Fixture
プレミアリーグ 第2節
2024.8.24
アストンビラ(5位/1勝0分0敗/勝ち点3/得点2 失点1)
×
アーセナル(2位/1勝0分0敗/勝ち点3/得点2 失点0)
@ビラ・パーク
戦績
過去の対戦成績
過去10回の対戦でアストンビラの5勝、アーセナルの5勝。
アストンビラのホームでの成績
過去10回の対戦でアストンビラの3勝、アーセナルの6勝、引き分けが1つ。
Head-to-head from BBC sport
- アストンビラは昨年アーセナルにシーズンダブルを達成。23-24のアーセナルの敗戦の40%。
- アストンビラは直近9試合のプレミアでのアーセナル戦のうち5試合で勝利しており、その全てでクリーンシート。5勝はそれ以前の46試合で記録した勝利数と同じ数。
- しかし、アーセナルはプレミアにおけるビラ・パークの試合で14勝。セルハースト・パークと並び、最も勝利しているアウェイスタジアム。
スカッド情報
- スカッドは前節と変わりなし。
- こちらも新たな負傷者の懸念はない。
Match facts from BBC sport
- 勝てば95-96,99-00,20-21以来の4回目のプレミア開幕連勝。
- ホームでの開幕戦は4年連続勝利中。23-24には開幕からホーム8連勝を記録。
- オリー・ワトキンスは2-0でアーセナルに勝利した4/14から6試合連続でプレミアで得点関与がない。アーセナル相手には過去5得点。
- モーガン・ロジャースは直近3試合の出場したビラ・パークの試合で全て得点を決めている。
- ウナイ・エメリはアーセナルとの公式戦7試合で1敗のみ。23年の2月にビラ・パークで追加タイムの2失点で2-4で敗れているのが唯一。
- 2024年のアウェイ9試合で8勝で無敗。28得点で7つのクリーンシート。12試合を記録した2016年以来の無敗のラン。
- 2024年の19試合のプレミアで17勝。唯一の負けが4月のビラ戦。その年初めの20試合で18勝を記録すれば82年のリバプール、19年と21年のシティに並ぶプレミア記録。
- 昨シーズンのアウェイでの11のクリーンシートは2位以下に4以上差をつけるリーグハイ。
- カイ・ハヴァーツは2月中旬以降の15試合で17点に関与(10G,7A)しており、この期間におけるプレミアにおける最多得点関与者。
- しかしながら、ハヴァーツはキャリアにおけるビラ戦7試合で1つのゴールに関与していない。ノーゴールの相手の中で最も多く対戦しているチーム。
予習
第1節 ウェストハム戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
誘引における懸念点
第1節で勝利したチーム同士の試合は3つ。ブライトン×マンチェスター・ユナイテッド、リバプール×ブレントフォード、そしてこのアストンビラ×アーセナル。マンチェスター・シティとニューカッスル以外の開幕戦の勝利チームは潰しあいとなる。
アストンビラとの直近の対戦成績は10戦で5勝5敗と全くの五分。ただし、昨季はアストンビラがシーズンダブルを達成し、アーセナルのタイトルレースにおける大きな障害となったこともあって、アーセナルファンの中には苦手意識が渦巻いているタイミングといえるかもしれない。
前回のアストンビラとの対戦を振り返ると、彼らのトレードマークである保持でかなり振り回された印象だ。特に後半の左右を広く使うビルドアップに、広い範囲で起点として動き回るワトキンスを組み合わせた形は圧巻。ハイプレスに出て行くアーセナルを空転させて、前半に奪われた主導権を取り返し、終盤に競り勝ってシーズンダブルを達成した。
ということでアーセナル目線でのこの試合の争点はアストンビラにこの形を再現させないようにすることになるだろう。ただ、開幕戦のアストンビラには少し違和感があった。自分たちのプレス回避能力の高さを生かすために、あえて相手のプレスを引き込むのが彼らの流儀なのだが、ウェストハム戦ではその引き込むフェーズをすっ飛ばしてとっととライン間のロジャーズに縦パスを入れる場面があった。
考えられる要因はいくつかある。1つはウェストハムのライン間が引き付けるまでもなく空いていた。これは確かにあった。だが、サッカーの目的は縦パスを入れることではなく、ゴールを決めることである。ウェストハムの全体の重心を前に傾けない分、縦パスを刺してからのボールの進みがスムーズではなかった。アーセナルを相手にすることを考えれば、よりCB陣は強固なのでアストンビラからすればより引きつけの重要性は高まる。
やらなかったのはなくできなかったという考え方もあるだろう。そうなれば出てくるのはおそらくキャストの問題だ。CHのオナナはビルドアップにおける耐性は未知数。試合によってムラがあるイメージがあるため、従来のビラの中盤ほどリスクを冒すのは危険と考えた可能性もある。
もう1つは前線のワトキンスの不調だ。からっきしダメだったというわけではないけども、開幕戦はかなり存在感が薄め。タイスコアの状態で早々にベンチに下がっていったことを考えると、まず本調子ではないのだろう。EUROで長期間代表活動していた影響はもちろんあるはずだ。
中盤以上にワトキンスの左右に流れて起点になりつつ、カウンターの推進力をもたらして角度のある所からフィニッシュを決めるという役割は代えが効かない。ビラどころかプレミアリーグを見渡しても同じ芸当を同じ水準でできる選手を探すのは至難の業である。
そういう意味ではアストンビラ側がアーセナル戦でも引きつづき相手のプレスを誘い込むことができない可能性はあるだろう。そうなれば、プレスとビルドアップの駆け引きはアーセナルが有利になるはず。まずはアストンビラの誘い込みの程度がどれほどのものかがこの試合の重要なファクターになるだろう。
前後両面で層間の間延びを誘発する
開幕戦を見る限り、アーセナルは昨季までのベースを引き継ぎながら強度をコントロールしつつ堅く運んでいくという姿勢が見られた。ただ、特にアウェイは昨季よりも厳しい序盤戦なので、試合展開は序盤戦からかなりタフなものになることは想定できる。よって、瞬間的な出力をどこまで上げられるかが問われる試合も出てくる可能性は高い。
そのためには初手で相手の弱みに付け込み、きっちりと先制点を奪い取りたいところである。ウルブス戦でのアーセナルの保持のポイントは4-4-2ベースの相手のFW-MFラインの間に人が出たり入ったりすることで守備の基準点を乱し、スペースを広げて前を向く選手を作ることであった。
この試みは非常に面白いと思う。昨季のスカッドにカラフィオーリ、ティンバーが加わったバックラインはこうした後方での駆け引きはより得意な方に向くだろうし、相手の中盤がアーセナルのバックスに注意が向けば、アーセナルのWGに対するケアは甘くなる。なるべく、前で楽ができるようにボールを渡していきたいところである。
ウェストハムは降りてショートパスをつないでボールを動かしていきたいという感じであったが、前線の裏への抜け出しがないためアストンビラのコンパクトな中央のブロックに縦パスを突っ込んではカウンターを食らっていた。アーセナルはFW-MF間の出入りでビラの中盤を引き付けて縦に間延びさせるという手段もあるが、前線の裏抜けからライン間を広げる工夫も施していきたい。そういう意味ではこちらも相手のプレスを誘い込むことが重要になる。
避けたいのは押し込まれるフェーズで長い時間を過ごさざるを得ない展開。アストンビラは優れたキッカーに加えて、高い打点のヘディングができる選手が多い。開幕直後ということを踏まえると、崩しの精度はそこまでシャープではない可能性はあるが、セットプレーの機会を抑制するという観点で言えば、なるべく敵陣でのプレータイムは増やしていきたいところだ。
苦しい日程の序盤戦ではあるが、ここを乗り切ることができれば勢いに乗れるはず。そのためにも昨季涙を飲んだ難所を攻略し、連勝スタートを決めたいところだ。