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「切れ目につけ込む」~2020.8.15 J1 第10節 北海道コンサドーレ札幌×川崎フロンターレ BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第10節
2020.8.15
北海道コンサドーレ札幌(9位/勝ち点12/3勝3分3敗/得点15 失点15)
×
川崎フロンターレ(1位/勝ち点25/8勝1分0敗/得点23 失点6)
@札幌ドーム

戦績

近年の対戦成績

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直近12回の対戦で川崎の10勝(PK戦までの勝利を含む)、引き分けが2つ。

札幌ホームでの対戦成績

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直近10戦で札幌の1勝、川崎の6勝、引き分けが3つ。

Head-to-Head

<Head-to-Head①>
・通算22回のリーグ戦の対戦において川崎は札幌に負けたことがない(W17D5)。
・川崎が最後に札幌相手に得点できなかったのは2003年5月の対戦。

 川崎は札幌にとって天敵である。昨年タイトルを阻んだからではなく、それ以前からの話。通算22回のリーグ戦において川崎は札幌に負けたことがない。川崎が最後に札幌相手に得点できなかったのは2003年5月の対戦。そしてこれが通算で唯一の札幌が川崎相手に記録したクリーンシートである。

<Head-to-Head②>
・J1での引き分けはいずれもシーズン初めの対戦時のもの(2019,2017)
・札幌がリーグ戦で川崎相手に勝ち点を得た5回のうち、4回は札幌ホームで開催された試合。

 とはいえ川崎には簡単に勝たせてなるものかというデータもある。過去のデータを見るとJ1に昇格してからの対戦における引き分けはいずれもシーズン初めての対戦においてのもの。加えて5回のうち4回は札幌ホームのもの。今回の対戦はシーズン初戦であり、札幌ホーム。一筋縄ではいかない可能性もある。

<Head-to-Head③>
・直近7回のホームでの川崎戦で札幌が無得点で終わったことは一度だけ。
・直近2試合での公式戦での対戦はいずれも直接FKが決まっている(福森、脇坂)

 札幌戦には強い川崎だが、直近7回の札幌ホームでは完封勝利はわずかに1回。ほかは失点を許してしまっている。リーグ戦は2試合連続の完封勝利中だが3に伸ばせるだろうか。

 もう1つこの対戦の特徴として挙げられるのは直接FKからの得点が続いていること。昨季の最終節での対戦では脇坂泰斗が、そしてルヴァンカップ決勝では福森晃斗が直接FKで得点を決めている。

スカッド情報

【北海道コンサドーレ札幌】

・田中駿汰は前節退場により出場停止。
・左膝負傷していた福森晃斗は全体練習合流。
・高嶺朋樹はミッドウィークの試合で負傷交代。
・鈴木武蔵に移籍のため出国。出場不可。

【川崎フロンターレ】

・長谷川竜也は左膝内側側副靱帯損傷で4週間の離脱。
・大島僚太はルヴァンカップでの退場により出場停止。

予想スタメン

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Match Facts

【北海道コンサドーレ札幌】

<札幌のMatch Facts①>
・リーグ戦3連敗になれば2019年3月以来。
・直近の公式戦7試合連続得点中。

 横浜FMに快勝したものの、神戸と清水に連敗。調子は悪いというわけではないだろうが、直近の試合では退場者が出るなどやや波は感じるパフォーマンスである。好調なのは得点力で公式戦7試合で連続得点中。今季のリーグ戦では9試合中6試合で複数得点を記録するなど申し分のない破壊力だ。

<札幌のMatch Facts②>
・今季ここまでホームゲームでのクリーンシートはなし。
・スルーパスからの失点が6でリーグ最多。

 得点は好調なのに成績が安定しないというのはすなわち失点が多いのである。特に失点が多いのはホーム。今季の無失点試合はすべてアウェイで行われたもので、なぜか札幌ドームの方が成績がよろしくない。殴り合い上等なのか?最後に札幌ホームでクリーンシートを記録したのは8試合前の昨年11月の名古屋戦である。

 特に多い失点パターンはスルーパスのようだ。展望の欄に書いたが、マンマークゆえに個人に抜け出されたらおしまいや!という形なのかもしれない。

<札幌のMatch Facts③>
・鈴木武蔵は今季ここまで5得点。59分に1回得点をしている。
・荒野拓馬は直近3試合で4得点に絡む。

 移籍成立するのかどうか、そして川崎戦には出てくるのかどうか。この記事を書いている時点ではどちらも定かではないのだが、いずれにしても鈴木武蔵は絶好調。負傷の時期もあったが、59分に1回というコンスタントさは異常。結果を出しているシーズンといえる。

 結果を出しているといえば荒野拓馬も同様。CHでの最終ラインへ落ちる動きから最前線までこなすユーティリティ性を今季は発揮。今季はすでに4ゴール1アシスト。彼自身のこれまでを振り返るとJ1通算で5ゴール5アシストなので、J1キャリアの半分のゴールを今季8試合でたたき出していることになる。今節はどこのポジションでの起用になるだろうか。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch Facts①>
・リーグ戦は8連勝中。
・直近10試合で複数得点を逃したのは一度だけ。

 「目の前の1試合を」という精神で伸ばしてきた連勝記録ももう8に。ルヴァンカップの名古屋戦で公式戦の連勝記録は途切れたものの、リーグ戦の記録はまだ続いている。

 その強さを支えるのは得点力。直近10試合で複数得点を逃したのはG大阪戦のみ。この試合と開幕戦の鳥栖戦除けばいずれも複数得点を記録している。ちなみにリーグ戦で昨年同時期の得点は11。今季の23と比べると2倍近くの差があることになる。

<川崎のMatch Facts②>
・アウェイでのリーグ戦は7連勝中。
・ここまでの交代選手は43でリーグ最多。

 アウェイでのリーグ戦は昨年のG大阪戦以来7試合連勝中。昨年から得意だったアウェイゲームは依然好調を保っている。交代選手が多いことも川崎の特徴。9試合(初戦は交代枠3)で43人変えているということで、選手交代をフルで使っている唯一のチーム。積極的なターンオーバーを実施していることが浮かがえる。ちなみに最も少ないのは27人の名古屋でした。次点が32人なので割とダントツに少なかった。

<川崎のMatch Facts③>
・鬼木監督は対ペトロビッチのチームには6戦無敗。
・三笘薫は直近5試合の公式戦出場で5得点。

 宮本監督には全く勝てなかった鬼木監督だったが、ペトロビッチ監督が率いるチームには6戦して無敗。ペトロビッチサイドから見ても対川崎戦は5勝8分19敗。最も負けている対戦相手で、1試合平均勝ち点は0.72にとどまっている。

 個人に関するスタッツはこちらも得点に関するもの。三笘は湘南戦でのリーグデビュー以降の5戦で5得点。鈴木武蔵には及ばないが、こちらも77分に1点を決めており非常にコンスタント。出場時の90分平均得点は4.41、チーム平均は2.75と比べるとはるかに高い数字になる。恐るべき新人だ。

展望

■マンマークでのデュエルを想定

 ついったらんどサッカー村界隈ではゾーンの育成年代での普及についての話が出てきている今日この頃。そんな話などどこ吹く風になりそうなのがこの週末の札幌戦である。

 ここ数試合の札幌はボールを大事にするチームとの対戦が続いている。横浜FMも神戸も清水もスタイルは違えど、ボールを持ってどう動かしてやろうか?というチーム。そういったチームに対して、ペドロビッチが用意したのはマンマーク主体の戦い方だった。おそらく川崎相手にもボールを握られる時間は多く出てくるであろう次節もこのトレンドを踏襲した戦い方になるだろう。

 清水戦の戦い方を見てみると、基本的には非保持はピッチ全体でマンマーク。ただし、マンマークのタイトさはピッチの場所によって違う。最も顕著だったのは中盤の3枚。駒井、荒野、深井の3枚は人に対しての守備を基準とする色がピッチの中で最も強かったといっていい。おそらく川崎の3センターに対しては札幌の中盤の3枚がぴったりつく展開になると思う。

画像4

 前線の守備も同じように人で嵌めていくイメージなのだが、中盤に比べるとタイトなプレスは求められていないように思える。担当は決まっているがここでの圧力勝負にはなっていないイメージである。後方も同様で人の数は合っているけど、そこまでタイトなマークにはいかずに人が後ろで余ることもあった。このあたりはぜひ札幌老舗のアジアンベコムさんの前節のレビューをご確認いただけるといいかと思う。

2020年8月8日(土)明治安田生命J1リーグ第9節 清水エスパルスvs北海道コンサドーレ札幌 ~起こるべくして~北海道コンサドーレ札幌の戦術、試合の分析、考察、検証、マッチレビュー1996sapporo.blogspot.com

 清水戦の前半は慎重な部分も見えたが、基本的な理念としては後方の守備は同数を受け入れる姿勢が見受けられる。ひょっとすると札幌ドームではより前に出ていく傾向が強く、清水戦よりも前半からがつがつあたりに来るかもしれない。横浜FM戦ではその強気なスタイルがハマったともいえるが、神戸戦では同数を受け入れた故に個で上回られた失点を喫したりなどここはコインを投げてどちらが出るか!?みたいな部分になっている。

 札幌はタイスコアやビハインドで迎える後半では後方の同数を受け入れる姿勢がより強まる。トランジッション局面において1つのミスや効果的な楔を通されることで一気に1対1の対応を迫られるのはこのスタイルの負の部分。清水戦での田中駿汰の退場はこのツケを払うことになったシーンである。攻撃的な交代も相まって後方の選手は自分が止めなければいけないという意識は強くなるのは当然といえる。

 縦パスで一気に前進することやハイプレスでショートカウンターに移行する場面は川崎が活かしていきたい部分。前節の田中駿汰が警告を受けたシーンのような好機で札幌のスタイルの負の部分をどれだけ叩けるか?はポイントになる。

 札幌の守備においてもう1つの狙いたいのは受け渡しの部分。中盤以外はある程度動きが大きいと札幌の選手はついていくのをやめる。例えば組み立ての局面でも神出鬼没のエウシーニョに対して、対面の菅がひたすらついていくということはせずにあまりにも持ち場を離れていくようにならば放置するという判断をすることが多かった。川崎で言えば登里が内側に絞るのを放っておくみたいなことはあり得るかもしれない。こうしたところからマンマークのズレを狙っていくことが川崎のボール保持で狙っていくべき部分。

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 札幌のマンマークの守備でもう1つ気になるのはSBのオーバーラップに対する対応。相手のSBが大外を縦に抜けるときにも札幌はマークの受け渡しを行うことがある。ただし、相手のSBが走って抜けていくのに対してマークを受け渡された札幌の選手は静止した状態から加速しなければならない。ここの両選手のスピードの差から後手に回る場面があった。というわけでSBが縦に抜けていくときのマークの受け渡しは狙うべき部分といえそうだ。

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■相手の切れ目につけこめるか

 ボール保持においてはいつも通りの4バック+5トップ化がメイン。チャナティップが降りて起点づくりを行う動きもすっかり札幌のトレードマークになっている。

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 形としては例年通りなのだが、ボール保持時の印象としては例年よりも前後が分断されている感じがしない。おそらくこれは福森の不在が大きな影響をもたらしているように思う。彼の長いフィードから左右のWBが対面とデュエルする形がない分、後ろは地道につなぐしかないということではないだろうか。

 どちらの方が札幌としてやりやすいと感じているかはわからないが、川崎としては後方の選手がボールを持ちながらパスコースを探してくる福森不在のパターンはやりにくいのではないかと予想する。川崎の右サイドは前線と後方の守備の連結で怪しさを感じるシーンが多い(下記は大分戦の図)。特にらいかーるとさんも褒めていた高嶺のところからズレを作られると非常にめんどくさい。怪我しちゃったけど。

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 予想スタメンで旗手を右に置いたのは彼がこの部分で最も貢献できると思ったからである。実際、前節の大分相手にもこのズレは利用されかけた部分。大分よりも後方の持ち運びが積極的な札幌の方がここのギャップはうまく使えるように思う。

 もちろん、札幌は従来の武器であるWB突破も健在。特にルーカス・フェルナンデスは非常に好調。1対1ではかなり高い確率で存在感を示すことができる。対人守備には自陣がある登里だが、この試合では非常にハードな役回りを任されることになる。福森が復帰すればこの武器は一層際立つだろう。

 だが、この試合で注目したいのは両チームの切れ目を狙う動き。札幌のマンマークの切れ目を狙う川崎と、川崎のプレスの切れ目を狙う札幌のビルドアップが個人的な注目点。福森が出場すれば違う展開になるかもしれないが、彼が欠場した時はどちらのチームが相手のつなぎ目を狙うことができるかが大事な試合になると見る。

参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
SANSPO.COM(https://www.sanspo.com/)

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