Fixture
2024.11.26
AFC Champions League Elite
リーグステージ 第5節
ブリーラム・ユナイテッドFC(6位/2勝1分1敗/勝ち点7/得点3 失点6)
×
川崎フロンターレ(8位/2勝0分2敗/勝ち点6/得点4 失点4)
@ブリーラム・スタジアム
Match facts
- ブリーラムは今季ここまで17戦を戦い、敗戦は2つだけ(W13,D2)
- ブリーラムは2024年に日本勢と戦った2試合では得点はなく、2戦未勝利。
- 日本勢との通算戦績は18戦で2勝のみ(D6,L10)
- 川崎はタイ勢との対戦では過去6戦無敗(W5,D1)。うち4試合では3得点以上を記録。アウェイでは3試合全勝。
- 川崎は直近6試合のACLのアウェイでは1敗のみ。
- 負けた1試合はマルシーニョが退場した上海海港戦。
予習
ACLE LS 第2節 セントラルコースト戦
ACLE LS 第3節 浦項スティーラース戦
ACLE LS 第4節 横浜FM戦
予想スタメン
展望
やや出方は読みにくいが・・・
ここまでACLでは2勝2敗と五分。順位は8位とギリギリGS突破圏内にいる川崎。今節は自分たちよりも上の順位にいるブリーラムとの一戦。過去には3戦3勝と相性がいいタイ遠征を迎える。
ブリーラムは今季ここまでは国内リーグは無敗。順位表ではバンコクを下回ってはいるが、これは消化試合の違いの影響。実質的には消化試合が3試合少ない3ポイント差のブリーラムが首位を走っているととらえても問題はなさそうである。
基本的には今季の彼らは3バック。Transfermarktによると、直近のリーグ戦を始めとして数試合では4バックを採用しているが、ここまでのACLではすべての試合で3バックを採用している。
試合運びは割と見た試合ごとに異なる印象だ。第2節のセントラルコースト、第3節の浦項の試合は比較的ゆったりと攻守が入れ替わり、保持側が解決策を探るというターン制バトルっぽい流れになった一方で、第4節の横浜FM戦では縦にボールを付けていくアップテンポな戦いを志向していた。
横浜FM相手に殴り掛かれば、彼らの自慢のアタッカー陣で殴り返される可能性があるというのは日本のサッカーファンにとっては教科書の1ページに書いてある話。ブリーラムは何かその点で勝算があるのかなと思ってみていたが、普通に劣勢になった状態で殴り続けられた上に退場者まで出して試合をめちゃくちゃに破壊されてしまっていた。
というわけでどのようにかかってくるか?という点についてはなかなか予測を立てるのが難しいというのが正直なところである。ゆったりとした保持の場合は、3バックがまずは横にボールを揺さぶりながら、相手の2トップの脇を取りにいく。中央に入る16番のドゥーガルは1列前に入るアクションを取ることもあり、その場合はGKがビルドアップに関与する。
高い位置ではCFのビッソリを軸にしたポストからのコンビネーションが崩しの決め手になる。このビッソリはサイドからのクロスにおけるターゲット役でもありゴールゲッター。高さを生かせるストライカーである。速い攻撃を発動する時においても、長いボールのターゲットにもなる。ハイラインに対しては彼へのロングボールだけでなく、一発の裏抜けを絡めたロングボールを狙ってくるのが特徴だ。
サイドにおける打開力は他のチームに比べると個人的には割引かなと思う。特に横浜FM戦では左WBのレギュラーであるササラックが退場によってこの試合では出場停止処分。川崎ファンはタビナスと再会できるチャンスが広がったということになるだろうか。
いずれにしてもサイドはドリブルでの仕掛けというよりは中央でのタメや横断を活かして滑走するレーンという印象。生み出す場所というよりは享受する場所というイメージだ。
守備においては無理にバックスにはプレスにはかけないのが基本線。特に5バックはフラットで中央を固めるイメージである。きっちりと制御できている展開においては、引いて受けるところと出て行って潰すところのメリハリがはっきりしているので、堅い展開を生み出すことが出来る。
ただ、潰しに無理が効くという感じはしないので、追いかける展開になるとどう転がるかは怪しいところ。どんな相手でもそりゃそうという話ではあるのだが、先制点を奪われてブロックを組まれる流れが一番厄介な展開になるだろう。
5バックを面で壊すイメージで
この試合の前に突破の皮算用の話をするのであれば、なるべくのところ年内で勝ち点を稼いで、来季の頭に無理をしないで済む仕上がりに持っていけるのが理想。新監督就任が確実な来季において、1月に命運をかけた試合を行う!というのは出来る限り避けたいところである。
なので、このブリーラムと山東との連戦はなるべくであれば勝利を挙げたいところ。コンペティション的な位置づけにおいてはリーグとのリソース配分の優先順位はもうはっきりしているので、残り2つを勝利するためのマネジメントをしてほしいところである。
出方は試合ごとにバラバラと述べたのだが、基本的にはブリーラムは相手のバックスにはプレスをかけてこないことが多く、後ろに重心を固めるチームという認識だ。ただ、ライン間のコンパクトさはややルーズで、プレスの傾向が強まるほどあっさりと間延びが引き起こされる面もある。
変化をつける手段として最も簡単なのは前線の選手の降りるアクション。間延びしたライン間に降りればブリーラムは最終ラインからそれを追いかけるようにプレスが出てくる。
ブリーラムの守備の特徴は5バックの内の誰かが迎撃に行くと、全体が中央に圧縮されて穴を埋めるような動きになること。この動き自体は一般的なものだと思うが、埋めた後の横幅がかなり狭く、大外ががら空きになりやすいという構造的な弱みがある。
5バックは面を壊すイメージでとか言ったりするが、大外から押し下げるアプローチは「面で壊す」イメージに近いように思う。中央への縦パスで相手のDFラインの横幅を圧縮し、外から背後を取って壊す。これが撤退された際の崩しの指針になるだろう。
正直なところ、大外から押し下げることにおいて最も頼りになるマルシーニョが出場停止でいないのは大きな痛手。三浦のオフザボールと左足にかかる期待は大きくなるだろう。
逆にナローな中央に強引に突っ込んでいくことになれば、ブリーラムの思うつぼとなる可能性が高い。サイドの選手はきっちりとワイドに張ることで相手を横に広げるアプローチは必要だ。
そういう意味でレギュラーのWGの不在は不安が残る。瀬川、遠野といった中央のレーンでのプレーに適性がある選手がサイドに起用されるかもしれないからだ。
彼ら個人の適性で言えばインサイドの方がベターなのかもしれない。その一方で、試合においては幅を取るアクションをしてほしいポジションに彼らがおかれることもある。この試合で言えば、少なくとも三浦の大外へのコースを空けるためのピン留めくらいには幅を取ることが求められていると思う。
本人にとってはもどかしい部分かもしれないが、絶対的なレギュラーではない選手は時に適正でないポジションで得意でない振る舞いを強いられるのはよくある話でもある。そういう中でどういう振る舞いをするかは個人的にはとても大事なことだと思う。
ブリーラムが高い位置からプレスをかけてくるのであれば、上海海港戦や浦和戦の水準のビルドアップで十分前進できるくらいにはスペースが空くとにらんでいる。バックスにはおそらく高井が復帰する形になると思うが、バックスにはダイナミックな持ち運びからの打開を期待したい。
守備においてはまずは前線とのデュエルが重要。ビッソリだけでなく、ブリーラムの前線には長いボールのターゲットになる選手がたくさんいる。噛み合わないフォーメーションの中でそれぞれの選手がどの動き出しに対応するかをなるべく整理しながら臨みたいところだ。
ゆったりとボールを持たれる場合は数的不利となる3バックに対する整理をしたいところ。出て行くのであればWGが1つ前にズレる形を後方が連動すること。そのためには追う側が無理のないタイミングで追い始めることが重要。このタイミングが噛み合うかどうかが今季の守備の出来を決めるといっても過言ではない。そういう意味でもサイドの選手にかかる部分は大きいといえるだろう。