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「Catch up Premier League」~Match week 13~ 2024.11.29-12.1

目次

ブライトン【5位】×サウサンプトン【20位】

不利な局面から暴れたディブリング

 序盤からボールを持つのはサウサンプトン。無理にプレスをかけようとしないブライトンに対して、ステーフェンスが中盤に移動し、3センター気味になるいつもの変形からボールを前に動かしていく。

 ブライトンがプレスに来ない分、プレス回避で危険に晒される機会は気持ち少ない立ち上がりであったが、リプレイの間に危うそうな場面を迎えていたりとか、カウンター対応の菅原のミスを三笘に掻っ攫われたところとか怖い部分は垣間見られた。

 ブライトンは狭い中央突破を狙うスタート。中央のスペースを段差を作りながら細かいパスを繋ぎながら突破を狙う。オライリーの飛び出しからのチャンスなどはその一例と言えるだろう。

 時間経過とともに保持の時間を増やしていくブライトン。ブライトンのシャドーの守備を置き去りにするサイド攻撃からクロスで完結する形を作ることでボックス内に迫る。

 サウサンプトンもディブリングを使ったカウンターで反撃を狙っていくが、得点につなげたのはブライトン。ランプティの右の大外からのクロスを三笘が仕留め先制。三笘にとっては見事なファーからの詰めとなったし、菅原にとっては2試合連続でクロス対応が失点に直結するという対照的なゴールとなった。

 先制点以降、ブライトンはゆったりと試合を進めて反撃の機会を阻害する。サウサンプトンはなかなか前に出て行けなかったが、反撃を狙う菅原が高い位置をとるエストゥピニャンの背後を取るところからのクロスでチャンスを作るが、決定的な機会を得たアーチャーのシュートは得点にはならなかった。

 迎えた後半、ブライトンは保持からスタートするが、非保持におけるプレス強度はそこまで強気にならず、交互に保持のターンが訪れる形となった。だが、主導権はブライトン。中盤より後ろのメリハリのある守備から降りてボールを受けたがるサウサンプトンの前線を咎めることで相手の攻撃を阻害。

 サウサンプトンは最後方のラムリーが踏ん張る展開。非保持においてはよくやっていたが、保持においてはFPがGKへのバックパスをいつもより活用しにくそうにしていたので、よくやったところもありつつしんどいところもありつつといったところだろうか。

 苦しい展開になりそうだったサウサンプトンだが、その状況を救ったのがディブリング。背負ってボールを受けるとマークを何枚も剥がすプレーを連発。中央に絞ってフリーになると、ここからの横断で左サイドからボックス内に迫ることに成功。混戦の中で最後はダウンズがゴールを決める。ブライトンはディブリングの後にもゴールを防ぐチャンスがある構図だったが、ボックス付近の対応でやや軽くスライディングを使いすぎたことが裏目った感がある。

 その後もディブリングはあわや逆転ゴールというシーンを演出するなどカウンターの起点として大暴れ。ブライトンペースを一人でひっくり返す。途中で入ったアリボも保持でのリズムをいい意味で変えており、後半の中盤は一進一退の攻防となった。

 終盤は押し込むことに成功したブライトンだが、決勝ゴールは生み出せず。終盤まで三笘はチャンスメイクを行っていたが、最後のチャンスも味方がシュートを枠に持っていけなかった。

 試合は1-1での引き分け決着。ブライトンにとっては上位勢についていきたいところで痛い引き分けとなってしまった。

ひとこと

 ディブリングも三笘と同じで使い減りせずに後半もきっちり出力出せるのがいい。

試合結果

2024.11.29
プレミアリーグ 第13節
ブライトン 1-1 サウサンプトン
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:29‘ 三笘薫
SOU:59‘ ダウンズ
主審:ロベルト・ジョーンズ

ウォルバーハンプトン【17位】×ボーンマス【13位】

ハイテンポに対応できず3つのPKを献上

 まるでジェットコースターのような90分だった。先手を取ったのはボーンマス。落ち着かない展開の中でエヴァニウソンが早々にPKを獲得。このPKをクライファートが仕留めてボーンマスは早速リードを奪う。

 だが、このリードはあっという間に打ち消し。右サイドからのクロスに対してうまく対面のザバルニーを外したストランド・ラーセンがシュートを叩き込んでゴール。

 序盤の激流の流れはまだ終わらず。勢いに任せてハイテンポのまま攻撃に出たのはボーンマス。左サイドで思い切りのいいオーバーラップを見せたケルケズが勝ち越しのゴールを奪う。試合が落ち着くまでに実に3つの得点を必要とする序盤戦では、ハイテンポに対して後方の潰しが明らかに間に合っていなかったウルブスが損をする格好となった。

 時間の経過と共にウルブスは保持の局面を増やしていく。ボーンマスもウルブスの保持に強引に食いつくスタンスを取りやめて、中盤で4-4-2を構えるマイルドなプランに移行する。

 だが、機を見てギアを上げたボーンマスのプレスに対抗できず、ジョゼ・サがパス回しのミスから再びPKを献上。リードをさらに広げられてしまう。

 ボーンマスはこの場面以外にもネガトラの出足が良好であり、ウルブスの保持での前進に対して、スムーズにプレスバックすることでチャンスを潰す。チャンスを潰したら今度はカウンターにすぐさま移行。トランジッションでウルブスに差をつけていく。

 プレスに出て行けないウルブスに対して、保持では3-2-5でのゆったりとしたポゼッションを織り交ぜることでリズムをコントロールしたボーンマス。前半は完全にウルブスを上回った状態でハーフタイムを迎える。

 後半、ウルブスはドーソンの投入でバックスのメンバーを整える。アイト=ヌーリを一列前に入れることで3バックの安定感は向上。前半に苦戦していたケルケズのオーバーラップに対しても余裕を持って対応できるようになった。

 それでも押し込んだ際には隙を見てプレスをかけてくるボーンマス。ウルブスは前線にメンバーを増やす、4-2-3-1への移行からこちらも前からの圧力を高めて対応する。

 正直、プレスの連動はそこまでという感じの出来ではあったが、相手をひっくり返した時のカウンターの威力は十分。ラーセンの2点目はまさにその威力を実感するものだった。

 しかし、直後に自陣でのドーソンのパスミスからジョゼ・サが再びPKを献上。この日3本目のPKもクライファートは難なく沈め、リードを再びセーフティに保つ。

 終盤はヒチャン、ウナル、ビリングなどいろんな意味で結果を欲しいストライカーの投入を優先した感があった両軍。しかし、これ以上乱戦のスコアは動かず。試合はPKだけでハットトリックを決めたクライファートの活躍でボーンマスが勝利した。

ひとこと

 3本PK献上って、そんなに見たことないなぁ。

試合結果

2024.11.30
プレミアリーグ 第13節
ウォルバーハンプトン 2-4 ボーンマス
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:5′ 69′ ラーセン
BOU:3′(PK) 18′(PK) 74′(PK) クライファート, 8′ ケルケズ
主審:ピーター・バンクス

クリスタル・パレス【19位】×ニューカッスル【10位】

逃げ切りには虫が良すぎる

 立ち上がりにボールを持つのはニューカッスル。左サイドからのクロスで早速ゴールに迫っていく。

 しかしながら、以降はクリスタル・パレスがインサイドをきっちりと固めることでニューカッスルを外循環に追いやっていく。ニューカッスルは左サイドでの旋回を使いながらズレを作りにいく。

 パレスもボールを持てばゆったりとポゼッションを組んでいく。ニューカッスルのバックスへのプレスは鈍く、パレスは3バックから縦パスを通せるコースを探す展開に。ただし、ニューカッスルはジョエリントンが左のWBに落ちる5-4-1でパレスを迎撃。大外をきっちりと封鎖する。

 だが、どちらのチームもシュートは遠く、相手のブロックをこじ開けることはできず。ゴールに迫れそうなシーンはCKからのカウンターなど、トランジッションの成分が増えた時だけ。流麗なパレスのカウンターをムニョスは完結することができなかった。

 特別に劣勢というわけではないが、負傷で試合が止まることが多く、サイドの崩しにおいて簡単なミスが出るニューカッスルの出来は前半の気になるところという感じである。低い位置でも痛めていたジョエリントンの蓋が間に合わないシーンが出てくるようになるなど、コンディションの点で気になるところも目につく45分となった。

 後半は前半の頭のような展開。ニューカッスルがボールを持って、クリスタル・パレスを押し込んでいく流れだ。そうした中でもニューカッスルはスピーディーに敵陣への侵入の機会を得ることができていた。

 いい流れに乗ったニューカッスルはセットプレーから先制。デザインされたニアの攻略からゴードンの折り返しでグエーイのオウンゴールを誘発する。

 追いかけたいパレスは左サイドからの早めのクロスからチャンスを探る。後方からはグエーイが抜け出すサールにボールをつけるなど、前節と似たチャンスメイクを披露するが、ポープにこれはストップされる。

 パレスはカウンターからもチャンスを狙うが、スピードダウンを誘発されてしまい、かつトナーリのプレスバックに咎められたり、ミドルをブロックされたりなどチャンスを生かしきれず。押し込む時間帯にも決め切ることができない。

 終盤に再びニューカッスルに押し返されたこともあり、パレスとしては苦しい状況となったが、最後の最後で報われることに。左サイドからクロスを上げたグエーイからのボールをファーのムニョスが仕留めてゴール。前半に決定機を逃したムニョスが劇的な同点弾を決め、試合はドローで幕を閉じることとなった。

ひとこと

 ニューカッスル、枠内シュート0で勝つのは虫が良すぎた感。

試合結果

2024.11.30
プレミアリーグ 第13節
クリスタル・パレス 1-1 ニューカッスル
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:90+4′ ムニョス
NEW:53′ グエーイ(OG)
主審:ダレン・イングランド

ノッティンガム・フォレスト【7位】×イプスウィッチ【18位】

オープンでもクローズドでも

 好調の流れの中で前節はアーセナルに完敗を喫したフォレスト。立て直しとなる今節はホームにイプスウィッチを迎えての一戦となる。

 先にチャンスをつかんだのはフォレスト。CKから早々に前節欠場したギブス=ホワイトが決定機を迎える。

 イプスウィッチはそんな先制攻撃にひるむことなくいつも通り縦に速い展開にトライ。フォレストもとりあえずそんなイプスウィッチに乗っかって縦に速い展開に向かっていく流れとなった。

 流れをつかんだのはフォレスト。大きな展開を入れ込みながらのファークロスでチャンスを作る。さらにはイプスウィッチの攻め筋であるライン間へのボールの差し込みからもチャンス構築に成功。ライン間を封鎖したところでボールを奪うと、素早くカウンターに移行し、イプスウィッチを脅かす。

 ただし、ファストブレイクに関してはギブス=ホワイトとウッドのタンデム速攻が刺さらず。仕上げの段階で甘さが見えてしまうという感じではあった。

 フォレストと異なり、イプスウィッチはハイプレスで相手を捕まえるところがなかなか機能せず。敵陣近くでセットプレーからチャンスを得ることはあったが、セルスの安定したハイボール処理によってあっさりと打ち消されてしまった感がある。

 もっとも機会が少ないものの、ライン間で受けられれば加速からチャンスを迎えられそうなイプスウィッチ。機会で勝るフォレストは左の大外のハドソン・オドイからチャンスを作っていく。

 スコアレスで迎えた後半。先にチャンスを得たのはフォレスト。中盤でボールを奪い、ギブス=ホワイトからカウンターを発動すると、ジョタ・シウバがスモディクスに倒されてPKを獲得。正直、強度的には少しソフトな気もしたが、このチャンスをウッドが逃さずにゲット。ついに試合を動かす。

 このゴールの勢いにのっかり、畳みかけるようにフォレストはセットプレーからチャンス構築。だが、この猛攻はムリッチが何とか食い止めて1点差で踏ん張る。

 終盤はプレスを弱めて自陣でブロックを組みながらイプスウィッチのサイド攻撃に対応する形となったフォレスト。選手交代で5バックに移行する形をベースとしつつ、時には6バックもいとわない徹底ぶりから自陣を固め、攻めに出てくるイプスウィッチが欲しいスペースを潰し続ける。

 結局、試合は1-0のまま終了。華麗なクローズに成功したフォレストがイプスウィッチ相手に違いを見せる勝ち点3を手にした。

ひとこと

 アップテンポでもクローズドでもテンポを握っていたのはフォレスト。ギブス=ホワイトとウッドの調子が良ければもっと早く試合は決まっていたかもしれない。

試合結果

2024.11.30
プレミアリーグ 第13節
ノッティンガム・フォレスト 1-0 イプスウィッチ
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:49′(PK) ウッド
主審:トニー・ハリントン

ブレントフォード【11位】×レスター【16位】

度重なるラインコントロールのミス

 あっという間にクーパーを解任に踏み切ったレスター。新監督就任が決まったファン・ニステルローイがスタンドで見つめる中、ブレントフォードとの一戦に挑む。

 ボールを持つアクションを見せたのはブレントフォード。GKをCBで挟む形でボールを動かしていく。レスターはこのタイミングで3-4-3を採用。なぜ、わざわざプレスをしにくいフォーメーションを採用したのかはわからないが、高い位置からのプレスでシンプルに噛み合わずに苦戦。レスターはCHが前に出ていくプレスを行っていくが、枚数を合わせない分、ブレントフォードは自由にボールを持つことができた。

 優勢なのは左右に揺さぶることができたブレントフォード。敵陣深い位置まで進むと押し込みながら攻略を探っていく。押し込まれるレスターはボールを奪うことができても推進力を出せず、反撃のきっかけを掴むことができない。

 だが、その劣勢の中でレスターは先制ゴールをゲット。左サイドから抜け出したヴァーディの折り返しをブオナノッテが仕留めて先制する。ブレントフォードは不調のピノックが簡単に入れ替わられたことが失点の引き金になってしまった。

 だが、間髪入れずにブレントフォードは同点ゴールをゲット。ダムズゴーのスルーパスから左サイドに突撃したシャーデがゴールを仕留める。レスターはファエスのラインコントロールがぐちゃぐちゃでオフサイドを取ることができなかった。

 さらにその5分後にブレントフォードが追加点。またしてもダムズゴーの左右への揺さぶりからレスターを追い詰め、勝ち越しゴールを決める。

 この失点の対応でレスターはオコリがハーマンセンと衝突し負傷交代するなど踏んだり蹴ったり。さらには前半終了間際にはまたしてもファエスがラインを見出し、シャーデが追加点を決める。

 リードをしているブレントフォードは後半も強気のプラン。敵陣でプレスにトライするレスターをものともせず、ポゼッションで跳ね返しに成功。強度の高いプレス合戦の応酬となる。

 そしてまたしてもファエスがゴールに繋がるミスを犯してしまう。ブレントフォードはシャーデがハットトリックとなる4点目を仕留め、試合を完全に終わらせる。

 狙いが見えない3バックとエラーが続く最終ライン。スタンドで観戦しているファン・ニステルローイが片付けなければいけない課題が多いことがよくわかる90分だった。

ひとこと

 シャーデ、ハットトリックおめでとう。

試合結果

2024.11.30
プレミアリーグ 第13節
ブレントフォード 4-1 レスター
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:24’ ウィサ, 29‘ 45+8‘ 59‘ シャーデ
LEI:21‘ ブオナノッテ
主審:マイケル・オリバー

ウェストハム【14位】×アーセナル【4位】

反撃の波を鎮静化し、2試合連続の5得点

 レビューはこちら。

 久々のリーグ戦勝利に続き、リーグ戦連勝を狙うアーセナル。アウェイに乗り込み今節はウェストハムとの一戦に挑む。

 アーセナルはまずは保持から様子を探るスタート。カラフィオーリ、ウーデゴールなど保持時の移動が特徴的な選手からウェストハムの守備基準を確認するような動きが目立つ立ち上がりだった。

 そうした中で効いていたのは右サイドに対角フィードを連発していたトロサール。左の大外の低い位置からのゲームメイクで得意の右サイドの攻撃にフォーカスする形を作ることに成功する。

 サイドから押し込むアーセナルはセットプレーから先制点をゲット。お馴染みのガブリエウのゴールで試合を動かす。

 以降も右サイドを軸とした攻撃でウェストハムを揺さぶるアーセナル。連携面で3人の息がぴったりだった2点目は左サイドで待ち構えていたトロサールが押し込むだけのシュート。アーセナルファンが好みそうなシュートを打つ前の段階で得点が確信できるような崩しから追加点を決める。

 さらに、3点目はサカの個人技によるPK奪取。エメルソンのカバーに入っていたパケタからPKを奪うと、このPKをウーデゴールが仕留める。

 PKを献上してしまったパケタは直後にロストから失点の要因に。ボールを奪ったところからトロサールのラストパスを抜けだしたハヴァーツが沈めてリードは4点となる。

 だが、ウェストハムもここから反撃。左サイドから斜めのパスを差し込んだソレールからボールを貰ったワン=ビサカが2試合連続のゴールを決める。このゴールをきっかけに一気に反撃態勢をとったウェストハムは2分後にエメルソンが直接FKを決め、2点差まで追いすがる。

 しかし、ティンバーのファウル奪取で流れを切ったアーセナルはセットプレーからガブリエウ目がけたボールがファビアンスキのファウルを誘い、再びPKを獲得。リードを3点に広げたところでハーフタイムを迎える。

 後半、ウェストハムは4-3-1-2にシフト。中央を固めつつ、ボールサイドに寄ることでアーセナルのサイド攻撃を圧縮する。

 しかし、アーセナルは無理にこのブロックを破る必要がないのでこのウェストハムの変更をそこまで苦にしなかった。右サイドを陣地回復の的としてきっちり押し下げることでウェストハムのカウンターを予防。ジンチェンコのようなポゼッション向きの選手を入れることでさらに保持の安定を図る。

 もっとも避けたかった前半終了間際からの反撃の波の鎮静化に成功したアーセナル。後半を寝かせて3点差をキープし、公式戦2試合連続の5得点での勝利を達成した。

ひとこと

 今の右サイドはなかなか手が付けられないことになっている。

試合結果

2024.11.30
プレミアリーグ 第13節
ウェストハム 2-5 アーセナル
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:38‘ ワン=ビサカ, 40’ エメルソン
ARS:10‘ ガブリエウ, 27‘ トロサール, 34’(PK) ウーデゴール, 36‘ ハヴァーツ, 45+5’(PK) サカ
主審:アンソニー・テイラー

チェルシー【3位】×アストンビラ【8位】

上位争いに本格参戦を予感させる勝利

 上位勢にピッタリとついて好調が続くチェルシー。今節はホームに絶不調のアストンビラを迎えての一戦だ。

 序盤から支配的な振る舞いが目立ったのはチェルシー。非保持では高い位置からボールを奪いにいく形でプレスをかけていく。

 保持においてはいつもの3-2-5。右のSBに入ったカイセドが絞ってラヴィアの隣に入り、エンソを一つ前に上げる格好となった。アストンビラは縦にコンパクトな4-4-2で迎撃。バックスには無理にプレッシャーをかけなかった。

 保持で4-4-2相手にズレを作り、3-2-5から押し込んでいくチェルシーは早々に先制点をゲット。押し込んだところからのトランジッションから先制。ラヴィア、ククレジャの粘りから最後はジャクソン。アストンビラは3つくらい連続で前に入られるシーンとなってしまった。

 ビラはチェルシーのハイプレスに対して睨み合う展開。捕まりながらも縦パスを強引に収められるところを探している感があった。右のフィロジーンは少しきつそう。2列目の中では一番可能性を感じるロジャーズはコルウィルという対面がきつそうだった。ラヴィアと位置を変えたのはそのせいかもしれない。

 失点後はプレスへの意欲を高めるビラ。チェルシーはやや強引な縦パスが咎められる展開に。非保持でリズムに乗ったビラは保持からもテンポを掴みたいところ。だが、この日はマルティネスが不安定。バックパスをキャッチしてしまったり、ジャクソンにあわやというプレゼントパスをしてしまったりなど、肝の据わった判断が裏目に出ることが多かった。

 そんなビラをよそにチェルシーは追加点。縦パスの出し入れから最後はエンソが仕留めてリードをさらに広げる。

 後半も完全にテンポはチェルシー。ボール保持をベースに試合を握る。交代で入った選手も躍動したのは好印象。フェリックス、エンクンクは中央のレシーバーとして機能したことで攻撃を加速させていたし、マドゥエケはきっちりと自陣に戻って守備に汗をかいていた。あとから出てきたアタッカーが守備で頑張れるチームは雰囲気がいいイメージがある。

 逆に最後までプレスの方向性が見えなかったアストンビラは交代選手でも流れを変えることができず。最後はパーマーにスペシャルな一撃を食らい3失点での大敗となった。

ひとこと

 チェルシー、控えが堅実にパフォーマンスできるようになってくるといよいよ上位争いに本格参戦感がある。

試合結果

2024.12.1
プレミアリーグ 第13節
チェルシー 3-0 アストンビラ
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:7′ ジャクソン, 36′ エンソ, 83′ パーマー
主審:スチュアート・アットウェル

トッテナム【6位】×フラム【9位】

悲喜交々のケアニー

 前節、マンチェスター・シティを撃破したトッテナム。ただ、今季は勝利と敗北が交互にやってきており、なかなか連勝で勢いに乗れていない。ホームでフラムに勝利し、前節の勢いをキープしたいところだろう。

 アンデルセンを欠いているもののフラムは自陣からボールを持とうという気概を感じるスタート。トッテナムは前線にスライドする形でハイプレス。バッシーのミスを誘ってソンが決定機を迎えたが、レノがセーブでピンチを食い止める。

 保持でも序盤からトッテナムは好調。大外のヴェルナーから一気に押し下げるアクションを行ったり、あるいは絞るポロが縦パスをレシーブすることで攻撃が加速したりなど、オフザボールの動きから相手を一気に押し下げる。

 フラムが少しラインを下げると、トッテナムは押し込んでのポゼッションを行っていく。こうなるとトッテナムはやや外循環のポゼッションに。フラムはきっちり構えてカウンターを打っていくが、ロングボールとトランジッションをトッテナムの急造DFラインがなんとか食い止めるという展開に。

 時間経過とともにフラムは反撃に。WGとSBの間が空いた守備を壊す形で前進する。押し込むポゼッションでは3センターの脇でスミス・ロウが受けることでボックス内に徐々に迫っていく。失点しそうな展開でフォースターのセーブが輝くシーンも。

 押し込む時間帯では有効打を打たれる一方で押し込む時間ではU字ポゼッションに終始するトッテナム。相手を動かせない中でヴェルナーの機動力の重要性が相対的に上がっていく展開だった。

 後半、トッテナムは再びボールを持つところからリズムを作っていくスタート。ハイプレスにも出ていくが、やはりWG周辺の守備の連動が甘く、フラムに簡単にボールを運ばれてしまう場面も。

 支配しきれない中で先制点をなんとかもぎ取ったトッテナム。ヴェルナーからのクロスをジョンソンが仕留めてゴール。フラムはロビンソンがオーバーラップからの戻りが遅れ、ジョンソンを捕まえられる位置にいたネルソンはケアを完全にサボっていた。

 しかし、フラムも反撃に。サイドから深さをとったイウォビの折り返しをケアニーがミドルで仕留めて追いつく。サイドからの押し込みがきいた同点ゴールのシーンだった。

 だが、そのケアニーは終盤に退場。逆転を狙いたいフラムだが、一気に退却を余儀なくされる。5-3-1を組むフラムに対して、トッテナムは押し込みながら得点の機会を伺っていくが、ロストからの大ピンチを迎える場面もあるなど苦戦。

 結局スコアはこれ以上は動かず、試合はドローでの痛み分けとなった。

ひとこと

 メンバーが入れ替わった影響もあるかもしれないが、ちょっとトッテナムは全体的にワタワタしていた感があった。

試合結果

2024.12.1
プレミアリーグ 第13節
トッテナム 1-1 フラム
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:54′ ジョンソン
FUL:67′ ケアニー
主審:ダレン・ボンド

マンチェスター・ユナイテッド【12位】×エバートン【15位】

元気のないエバートン相手にようやく見られたゴールショー

 アモリムのユナイテッドはホームでのリーグ戦初陣。迎えるのは相性が抜群のエバートンだ。

 エバートンはボールを持たせることを選択。2トップは中盤のケアを優先することでユナイテッドのバックスにポゼッションを許す。

 ユナイテッドは持たされた状況でもいくつか解決策を持っていたように見えた。ザークツィーのポストやWBの裏抜けなどいくつかの形からサイドにいい状況でボールを届ける。ただ、WBのプレー精度が低く、フィニッシュまで繋げないという点で苦悩するという展開だった。

 一方のエバートンも悩みは同じ。中盤でボールを引っ掛けてカウンターに出ていく場面はあったし、スピードに乗ってゴールの近くまで持っていくことはできた。だが、肝心のフィニッシュやラストパスのところでタッチが乱れてしまい、こちらも効果的な動かし方ができない。

 どちらも前進のところは計算が立つ中で、徐々にリズムを掴んだのはエバートン。DF陣は後方の出足の良さを武器に攻撃に出て行っていたし、ポゼッションからユナイテッドの中盤を動かして縦にパスを刺すなど相手を動かしながらの前進もできていた。

 しかし、スコアを動かしたのはユナイテッド。困った時のセットプレーでラッシュフォードの遠目のシュートがディフレクトして先制ゴールをゲット。さらにはこの試合ではなかなか刺さらなかったプレッシングを成功させて、そのままザークツィーのゴールで2点目を決める。ユナイテッドはハーフタイムを前に複数得点のリードを得る。

 後半頭の1つ目のプレーでユナイテッドはさらに追加点。エバートンのロングボールの跳ね返しからカウンターを発動。右サイドからの攻め筋を最後はラッシュフォードが仕留める。

 これで勝利の足場を完全に固めたユナイテッド。だが、累積警告でメイヌー、リサンドロ・マルティネスを次節のアーセナル戦で出場停止で欠くことが決まるなど、どことなく落ち着かない展開を続けてしまう。

 それでも正気を取り戻したユナイテッドは保持からゆっくり支配に移行。プレスで深追いしてこないエバートン相手に時計の針を進めていく。ディアロの好守からザークツィーのゴールを生み出して点差は4点に。

 いいところのないエバートンとは対照的にホームでのリーグ戦初戦を対象で飾ったユナイテッド。ミッドウィークのアーセナル戦に弾みをつけた。

ひとこと

 得点が少ないチームなので大量得点で勢いをつけられたのはいいこと。相手の歯応えのなさに助けられた部分もあるが。

試合結果

2024.12.1
プレミアリーグ 第13節
マンチェスター・ユナイテッド 4-0 エバートン
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:34′ 46′ ラッシュフォード, 41′ 64′ ザークツィー
主審:ジョン・ブルックス

リバプール【1位】×マンチェスター・シティ【2位】

止まらないリバプール、止められないシティ

 2位のシティと1位のリバプールの天王山といえばお馴染みの光景に近いのかもしれないが今季は少し様子が違う。リバプールが負けても肉薄されることもないので首位攻防戦とは呼びにくいし、シティは絶不調の最中。アンフィールドでどれだけのことがやれるのか?から探るスタートとなる。

 ボールを序盤に持ったのはリバプール。シティはコンパクトさを維持する4-4-2のミドルブロックで迎撃をする構えだ。それでもリバプールはパス交換から中盤を浮かせることで左右に展開を狙っていく。

 ただ、より有望だったのはシティがボールを持っている時のトランジッション。マック=アリスターが前線のプレス隊に加わる勢いの守備に対して、シティは割と困り果てた感があった。おそらくはアンカー役のベルナルドを列を上げるアカンジがサポートする3-2型の変形と思われるが、アカンジや降りてサポートにくるギュンドアンにミスが出てピンチに陥る。

 リバプールの4-2-4はサラーサイドからバラすのが鉄則ではあるが、そこもうまくいかなかった感。サラーの背後を活用するのにWGが降りてきてしまえば、単にマーカーは付いてきてしまうだけ。4-2-4を間延びさせたままの攻略ができない。

 途中からギュンドアンがサイドに流れる動きを挟むシティ。これはセオリーに近い。ただ、リバプールはグラフェンベルグが全く迷いなくついてくるので、シティは次の手を用意する必要がある。シティが次の手を用意するスピードがリバプールが全てを潰し切ることに対して劣勢なので、シティのポゼッションはとにかくつまらされることが多かった。

 先制点は擬似カウンターのようなボールから。フリーになった中盤からサラーにボールが出てくると、ファーでウォーカーを出し抜いたガクポが先制ゴールを決める。

 先制点を許したシティは徐々に左右に揺さぶりながら、CHの背後に顔を出すフォーデンから前に運べるようになる。だが、アタッキングサードでリバプールにまたしても選択肢潰しで先回りを許してしまい停滞。自陣からのボール運びが安定しているリバプールは再び終盤にかけてプレスを強め、シティが自陣から脱出するのにコストをかけさせる状態でハーフタイム前にもう一度試合の天秤を自分の方に傾けた。

 後半は非常にマイルドな立ち上がり。互いの保持に対してはそこまでプレッシャーをかけず、まったりとしたスタートとなった。リバプールとしては前半にハイプレスで飛ばしまくっていた展開はハードだったはずなので、過度にテンポを上げてこない後半のシティのアプローチはそれなりに助かるものだったかもしれない。前半は敵陣までの深追いが基本となっていたマック=アリスターも後半は4-4-2のブロックを守ることを優先してプレーをしていた。

 よりカウンターで直線的な動かし方が増えるリバプールだが、ロバートソン→ガクポの一発裏パスからオルテガ相手にチャンスを作るなど、少ない手数からゴールに近づく場面もあった。

 一方のシティは前半ほどプレスが強いわけではない状況になってもボール保持におけるミスを連発。つなぎの局面の不安定さは相変わらずで、後半もプレゼントパスを献上することもあった。

 打開策が見えないシティはWGの投入で大外からのポイントでリバプールのブロックを壊しに行く。預けどころがあったのはいいと思うが、ドクは若干持ち過ぎ感。守備の対応では昨今後手を踏んでいる逆サイドのロバートソンとマッチアップするサヴィーニョによりボールを集めても面白かったように思う。

 やがて、アレクサンダー=アーノルドのところにはクアンサーを投入。対策を打たれたことでドクはさらに苦しい状況に追い込まれる。

 徐々に攻撃が手詰まりになっていく中でついにシティのポゼッション爆弾が暴発。ルベン・ディアスが捕まったところからのカウンター対応でオルテガがPKを献上。これをサラーが仕留め、試合を完全に決める。

 またしても強豪相手に実績を残したリバプール。対照的にシティはこれでリーグ戦4連敗。2位から一気に5位に転落することとなった。

ひとこと

 シティ、この繋ぎのクオリティじゃどうにもならない。

試合結果

2024.12.1
プレミアリーグ 第13節
リバプール 2-0 マンチェスター・シティ
アンフィールド
【得点者】
LIV:12‘ ガクポ, 78’(PK) サラー
主審:クリス・カヴァナー

今節のベストイレブン

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