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「Catch up Carabao Cup」〜2024.9.25 カラバオカップ 3回戦 アーセナル×ボルトン・ワンダラーズ ハイライトレビュー

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レビュー

理想的な国内カップ戦の運用

 ベルガモからマンチェスターという中2日行脚をなんとかしのいだアーセナル。ロンドンに戻って休む間もなく中2日で迎えるのはカラバオカップだ。それでもアタランタやシティに比べれば相手との力関係は楽。ボルトンとの試合のスターターにはGKのポーター、SBのニコルズとルイス=スケリー、そしてヌワネリと10代の選手をてんこ盛り。明確に一息入れた状態で結果を取りに行くという布陣であった。

 ボルトンの布陣は5-3-2。バックスに対しては無理にボールを取りに行かず、ミドルゾーンで構える形でスタートする。一般的に5-3-2に対して4バックで立ち向かうときには2トップの両脇を起点としてボールを前に進めていく。アーセナルもそのことをきっちり理解しているようで、ルイス=スケリーとヌワネリはこのポジションに立ち、CBからボールを引き出していくスタートとなった。

 特にルイス=スケリーのポジショニングは興味深かった。従来のアーセナルの左のSBほどインサイドに絞るわけではないのだけども、完全に大外というわけでもない。大外とハーフレーンの間というような絶妙に捕まえにくいポジションを取ることが多い。ほかのSBを例に挙げると、サウサンプトンのウォーカー=ピータースなどはこういう位置でボールを受けて大外とハーフスペースの両睨みでパスをつけていくイメージである。

 2トップの脇から侵入経路を確保したアーセナル。両サイドから深さを取りながらボルトンのボックス内に迫っていく。サカに対しては3人のマーカーが引っ張られることもあったが、特にやりづらそうにはしていなかった。まさに別格感がある。インサイドではヌワネリが散らし役としてサカの良きパートナーを務めた。

 左サイドもルイス=スケリーを入り口にガンガン仕掛けていく。左右ともに順調なサイド攻撃であったが、先に結果を出したのは右サイド。ニコルズが右サイドから深さを取ることで空いたスペースでライスがミドルを沈めてみせた。

 すると、今度は左サイドから攻撃に出たアーセナル。ルイス=スケリーとの息の合った裏取りで抜け出したスターリングの折り返しをヌワネリが沈めてゴール。リードをさらに突き放す。

 ボルトンとしては苦しい時間が続くことになる。若いスカッドがメインとはいえ、CBはカラフィオーリとキヴィオルというトップリーグでの経験が十分にある2人。こちらもリーグ戦とメンバーを入れ替えたというボルトンの前線では太刀打ちは難しかった。失点以降は少し高い位置から捕まえに行くアクションも見せるが、GKも絡めて自陣で落ち着いた対応を見せたアーセナルに対して効果は限定的だった。

 30分以降はボルトンのサイドからの押し下げが効く時間。中央の跳ね返し性能はさすがにいつもとは違ったが、数回の機会に問題なく対応。マカティ―の裏抜けなどで変化をつける工夫も見せたが、アーセナルのDFのオフサイドラインとのかけひきには勝てず。持てるようになったが、効果的な攻撃を効かせることは出来ず。ボールを持つターンになったらカウンターにはさらされることになるので、これはこれできついというボルトンだった。

 後半もアーセナルが主役の試合展開。押し込みながら両サイドを軸に攻撃の糸口を探していく。前半の終盤のボルトンの押し返す機会はすっかりと消えてしまい、再びアーセナルがポゼッションも主導権も握る展開だった。

 押せ押せのアーセナルはライスの読みの効いた高い位置でのインターセプトからヌワネリがこの日2点目を確保。リードをさらに広げる。

 試合としてはこの3点で完全に終了という感じだろう。後半は両SB起因のリスキーなパスミスが見られたことが反省点。特にセットプレーの流れからのルイス=スケリーのパスはコリンズの単騎カウンターによる失点を呼び込むことになった。シチュエーション的にも陣形的にも無理すべきでないところで無理をしてしまった。GKのポーターを含め、悪くはないけども90分間の安定感という意味では課題を残す形となった。もちろん、課題が出てくることは当たり前なので、経験を重ねていく中で成長すれば何にも問題はない。

 アーセナルはさらに2点を追加してゴールラッシュを締めくくる。とにかく縦勝負にこだわっていたサカのアシストを受けて、スターリングが加入後初ゴールを決めると、78分にはハヴァーツがゴールをゲット。計5得点の快勝でアーセナルが4回戦に駒を進めた。

あとがき

 欲を言えばバックスと中盤の負傷者が少しでも帰ってくればという感じであったが、総じて国内カップ戦の初戦を理想的な使い方ができたのではないだろうか。主力はプレータイムをシェアしつつ、キヴィオル、ジェズス、スターリングなどここまで出番に恵まれなかった選手たちはフル出場。カクリ、カヴィアも含めた若い選手のテストもできた。おそらくはプレストン・ノース・エンドとの4回戦でも似たような運用になるのではないだろうか。

試合結果

2024.9.25
カラバオカップ 3回戦
アーセナル 5-1 ボルトン・ワンダラーズ
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:16‘ ライス, 37’ 48’ ヌワネリ, 64‘ スターリング, 78’ ハヴァーツ
BOL:53‘ コリンズ
主審:ジョシュア・スミス

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