WG起点の攻撃から活路を見出した両軍
シーズン開幕を告げるコミュニティシールド。開幕に沸くファンの熱気とは裏腹に準公式戦のようなテンションで行われるというのがお決まりだが、今年もその流れは継続。互いに強引にバックスにはプレスをかけない立ち上がりとなった。
両チームとも組み立ての大枠は変わらないように見えた。ユナイテッドはバックスが自在な移動を見せる。SB起用となったリサンドロ・マルティネスが絞る形に加えて、そのリサンドロ・マルティネスがCBにスライドしつつエバンスが積極的に列上げを見せていた。前半というより試合を通して言えることだが、可変のコストが前進につながってこないという課題は昨季から据え置きのように思えた。また、ブルーノがCFに入っても自在に動くことが印象的であった。
シティも3バック変形からルイスが1列前に入るというお馴染みの移動。マカティーが時折サイドフローするなどWGとSBの合間を埋めるような工夫を見せていた。
どちらかといえば先に主導権を握ったのはシティ。降りていくユナイテッドへの選手に対してのチェックが厳しく、ボールを前に収めることを許さない。奪うと左右のWGからの仕掛けでゴール前まで持っていくという流れであった。
可変がポゼッションに繋がらないという昨季よく見た光景に陥っていたユナイテッドだったが、時間の経過とともに保持は安定。30分が過ぎると押し返せるように。ディアロまでボールを届けることができれば、ボックスに迫る仕掛けは期待できそう。右サイド一辺倒というわけではなく、横断から逆サイドの侵入も促せており、自陣からの保持が整えば悪くない出力を見せられる予感はあった。
とはいえ、互いに様子見の様相の強いコミュニティシールド。前半はスコアはおろか、枠内シュートもない状態でハーフタイムを迎える。
迎えた後半。ユナイテッドがやや強めにプレスに出ていく立ち上がり。前半に比べるとユナイテッドは縦に速い意識を攻守に持っており、攻撃においてもDF裏に2トップを軸に抜け出すアクションを見せることで攻撃を組み立てていく。
よって、シティが押し込みながらサイドからの定点攻撃を仕掛けていきつつ、ユナイテッドがカウンターで勝負を仕掛ける構図になる。どちらかといえば決定機が多かったのはユナイテッドだろうか。カウンターからたびたびチャンスを迎えるが、マクトミネイがコントロールをしきれなかったり、ラッシュフォードがチャンスをフイにしたりなど、なかなかゴールを揺らすことができない。
だが、そんなユナイテッドもようやく終盤に先制ゴールをゲット。ディアロから右サイドの仕掛け役を引き継いだガルナチョがカットインからゴールを決めてついにリードを奪う。シティは対面のグバルディオルの重たさは試合を通して気になったかもしれない。
一方のシティも好調のボブがアシストを記録。こちらもWG起点の攻撃からベルナルドがゴールを奪い、試合は振り出しに戻る。
PK戦もなかなか決着つかなかった試合となったが、8人目となったエバンスの失敗によりシティに軍配。なかなかコミュニティシールドに縁がなかったシティだったが、5年ぶりに開幕前のタイトルを手にすることに成功した。
ひとこと
ボブやディアロといった若いWGのキレの良さが目立っており、昨季からどれだけプレータイムを伸ばせるかが楽しみである。
試合結果
2024.8.10
コミュニティシールド
マンチェスター・シティ 1-1(PK:7-6) マンチェスター・ユナイテッド
ウェンブリー・スタジアム
【得点者】
Man City:89′ ベルナルド
Man Utd:82′ ガルナチョ
主審:ジャレット・ジレット