レスター【14位】×ノッティンガム・フォレスト【8位】
変則日程のフォレストが連勝を重ねる
プレミアでは珍しいフライデーナイトの一戦。特に月曜日にリーグ戦を行ったフォレストにとっては2週続けて変則的な日程での試合ということになる。
ボールを持つ流れになったのはホームのレスター。RSBで久しぶりの先発となったリカルド・ペレイラがインサイドに絞り、アンカー役のウィンクスの隣に並び立つ。3-2-5の形からフォレストの4-4-2に対してギャップを作りにいく。
フォレストのSHはレスターの3の外側についていくアクションを見せたので4-2-4っぽくなることもしばしば。レスターの狙いはこのSHの背後をとり、フォレストのCHを左右にスライドさせて、その背中を2列目で撮ること。より具体的にはフォレストから見て右サイド側にスライドすることが多かったドミンゲスの背中をブオナノッテが取る形だった。
ブオナノッテがボールを受けるとレスターの攻撃は一気に加速。ここからゴールを狙える。
カウンターがベースとなるフォレストの攻撃。縦横無尽に動くアンダーソンの好調さは前節をキープという感じではあったが、サイドから裏をとるスピード勝負はやや大雑把な感も否めない。
それでもレスターの雑さに救われてフォレストは先制点をゲット。サイドからのクロスの二次攻撃をイエーツがミドルで沈めてゴールを奪う。ハーマンセンが激怒したように、明らかにジャスティンの拙いクリアが招いた人災による失点であった。
しかし、すぐにレスターは同点。中盤のパス交換から4-2-4になったフォレストを背走させると、左サイドからのクロスをヴァーディが仕留める。ややフォレストからすると自陣側に戻りながらの対応となったが、最終的にはヴァーディが2枚のマークを外しており、この辺りはさすがのスキルと言っていいだろう。
前半の残りはレスターペース。押し込んでいきつつ、ファーを狙ったクロスでフォレストを苦しめ続ける。フォレストは守備の前後分断感が足を引っ張っている感があった。
しかし、後半早々にフォレストは勝ち越し。左サイドに抜けるアンダーソンからウッドがゴールを決める。またしてもレスターはボックス内のもっさりとした対応が目立つ失点シーンとなった。
失点したレスターは左のハーフスペースをヴァーディが強襲するも、自陣での守備の不安定さが先立つプレーが目立つなど、前半よりも苦しい展開となる。案の定、60分にはフォレストの追加点。自陣からのフィード一発に抜け出すという芸当をウッドにやってのけられてしまい、あっさりとリードされてしまう。
以降はフォレストがきっちりと試合をコントロール。後半を終始優勢に進めたフォレストが連勝を飾った。
ひとこと
ギブス=ホワイトがいなくなっても連勝を重ねられるのは強い。
試合結果
2024.10.25
プレミアリーグ 第9節
レスター 1-3 ノッティンガム・フォレスト
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:23’ ヴァーディ
NFO:16‘ イエーツ, 47‘ 60’ ウッド
主審:クレイグ・ポーソン
マンチェスター・シティ【2位】×サウサンプトン【19位】
無風なだけで十分
今節は日曜にアーセナルとリバプールが直接対決。少なくとも片方のチームは勝ち点を落とすという状況を考えれば、ライバルを突き放す絶好のチャンス。ここまで苦戦が続くサウサンプトンという相手を考えてもここは絶対に勝ち点3が欲しいところだ。
ボールを持つのはホームのシティ。早速サイドから押し下げてディアスがミドルを放つなどオーソドックスに押し込んでいく展開。即時奪回に出て行くことですぐにボールを取り返しに行く。
押し込むシティは早々に先制点をゲット。5分にヌニェスのポケット攻略からハーランドがゴールを奪い、リードを手にする。
保持の機会自体は少ないサウサンプトンだが、シティと同じようにショートパスを使って前進にこだわる。ステーフェンスの列上げ、ウォーカー=ピータースの絞るアクションなどは若干移動のための移動という雰囲気がしないでもなかったが、コバチッチの脇に立つララーナに関しては非常にクリティカル。大外のマニングを使っての速攻など、彼にボールが入ればサウサンプトンは保持から有効な前進を見せることが出来ていた。
シティは大外のWGを活用してのチャネルランを連打。堅実に追加点を狙っていく展開。サウサンプトンは押し下げられながらも落ち着いた対応でシティの攻撃を凌いでいく。
我慢を続けたサウサンプトンに前半終了間際に千載一遇のチャンスが。瞬間的なギャップから抜け出したアーチャーが決定機を迎えるが、これを仕留めることができず。試合はシティのリードでハーフタイムを迎える。
後半はシティのサヴィーニョを軸とした攻めでスタート。セットプレーからボックス内の高さを生かしての決定機など、前半以上にサウサンプトンのゴールに迫っていく展開に。
しかし、これを防いだのはラムズデール。ファインセーブの連続でシティに追加点を許さない。だが、望みをつないでもらった一方でサウサンプトンは前に出て行く機会が減少。前半のように少ないながらも自分たちの時間を作ることが出来なくなってしまう。
サウサンプトンは前線の入れ替えで何とかプレスに出て行こうとするが、プレスの平定に関してシティは潜り抜けてきた死線の数が違うといった様子。問題なくプレスをいなし、ファーのハーランド目がけたクロスからさらに追加点を狙っていく。
後半頭からの攻勢で追加点を生むことが出来なかったシティ。内容的にも不満が残るものなのは確かだが、思いながらもサウサンプトンの反撃を最小限に抑えることでノルマである勝ち点3を手にした。
ひとこと
後半追加タイムにどのスタジアムも劇的な展開が起きていたので乏しいながらも無風でしのいだ意義は大きい。
試合結果
2024.10.26
プレミアリーグ 第9節
マンチェスター・シティ 1-0 サウサンプトン
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:5′ ハーランド
主審:トニー・ハリントン
ブレントフォード【13位】×イプスウィッチ【17位】
見切ったハイプレスと窮地を救ったエース
ボールを動かすスタートとなったのはブレントフォード。らしくないくらいショートパスにこだわる形でイプスウィッチを動かしていく。
イプスウィッチは左のSH役のスモディクスがノアゴールを監視しており、ハーストとチャップリンの後方のトップ下のような守備のタスクを担っていた。逆サイドのファタウはシンプルに右を埋めていたので、おそらくはこれはスモディクスに託された特命なのだろう。
ブレントフォードの保持はこのイプスウィッチの2トップ+トップ下を同サイドに圧縮して逆サイドを取ることで前進を狙っていく。相手のプレス隊がいないところまでボールを運ぶことが出来ているブレントフォードを見ると、この3人がとにかくボールサイドによるというイプスウィッチの守備の方針はあまり刺さっていないように見えた。
かといってイプスウィッチが引いて受けようとすると、今度はコリンズがドリブルでキャリーするなど手数は豊富。陣形もオーソドックスな4バック形態から3-2-5にシフトしつつ枚数調整をするなど、柔軟さも見せた。
しかしながら先制したのはイプスウィッチ。直線的な攻撃でブレントフォードのポゼッションをひっくり返してカウンターを狙っていく。
先制点を生み出したのは研ぎ澄まされたイプスウィッチのカウンターからだった。フィリップスからハーストへの縦への長いレンジのパスが入り、ゴールをゲットする。さらには追加点も非常に似た自陣からの縦パスでのゲインから。あっという間にリードを広げる。
2点目のゴールで勢いに乗ったイプスウィッチは敵陣からのハイプレスを敢行。高い位置からボールを奪いに行く。だが、落ち着いたブレンドフォードはロングボールをベースに前半の内に同点に。ルイス-ポッター、ムベウモの2人がロングボールを背負って反転。あっという間に2点のリードを消し去って見せた。
後半のイプスウィッチの守備のプランも同じ。同サイドに閉じ込めるアクションを前線から積極的に敢行する。いい形で奪いさえすればそれでもいいのだが、ブレントフォードはすでに前半からこのプレスは見切った感がある。
ブレントフォードは前半と同じようにルイス-ポッターにボールを預けてあっという間にPKを獲得。これをムベウモが決めてついにリードを奪う。
縦に突き進むスピードがあるため、イプスウィッチも全くダメとは言わない。だが、中盤のカユステが不安定なバックパスをしたり、押し込まれた時のボックス対応も不安。攻守両面でいい部分が出てこない。
そしてついにクラークは退場。1試合でオウンゴール、PK献上、そして退場とあらゆるやらかしを積み上げた日となってしまった。
それでも意地を見せたイプスウィッチはブレントフォードのラッシュを耐えながら反撃。クロスからいとも簡単にピノックのマークを外したデラップが同点ゴールを決める。以降は5-3-1としながらも前プレにも色気を出していくイプスウィッチに対して、ブレントフォードが押しこんでいく。
こういう逆境の中で輝くのはブレントフォードのエース。ムベウモが右サイドから放ったファジーなクロスがそのままゴールを揺らして決勝点。バタバタした後半ATとなったが、ブレントフォードが最後はイプスウィッチをねじ伏せた。
ひとこと
イプスウィッチのあのハイプレスの守り方、あんまり効きそうな相手いない気もするが継続するだろうか。
試合結果
2024.10.26
プレミアリーグ 第9節
ブレントフォード 4-3 イプスウィッチ
Gtechコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:44′ ウィサ, 45+1′ クラーク(OG), 51′(PK) 90+6′ ムベウモ
IPS:28′ スモディクス, 31′ ハースト, 86′ デラップ
主審:ルイス・スミス
ブライトン【5位】×ウォルバーハンプトン【20位】
明暗を分けたカウンター
ボールを持つのはブライトン。ウルブスはブライトンに対してボールを持たれることを許容。中央をきっちりと固め、縦方向にコンパクトな守備を敷くことでブライトンの攻撃をつなげるポイントを封鎖する。
ブライトンは外循環をしつつ、大外のWGからこじ開ける作業に着手。しかしながら、単調なクロスに終始してしまい、なかなか打開策を見出すことが出来ず再び試合は停滞する。
ウルブスの保持は左サイドから変化をつけていく。レミナのサイドフローからアイト=ヌーリが高い位置を取って相手のSHを押し下げることでブライトンの2CH脇に起点を作っていく。
ブライトンが人数をかけて押し込んでくる分、ウルブスはカウンターからチャンスを作りたいところ。しかしながら、3トップを軸にした前線のスピーディーなカウンターはいつもよりも割引。こちらも保持に回るとブライトン同様にジリジリとした展開が続くこととなる。
どちらも保持において解決策が見えない堅い展開。アヤリの前線への飛び出しなど、ブライトンの方がややアクセントをつけたかのように見えた。
堅い展開がわかりやすいミスによって動き出すというのはよくある話。この試合も例外ではなかった。ジョゼ・サのフィードミスからブライトンがカウンターを発動。ラター→ウェルベックであっさりとゴールを陥れる。慎重に慎重に運んでいたウルブスのゲームプランが一本のパスで台無しになった瞬間であった。
後半、ウルブスは4-4-2にシフトチェンジ。ただ、特に噛み合わせたところでプレスを強めに当てていくわけでもない。この変更はどちらかといえば攻撃で前により人をかけたいという方向性のものなのかもしれない。保持ではドイルがサリーをするが、変形のズレによって明確に前進のルートが開かれることもない。
保持で噛み合う相手に対してジリジリとした展開がつづく両チーム。後半の時間が経過すると、ライン間に入り込むアヤリやサラビアから少しずつ前進のきっかけをつかんでいく。
再び得点の匂いがする流れの中で次にスコアを動かしたのはブライトン。カウンターからファーガソンがゲット。久しぶりのゴールとなった若きエースの追加点でブライトンがつきはなす。
だが、直後にアイト=ヌーリがゴールを決めると再び展開はわからなくなった状態で追加タイムに。先に絶好機を迎えたブライトン。だが、極端な数的優位を前にウィーファーが痛恨のパスミス。このパスミスからのカウンターをクーニャが沈め、ウルブスは終盤に劇的な形で追いつくことに。
試合を決めるカウンターを失敗したところから地獄に突き落とされたブライトン。ファーガソンの久々のゴールを勝利に結びつけることはできなかった。
ひとこと
あまりにも切ない幕切れだった。カウンターの失敗もそうだけども、そのあとのブライトンの対応はちょっともっさりしていたなぁ。
試合結果
2024.10.26
プレミアリーグ 第9節
ブライトン 2-2 ウォルバーハンプトン
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:45′ ウェルベック, 85′ ファーガソン
WOL:88′ アイト=ヌーリ, 90+3′ クーニャ
主審:マイケル・オリバー
アストンビラ【4位】×ボーンマス【11位】
トラヴァースが繋いだ望みをエヴァニウソンが形に
前節、アーセナルを倒して勢いに乗るボーンマス。今節も引き続き難敵。ビラ・パークに乗り込んでの一戦だ。
互いにボールをゆったりと持つスタート。アストンビラはSBを片方上げての3-2-5変形がオーソドックスだが、この試合においてはSBの高さは左右対称の4-4-2。GKを絡めての3バック化からサイドでボールを運ぶパウ・トーレスやワトキンスへの一発裏抜けなどでチャンスを作りに行く。
一方のボーンマスはクックの左サイドへの落ちるアクションからの3バック化でスタート。ビラはプレスにあまり行かず、サイドはマンツー気味についていくボーンマスと比べてもやや慎重なスタートだった。
そのため、徐々にボーンマスは保持の時間を増やすように。インサイドでのポイントを作ることで左サイドからゴールに向かっていく。
しかしながら、よりクリティカルな決定機を作っていたのはアストンビラ。FKからファーでフリーになっているオナナはトラヴァースのファインセーブに阻まれる。そのあとには右サイドからのマッギンのバックドアからの折り返しをワトキンスが決めるがこれはわずかにオフサイド。
危険な場面を迎えるボーンマスはプレスをより強くかけて敵陣深くまで追い込んでいく。アストンビラはこれをひっくり返そうと縦に速い攻撃に。試合は少しずつオープンになっていく。
そうした中で目立ったのは両軍のGK。互いのミドルを難なくさばき、後方からブロック守備を盛り立てる。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半、先に選手交代で動いたのはアストンビラ。バークリーの登場でポゼッションから左右に押し込むアクションを増やしていく。後半もミドルの意識は高いがトラヴァースにはじかれてしまうという流れは前半と同じだ。
ボーンマスはロングボールからスタートするがあまり手ごたえがないからかクックを落としての3バック化に逆戻り。ケルケズとセメンヨがいる左サイドから枚数をかけたクロスを放つことでゴールに迫っていく。
試合が動いたのは75分。左サイドで対面を手玉にとったワトキンスが時間を作ることに成功。マートセンを使ってのクロスで少しごちゃっとしたところをバークリーが沈めてリードを奪う。
先制後も通常通りプレッシャーをかけてくるビラに対して、ボーンマスは左右のスピードを生かして裏を取る。前線ではエヴァニウソンの登場でこちらも裏への動き出しからロングボールを引き出すアクションが出てくるように。
何事もなく終わらせられそうな雰囲気を出していたビラだったが、ラストプレーでエヴァニウソンがゴールをゲット。劇的な幕切れで前節に続きボーンマスが強敵相手に勝ち点を確保した。
ひとこと
トラヴァースのファインセーブが劇的な勝ち点奪取に大きな貢献を果たしていた。
試合結果
2024.10.26
プレミアリーグ 第9節
アストンビラ 1-1 ボーンマス
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:76′ バークリー
BOU:90+6′ エヴァニウソン
主審:アンディ・マドレー
エバートン【16位】×フラム【10位】
ベトの男泣き同点ゴール
前節は好対照の結果だった両チーム。だが、今節は両軍ともにフラットにどちらのものでもない形でスタートをする。
均衡した展開の中、少しずつ保持の時間を増やしていくのはフラム。4-3-3に変形するいつもの形から中盤に守備のスタート地点を定めたエバートンに対して、ゆったりとボールを動かしていく。アクセントとなったのは左サイド。ロビンソンを前に押し出す形でイウォビやスミス・ロウが低い位置に落ちて、エバートンの守備の基準を動かしにいく。相手が動けば奥やライン間を取ることで前進していく。
エバートンはカウンターがベースとなるスタート。しかしながら、フラムのプレスバックが早く、キャルバート=ルーウィンの落としからボールを受けたサイドアタッカーがなかなか自分のペースで駆け引きをすることができない。
フラムに限らず、この試合の守備側はそこまで変なアクションをしないことで試合を引き締めていた。裏を返せば、それだけチャンスが少ない試合だったのだけども。20分前後は特に試合は固く、ハイプレスに出た分、フラムがエバートン陣内で生まれたミスに対して、チャンスがあったくらいだろう。
エバートンは30分を過ぎると前節のようなポゼッションから敵陣に入り込んでチャンスを作る。ゲイェのミドルシュートから生まれたゴールは素晴らしいものであったが、わずかなタイミングでこれはオフサイドに。
それでもエバートンはこうした緻密なパス交換からフリーマンを作る動きから、フラムは右サイドからのクロスに対して、ヒメネスを囮にファーにMFが走り込む動きからチャンスメイク。クロスやラストパスが合えばチャンスになるだろうというところまで持ってくることができたところでハーフタイムを迎える。
後半の頭は共に重たい展開。裏に蹴りだす安全策から両チームともにらみ合いがスタートする。時間の経過と共にボールを持つようになったのはフラム。押し込みながらエバートンに対して解決策を探りに行く。
刺さったのはまたしても左サイドのアーセナルコンビ。低い位置から素晴らしいドライブで相手を翻弄したスミス・ロウの助けを受けて、イウォビがゴールを決めて試合を動かす。
以降は追いかけなければいけないエバートンに対して、フラムがプレスをいなしながらひっくり返すことに注力。ネルソンが加わった2列目はオール・元アーセナル。3人のアタッカーが自在にエバートンのゴールに向かっていく。
少し風向きが変わったのはベトを加えて前線を2トップにしたところからだろう。強引な前線への供給が増えたことで、ほんのりエバートンは盛り返し始める。
すると、後半追加タイム。引いて5バックになるフラムに対してエバートンは大外のヤングに向けたクロスを折り返してベト。土壇場のゴールはチームを救う一撃。ベトがようやく救世主としての仕事を果たし、何とかフラムから勝ち点1を奪い取った。
ひとこと
イケイケの時間に追加点が欲しかったフラム。ベトの男泣きはぐっと来た。
試合結果
2024.10.26
プレミアリーグ 第9節
エバートン 1-1 フラム
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:90+4′ ベト
FUL:61′ イウォビ
主審:ジョン・ブルックス
クリスタル・パレス【18位】×トッテナム【7位】
エースの復活でついに掴んだ初勝利
ここまで未勝利と想定外の不振に喘ぐクリスタル・パレス。シーズン前の高い下馬評とは裏腹に降格圏に沈んでいる。エースのマテタのスタメン復帰をなんとか原動力にしたいところだろう。
立ち上がりはそのマテタをめがけたロングボールでスタートするパレス。高い位置からチェイシングしたいトッテナムの狙いを外すように割り切った戦法で立ち向かっていく。
ロングボールでボールを失った後は高い位置へのプッシュアップでトッテナム陣内に迫っていくところまでがセット。ただし、深追いはしすぎない。前線がステイするときは一気にラインを下げてブロックを組んでいく。
トッテナムはブロックの外からポロやマディソンが大きな展開で動かしていくスタート。パレスのハイプレスに関しては横に振ることでいなせそうな立ち上がりだったが、ブロック攻略となると手応えがないという感じだろうか。
風向きが変わってきたのは15分を過ぎたことから。パレスが押し込んでの即時奪回を機能させることでトッテナム陣内の時間が増えていく。トッテナムはパレスの攻撃を終わらせた後の1本目のパスが非常に雑。縦につけるパスをあっさりとパレスに渡してしまうことで相手の攻撃のターンを継続させてしまう。
序盤はプレスを回避できていたが、自陣での動き直しの少なさからかポゼッションで脱出できる機会も激減。高い位置から中盤とバックスが捕まえて延々と攻撃を続ける姿は快進撃を続けている時期のグラスナーのチームの片鱗であった。
延々と攻撃を続けることができたパレスは31分に先制点をゲット。ファーで構えていたマテタが先制ゴールをもたらす。
後半はハイプレス合戦でスタート。高い位置からプレスに出ていく相手に対して、ひたすらバックラインの裏を取り合う攻撃を志向する。
ジョンソンが裏をとったトッテナムが先制攻撃を仕掛けるが、より頻度が多かったのはパレスの方。切れ味抜群なのはエゼ。久しぶりの好パフォーマンスでパレスの攻撃を牽引する。
トッテナムは前線の入れ替えからオフザボールを活性化。ジョンソンに加わるようにリシャルリソン、ヴェルナーが裏を取るアクションを見せにいく。
だが、パレスの対応は安定。裏抜けに対しても安定したリアクションでピンチの芽を摘み取る。押し込んだ後のパターンとして積極的に活用していた左サイドからのクロスもヘンダーソンが問題なく処理をする。時折見せるカウンターでヴィカーリオに冷や汗をかかせることも忘れなかった。
試合はこのまま終了。ついにパレスは未勝利沼を脱出。トッテナムを下し、悲願の今季初勝利を手にした。
ひとこと
パレスが昨季の片鱗を取り戻した試合だった。
試合結果
2024.10.27
プレミアリーグ 第9節
クリスタル・パレス 1-0 トッテナム
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:31′ マテタ
主審:ダレン・ボンド
チェルシー【6位】×ニューカッスル【9位】
連敗回避の陰で浮き彫りになる課題
共に前節は負け試合を経験している両チーム。なんとか連敗は避けたいところだろう。
序盤に手応えを見出したのはチェルシー。降りてくるジャクソンを起点に、右のマドゥエケを出口としてゴールを狙いにいく。降りるジャクソンを捕まえられないのはニューカッスルにとって大きな問題。直後のパーマーがネットを揺らしたシーンもニューカッスル側は狙ってとったオフサイドではないという感じ。降りるジャクソンを捕まえきれずに前を向くことを許した時点でチェルシーが意のままにプレーすることは阻害できていないので、後はチェルシーのミス待ちという運頼みという感じだろう。
このアタッキングサードのスピードの優位を生かしたチャンスメイクは以降も健在。チェルシーは試合を完全に優位に進める。
ニューカッスルにとって救いだったのはポジトラに光があったこと。奪った後の前に出ていくところは目線が揃っており、枚数をかけた攻撃を仕掛けることができていた。
しかしながら、自分達が攻める機会を作っても受けに回った時のピンチが解消されるわけではない。今度こそ見事なバッグドアから抜け出したネト。折り返したジャクソンは簡単にゴールを決めて見せる。リヴラメントが裏を取られたことや前節に続き対面の相手にあっさり置いて行かれたシェアのコンディションが気になるところではあった。
リヴラメントはなんとか保持に回った際に面目躍如。彼の横断から逆サイドまでという前線のトランジッションからのフィジカル勝負とは異なるカラーのゴールで試合を戻す。
以降もチェルシーはパーマーを中心にチャンスを作るが、試合は動かず。ハーフタイムはタイスコアで折り返すこととなった。
後半の頭、早々にチェルシーは勝ち越し。トランジッションからラヴィアが繋ぎパーマーまで。ここから一気に加速すると得意のカウンターを自ら沈めてリードを得る。
ニューカッスルとしては同点ゴールのように細かいパス交換からリヴラメントを活用するイメージだったのだろうが、中央に網を張っていたチェルシー相手にはリスキー。さらにはニューカッスルは直後のプレーでも全く同じようなトランジッションからカウンターのピンチを喰らうなど、修正をしきれていなかった。
中央に強引に差し込んでも意味がないと悟ったニューカッスルは少しずつサイドに振るアクションを入れるように。左右に動きながらターゲットになるイサクもボールを引き出しては決定機を迎える。
60分を境にチェルシーは試合のテンポを落とす。しかし、シンプルにテンポを落としただけで特に試合の制御はできていない感。中盤をコンパクトに保てていたわけではないし、交代選手が入ったニューカッスルの馬力に押されるような場面も目立つ。エンソがこういう点で存在感を出せなかったことは課題になるだろう。
中盤で起点を作れるようになったニューカッスルは左のハーフスペースの奥を取るアクションからチャンスメイク。だが、ラストパスが刺さらずに試合を動かすことができない。
ニューカッスルの前線の交代選手とともに、少しずつ反撃は雑さが勝るように。危険なシーンもなくはなかったチェルシーだったが、最終ラインがきっちりと体を張ることで防衛に成功。勝ち点3をきっちりと持ち帰った。
ひとこと
基本的にはチェルシーの順当勝ちだろう。パーマーのポジトラの精度はえぐい。ただ、60分からのゲームコントロールはチームとしての課題になりそうだ。
試合結果
2024.10.27
プレミアリーグ 第9節
チェルシー 2-1 ニューカッスル
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:18′ ジャクソン, 47′ パーマー
NEW:32′ イサク
主審:サイモン・フーパー
ウェストハム【15位】×マンチェスター・ユナイテッド【12位】
ロンドンで旅を終えたテン・ハーグ
不安定な成績が続く両チームの一戦。立ち上がりの展開も互いに非常にバタバタとしたもの。高い位置でのハイプレスを掛け合う形で相手のバックラインに襲いかかる。
特にプレスに強い意識を見せていたのはウェストハムの方。ソレール、ロドリゲスのジャンプから人を捕まえにいく形でマンツー気味のプレスにいく。仮に抜けられたとしても前線は根性のプレスバックでなんとか間に合わせる形をキープ。でて行った時にひっくり返されるリスクを運動量で潰す。
マンチェスター・ユナイテッドはフリーランでマンツーのプレスを回避。特に相手のCHを前と後ろに開かせるようなフリーランを仕掛けることで他の誰かが中盤の中央を使えるような設計がなされていた。中央のスペースに立つことが多かったのは少ないタッチで裏に抜けるガルナチョをアシストしてあげられる選手。特にホイルンドとブルーノがこれに該当する。マンツーでやや後手を踏んでいたウェストハムは徐々にリトリートの成分を増強して構えるようになる。
しかし、マンチェスター・ユナイテッドの前進は縦パス+裏抜けの縦に速い設計。ウェストハムの前進も左のエメルソンからアントニオに縦パスを当てて一気に進んでいく形だったので、徐々にオープンさが出てくるという流れだった。
チャンスが多かったのはマンチェスター・ユナイテッドの方だろう。一番インパクトが大きかったのは抜け出したダロトの決定機逸だろうが、前を向いて仕掛ける機会が多かったガルナチョももう少し大きな成果を残したかった感もあった。それでも押し込みながらセットプレーでチャンスを作るマンチェスター・ユナイテッドが相対的には優勢な形で前半を終える。
後半も縦に速い展開からスタート。中盤でのワンタッチ裏抜けからチャンスを作りアップテンポな展開を作り出す。
後半はウェストハムが押し込む展開を作っていく。先制点は敵陣でのカットから。ガルナチョ→ブルーノのパスをカットし、右サイドからのカウンターを発動。ボーウェン、イングスと繋ぎ、サイドはHT3枚替えの一角であるサマーフィルが仕留めて先制する。
それでもマンチェスター・ユナイテッドはガルナチョの左サイドからのクロス連打で反撃。拙いボックス内の対応を見せたウェストハムに対して、最後はカゼミーロが押し込んで同点に追いつく。
一進一退の攻防となった試合は微妙なPKで決着。デ・リフトの信じられない表情を意に介さず、ボックス内での接触はOFRの末にPKが宣告される。これをボーウェンが仕留めてウェストハムが後半追加タイムにリードを奪う。
試合はこのまま終了。試合後にテン・ハーグは解任の憂き目に。ロンドン・スタジアムでの敗戦でテン・ハーグのマンチェスター・ユナイテッドは幕を閉じることとなった。
ひとこと
まぁ、あのPKをOFRされるのは気の毒ではあるが、試合を通してどっちに転がってもおかしくない展開にしてしまったのは正直マンチェスター・ユナイテッドという看板を考えると力不足だなとは思う。
試合結果
2024.10.27
プレミアリーグ 第9節
ウェストハム 2-1 マンチェスター・ユナイテッド
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:74′ サマーフィル, 90+2′(PK) ボーウェン
Man Utd:81′ カゼミーロ
主審:デビッド・クート
アーセナル【3位】×リバプール【1位】
アーセナルの左の縦ルートが終盤戦の命運を握る
レビューはこちら。
3位と首位の決戦となったエミレーツ。アーセナルはリバプールとの勝ち点差を縮めるため、リバプールはシティが暫定的に座っている首位の座を取り返すために負けられない一戦である。
立ち上がりは両チームのプレスのカラーがはっきりしたスタートだった。センターラインの選手に片側からプレスをかけて、サイドに誘導し、ここからボールを蹴らせるスタンスだったのはアーセナル。SBに復帰明けのティンバーと本職ではないトーマスを置くという不安要素があるだけに、前からのプレスをきっちりすることで相手の前線にボールを簡単に渡さないようにする。
前線のプレスに応えるようにトーマスとティンバーはボールが届く前に寄せることで不利なマッチアップを回避。ヌニェスも含めてロングボールへの対応は安定しており、不安のないスタートとなった。
対するリバプールはFW-MF間をコンパクトにしつつ、機を見てトップに襲い掛かるスタンス。アーセナルのCBはリバプールのCBに比べるとゆったりとボールを持つ余裕があった。
この余裕を活かしてアーセナルは先制点をゲット。時間を貰ったホワイトから右サイドのサカへのフィードが通ると、対面のロバートソンを交わして最後はケレハーとの1on1を制してゴール。この試合にサカが間に合った価値を十分に示すゴールとなった。
前進のルートには苦しんだリバプールもセットプレーから反撃。ディアスのニアフリックをファン・ダイクが合わせる形で同点とする。
だが、このゴール以降もペースを握ったのはアーセナル。サラーの背後に忍んだティンバーからグラフェンベルフやジョーンズを動かすことで中央のトロサールを解放。これにより左右のWGに対して安定して対面のDFと勝負できる環境を整えられるようになった。
押し込む機会を作ったアーセナルは前半終了間際に勝ち越しゴールをゲット。ファーサイドのメリーノ目がけたFKからハーフタイム前にリードを奪う。
後半、アーセナルは右サイドから押し込むスタートになるが、ガブリエウの負傷によって暗雲。さらには対角フィードや中盤でのドリブルから大外のディアスやサラーに届けるルートを確立。リバプールはサイドでの勝負が成立するように。
ハイラインを担保できるガブリエウの負傷とサイドでのWGからの仕掛けの形が整ったことでリバプールは後半に攻勢に。相手を押し込んだ後の攻略という意味ではガクポ、ツィミカス、ショボスライの途中交代組もアクセントに。
しかしながら、押し込まれることには慣れているアーセナル。ましてや11人であるならばなおさらである。だが、この日のアーセナルは11人である分、押し返すことが出来る。ティンバーの負傷でLSBに入ったルイス=スケリーは列を上げて逆サイドからの攻撃を引き取るのがうまいため、高い位置を取ることが多かった。
ルイス=スケリー→マルティネッリorトロサールの左サイドの縦関係はアーセナルに3点目をもたらす可能性もあったが、結果的にはこちらサイドの攻め手がリバプールの同点弾のきっかけに。上の縦ルートの攻撃を寸断したリバプールはアレクサンダー=アーノルドからヌニェスへのフィードでアーセナルの左サイドを完全に破壊。最後はサラーが沈めて同点に。
終盤戦は再びアーセナルがギアアップしてゴールを狙っていくが、あと一歩のところでゴールに迫り切れず。試合はタイスコアで幕を閉じた。
ひとこと
アーセナルはできることをやったし、リバプールは後半に主導権を握り返す設計図をきっちり描いていた。プレミア上位勢同士らしいレベルの高い一戦だったように思う。
試合結果
2024.10.27
プレミアリーグ 第9節
アーセナル 2-2 リバプール
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:9‘ サカ, 43‘ メリーノ
LIV:18’ ファン・ダイク, 81‘ サラー
主審:アンソニー・テイラー