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「超えるべき『昨年の壁』」~2020.9.13 J1 第16節 川崎フロンターレ×サンフレッチェ広島 BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第16節
2020.9.13
川崎フロンターレ(1位/13勝2分1敗/勝ち点41/得点47 失点15)
×
サンフレッチェ広島(9位/6勝3分5敗/勝ち点21/得点22 失点14)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

図1

直近5年間の10試合で川崎の6勝、広島の4勝。

川崎ホームでの対戦成績

図2

直近10試合で川崎の6勝、広島の3勝、引きわけが1つ。

Head-to-Head

<Head-to-Head①>
・直近10試合において当カードに引き分けはない。
・直近4試合は両チームが交互に勝利している。

 白黒はっきりつける!というのがこのカードの対戦成績の特徴。直近10試合で当カードで引き分けはない。最後の引き分けは2014年の等々力。大久保嘉人と佐藤寿人の両エースが1得点を分け合った試合が最後である。

 ちなみに直近4試合は川崎と広島が交互に勝利している。順番で言えば今回は広島が勝つ番だが。

<Head-to-Head②>
・直近10試合においてホームチームとアウェイチームがそれぞれ5勝ずつ。
・直近7試合の等々力での試合で広島は4得点のみ。

 過去10試合の勝敗をホームとアウェイ別に見てみるとともに5勝ずつ。ホームもアウェイもあまり有利はなさそうである。

 ただし、広島は直近の7試合の等々力での得点が非常に少ない。直近2試合の勝利は0-1でのもの。広島的にはロースコアに持ち込みたい試合かもしれない。

<Head-to-Head③>
・直近5回の広島の勝利はすべて1点差によるもの。
・2003年以降、広島が川崎に勝利した試合はすべて広島が8位以上の順位で迎えた試合。

 このカードで広島が勝利するパターンでは僅差のスコアであることが多い。広島が最後の2点差以上で川崎に勝利したのは2013年のエディオンスタジアム。佐藤寿人のハットトリック。嫌な思い出はいつだって佐藤寿人。当時はファンじゃないけど、プレビューでいくら調べても彼以上の川崎キラーはいない。

 広島が川崎に勝つパターンをもう1つ見てみると、2003年より後は全て広島の順位が8位以上の時。今回は9位でこのジンクスからは外れている。

スカッド情報

【川崎フロンターレ】

・長谷川竜也はフルトレーニング復帰済み。
・旗手怜央は前節後半に負傷交代。

【サンフレッチェ広島】

・スカッドに主だった負傷者はいない。

スタメン予想

画像5

Match Facts

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch Facts①>
・今季得たPK5回はリーグ最多タイ。
・ビハインドから得た勝ち点は16。リーグ最多。

 神戸戦では2つのPKで競り勝った川崎。得た5回のPKはFC東京と並んで最多タイ。PKは全て決めておりこれはリーグで単独トップ。PAに攻め込む分、PKを得る機会が多いのだろう。

 同じく神戸戦で経験したシチュエーションだが、ビハインドからの逆転勝ちが多い。ビハインドを経験した7戦のうち5回は逆転勝利。ホームゲームの3回は全て逆転して勝利にもっていってる。ビハインドから得た勝ち点16は昨シーズンのどのチームよりも多い。

<川崎のMatch Facts②>
・ホームゲームは8連勝中。
・勝てば昨季のホームゲームの勝ち点を上回る。

 ホームゲームは好調で8連勝中。この試合で勝てば昨年のホームゲームの勝ち点を上回る。昨季は渋かったからね。ちなみにホームでの得点数はすでに超えている。昨季の21得点を超える23得点。試合するたび消化不良感が否めなかった昨季の憂さ晴らしをするかのような大盤振る舞いだ。

<川崎のMatch Facts③>
・中村憲剛が出場した2試合連続でリーグ戦の得点を決めれば2016年10月以来。
・大島僚太は今季18本のシュート。あと1本で昨季の自身のシュート数に並ぶ。

 1年前、等々力での広島戦で止まってしまった中村憲剛の時計は2週間前の清水戦で再び動き出した。大怪我を乗り越えての復活ゴールは多くの川崎サポーターの心を動かした。その清水戦以降、出番がない中村憲剛。等々力での広島戦という舞台で再び出番はあるだろうか。

 中村憲剛2世とかつては呼ばれた大島僚太。今季は得点に絡む部分で改善がみられる。神戸戦では見慣れないヘディングでの決定機のシーンもあった。4-3-3になりインサイドハーフの攻撃参加が求められるようになったこともあり、シュートの本数は昨年より多い。特に枠内シュートに限れば2017年以降すでに最多。すでに昨年の倍の枠内シュートを撃っている。

【サンフレッチェ広島】

<広島のMatch Facts①>
・勝てば今季初のリーグ3連勝。
・トップハーフの相手は5戦1勝(D1L3)

 勝てば今季初の3連勝。今季3回目の3連勝チャレンジになる。今季ここまでのリーグ戦の戦績を振り返ると2連勝と4戦勝ちなしの繰り返し。今は3回目の2連勝を達成したタームである。何とかこのループを脱出する勝利を挙げたいことだろう。

 ちなみに今季上位の相手には苦戦中。開幕戦の鹿島戦を除けば、現在のトップハーフ相手に勝利を挙げていない。ボトムハーフ相手には9戦5勝と好調。そろそろ上位相手に会心の勝利が欲しいタイミングだ。

<広島のMatch Facts②>
・アウェイで失点した試合は全て敗戦。
・失点数はリーグで4番目に少ない。

 広島の特徴は失点が少ないこと。彼らより失点が少ないのは鳥栖、名古屋、C大阪の3チームのみである。アウェイでの失点も5と少ないのだが、失点した試合では全て敗戦している。ここまでの広島はアウェイで勝ち点を得るにはシャットアウトしかない状況だ。

<広島のMatch Facts③>
・ドウグラス・ヴィエイラは決勝点を3得点決めておりリーグ最多。
・レアンドロ・ペレイラは直近4試合で3得点。

 ドウグラス・ヴィエイラは今季決勝点が3得点。決勝点3得点はリーグ最多タイ。他の得点者を見てみるとレアンドロ、オルンガ、レオナルド、小林悠、三笘薫。この5人と比べるとドウグラス・ヴィエイラは5得点と最もゴール数が少ない。だが、大事な場面で得点を決めるクラッチシューターである。

 もう1人、前線の主力となっているのがレアンドロ・ペレイラ。直近4試合で3得点と好調。昨年の等々力でもゴールを決めたこともあり、2年連続の得点を虎視眈々と狙っているはずだ。

展望

■難点を乗り越えさせない

「CBのボール保持におけるスキルがボトルネックになっている。ビルドアップによる引き出しが増えれば相手をさらに苦しめることができる。」

 昨年の広島戦のレビューで自分はこのように広島の印象について述べている。あれから10カ月が経つが、城福監督がこの課題をクリアして前に進めているか?といわれると難しいところである。3CBは数的優位の確保にはいいが、FWへの長いボールとWBにシンプルにボールを預けるやり方が主。相手のマークを動かしながら前進する工夫が見られているとはいいがたい。

 広島のWBといえば柏。しかし、直近の試合を見ると1on1での局面で仕掛けて打開する動きはあまり見られなくなっている。左サイドは佐々木、柏、森島を主とした多角形形成からの裏抜けを試みる比率が高くなっているように見えた。逆サイドのWBにMFタイプの茶島が使われるケースが出てきていることも考えると、サイドでのWBに依存した打開から人数をかけた崩しへとシフトしたい可能性もあるようにも思う。ハイネルのCH起用も踏まえるとむしろアクセントが欲しいのは中央なのかもしれない。

 ビルドアップルートとしてWBに届けるという選択肢以外の引き出しが増えてこないとなると、WBからの崩しは工夫する必要がある。WB個人の突破力に依存しないならばコンビネーションでの熟成を進めていく必要がある。森島、佐々木、柏の左サイドの連携は熟成されているが、相手を苦しめる確固たる武器というところまで昇華しているかは微妙なところ。結局はレアンドロ・ペレイラとドウグラス・ヴィエイラの両外国人選手にボールを早めに預けて彼らにCBと勝負してもらう方が効率がいい気もする。彼らは前線の起点として十分に機能している。

 守備面では特徴がはっきり。広島はもしかすると今のJ1で最もリトリートの志向が強いチームかもしれない。CBにプレッシャーはほぼかけることなく、シャドーは低い位置まで下がりSBをケア。5-4-1ブロックの数的優位を生かし、中央は人についていくチャレンジ&カバーの守備が中心になっている。

画像5

 時折シャドーのドウグラス・ヴィエイラが前に残り、WBが前に出ていくシーンもある。ちょっと4-4-2っぽい変形。

 一見、川崎が苦手そうな守備の陣形ではあるが、ボールホルダーに強くあたってはいないし、ボールを誘導してどこで取り切るかが明確でない部分もある。したがって簡単にズルズルと後退してPA内勝負という形に持ち込まれるケースも少なくない。広島が仙台戦や札幌戦と同じ方針で来るのならば川崎がボールを保持する時間は相当多くなると思う。保持してPA勝負まで持ち込めるのならば、今季は十分に川崎は戦えるはずだ。

 しかし、直近の清水戦の広島は様子が違った。外をWBに任せて、3トップは内側を締める。重心も札幌戦や仙台戦に比べれば前寄りになっていた。この試合の両WBは茶島と東。ボール保持時はWB単独ではなくシャドーとコンビネーションで崩す志向は強めだった。ただ、この試合はメンバーを入れ替えており、入れ替わった人起因なのか直近の試合を見ての修正なのかは判断がつかない。あるいは変わっていく途上のチームを見ているのかもしれないけども。個人で言えば斜めの動きがアクセントになるエゼキエルは結構面白い存在になりそうだ。

画像5

 いずれにしてもボール保持において川崎のCBには時間が与えられるのは間違いない。totooneでスタメンで起用が予想されていた山村にとってはうってつけの展開だろう。広島の後方はブロックを敷いた時にも人によって動かされる部分が多い。先手を打ってボールを持ちあがりながら相手が動くのに合わせて崩していきたいところ。オフザボールで揺さぶり続ければチャンスは必ずできる。もし、清水戦のように前から出てくる場合ならばWBの裏のスペースに抜ける動きは重宝しそうである。

 逆に広島の攻撃時はなるべくPA付近までボールを運ばせないのが肝要である。広島はPAまで持ち運ぶ手段に課題があるチームだが、運んだ後のPAで勝負する能力は清水戦で重ねた得点が示す通り。彼らが多くの時間帯で押し込むようだと、川崎の守備陣がどこまで耐えられるかはわからない。機会を減らすことで危険を回避したいところである。

 そしてこの試合を語る上で欠かせないのはなんといっても中村憲剛だろう。人をかけた守備の穴を見抜ける視野と付け入るスキがあるプレス。1年前に大怪我したのと同じ舞台で輝きを放ってほしいところ。チームでも勝てば等々力での昨年の勝ち点を超えると紹介したが、中村憲剛にも昨年立ちはだかった壁を越えてほしいところだ。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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