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「まっすぐのびのび」~2020.9.5 J1 第14節 横浜F・マリノス×川崎フロンターレ BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第14節
2020.9.5
横浜F・マリノス(6位/勝ち点21/6勝3分5敗/得点28 失点24)
×
川崎フロンターレ(1位/勝ち点35/11勝2分1敗/得点41 失点12)
@日産スタジアム

戦績

近年の対戦成績

図1

直近12試合で横浜FMが3勝、川崎が6勝、引き分けが3つ。

横浜FMホームでの対戦成績

図2

直近10試合で横浜FMの4勝、川崎の3勝、引き分けが3つ。

Head-to-Head

<Head-to-Head①>
・直近3年間のリーグにおける対戦成績は2勝2分2敗。
・直近7試合のリーグ戦においてアウェイチームが勝利したのは1回だけ。

 直近は川崎サポーターの方がいい印象を持っていた神奈川ダービーだろうが、昨年末の対戦でその印象も霧のように消えたといってよさそうだ。ここ3年の対戦成績は全くの互角。2勝2分2敗という成績はもちろん、この間に獲った点数は互いに9ずつ。得点数でも完全なフラットだ。

 日産でも等々力でもアウェイチームにとってはここ最近は難しい戦いになっているカード。昨年の等々力を除けば、アウェイチームは6試合勝ちなしが続いている。

<Head-to-Head②>
・直近3試合の日産スタジアムの試合において川崎は勝ちなし(D2L1)
・ただし直近6試合の日産スタジアムの川崎戦において横浜FMが勝利したのは一度だけ。

 日産スタジアムの試合では直近3試合勝利がない川崎。昨シーズンはぎりぎりで勝利がすり抜けていった。最後に勝ってからはすでに3年が経過している。

 しかし、さらにさかのぼるとそこからは川崎の3連勝。横浜FM側からすると、6戦で1勝しかしていない状態になっている。

<Head-to-Head③>
・第14節での日産スタジアムでの対戦は3年前と同じ。
・直近2年間の日産スタジアムでの対戦はいずれもリードした川崎に対して横浜FMが追いつくことで決着している。

 第14節の対戦は3年前に経験済み。日産スタジアムという状況も含めて完全に一致している。この試合はホームの横浜FMの勝利。ウーゴ・ヴィエイラと富樫敬真のゴールで2-0で川崎を下している。

 ちなみに、直近2年の日産スタジアムでの対戦はいずれも後半にビハインドを跳ね返した横浜FMが同点にこぎつけている。リードした試合は強い川崎だが、ここ2年の日産スタジアムでは苦しんでいる。

スカッド情報

【横浜F・マリノス】

・主だった負傷者はなし。

【川崎フロンターレ】

・長谷川竜也はボールを使ったトレーニングに復帰済み。

予想スタメン

画像3

Match Facts

【横浜F・マリノス】

<横浜FMのMatch Facts①>
・リーグ戦直近4試合負けなし。
・ホームでのリーグ戦は直近4試合負けなし。

 直近4試合負けなし。横浜FMは徐々に上昇気流に乗っている。この4試合はいずれも3得点以上。得点力がこの勢いを支えている状態である。

 ちなみにホームでのリーグ戦は直近4試合負けなし。計12ゴールとホームでも得点力が際立っている。

<横浜FMのMatch Facts②>
・クリーンシートはリーグ戦直近6試合なし。
・昨年の同時期より失点が7多い。

 ただし、守備面ではやや不安が残る。ホームでのリーグ戦のクリーンシートは1回だけ。横浜FC戦の1試合のみで他は失点してしまっている。

 昨年の同時期と比べても失点が7多い。リーグ順位で見ても彼らより失点が多いのは札幌、横浜FC、清水の3チームだけだ。

<横浜FMのMatch Facts③>
・現在の順位表でトップハーフにいるチームには未勝利(D2L3)。
・ジュニオール・サントスは直近3試合の先発したリーグ戦で5得点。

 もう1つ不安要素があるとすれば上位勢との対戦でことごとく勝てていないこと。勝利は全て現在のボトムハーフにいるチームから挙げたものである。

 ただし、補強した前線は上位勢にはまだお披露目していない。特に柏からレンタル加入したジュニオール・サントスは勢いが違う。250分のリーグ戦の出場で5得点は覚醒の予感。オルンガの陰に隠れていたポテンシャルが開花しつつある。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch Facts①>
・関東アウェイで最後に敗れたリーグ戦は2018年8月の浦和戦。
・今季関東勢には5戦全勝。

 久しぶりの関東アウェイである。リーグ戦でいえば第5節以来。その第5節と同じく横浜への遠征になったのが今節である。川崎は対関東勢は絶好調。特にアウェイはおよそ2年負けていない。

 そして今季は対関東勢全勝。横浜FMと浦和を倒せば、関東勢にはすべて勝利を挙げたことになる。

<川崎のMatch Facts②>
・直近5試合のリーグ戦で5得点以上の試合が3回。
・土曜日の試合は直近8試合で7勝。

 直近5試合のリーグ戦は大量得点が目立つ。名古屋と神戸には苦しんだものの、それ以外には5得点。ミッドウィークにはその神戸にもカップ戦で6得点と得点力ならば今のリーグでは他の追随を許していない。

 土曜日開催のゲームも好調で直近は6連勝中。ただし、最後に敗れたのは昨年の等々力での横浜FM戦。ここはなんとか乗り越えたいところだが。

<川崎のMatch Facts③>
・三笘薫は直近11試合の公式戦で12得点に絡んでいる(9G3A)
・横浜FM戦直近の3得点はいずれもレアンドロ・ダミアンによるもの。

 課題は得点と本人は言いながらもその得点を積み重ね続けるのだから、三笘薫はすさまじい。後半からの出場が多いにも関わらず、ほぼ毎試合得点に関わっているのだから恐れ入る。ボールを行き来する展開が多くなりそうな横浜FM戦は三笘が輝きそうな絶好の機会。チャンスを狙っていきたいところだ。

 そんな横浜FM戦の直近の得点を見てみると3点ともレアンドロ・ダミアンによるもの。昨季の横浜FM戦はダミアンしか点を取っていないということである。ちなみにそれ以前の2得点は小林悠の得点。FW登録の選手に得点が集中している。

展望

■ひとまずの『最適解』

 片や連勝のリーグ新記録を樹立して首位を快走、片や夏の補強で前線を入れ替え試行錯誤からの巻き返しを図る。昨年の等々力での第33節が終わったときに、川崎が前者で横浜FMが後者の状況になって2020年の神奈川ダービーを迎えると想像した人はほとんどいないのではないだろうか。

 昨年の等々力の対戦は横浜FMの大勝。ここを足掛かりに最終節も押し切って優勝を決めた。この試合ではもちろんいくつか勝因はあったが、大きかったのは両サイドのアタッカーの質。マテウスと仲川輝人はドリブルでもオフザボールでも川崎の最終ラインをスピード勝負で圧倒。ハイラインを簡単に攻略し、多くのチャンスを作り大量得点を決めた。SBの松原やティーラトンを見ても絞りながら起点を作り、外はアタッカー陣に任せる姿勢が非常に目立ち、アタッカーの優位性を活かしたい思惑がそのままハマった印象だ。

 2020年に入り、横浜FMが悩んだのは前線の構成である。仲川はコンディションが整わず、マテウスは名古屋に戻り(そして川崎を苦しめ)、遠藤渓太は海外に旅立っていった。そうなると大外の優位を生み出すアタッカー不在が浮き彫りになる。

 夏になってひとまず悩ましかった前線の優先度は固まった印象だ。左から前田大然、ジュニオール・サントス、仲川輝人or松田詠太郎の3トップがベースになったように見える。いずれもスピードに特化した3トップである。昨年と比べれば、サイドで勝負するというよりはオフザボールのスピードで勝負するという3枚に見える。仲川も昨季に比べるとワイドに張るよりも内側に入り込んでいくイメージが強い。

 少ないタッチ数で攻撃を加速させるパスを繰り出せるマルコス・ジュニオールもスピードを落とさずに相手ゴールに向かうのに欠かせない存在である。左右のハーフスペースに顔をだし、裏抜けにボール関与に汗をかく。もちろんフィニッシュも。

 後方のSBも絞った役割を担うことも減った。SBは大外を回る印象。特に左はこの傾向が強い。右はWGの選手に合わせて、レーンが被らないようなポジションを取る印象が強い。仲川や松田は外からも勝負できるし、松原は縛るよりも動かした方が生き生きするからというのもあるだろう。

 スピードに加えて横浜FMの強みはスプリントを繰り返せる点。トランジッションが増えることは大歓迎。相手がボールを保持しているときは前方のプレス以上に、後方のラインの押し上げが強烈。とりわけ松原や小池、ティーラトンなどのSB陣は高い位置で止めるためにリスクを承知で前に出てくる。

 常に速いスピードで動き続け、相手にもそれを強いるために積極的な押し上げでゲームを早いサイクルで回す。機動力のあるアタッカー陣で相手よりも多く仕留める。それが横浜FMのここ数試合の傾向。ひとまずたどり着いた最適解のようにも見える。

■嫌な時間を作り出す方向にシフトする可能性も

 さて、ではこの『最適解』で横浜FMが来た場合、川崎はどうしたらいいか。早いトランジッションに付き合う真っ向勝負は面白いと思う。守備をしないわけではないが、ジュニオール・サントスがプレスのスイッチとなるイメージは沸いてこない。CBには時間が少しは与えられるだろう。最終ラインのCBで献身的にプレスに走り回るWGをおびき出し、SBで相手のSBをおびき出し、大外から一気にラインを押し下げることは可能。もちろん横浜FMはオフサイドを狙ってくるだろう。駆け引きだ。

画像4

 家長で起点を作って脇坂が外に抜けていく形でもいいし、危ないところで受けるという点ではここ数試合チームで一番といっていい働きをしている齋藤学を使うやり方もあるだろう。他チームに比べれば、前線は出場時間を抑えたマネジメントができており、フレッシュな状態で臨める。ミッドウィークも横浜FMに比べれば、消耗戦にはならなかったのも好材料。

 走力のポテンシャルの部分では劣るので、終盤になって走り負ける可能性もあるが、裏をとる機会を与えてくれそうなやり方を横浜FMが選択すれば序盤から付け入るスキはあるように思う。

 問題は横浜FMが他のやり方を選んだ時だろう。ほとんどターンオーバーをせずに札幌遠征に臨んだことを考えるとガラッと違うやり方で来る可能性も否定できない。いくら走りあいに自信があるとはいえ、今の川崎相手に裏のスペースを空けて受けることを前提で挑むのはリスクがあると考えても不思議ではない。点の取り合いで川崎に勝ったチームはまだ今季はいない。

 というわけで、少しカラーの異なる人選も想定してみる。個人的には仙頭啓矢のWG起用は興味深かった。どちらかといえばゲームメイカータイプの仙頭をサイドに置きながら、人数をそろえて細かいパスで崩そうと試みる様子はどことなく川崎っぽい崩しに見えたからだ。川崎に似ているか似てないかは主観なのでどうでもいいけど。

 ただし、このやり方もトランジッションの機会自体は減っても、サイド攻略に際してSBが自由に動き、被カウンター時にいるべき場所にいない機会が多いので受けに回った時の脆さは変わらない。時間をかけて相手陣を攻略するとなると、攻守のバランスに悩まされるというのは昨年前半戦も悩んでいた印象である。仙頭の出場機会も減っているし、彼が出てくる可能性はそんなに高くないと思う。

 しかし、仙頭を起用せずともボール保持で工夫を凝らしてくる可能性も多いにある。SBを絞ったポジショニングとCHの行動範囲を広げて、相手がどこまでついてくるのかを模索するビルドアップで川崎のプレスをいなすのも面白い。昨年の等々力もまずは低い位置のボール保持で崩された。

画像5

 今季の川崎の弱点はセットされた状況での守り方。そういう状況を作り出すために、ボールを持った時に縦に急ぐ成分を減らす可能性は大いにある。陣容としては後方は変わらないし、やろうと思えばできる揺さぶり方だとは思う。その際の前線の組み合わせは少し難しい気もするけど。

■晴れの舞台になるか

 川崎の視点に立てば、先週の神戸戦の引き分けは繰り返したくないはず。機会を減らしてプレスを自重するやり方を神奈川ダービーで再現することは考えにくい。おそらく前から積極的にプレスに行き、ハイテンポにはある程度付き合うことになるだろう。

 これまで戦ってきたチームと異なるのは、横浜FMはスカッドが厚く、交代選手の質も高い点。前節2点差を追いつかれた神戸戦を見ても器用な試合運びをするチームではないが、エネルギーを持って終盤まで川崎と戦えるチームであることは間違いない。これまでのように終盤の交代で優位に立てる相手かどうかはわからない。

 やはり立ち上がりから遠慮する必要はないように思う。川崎に大量得点の試合が多いのは前線に危機感があるから、出てない選手も準備がされていることを知っているから、そしてこのサッカーが楽しいからだろう。相手がリスクを承知で高い位置から挑んでくるなら、真っすぐ立ち向かうのが一番いいと思う。

 特に得点にも出場機会にも飢えているアタッカー陣にとっては、ダービーという舞台もハイラインも格好のアピールの場。普段の準備を欠かさない彼らならば、緊迫感のあるこのカードものびのびと準備の成果を披露する晴れの舞台に変えることができるはずだ。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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