Fixture
プレミアリーグ 第5節
2020.10.17
マンチェスター・シティ(14位/1勝1分1敗/勝ち点4/得点6 失点7)
×
アーセナル(4位/3勝0分1敗/勝ち点9/得点8 失点5)
@エティハド・スタジアム
戦績
近年の対戦成績
直近5年間でシティの8勝、アーセナルの4勝、引き分けが2つ。
シティホームでの対戦成績
直近10試合でシティの6勝、アーセナルの2勝、引き分けが2つ。
Head-to-head from BBC sport
・マンチェスター・シティは直近9試合のプレミアでのアーセナル戦で負けなし。2015年のエティハドでの敗戦以降いずれも2得点以上を決めている。
・アーセナルは負ければ74-77年(イプスウィッチ)以来の同一対戦相手にリーグ戦7連敗となる。
・アーセナルは2015年の1月以降の直近9試合のシティとのアウェイゲームで1勝のみ。
・しかしながら、直近の公式戦での対戦ではアーセナルが勝利。FA杯準決勝にて、ピエール=エメリク・オーバメヤンの2得点でシティを下している。
スカッド情報
【Manchester City】
・イングランド代表をハムストリングの負傷で離脱したラヒム・スターリングはフィットの見込み。
・ベルギー代表の試合に出場できなかったケビン・デ・ブライネは出場可否が不透明。
【Arsenal】
・デッドラインデーに獲得したトーマス・パーティにデビューの可能性。
・スチュアート・アームストロングとの濃厚接触の疑いで自己隔離を続けているキーラン・ティアニーの出場可否は不透明。
Match facts from BBC sport
【Manchester City】
・3試合終了時の勝ち点4は10-11以来の最低の数字。
・開幕2試合のホームゲームで連敗したことは過去に2回だけ(30-31,53-54)
・ホームゲーム連敗になればマヌエル・ペジェグリーニ政権時代の2016年2月以来初めてのこと。
・ボトムハーフでその節を迎えるのは今季3回目。それ以前の375節分と同じ数字。
・リーグ戦3試合勝ちなしになれば2017年4月以来(4試合勝ちなし)のこと。
・直近10試合の『トップ6』相手のホームゲームで勝ち点25を得ている。敗れたのは2019年12月のユナイテッド戦のみ。
・ケビン・デ・ブライネは直近8試合の先発したアーセナル戦で7得点(5G2A)に絡んでいる。
・ラヒム・スターリングは昨季開幕から公式戦34得点でプレミアで最も多くの得点を稼いでいる。
【Arsenal】
・直近12試合のリーグ戦で8勝。それ以前の28試合よりも1勝多い。
・直近12試合のリーグ戦で得た勝ち点は25。リバプールと並んでリーグ最多。
・開幕5戦で4勝すれば13-14シーズン以来初めて。
・しかし、直近28試合の『トップ6』とのアウェイゲームで未勝利。最後の勝利は2015年1月に2-0でエティハドでシティを下したもの。
・ここまで記録したシュートは29本。これより少ないのはウェストブロムとバーンリーだけ。しかしながら、決定率は28%。これより高い数字はレスターのみ。
・ピエール=エメリク・オーバメヤンはプレミアでのシティ戦で450分無得点。イングランドでは最も相性が悪い相手。2018年の3月の対戦ではPKを失敗している。しかし、昨季のFA杯準決勝では2得点を決めている。
・アレクサンドル・ラカゼットがゴールを決めれば、アーセナルでは初めてのリーグ戦4試合連続得点になる。
展望
■シティに勝つためのステップは
対戦成績を見れば有利なのは圧倒的にマンチェスター・シティの方だ。「2015年1月以降、28試合ものビッグ6とのアウェイゲームで勝利を逃し続けている」という一点だけでも、アーセナルはデータ的には間違いなく不利。その2015年1月に勝利をしたスタジアムがエティハドであるという事実を乗せたとしても、15/16以降の5回に及ぶエティハド遠征でアーセナルが得た勝ち点はわずかに1である。
とはいえ、マンチェスター・シティが余裕でアーセナルを迎え撃つかというとそれはまた別の話。リーグ戦はここ2試合は未勝利。しかも、全くスタイルの異なる2チームにそれぞれ勝ち点を落としているのだから、シティの悩みも深い。
勝利したウルブス戦ではニアのハーフスペースへの裏抜けを多用して5バックを崩した。レスターはベタ引きだったが彼らが埋めたスペースをシティは攻略することが出来なかった。影を踏むようにずっと人がついてくるリーズ相手には徐々にドリブラーの強引な仕掛け頼みの戦い方になっていった。
シティ対策の1stステップはまずはニアのハーフスペース裏抜けを軸とした同サイド攻略を許さないこと。スペースを消したレスターや人がぴったりついていったリーズのようにやり方は様々だ。このハーフスペースの裏抜けが機能せずにシティのアタッカー陣が徐々に「自分が独力で打開をしなければ」と思ってくれればしめたものである。
次のステップはその独力突破を成立させないことである。リーズ戦ではスターリングがゴリゴリにこじ開けて先制点をゲットしている。ケアしなければいけないのは横移動。深さをひとたび取られると中盤が最終ラインに吸収されてバイタルを空けやすいのがアーセナルの守備陣の弱み。押し下げられてからのカットインのミドルをケアしなければ、高確率でシェフィールド・ユナイテッド戦での失点の焼き直しということになる。深さを作られた後のリカバリーが重要だ。
相手の攻撃を終わらせたアーセナルの次の難関はハイプレスからの脱出。ただ、シティのハイプレスは以前のメンバーに比べるとやや質が落ちているような印象も受ける。アグエロ不在で難しい!というのはわかるけど、プレスの先導役がいなくなってる感じ。ただ、リーズ戦ではCHに入ったフィリップスへのデブライネのチェックが秀逸で、ここから殺傷能力の高いショートカウンターは何回かあった。
アーセナルとしてはCHが前を向けずに中央で相手にサンドされてロストという展開を最も避けたい。最終ラインやサイドのプレイヤーはボールの逃がしどころを作れるかの勝負になる。プレスを回避できれば間のスペースに入り込みながらゴールに迫ることは十分に可能だろう。フェルナンジーニョがでてこなければなおさらである。
迷いどころなのはボールを奪った後のアーセナルの方針である。単純に効果が高そうなのは、長いボールを入れて前線とのスピード勝負をさせること。左サイドでの先発が濃厚なオーバメヤンはもちろん、逆サイドもスピードでは分がいい戦いが見込めるはず。カウンターの運び役として後方からボールを引き出して、ドリブルで相手陣に迫る働きを期待するならウィリアンだし、メンディとの1対1なら勝算ありなペペも捨てがたいところ。
本来ならウィリアンで手堅くスタートして、アーセナルのリードかタイスコアの状況でシティが前がかりになっているところをペペで刺すということをやりたいのだが、ペペが試合に入るのに少し時間がかかるタイプというのが気がかり。もちろん守備は懸念だし、攻撃においてもインテンシティの高い展開にはついていくのが難しくなってしまうこともある。
おそらくシティとしては早く攻めてこられることよりも、ボールを取り上げられて回され続けることの方がしんどいはず。特に後半はこの相手のボール回しに心を折られるような試合展開になることが多い。アーセナルとしては試合を握る時間帯は必ずほしいはずだ。
とはいえシティ相手に90分間エティハドで試合を握れるような力はまだない。レスター戦の模倣がベターだろうか。序盤は我慢の時間帯で撤退守備を主体に入る。ロングカウンターを攻撃の主な手段としてとらえ、前線+WBでカウンターを完結させるイメージ。守備の面では賭けになるが、どこかで使うのだとしたら個人的にはペペはスターターでもいいように思う。
ラカゼット+オーバメヤンの組み合わせがいいか、運び役としてはより適任なウィリアンをオーバメヤンの相方にするかは難しいが、後半に試合を支配するというプランを念頭に置くならば、中央で起点になれるラカゼットは勝負所での投入という考え方もアリだろう。
守備はレーンを埋めること。そして前に出ていき潰すことと裏抜けについていくことの両方が試される。長いボールの出し手ができればより理想的。ティアニーがいないならばCBはマガリャンイス、ルイス、ホールディングを並べるのがベターか。
上の仮定と同じく序盤はロングカウンターを主体にするのならば、後方でつなぎ役としての存在感を発揮するエルネニーよりジャカやセバージョスの方が先発としての優先度は高いかもしれない。もちろん、フィットネスが整っていればトーマスの出番もあるだろう。
シティからすると中盤の組み方がキーになりそうだ。フェルナンジーニョやギュンドアンなど攻守に気を遣える選手をロドリの周りに置くのか。はたまたデ・ブライネやフォーデン、ベルナルド・シウバのようなより前の意識が高いタレントを置くのか。後者の方がリスクは高いものの、立ち上がりから叩きのめすならば強気のスタメン選択があってもおかしくない。
序盤は仕込みの時期と捉えることが多いグアルディオラが愚直に5-4-1攻略に挑むのか。それとも低迷しているチームを活性化させるための秘策を準備してきたのかは蓋を開けてみないとわからない。
アルテタ目線に立つと、90分のうちにどこかで主導権を握る時間を作らなければ厳しいことはアンフィールドで学ぶことが出来た。エティハドのような難所で勝ち点を持ち帰るのにも同じような要件は必要になりそうである。90分間でコントラストをつけながら、エンジンをかけたタイミングで得点というスコアを何とか手繰り寄せたいところ。リバプール戦の負けを「いい経験」とするのは、その敗戦を糧に勝ち点を得てからである。