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「あなたの待ち人は誰ですか?」~2020.8.29 J1 第13節 川崎フロンターレ×清水エスパルス BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第13節
2020.8.29
川崎フロンターレ(1位/10勝2分1敗/勝ち点32/得点36 失点12)
×
清水エスパルス(16位/2勝3分7敗/勝ち点9/得点18 失点24)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

図1

 直近5年間の11回の対戦で川崎の8勝、清水の1勝、引き分けが2回。

川崎ホームでの対戦成績

図2

 直近10回の対戦で川崎の7勝、清水の1勝、引き分けが2回。

Head-to-Head

<Head-to-Head①>
・公式戦直近9試合の清水戦で川崎は無敗(W7D2)
・川崎は対清水戦で公式戦15試合連続複数得点中。

 久しぶりに相性がいい相手との対戦である。直近9試合は無敗。しかも白星がだいぶ先行である。最後に清水が勝ったのは2015年の日本平。ピーター・ウタカが大暴れして、5-2で勝利した試合である。

 とにかく得点がよく入るカードで、特に川崎側に顕著。直近7試合に限れば5試合は3得点以上という固め取りが目立つ。

<Head-to-Head②>
・直近16試合の川崎ホームでの清水戦で川崎は1敗のみ(W8D7)
・等々力での清水の最後の勝利は2014年のリーグ戦。村田和哉の後半ATでのゴールで逆転勝ち。

 ホームゲームでも川崎は強い。直近16試合で負けたのは一度だけ。等々力での最後の清水の勝利は2014年。劇的なAT弾である。川崎は基本的には先制すると強いのだが、このカードはやたら展開が二転三転するシーソーゲームになりがちな気がする。ちなみにこの試合で2点目を取ったのは吉田豊!昔からめんどくさいのかよ!

<Head-to-Head③>
・川崎戦で清水が勝ち点を得た直近4回の対戦のうち、3回は等々力での対戦。
・土曜の川崎ホームでの対戦は過去に9回。うち川崎が勝利したのは2回だけ。(D4L3)

 ホームでは負けていないのだが、清水が勝ち点を取ることが多いのはどちらかといえば等々力の方。去年のように引き分けで粘られることもしばしばである。さらに土曜日に絞ると勝率はダウン。9試合でわずか2勝と、トータルの戦績とはやや異なる傾向が出ている。

スカッド情報

【川崎フロンターレ】

・長谷川竜也は離脱中。

【清水エスパルス】

・ヴァウドは前節負傷交代。
・石毛秀樹に復帰の可能性。

スタメン予想

画像4

Match Facts

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch Facts①>
・勝てなければ今季初の3試合連続勝ちなし。
・公式戦ここ5試合クリーンシートなし。

 去年手を焼いた神戸に敵地で苦しみながらもドロー。名古屋に負けた後のリアクションは要チェックと述べたが、リアクションの判断は「保留」が妥当なところだろう。今節勝てなければ3試合連続勝ちなし。こうなるとさすがに黄色信号といえそうだ。リーグ戦3試合連続勝ちなしは昨年7月~9月にかけての6試合勝ちなし以来のこと。

 気になるのはクリーンシートの少なさ。5試合連続失点は2017年3月以来のこと。鬼木監督就任直後のことで、6試合に伸びれば鬼木監督の指揮下では初めてのことになる。 

<川崎のMatch Facts②>
・ホームゲームは5連勝中。
・直近7試合で複数得点が6試合。

 直近2試合の未勝利はアウェイゲーム。ホームゲームは中断後の連勝は未だに継続中である。また得点力は健在。前節の神戸戦も、少ないチャンスをモノにする決定力で引き分けに持ち込んだ。連勝は止まってもリーグトップの得点数の力は依然感じられる。

<川崎のMatch Facts③>
・レアンドロ・ダミアンは清水戦3試合連続得点中。
・チョン・ソンリョンはここまで33本の枠内シュートを浴びている。

 ここ数試合のダミアンは調子がいいのか悪いのかわからない。神戸戦はそもそもそんなにボールが届いていなかったように思うし、長谷川と家長とのセット解体後は何となく連携が伴わない気もするが、それでも点は取っている。そんなダミアンは清水戦は過去3試合の出場で3得点。来日以降のすべての清水戦で得点を挙げている。ここらでまだ「ダミアン平気?」感が出てきたのでいっちょやってやってくださいよ!

 この項で扱うデータは先週末の試合までを反映したもの。水曜日の試合は反映されていない。ここまでリーグ戦フル出場を続けているソンリョン。33本という枠内シュートは出場時間の割にかなり少ない方である。1000分以上出場しているGKは彼以外に2人いて、ジンヒョンと西川。それぞれ54本、52本であることを踏まえるとそもそもシュートを打たれている数が少ない。川崎の失点の少なさはそもそも打たれていないことである。ランゲラクが990分で30本なので割合的にはほぼ同じくらいである。

【清水エスパルス】

<清水のMatch Facts①>
・リーグ戦は3試合勝ちなし。
・クリーンシートは今季15試合で1つだけ。

 クラモフスキー就任の清水はなかなか成績がついてこない。リーグ戦は3試合勝ちなしで今節敗れれば今季二度目の3連敗となる。12試合で勝利は2勝だけというのはあまりにも寂しい。

 足を引っ張っているのが失点の多さ。クリーンシートはわずかに1で、15試合のうち6試合が3失点以上。得点力は6位タイと悪くないのだが、ワースト2位の失点数が足を引っ張っている格好だ。

<清水のMatch Facts②>
・直近9試合の公式戦のアウェイゲームで未勝利(D3L6)
・今季公式戦の35失点のうち、14失点が残り15分のもの。

 アウェイゲームには勝てておらず、最後の勝利は昨年の天皇杯の鳥栖戦。直近9試合は勝ちなしと非常に厳しい。ただし、直近3試合はいずれも引き分けに持ち込んではいる。

 粘りが足らないのは試合終盤。最後の15分で全体の40%の失点を喫している。5回のリードも2回しか守れておらず、逆転負けも2回。終盤の守備には課題が残っている。

<清水のMatch Facts③>
・セットプレーからの得点率が39%で湘南に次いで多い。
・梅田透吾は今季最も枠内シュートを浴びている選手(62本)

 強みはセットプレーからの得点だ。大分戦で固め取りしているとはいえ7得点は立派。得点の割合でいえば湘南に次いで多い。川崎相手にはまずセットプレーから先手をとれれば試合を優位に進められることだろう。まずは川崎を焦らせたいはずだ。

 ルヴァンカップでヴォルピを見て、あのGKのフィードを組み込まれたら嫌だなと思っていたのだけど、ゴールマウスには開幕戦から梅田が立ち続けている。そんな彼が先週末までに最も多く枠内シュートを浴びた選手(2位が菅野だったのでミッドウィークで入れ替わったかもしれない)。そもそも矢のようにシュートを浴びるから失点が多いという当たり前の話である。19歳の守護神は川崎に立ちはだかることが出来るだろうか。

展望

■時間を作れなければ牙が剥かれる

 神戸戦は撤退することで相手にボールを譲った形だったが、清水戦では再びボールを握って動かすことに注力したいところである。

 横浜FC戦の清水の守備は4-4-1-1というべきか4-4-2というべきか。後藤とカルリーニョスがプレス隊の2名である。この試合における清水のブロックの特徴的な挙動は後方の数的優位に対して、数を合わせに行くことである。横浜FCはCHの佐藤がやや下がり目で受けることでゲームメイクの役割を担っていた。

 数合わせのプレスということは自体は悪くはない。ただ、問題があるのは捕まえに行くタイミング、そして周りである。プレスの援軍は後方から長い距離を走って2列目から飛び出す形で遅れてやってくる。シンプルにボールホルダーを捕まえるのが間に合っていない。そして2トップもそれに連動して周りを塞ぐわけではないし、SHも同様。真横にも大外にもパスコースはあるし、当然2列目が出てきたスペースも空いている。

画像3

 連動しないプレスで自ら前進を許しているように見えた。この守り方は同時に動く選手の数が少ないブロック守備が川崎のボール回しと相性がいいはずだ。逆に言えば、ここで優位が取れずにボールが行きかう展開になれば清水ペース。中2日と中6日で走りあいの勝負はいくら何でも分が悪すぎる。後手に回りがちなプレスに対して、ボール回しで先手を取りたい。

 清水の攻撃はサイドが軸。押し込めた時はトライアングルを作ってアタックをかけるシーンもあったが、どうやって押し上げるかと高い位置からボールを取るかは未整備なので、頻度はどうしても少ない。低い位置からのビルドアップは西澤の1対1か金子の裏抜けが主な武器。早い攻撃は脅威でハイテンポに持ち込まれないように攻守で注意しながら進めていきたいところである。

■待ち人は来るか?

 さて、清水戦における川崎にとってもう1つ大事なことはスカッドのお話。神戸戦で主力の疲労を感じなかったファンはまずいないだろう。ここまでの川崎は18人の中でスタメンと途中出場をローテーションさせてきている。このやり方は特に連勝中は効果を発揮していたと思う。プレータイムが18人の中で均質化することで、コンディションを保つことが出来ていたためだ。しかし、連続するミッドウィーク開催でこの18人がそろってコンディションの水準が下がってきたように思う。

 というわけで中2日の2セット目であり、中3日で次の試合を控えるこの試合では18人からスカッドを拡大するような用兵が望まれる部分となる。具体的には山村和也、ジオゴ・マテウス、齋藤学、中村憲剛。長谷川竜也はまだ早いだろうか?イサカゼインや原田虹輝は出番が回ってくるだろうか?

 おそらく、山村和也は問題なく起用されると思う。出場時の安定感は折り紙付き。派手さとスピードはなくとも、高水準でプレーできるオールラウンダーであり、個人的には貴重な存在であると思う。ジオゴ・マテウスも問題ないはず。大分戦では精度が高いクロスを見せてくれた。出場の際には期待が持てるだろう。

 リハビリの程度が不透明な中村憲剛に関しては何も言えることはない。本人が8月の復帰を目標としていたが、これが8月最後の試合になる。

 気になるのは齋藤学。途中出場した札幌戦ではプレー選択に渋いところがあり、カウンターのブレーキになってしまう場面もあった。サイドでの攻撃に絡むと近めに目が行きがちで崩しが狭くなってしまうことも多い。現状では左はドリブラータイプの長谷川と三笘、右はタメを作れる旗手や家長かストライカータスクでの小林や宮代が優先となっている。彼らに比べるとここまでの齋藤は確かにインパクトを残せていない。現状の序列は納得感がある。

 だからこそ、この清水戦は齋藤を待つファンが多いはず。三笘は負傷明け、旗手は出場時間が嵩んでいて、長谷川はもうすぐ戻ってくる。本人の性格を考えるとキーマン的起用で気負うのを避けるためにも頭からの起用が適しているのではないかなと思う。2試合勝利がない川崎にとってもこの試合は重要。途中交代でブレーキになることは避けたいはずだ。

 シーズン中盤の序列を占う一戦になる清水戦。疲労困憊の18人を助ける「待ち人」になれるのはどの選手だろうか。

参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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