプスウィッチ【19位】×サウサンプトン【20位】
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苦しい時間帯を凌いだセインツが逆天王山を制する
いわば逆天王山といえる一戦といえばいいだろうか。19位のイプスウィッチとしては何とか上にキャッチアップするための3ポイントが欲しいし、20位のサウサンプトンはグレートエスケープのための足掛かりにしたい一戦。勝っても順位の入れ替わりはないが、重要な一戦であることに変わりはない。
序盤からゆったりとボールを持つのはイプスウィッチ。WB、IHが前にスライドして高い位置からプレスをかけていくサウサンプトンに対して、横断をしつつ時折縦にパスを入れることを織り交ぜながら前進をしていく。前にプレスに出て行く以上、サウサンプトンの中盤にはカバーしなくてはいけない広い範囲が存在する。そのカバーに奔走する中盤を動かすように。ライン間にパスを差し込んで前を向くところまで持っていく。
しかし、思い通りにボールを動かしているところをひっくり返して先制点を決めたのがサウサンプトン。右の大外、ウォーカー=ピーターズからのハーフスペースに突撃。跳ね返りをアリボがミドルで仕留めて先制する。
保持で存在感を見せていたイプスウィッチだが、反撃の一手はトランジッション。一発で抜け出したデラップが同点ゴールを決める。
同点の勢いに乗ったイプスウィッチはさらに勢いに乗る。ブロードヘッドの抜け出しは同じように決定機になったが、ここで立ちはだかったのがラムズデール。なかなか今季は本領を発揮することができていない守護神だったが、この日は見事にファインセーブで貢献することができていた。
サウサンプトンはスコアが動いた後もハイラインを敷いていたが、裏を破られて決定機を作られていたようにハイライン自体がリターンをもたらす感じではなかった。積極性が裏目に出る苦しい戦いで前半を終える。
後半、サウサンプトンは明確にオールコートマンツーに移行。より明確に前から捕まえにいく。そうなればイプスウィッチは当然ダイレクトにデラップを狙っていくという展開。ステーフェンスが負傷し、アリボが3バックの一角となるという状況もサウサンプトンにとっては向かい風だった。
ただ、苦しい時間帯を凌ぐとイプスウィッチはピタッと前からのチェイシングが止まるように。なかなか前から起点を作ることができなかったサウサンプトンだが、60分過ぎからようやくボールを持つターンを得ることができるようになった。
終盤はどちらも3ポイントを狙いにいくアグレッシブさを見せる。結果を手にしたのはサウサンプトン。左サイドのカットインからの溢れに合わせたオヌアチュが決勝点を生み出す。追い縋るイプスウィッチだったが、流石に前線のエネルギーは低下。サウサンプトンは敵地で貴重な勝ち点3を手にした。
ひとこと
イプスウィッチ、デラップとハッチンソンを入れ替えられる陣容になりたかったけども・・・。
試合結果
2025.2.1
プレミアリーグ 第24節
イプスウィッチ 1-2 サウサンプトン
ポートマン・ロード
【得点者】
IPS:31′ デラップ
SOU:21′ アリボ, 87′ オヌアチュ
主審:マイケル・オリバー
ボーンマス【7位】×リバプール【1位】
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首位の貫禄で難敵退け連勝キープ
負傷者が続出、ベンチは大きい背番号の選手だらけという状況ながらも快進撃を続けるボーンマス。フォレストとの伏兵対決を制し、迎えた今節はついに首位との大一番に挑むことになる。
いきなり左サイドでワッタラがチャンスを迎えたボーンマス。対するリバプールもセットプレーから混戦でチャンスを迎えるなどオープンな状況から試合を動かしていく。
どちらかといえば手応えがあったのはリバプールの方だろうか。クリスティが前にスライドしてくるボーンマスのプレスに対して、中盤のギャップに入るショボスライから前進を狙う形だった。
ボーンマスも左サイドから。セメンヨ、ケルケズの縦のラインにクライファートが絡むお馴染みの形から勝負を仕掛ける。速い展開の分、少しエラーが目立つ形にはなっていたが、十分に対抗できる形にはなっていた。
早めのクロス、早めのシュートでいつも通り攻め切る姿勢を大事にするリバプールはガクポのバックドアという少し味変と言える動きからPKを獲得。ボーンマスからすれば接触の有無を問いたい場面ではあるだろうが、いずれにしてもガクポの目先を変えるランの選択はとても良かったと思う。
ボーンマスは反撃として左サイドの縦関係からマイナスのクロスでネットを揺らすがこれはオフサイド。セメンヨ→ケルケズのパスのタイミングがもう一歩早ければブルックスのゴールは認められていたことだろう。
ビハインドで後半を迎えたボーンマスは前半と同じく早々に強襲。右サイドから攻め切る姿勢を見せる。後半の頭はこれでボーンマスが勢いに乗る形。特にワッタラ、クライファート、セメンヨなどリバプールのDFを背負いながら起点になれる個人の力が際立つ展開だった。アリソンが立ちはだかり、ボーンマスの勢いをなんとか食い止めるシーンが続く。
そうした中でも決定的に勝敗を分けたシーンはやはりタヴァニアのシュートのところだろう。枠を叩いた豪快なミドルをクライファートが押し込むことができれば展開は変わったはず。その直後にサラーが時を止めるシュートを決めたことを考えれば、このシーンがボーンマスにとっては最後の勝ち点を奪える瞬間だったように思う。コナテが爆速でカバーに来ていたから、見た目よりは難しいシーンだと思うけども。
サラーのスーパーな一撃に心が折れてもおかしくない状況のボーンマス。控えのシニア選手がなかなかいない中でそれでもチャンスを生み出そうとする姿勢は敬意を払いたくなるものだった。もちろん、それを跳ね返すアリソンの強靭さも同様に敬意が払われて然るべきものだと思う。
最後までボーンマスの追撃を振り払うことに成功したリバプール。難敵を退け、連勝を伸ばすことに成功した。
ひとこと
リバプールと上位勢との対戦は最近は内容的にハズレなし。この試合もそうだったと思う。主審が試合のスピード感についていけてなさそうなのは残念だった。リバプールとの因縁を考えてもここにアサインする意味は皆無だと思うので、ちょっと割り当て考えて欲しかったな。
試合結果
2025.2.1
プレミアリーグ 第24節
ボーンマス 0-2 リバプール
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
LIV:30′(PK) 75′ サラー
主審:ダレン・イングランド
ウォルバーハンプトン【18位】×アストンビラ【8位】
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脱いでよし!の完勝で久々の3ポイント
前節、レスターが勝利したことで降格圏に逆戻りとなったウルブス。立て直しのためにもここでホームでの一戦には是が非でも勝っておきたいところだろう。
まずはビラの保持からスタート。最終ラインの顔ぶれは最近変わっていることもあり、ついにCHが本職のカマラがバックラインに入る形に。陣形としてはCHスタートのボハルデが最終ラインに入り、SBは両サイドともに高い位置に出ていく形を形成する3-2-5でボールを動かしていく。
中盤から守備を始めるウルブスはカウンターベースでの勝負。だが、カウンターでは抜け切ることができず。ただ、保持から押し上げた際のメカニズムはうまくいくことも。その最たる例は先制点。ポゼッションでの押し下げに成功すると、即時奪回に移行。ハイラインをキープする状態でワトキンスへのパスをカット。そのまま前線でタメを作り、抜け出したベルガルドのゴールを生み出す。前節では見られなかったシャープな守備からウルブスがリードを奪う。
このゴールでウルブスは完全にペースを掌握。左サイドの裏からのカウンターを主体にアストンビラを攻め立てる。スピード豊かなカウンターに対して、アストンビラはファウルが挟む展開に。ウルブスが時折仕掛けるハイプレスに対しても対応策が見出すことができずに苦戦する。15分くらいから30分ほどまでアストンビラは自陣を脱出することすらままならなかった。
2点目が欲しいウルブスだが、クーニャやゲデスの前線への抜け出しから生み出したチャンスはマルティネスがカット。なんとか1点差をキープする形でハーフタイムを迎える。
後半、怒りの4枚替え(ワトキンスはケガっぽいが)を敢行したアストンビラ。前半と異なり保持で押し込むことができるスタート。だが、セットプレーから生み出された同点弾は際どいながらもロジャーズのオフサイドポジションでの関与を取られてしまい、認められず。
序盤は押し込まれていたウルブスだったが、だんだんとクーニャを起点としたカウンターで陣地回復に成功。ジリジリとアストンビラを苦しめていくように。
終盤も押し込む流れからサイドでの切り崩しを狙うアストンビラだったが、得点を決めたのはカウンター主体のウルブス。収めつつもう一回加速を果たしたクーニャが独力で2点目を切り拓いて勝負あり。勝てない時期が続いていた苦しいウルブスだったが、アストンビラ相手に完勝。久しぶりの勝ち点3を手にした。
ひとこと
クーニャ、まさにそれは脱いでよし!というゴールだった。
試合結果
2025.2.1
プレミアリーグ 第24節
ウォルバーハンプトン 2-0 アストンビラ
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:12′ ベルガルド, 90+7′ クーニャ
主審:アンディ・マドレー
マンチェスター・ユナイテッド【12位】×クリスタル・パレス【13位】
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鷲に睨まれ動的0トップは不発に
フラムに勝利したユナイテッド。久々の連勝を狙い、ホームに迎えるのはクリスタル・パレス。このパレスはユナイテッドにとっては地味に天敵。リーグ戦では3試合連続で勝利がなく、最後のゴールは2023年。今はベンチにいないラッシュフォードがネットを揺らして以来、300分間無得点が続いている。
天敵を前にしたユナイテッドはメイヌーのワントップという奇策を選択。序盤は彼を前に据える意味づけはできていたように思う。ミラーということもあり前から捕まえにくるパレスに対して、自由に動き回ることで起点に。横断からサイドで作ったチャンスにインサイドで飛び込むこともできており、動的さを全面出す形で勝負をする。
基本的にユナイテッドはメイヌーの動き回る方向性を含めて噛み合わせをずらすことを基準にしていた。ブルーノが列を下げて4バックになるなど、パレスのプレスを退けるための動かし方を中心に。パレスは無理に噛み合わせることはなく、引いて受けつつ保持に回れば前にボールを当てるというシンプルな形で反撃を狙っていく。
ユナイテッドは時間の経過とともに動的成分が低下。持つ機会自体は増えてはいるが、前線のボックス内でただ立っているだけならば、特にメイヌーをトップに置く意味はないだろう。素早い縦のシャープさが際立つマテタとは対照的に両軍は前線の存在感が入れ替わっていく。
スコアレスで迎えた後半、パレスは少しハイプレスでトランジッション色を強めるスタート。ただ、保持からの押し上げは効かず、ポゼッションから展開を引き寄せられるかは微妙なところ。結局のところは後半はボール奪取からダイレクトに。奪った後の数プレーを大事にゴールに迫っていく。
ペースを徐々に握ったパレス。パスワークがスムーズになると先制点はセットプレーから。跳ね返りを待てたが仕留めてゴールを生み出す。さらにエゼを投入し、パレスの攻撃は加速。オープンな展開でスペースを活かせるエゼにより、さらにペースを引き寄せる。スピードのあるバックスもハイラインという構造に乗ってきた印象だ。
間合いが合わない状況が続くユナイテッドは後半はいいところなし。止まって時間を作れる選手がおらず、チャンスを作る機会も時間とともに減っていく。パレスはウォートンのセットしたカウンターをムニョスが仕留めてけりをつける。
またしても天敵相手に無得点となったユナイテッド。勢いに乗ることは許されなかった。
ひとこと
メイヌー0トップの意味づけができたかは微妙なところ。
試合結果
2025.2.2
プレミアリーグ 第24節
マンチェスター・ユナイテッド 0-2 クリスタル・パレス
オールド・トラフォード
【得点者】
CRY:64′ 89′ マテタ
主審:ジョン・ブルックス
ブレントフォード【11位】×トッテナム【15位】
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脱した泥沼、解けた呪い
前節はレスターに敗れてしまい、リーグ戦は4連敗。脱することのできない泥沼から一刻も早く抜け出すきっかけが欲しいトッテナムはブレントフォードとの一戦に挑む。
脇腹を痛めたフレッケンが不在でもブレントフォードはつなぐ意志を見せるスタート。トッテナムは高い位置から捕まえにいく。一方のトッテナムが保持のターンではブレントフォードは4-4-2ミドルブロックを軸にジャネルトが時折最終ラインに落ちる枚数調整をかける。
トッテナムはハイプレスに出た時の連動に難があるし、ブレントフォードは陣形はコンパクトだが、背後を取られると脆いホルダーにプレスがかかっていないタイプのミドルブロック。どちらも保持側次第では十分に自軍のペースに持ち込むことができる状況だったが、なかなかそれができないのが今の両軍。
トッテナムは裏への動き出しが少なく、バックラインに揺さぶりをかけることができない。それでも左のソンを軸としてスペンスのオーバーラップなどを使った動きや、右のハーフスペースの住人だったクルゼフスキからトッテナムはチャンスを作る。
ブレントフォードは間延びした陣形に対して速攻をベースに戦って行きたいところだが、前線のフィーリングがやや不調。ダムズゴーあたりのタッチは良かったが、いつもと比べるとムベウモが潰されたり引っ掛けたりする場面が多かったように思えた。
それでもトッテナムのクロス対応には難があると思ったのだろう。右サイドを軸に押し込むと素早いクロスからトッテナムのバックスを慌てさせるシンプルな形でゴールを狙っていく。
先制点を決めたのはトッテナム。セットプレーでバルディマルソンのそばに人をまとわり付かせるところからオウンゴールを誘発。相手のマークに躍起になるジャネルトの背中に当たったボールはゴールに吸い込まれていった。
前半はこのオウンゴールのリードをトッテナムが守り切ることに。少ないチャンスをリードに結びつけてハーフタイムを迎える。
後半は一気にブレントフォードがペースを握る立ち上がり。左右のワイドを起点にハイプレスで押し込んでいく。横断からスピードに乗るシーンも作ることができており、前半以上にチャンスを構築することができていた。
トッテナムは54分のカウンターなど右サイドを起点に縦に速い攻撃から反撃。オープンな展開に持ち込むが、再び70分手前からブレントフォードに押し込まれることを許す。
しかし、この日のブレントフォードは前で時間を作るFWに対しての後方からの押し上げが甘い。トッテナムの2列目はきっちりと戻って挟み込むことをサボらなかったため、ブレントフォードは前線が選択肢をもらえる前に潰されてしまうことが多く、効果的な攻撃に至る場面は多くなかった。
チャンスを作りきれないブレントフォードに対して、トッテナムはカウンターで追加点。左サイドでサールが突撃し試合を決める2点目を手にする。ブレントフォードからすると、カヨーデを外に引っ張ったスペンスのフリーランへの対応と飛び出してしまったバルディマルソンの判断など微妙に悔いが残る失点となってしまった。
トッテナムは連敗脱出に成功。さらには今季初めての2得点以下での勝利も記録することとなった。
ひとこと
ついに呪いが解けた!
試合結果
2025.2.2
プレミアリーグ 第24節
ブレントフォード 0-2 トッテナム
Gtechコミュニティ・スタジアム
【得点者】
TOT:28′ ジャネルト(OG), 87′ サール
主審:ジャレット・ジレット
アーセナル【2位】×マンチェスター・シティ【4位】
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今ならチャンスは繰り返しやってくる
レビューはこちら。
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リバプールは今節すでに勝利を挙げている。アーセナルとしてはリバプールをなんとか追いかけるためにも、そしてシティを完全にタイトル争いから蹴落とすためにも非常に重要な一戦となる。
気合の入ったアーセナルは2分で先制ゴール。ストーンズ→アカンジの無理なパスを咎め、ウーデゴールが2分で先制点を奪う。シティは前節のチェルシー戦と同じく、早々にバックラインのミスから先制点を献上することとなった。
この高い位置からのカウンターはアーセナルにとってハマる形。シティのバックラインのパスコースを中央に限定しつつ、ライス、ウーデゴール、トーマスの3人でボールを奪うという形からカウンターに出ていく。
ということでまずは外循環で狙いを外しにいくシティ。大外のヌネスへの対角パスからボールを動かしていく。ただ、ルイス=スケリーとの1on1は制することができないし、サイド攻撃のサポートランも不足。アーセナルの守備を動かすことができなかった。ファーへのクロスは狙っていたが、ハーランドが相手を外せない限りチャンスにならなかった。
アーセナルはトーマス、ウーデゴールが列落ちから枚数調整。ゆったりとした保持から過度にオープンな状況を作らず、シティにチャンスを与えないように試合を進めていたのが印象的だった。シティにとってアキレス腱となりそうなトロサールとヌネスのマッチアップはベルナルドがダブルチーム。撤退守備を組む上での懸念はある。
アーセナルは26分にハヴァーツが決定機を逃すなど嫌な流れ。ただし、プレー単発では悪くとも。ハイプレスは継続していたし、シティにハイプレスを抜けされてもチャンスになることはない。構造としては殴られないままリードをキープし、ハーフタイムを迎える。
後半もアーセナルは落ち着いて試合をコントロール。バックスを中心に冷静さが光りつつ、プレスやロングボールからシティのミスを誘発するトライが目についた。
やや下がって受ける機会が増えたアーセナルに対して、シティはサイド攻撃に前半以上に人数をかけることで対抗。ハーランドの同点ゴールはサリバとの体の入れ合いに勝ったということもあるが、サヴィーニョの右サイドへのフローがアシストのクロスを生み出したということが重要。サイドでズレを作る意識をサボらないのがシティができる今のチームの改善方法でしかない。
徐々にアタッキングサードでいい流れを作ったシティだが、その流れはまたしても自陣でのミスから手放してしまうことに。フォーデンの強引なパスを拾ったトーマスのミドルでアーセナルはあっという間に勝ち越しゴールを生み出す。
さらには因縁のルイス=スケリーが左サイドのカットインからプレミア初ゴールを記録。これで試合の大勢は決着。ギアの上がらないシティに対して、マルティネッリの攻め上がりを軸にカウンターのチャンスを作り出したアーセナルが優位を握る。
前半に決定機を決めきれなかったハヴァーツがリベンジを達成すると、締めの一撃はヌワネリ。ルイス=スケリーと10代が揃い踏みでゴールを決める。
終わってみれば大量5得点。シティが勢いに乗り損ねたところを見逃さなかったアーセナルが圧勝で試合を締め括った。
ひとこと
ハヴァーツのワンチャンスを逃すともうチャンスが戻ってこないのが昔のシティ戦。でも今はそうではない。チャンスは何回かやってくる。それがシティの現在地。
試合結果
2025.2.2
プレミアリーグ
第24節
アーセナル 5-1 マンチェスター・シティ
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:2‘ ウーデゴール, 56’ トーマス, 62‘ ルイス=スケリー, 76’ ハヴァーツ, 90+3‘ ヌワネリ
Man City:55’ ハーランド
主審:ピーター・バンクス
チェルシー【6位】×ウェストハム【14位】
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帰還ではなくオールドファッション
ボーンマス、ニューカッスル、シティなど今節はCL争いのライバルが敗戦。月曜開催のチェルシーとしては勝ち点3奪取し、ライバルに勝ち点差をつけるチャンスとなっている。
立ち上がりからボールを持つアクションを見せたのはチェルシー。ゆったりとしたボール保持からボールを動かしていく。基本的にはバックラインは3枚。LSBのククレジャは前線に入ることが多く、逆サイドのマドゥエケからのクロスに飛び込む役割を任せられることに。
ということで後方の陣形は基本的には3-1-6気味。後ろに人数をかけることが多いウェストハムへの対応という感じだろう。
ウェストハムは今季の頭から引いて受けた時の守備強度が足りない試合が多かったが、この試合では久しぶりに中央の堅牢さを見せることが出来ていた。サイドから中央にカットインしてくる選手に対しては、ブロックでシュートをカット。簡単にミドルを許さない姿勢でチェルシーの攻撃に対して防衛する。
ウェストハムは左サイドを起点としたカウンター。幅を取る意識があるということはいいことではあるが、一回スローダウンをしてしまうとそこから再加速の目がなかなか見えないのも確か。ボーウェンやクドゥスがダイレクトに裏を取り直線的に攻め込む形の方があっているように思える。要するにオールドファッションなウェストハムということだ。
マドゥエケのクロスやカットインのパーマーからチャンスを狙うチェルシー。だが、先制点はウェストハム。ややアップテンポになっていた前半の終盤の流れからコルウィルのパスミスを誘い、ボーウェンが先制ゴール。相手のミスにつけこんだ先制点から試合を動かす。
前半の内に追いつきたいチェルシーはパーマーのFKなど枠をとらえるシュートを打つが、アレオラのスーパーなセービングでウェストハムはピンチを回避する。前半はウェストハムのリードでハーフタイムを迎える。
後半もチェルシーは押しこんでいく展開。サイドの3人の関係性からウェストハムのブロックを崩しに行く。ウェストハムは縦に速い展開で対応。クドゥスの一発に期待というファストブレイクに軸足を置いたスタイルだ。
イマイチ手ごたえを感じなかったのかマレスカは後半の速い時間帯から次々とアタッカーの交代カードを投入。少しずつサイドの深い位置で存在感を発揮していくように。右サイドに入ったネトが時間の経過と共に目立つように。
そのネトのクロスから始まったチェルシーの攻撃に対して、ウェストハムは受け切ることができず。ボックス内でのせめぎあいもむなしく、ボックス内に入り込んだネトが同点ゴールを決める。
勝ち越しゴールを決めたのはその10分後。左サイドに流れたパーマーがオウンゴールを誘発。ついにリードを奪う。
リードをしてもなお左右からのクロスで攻勢を続けるチェルシー。ウェストハムもハイプレスに出て行くが、チェルシーの圧力を前に有効打を放つことはできなかった感があった。
試合はチェルシーの逆転勝利。ライバルたちにきっちり差をつける大きな3ポイントを手にした。
ひとこと
オールドファッションなウェストハムは今季の中では相当ソリッド。そういう意味ではポッターの帰還的なストーリーは薄い90分だったように思える。
試合結果
2025.2.3
プレミアリーグ 第24節
チェルシー 2-1 ウェストハム
オールド・トラフォード
【得点者】
CHE:64’ ネト, 74‘ ワン=ビサカ(OG)
WHU:42‘ ボーウェン
主審:スチュアート・アットウェル
今節のベストイレブン
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